闇から帰りつつある真倫です
前回からどれだけ経ってるんだよってレベルですが、チラチラッと再開していきます
まぁ…超絶不定期ですが(;^ω^)
この白い髪は群衆に溶け込むことを阻み
この白い肌は日を浴びることを認めず
この紅い瞳は光を見ることを許さない
シロウサギにシロヘビ…ウーパールーパーなんてのも一時期流行っていたっけ
一般的にアルビノと呼ばれるこれらの個体は色素であるメラニンの合成に障害を持っている
メラニンは黒褐色の色素で体を紫外線から体を守っているんだって
…どういう仕組みか私には全然わからないんだけどね
そんなアルビノだけど当然ヒトも例外じゃなくて、先天性白皮症なんて名前がついてたりする
その原因や程度は人それぞれで、なにも全ての人が白髪だったり赤目だったりする訳じゃない
たまたま私がそうであっただけ
偶然、私がその凄く低い可能性を踏んだだけ
誰が悪いわけでもない
雷に撃たれたとか、災害に巻き込まれたとか、そういうのと一緒
だから、仕方ない…そうは考えても嫌でも目立ってしまうこの体が私にとっては全てで…他の人が羨ましくなることがある
生まれ持ったこの体…物心ついたときには既に特別だった
幼い頃からずっと思ってた
みんなと同じようにお日様のしたで一日中遊びたい
鮮明に見える世界はどう見えるんだろう…?
普通って…どんな感じなんだろう…
幼稚園の部屋の中から外を眺めた
まぶしい光の方からうるさいほど楽しげな喧騒が聞こえる
「外が気になる?」
後ろから声をかけられた
振り返ると、そこには黒く長い髪の女の子がいた
確か…お母さんのお兄さんの子ども…だったかな?
名前はまりちゃん
シンリ?って書いてまりって読むらしい
どうしたらシンリがマリになるんだろう…?
とにかく、最近よく話しかけて来るようになった子だった
私を気にかけるようにお母さんに言われてるらしい
「別に…」
少し拗ね気味に声を出す私
「…りんかちゃんのお母さんと先生に聞いてみようか?私が見るから大丈夫だよって」
私、お姉ちゃんだもん
付け加えるように呟くまりちゃん
確かにまりちゃんには弟がいるけど…誕生日、私の方が先…
そんなことは意に介さないように息巻くまりちゃん
…は放っておいて私は折り紙でも折ることにした
後日、無理をさせないこと、目を離さないこと、異変があったら先生を呼ぶこと、長時間は出ないことを約束に、長袖の上着と日傘、手袋、サングラスを持たされてまりちゃんと外で遊ぶことになった
結局あまりみんなみたいに鬼ごっことかはできないけど…砂遊び位ならできるようになった
それから、私とまりちゃんはいつも一緒にいるようになった
お互いの家で遊ぶことも増えて、時には家族と一緒に遠出もした
私たちは次第に家族も同然の親友となっていた
元々従姉妹だけど
だから、私には真理との時間がほとんどで、周りの目を次第に忘れていった…そんな頃、私たちは小学生になった
クラスは離れてしまって、学校の間は休憩中に少し話すくらいの日々が続いた
私は忘れていた
自分が特別なことを
真理が離れたとき、何が起こるかを覚悟しておくべきだった
それは突然だった
いや、私は人付き合いの経験が少ないから予兆に気づけなかっただけなのかもしれない
何れにせよ突然に思えた
「お前の目ってキモいよな」
たった一言…それを皮切りにして、何人かが同調し始めた
「髪もおばあちゃんみたい!」
「体育の授業もサボってるし中身おばあちゃんなんじゃね?」
「おばあちゃんの癖に学校くるんじゃねぇよ」
軽い騒ぎになるまで一瞬だった
最初の一言を発した男の子まで困惑するほどに
今思うときっと彼はそこまで考えて無かったのだろう…ただ、思ったことを少ない語彙力から呟いた…それだけのことだったのだろう
私を庇ってくれる子も何人もいた。いたはずなのに、何も覚えていない
私はまた一人になったと感じた
少したった休憩時間に真理が声をかけてきた
「倫、クラスの子からさっきの話聞いたよ、気にしなくていいからね?」
「うん、大丈夫」と私は答える
今までにもあったことだから、今更なんでもない…そのはず
「そろそろクラスに戻るけど…今度何かあったら私に言ってね?」
それじゃ、とそこでいつものように鐘が鳴る
それから軽くからかうように私のことを言ってくる子はたまにいたけれど、前の騒動の時のようなことはなかった
それでも、私はクラスに居心地の悪さを感じていた
どうしても自分が異物だという感覚が消えなかった
私がいない方がこの空間が綺麗になる…そんな思考が頭をよぎる
ある休日、唐突に真理が私に言った
「ねぇ、普通って…なんだろうね?」
言葉の意図が掴めなかった
「普通?…えーと…」
「普通の動物って何を思い浮かべる?」
「え…うーん…犬とか、猫とか…象とかキリンとか…」
「なるほど…でもその子たちって本当に普通かな」
真理はたまによくわからない問いかけをする
「…どういうこと?」
「キリンは長い首と長い脚を持ってるし、そのために大きくて頑丈な心臓と血管を持ってる。象は大きな耳と長い鼻を持って、その鼻で器用に物を持ったり、水を吸い上げたり吹き上げたりする」
真理は続ける
「猫はどんな高いところから落ちても足から着地できるバランス感覚を持ってるし、頭さえ通ればどんな狭い穴もくぐれる曲芸師。犬は人に仕え、共に長い歴史を歩んできたかなりの変わり者」
普通かな?とでも言いたげにこちらを見る
「じゃ、普通ってなに」今度は私が聞く
こういう時の真理は大抵がすでに答えを考え付いた後の確認作業だから
「少なくとも普通って特徴のないことじゃないと思う、そして数が多いことでもない…だって、数が多い動物なら圧倒的に虫でしょ?なぜかみんな哺乳類ばっかりなんだよね…」
いや、確かにそうだけども
「だからね、たぶん普通ってのは井戸の中の物なんだよ」
…?
「たとえ地球上の水の99%が海水だとしても、井戸の中のカエルにとっては地下水こそが普通なんだよ」
井の中の蛙大海を知らず…どこかで聞いたそんなことわざ
「カエルにとっては泥の地面が普通で草原や砂漠の大地は普通じゃない、淀んだ空気が普通で吹き抜ける風は普通じゃない、朽ちた木や葉っぱが普通で日を浴びて葉を茂らせた木々は普通じゃない」
まだ続く
「どこかの井戸には潜れるほどに水があって、どこかの井戸は干からびて地面がひび割れていて…どこかの井戸では季節ごとに葉や雪が降ってきて、どこかの井戸では天井ばかりで空も見えない。それがそれぞれの普通」
普通ってきっとそうやってできてる…そう真理がつぶやくように言う
「ねぇ、倫…私は普通にみえる?」
「え…」急な問いかけに言葉がつっかえる
「ねぇ、倫…倫は自分のこと、どう思ってる?」
私は…普通じゃない
「倫…全く同じ人なんていない。みんながみんな変わってる。それが、それこそが普通なんだよ」
真理の話はまだつづく
「私ね、結構『変わってるね』って言われるんだ」
意外だった?とでも言いたげにこちらを見る
「少しこういう話するとさ、あんまり聞いてもらえないんだよね…」
それはそうかもしれない…すごく回りくどいというか…聞いている側からすると要点が見えにくいし…
「まぁ、やめるつもりはないけどね!」
真理は声高に言い切った
「ねぇ、倫華…確かにあなたは周りと違う。でもね、それは周りも同じ。みんながみんなどこか自分は変だと思って過ごしてる。だから、その『変』を受け入れて、その変は普通だと理解して、そして他人の変も認めるの。みんな違ってみんないい、だよ」
by金子みすゞってつきそうな言葉
それからは他の人の変わったところを真理が話してた
私のクラスのケイ君は蟻を飼っていて、家で出たゴキブリを餌にしてるとか、真理のクラスのるーちゃんはつむじが二つあるとか、隣のクラスのゲンキ君はおばあちゃんちでバッタや八チを食べたことがあるとか
でもみんな笑い話として自分で言いふらしてるんだって
そして最後に
「ねぇ、倫…私ね、その眩しいほどの銀髪も、少し赤が透けた白い肌も、心を見透かされるような赤い目も大好きだよ。だからもっと誇りなよ。他の人にはない自分の普通をさ」
「真理…ありがとう…でも、すごく話長いし、わかりにくいし、カッコつけすぎだと思う」
「えぇ…昨日せっかく考えたのに…」
でも、私もそんな真理が好きなので
「今度から一緒に要領よく話す練習だね」
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「っていう感じかな?」
絢人が放った「真理にゃんと倫にゃんはいつから一緒にいるのにゃ?」という言葉から始まった倫華の昔語りがようやく終わった
…が、当事者の俺からすると突っ込みどころが多い
「いや、当時そこまでしっかりした言葉使ってなかっただろ…俺たち幼稚園から小1までの話だぞ。それに要領よく話す練習をした覚えはねぇし」
「えへ…でもだいたいこんな感じだったでしょ~?」
「まぁ、真理ちゃんがそんな練習してたらこうはなってないでしょうね?」
「おう、天は減らず口を減らす練習が必要のようだな?」
「ところで…真理にゃんって昔は私って言ってたのかにゃ?というか昔話と言動が全然合致しないにゃ」
「あ…あぁ…その話はまた今度な」
「そこらへんはちょっとごたごたがあるからねぇ…」
「それは少し気になるわね、楽しみにしてるわ~」
そのとき、隣の部屋から物音が聞こえた…気がした
今回は真と倫の過去回想
大体このシリーズはこんな感じの背景設定公開の場です
…あんまりこういう設定って表に出しにくいんですよね…
そもそも小説はこのために始めた感ある