おぉ、死んでしまうとは情けない。と言うだけのお仕事だが、これがいかんせん難しい。   作:餅3こ

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1話

心電図が何かを告げると同時に、ベッドの傍らに居た両親が喚きながら落涙するのを聞いた。

 

そうか、俺は死んだのか。

それはもう、呆気なく。

元々不治の病を患っていて、臨終するのも時間の問題だったとはいえ、こうも呆気なく、唐突に死ぬとは思わなかった。

 

視界は既に暗転し、五感の殆どが潰えるなか、最後に残る聴覚も鈍くなっていくのを感じた。

最後に耳に残ったのは、おふくろとおやじがバラバラに俺に言った「――!――達は、アンタの―まで――き―くからね!!天―に――ても元――るんだぞ!!あり―とうね!!!!」と言う言葉。

 

はは、おふくろもおやじも、何言ってるかよくわかんねぇよ。

…ありがとうな、そんで若くに死んで、ごめんな。

最後になにか言いたかったけど、声、でねえや。でも、すげえ感謝してるから。

病弱に産んじゃってごめんって、いつか母さんは言ってたっけ。

確かにいっぱいやりたかったことあったし、後悔も腐るほどある。

でも、俺はぱぱとままのこと恨んでねえし、ちゃんと感謝してるから。

だからほら、もう泣かないでくれよ。

これからは俺のこと忘れて、強く生きてくれ。

 

じゃあ俺、ちょっと行ってくるから。

 

そうして俺は、意識を飛ばした。

 

$$$$$$

 

 

 

「おお、死んでしまうとは情けない!!」

 

「はぁ?」

 

「と言う仕事を、あなたにやって頂きます!!」

 

「いやあの、なんですか?」

 

死んだときのままの、真っ暗な視界で女性の声が響く。

一体なんだ?俺はまだ死んでなかった…?

 

「いいえ!あなたは既に死んでいます!!

異世界へ行き、一国の王となり、勇者の助けをするのがあなたの仕事です!!」

 

「話が読めませんが…

そもそも貴女はどなたでしょうか?」

 

「私は女神!!

迷える魂を救済する救いの女神!!

そして、異世界へ行き、一国の王に転生し、勇者の助けをするのがあなたの仕事です!!」

 

 

「いろいろツッコミどころはありますが、おぉ、死んでしまうとは情けない!というセリフが、その勇者とやらを助ける鍵になると?」

 

 

「その通り!!

そして、勇者たちの話に耳を傾け、落ち込む彼らを勇気づけるのです!さすればあなたも救われるでしょう!!

異世界へ行き、一国の王に転生し、勇者の助けをするのがあなたの仕事です!!」

 

「普通に天国に行くって選択肢はないんですか?」

 

「異世界へ行き、一国の王に転生し、勇者の助けをするのがあなたの仕事です!!」

 

「…拒否権はない、と。分かりました。」

 

「よろしい!さすれば早速行ってください!

転生したあと、あなたは己が王になったことを自覚し、王として十分な能力を備えていることも理解するでしょう!王としての責務も同時に全うしてください!!」

 

「それではよろしいですね??」

 

「は、はい。」

 

「Διασχίστε τον κόσμο

Αθώα ψυχή

Πήγαινε」

 

$$$$$$$$$

 

視界は突如として開けた。

豪華絢爛な、多くの装飾の施された広い部屋。

その中央には赤いカーペットが敷かれ、巨大な扉から俺の座る椅子へと伸びている。

そのカーペットを挟むようにして配置された近衛騎士と、俺の左右に立つ騎士長と大臣である美丈夫2人。

窓から入る日光は彼らを照らし、ある種幻想的な景色である。

 

呆けていた俺に、大臣が声をかけてくる。

 

「王よ、どうなされました?」

 

そうか、いや、そうだ。

俺は、王になったのか。

 

「いや、なんでもない。」

 

――――――ドサッ――――――

 

答えた直後、その音とともにそいつは現れた。

 

俺は立ち上がり、声高に叫ぶ。

 

 

 

 

 

「おお勇者よ!!死んでしまうとは情けない!!!」




次からちゃんと「死んでしまうとは情けない!」する。
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