「なんであいつに超能力が効かないのよ...!」
「残念だったなぁ!?お得意の超能力が効かなくてぇ!」
ある少女...いや、女性が怪人と戦っていた。彼女はタツマキ。戦慄のタツマキと呼ばれる彼女は、怪人には恐れられ、人々には崇められている。S級ヒーローの中でも最強と謳われるその力は折り紙つきだ。
そのタツマキが今、突如現れた怪人に破れようとしている。その怪人の名前はムコウ。最近出たばかりのその怪人は、情報があまりなかった。災害レベルこそ鬼レベルだが、超能力が効かないフィールドを作ることが出来るのだ。生まれつきの超能力に頼りきっているタツマキは、攻撃する手段が少なく、自身も深手を負っていた。
(ヒーロー協会に連絡をいれたいところだけど...ヒーローが到着するまでには時間がかかる...いったいどうすればいいの!?)
超能力が効かない相手は前例がないため、タツマキはかなり焦っていた。先ほどから逃げ続けているが、そろそろ体力も限界だった。
「ようやく見つけたぜぇ?戦慄のタツマキさんよぉ!超能力が効かないのなら、てめぇなんて簡単に倒せるなぁ!どうだ?怪人に殺されかけている気分は?さぁ、てめぇはこのムコウ様がトドメをさしてやるぜぇ!」
「くそ...ここまでなのかしら...」
タツマキは追い詰められていた。死という恐怖で涙を流していた。
(いやだ...まだ死にたくない...!)
(誰か...お願い、助けて!)
涙が落ちたその時。
「ギャァァァァァァァァァァァァ!」
怪人の頭が吹き飛んでいた。
「えっ...?」
タツマキは、何が起きたか分からなかった。当然だ。急に怪人の頭が吹き飛んだのだから。そして、怪人の後ろにいるやつが見えた。
「大丈夫か?こんなところで死ぬなんてまだ早えーぜ?」
禿げた男がいた。このハゲがタツマキを助けたのだ。
「お前は戦慄のタツマキ...だったっけか...?俺はサイタマ。礼は白菜でいいぜ。」
タツマキは驚いた。なぜなら、この怪人を一撃で倒したのだから。
「あんた...今この怪人を一撃で倒してたわよね!?いったい何者なの!?」
「趣味でヒーローをやってる、としか言えないな。」
「何をしたらそんなに強くなれるの...?」
「まぁ、3年間努力をしたからなぁ...最初は本当にしんどかった。」
「努力だけじゃたどり着けない領域でしょ、これ...それはおいといて、助かったわ...ありがとう。」
「別にいいよ。あ、礼は白菜ね。」
ヒーロー協会の幹部や同じS級のヒーローたちが今のタツマキを見たら驚くだろう。タツマキが素直に感謝するところを。それくらい、タツマキは怖かったのである。
「じゃあ俺は行くわ。また機会があれば会おうぜ!」
「ええ...本当にありがとう。」
サイタマは去っていった。
(あいつ...ハゲてたけど、かっこよかったな...)
この一件で、タツマキはサイタマをめっちゃ好意的に見るようになった。
ムコウについての加筆をしました。