少し変わった一般人のGrand Order   作:ボートマン

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第8節

「おう、そっちも終わったみてえだな」

 

声をかけられて振り返ると、そこにはクー・フーリンが立っていた。

 

どうやらアーチャーに勝利したようだが、当然無傷というわけにはいかなかったようだ。

 

左腕はなく体には切り傷のほかに矢が数本刺さっていた。

 

明かに満身創痍である。

 

「そちらも終わったんだな」

 

「ああ。とはいえ、見ての通り無傷じゃねえけどな」

 

そして、クー・フーリンの視線はセイバーへと移る。

 

霊核を破壊されたセイバーにはすでに戦意はなかった。

 

「・・・フ。知らずのうちに、私も力が緩んでいたらしい。最後の最後で手を止めてしまうとはな」

 

「手を止めた?」

 

セイバーの言葉に葵は首を傾げる。

 

「聖杯を守り通す気でいたが、私自身が執着に傾いた挙句敗北してしまった。結局、運命がどう変わろうと、私一人では同じ末路を辿るというわけか」

 

「あ?セイバー、そりゃどういうことだ?テメエ、一体何を知ってやがる?」

 

「いずれ貴方も知ることになる、アイルランドの光の神子よ」

 

「(セイバーは一体何を知っているんだ?)」

 

「グランドオーダー、聖杯を巡る戦いはまだ始まったばかりだということをな」

 

グランドオーダーという言葉を最後にセイバーの姿は霧散した。

 

「おい待て!それは一体どういうってマジか!?ここで強制退去かよ!?」

 

突然クー・フーリンもセイバー同様に霧散し始めている。

 

「チッ!納得出来ねえがしかたねえ。坊主に嬢ちゃん後は頼むぜ!それと俺を喚ぶ時はランサーで喚んでくれよ!」

 

そして、クー・フーリンも霧散して消えた。

 

葵はセイバーが霧散したところに浮いている水晶体を取る。

 

「これは一体なんだろう・・・?」

 

一応触ってみるも、何も反応しなかった。

 

「えっと、セイバーとクー・フーリンさんは消滅を確認。私達の勝利なのでしょうか?」

 

「勝利に決まってるよ!お疲れマシュ!」

 

立香はマシュの手を握ってはしゃいでいる。

 

『ああ、よくやってくれたよ立香ちゃん、葵君、マシュ!所長も喜んで・・・あれ、所長?」

 

「どういうこと、何であのサーヴァントはあの呼称を・・・?」

 

オルガマリーは何やらぶつぶつ言っている。

 

葵はオルガマリーに近づいて肩を叩こうとする。

 

「どうしたんですか、所長?」

 

「え・・・?ああ、そうね。よくやったわ、葵、立香、マシュ」

 

肩を叩かれて気づいたオルガマリーは、葵達に労いの言葉をかける。

 

「不明な点は多いですが、この特異点のミッションは終了とします。取り敢えずはカルデア戻り次第、葵が持っているその水晶体を調べます」

 

「了解・・・!?」

 

「マスター!」

 

嫌な予感とケイローンの声に葵は身構える。

 

「やれやれ、まさか君達がここまでやるとは、私としても予想できなかったよ」

 

緑のスーツにシルクハットを被って歩いてくる人物には見覚えがあった。

 

「48人目のマスター適性者。全く見込みのない子供だからと無視していた結果がこれとは、私の失態だよ。それに、Aチームの補欠である九条葵。何故貴様は生きてここにいる?」

 

「さてね、忘れ物を取りに行ったおかげというべきかな、レフ教授」

 

現れたレフ教授は不愉快そうにこちらを見ていた。

 

「レフ教授!?」

 

『レフ教授だって!?まさか彼がそこにいるのかい!』

 

現れたレフにマシュとロマ二は驚いていた。

 

しかし、驚いて当然だろう。

 

管制室の爆発で生死不明だったレフが突然現れたのだ。

 

「その声はロマニ君かな?君も生き残っていたのか。全く、すぐに管制室に来て欲しいと言ったのに、どいつもこいつもこっちの思惑通りに動かないクズばかりで吐き気が止まらいな」

 

明らかに敵意を露わにする言葉と表情のレフに葵はつけている眼鏡を外す。

 

「これは・・・!?」

 

レフにはヒナコ同様に点と線が全く見えなかった。

 

「お前は・・・一体何なんだ?」

 

「ふん、どうやらその眼で私を見たようだな。ただその眼しか取り柄のない人間のくせに、余計なことをしてくれたよ」

 

「これしか取り柄がないからね」

 

「やれやれ、人間というのはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」

 

「・・・・・・!下がってくださいマスター!あれは私達の知るレフ教授ではありません!」

 

マシュが立香とオルガマリーの前に出て臨戦体制をとり、ケイローンも葵の前に出て弓を構えている。

 

「レフ?・・・ああ、生きていのね、レフ!」

 

そんな中オルガマリーはレフの元に行こうとしていた。

 

「ダメです所長!行かせません!」

 

しかし、葵がオルガマリーの腕を掴んで行かせないよう引っ張る。

 

「離して!レフが・・・!レフがあそこいるのよ!」

 

無理矢理にでもレフの元に行こうとするオルガマリーを、葵は力を振り絞って腕を離さまいとする。

 

「ああ、もう!どう考えればそうなるんですか!あいつは今回の事態の諸悪の根源ですよ!」

 

レフの言葉から管制室の爆破やこの特異点を引き起こした事と関係していることは明白である。

 

「何言ってるのよ!レフは私を助けるためここに来たのよ!そうでしょレフ?」

 

期待の眼差しを込めてオルガマリーはレフを見つめる。

 

「もちろんだとも。それにしても今回一番驚いたことは君だよオルガ。まさか君の足下に爆弾を設置したのに、生きているとは思わなかったよ」

 

レフの言葉にオルガマリーは先程までレフの元に行こうとしていた足を止める。

 

「え?私が・・・死んでる?嘘でしょ・・・ねえ嘘だと言ってよ、レフ!」

 

「ふむ、今のは言い方が悪かったね。オルガ、君は肉体的には死んでるんだよ」

 

肉体的には死んでいる。

 

悲しいが当然といえば当然といえるだろう。

 

オルガマリーの足下に爆弾を設置されていたのだ、これを直撃して生きているとは思えない。

 

生きていたとしても致命傷だろう。

 

「今ここにいる君は残留思念みたいな物なんだよ」

 

残留思念としてオルガマリーはこの場いる。

 

だが、ここである疑問が浮かび上がる。

 

オルガマリーにはレイシフト適性はない。

 

なのに何故彼女はこの特異点にレイシフト出来たのだ。

 

「それにしても本当に驚いたよ。生前はレイシフトの適性が無かったのに、死んだ事であれほど望んでいた適性を手に入れたんだ」

 

レフの言葉が真実なら、オルガマリーは哀れとしか言いようがない。

 

死ぬことで望んでいた適性を手に入れるなど、彼女自身そこまでして望んでいたわけではない。

 

「さて、オルガ実は君に見せたい物があるんだ。そのために九条葵、君が持っている聖杯を渡してもらおうか」

 

「聖杯?これが聖杯ということか・・・」

 

この水晶体が聖杯だと分かると葵は何か考え出した。

 

「何をしている。さっさとその聖杯を渡してくれないかな?」

 

しかし、葵はレフに聖杯を渡そうとせず、逆にニヤリと笑っていた。

 

「これが万物の願望機である聖杯なら・・・聖杯を死んだオルガマリーに新たな肉体を与え、我々をカルデアに帰還させよ!」

 

そう叫んだ瞬間、オルガマリーの姿は消えてしまった。

 

また、葵達の姿も光だしてきた。

 

「貴様・・・!よくも聖杯をそのような無駄なことに使ってくれたな!」

 

先程まで葵達を馬鹿にするような口調から荒々しい口調へと変わっていた。

 

「無駄?はっ!こっちにとっては無駄じゃないんでね。そうだろ立香、マシュ?」

 

「うん!所長が生き返るなら問題ないよ!」

 

「はい!私も葵さんの行動に問題ないと思います!」

 

「それに、お前のその顔が見られただけでも十分だよ。ざまあみろ!」

 

「貴様ぁぁぁぁ!」

 

レフが何かする前に、聖杯によって葵達の姿は消えたのであった。

 

 

 

 

「見慣れた天井だ・・・」

 

いつのまにか意識を失っていた葵の目に映ったのは、カルデアにある自室の天井だった。

 

腕には輸血の点滴が刺さっていた。

 

おそらくロマ二辺りが治療してくれたのだろう。

 

「戻ってこれたのか・・・ケイローン、いるのか?」

 

ベッドから降りて点滴の針を抜いた葵はケイローンを呼んでみる。

 

「お呼びですか、マスター」

 

霊体化していたケイローンは葵の目の前に現れる。

 

「起きたら何処かに向かうように言われていたか?」

 

「ええ、起きたら管制室に向かうように言われました」

 

「そうか。それじゃ行くとしよう」

 

「はい」

 

そして、ケイローンと共に管制室へと移動する。

 

管制室ではロマ二とオルガマリー(・・・・・・)が職員に指示を出していた。

 

「あ!葵くん目を覚ましたんだね」

 

「ええ。所長、無事に生き返って何よりです」

 

「貴方にはお礼を言わしてもらうわ・・・ありがとう」

 

小さいながらも聞こえた感謝の声に、葵は心地よい気分になった。

 

「これぐらいどうってことないですよ」

 

「そう。ま、まあそれならいいわ!」

 

そんな風に話していると、遅れて立香にマシュが入ってきた。

 

「あ!所長!本当に生き返ってた!」

 

立香はオルガマリーが生き返っていることを確認すると喜んでいた。

 

それから葵と立香はロマ二から説明を受けた。

 

このカルデアの外は人間が存在することを許されない世界と化していた。

 

殆んどの職員が外に避難していたため、このカルデアに残っている職員は20余名程度だけである。

 

現状は最悪と言っても過言ではなかった。

 

そんな状況で立香と葵のやるべきことは七つの特異点を解決することだった。

 

「マスター適性者8番、九条葵。そして48番、藤丸立香。君達には2016年から先の未来を取り戻してもらうために、これから君達二人はこの七つの特異点を解決しなければいけない。君達にその覚悟はあるか?君達にカルデアの、人類の未来を背負う力はるか?」

 

「もちろんです!」

 

「ああ、やってやるとも」

 

葵と立香は迷いなく返事する。

 

「これよりカルデアは人類の未来のために、現作戦名をファーストオーダーから改めます。我々が行うこれからの作戦名は人理守護指定G(グランド)O(オーダー)と名付けます!私達は絶対に人類の未来を取り戻します!」

 

「「はい!」」

 

オルガマリーの宣言に全員が賛同しする。

 

まさかこうなるとは思わなかった九条葵の物語は始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけでオルガマリーは生存させることに決めました!
色々と思うことがあるとは思われますが、どうか御了承ください。

アンケートは明日締め切る予定です。

幕間で召喚するセイバーについて

  • やっぱりアルトリアでしょ
  • いやいやアルトリア・オルタでしょ
  • Apocryphaでモードレッドでしょ
  • それとも鈴鹿御前
  • いっそのこと柳生但馬守宗矩
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