短いですがお楽しみください
「ねえ、あなた、聞いてる?」
執務室にて仕事がひと段落してぼーっとしていると脇から秘書艦のパースが湯気がほのかに立つティーカップ二つとスコーンを乗せたトレーを持ちながら話しかけてきた。
「ごめんよ、パース、ぼーっとしてた」
そう返すとパースは口角を少しだけ上げて言った。
「そう、疲れてるんじゃない?紅茶を入れて来たからお茶にしましょう?」
そう言うとパースは私の机の上にトレーごとティーカップとスコーンを置いた。
するとパースは私と机の間に割り込み、膝に横向きに座ってきた。
「なぁ、パース、そこに座られると仕事が出来ないんだが.........」
そう私が彼女に問いかけるとパースは私の首に両手を回して顔を近づけて来た。
「なに?提督は私とのお茶会より仕事を取ろうって言うのね?ひどい人」
「ジョークだよ、ジョーク、そう言われると断れないのは君が良く分かってるだろう、パース、それに急ぎの仕事が全て終わってなかったらぼーっとなんかしてないさ」
さり気なく彼女が倒れないように左腕をパースの左肩に回し、右手で頭をそっと撫でる。
気持ちよさそうに目を閉じ細めた彼女はそのまま、私へ体を預けてくる。そして距離がゼロになった。
鼻腔をバラの仄かな匂いが柔らかく刺激する。
しばらくして名残惜しそうに唇がそっと離れるとパースは微笑んだ。
「知ってるわ、提督は真面目ですからね」
そのまま私の首元に顔を埋めると彼女は頭をぐりぐりと押し付けてくる。
私はそのまま抱きしめる右手で彼女の後頭部をそっと撫でた。
そのままゆっくりと数分が過ぎるとパースは顔を上げ言った。
「紅茶が冷めてしまうわ、そろそろお茶にしましょう?」
そう言うと彼女は膝から降り、自分の分のスコーンとカップを持つと私の執務机の脇にある自分の机へ持っていった。
その様子を見ていて思うのは、最近のパースの表情と態度だ。着任当初の固さが信じられないくらいに自分に甘えてくる。感情面で不器用だった彼女とは思えない豹変ぶりだった。
「提督、あなた、大丈夫?またぼーっとして熱でもあるんじゃないの?」
一度、席に着こうとしたパースだがそう言うとこちらに戻ってきて私の前髪をかき上げると手を当ててきた。
「熱はないみたいね、でも少し休んだ方がいいわ、お茶が終わったら膝枕をしてあげるから夕食まで寝なさい」
パースはそう言いながら自分の机の椅子を私の隣に抱えて持ってくるとスコーンとカップも移し、腰を下ろした。
その隣で私はカップを右手で持ち、紅茶を一口飲む
ハーブの匂いが鼻孔をくすぐり飲んだ瞬間に口に広がった。
「提督が疲れてるみたいだから今日はローズマリーティーにしたわ」
「ありがとう、パース、すまないな、気を使わせてしまって」
「No problem.あなたが倒れる方が心配だもの、あっ、いけない、ジャムを忘れてた。取ってくるね」
そう言うとパースは執務室を出て行った。目的地はおそらく給湯室だろう。パースの入れてくれた紅茶を一口飲み、ふっと一息ついた。
少しして彼女が戻ってくると私の前に小皿を置いた。
「ブルーベリージャムよ、スコーンに塗って食べてね」
パースに礼を言い、小皿のジャムをナイフで掬い、スコーンに付けてから口に運ぶ、サクッとした食感とブルーベリージャムの酸味がいい感じに混ざり合い、これまたおいしい、満足しながら食べてるとカップの紅茶が空になっていることに気が付いた。
するとパースが言う。
「満足そうで何よりだわ、どうしたの?そんな顔して、あっ、紅茶がなくなってしまったのね、お代わりが欲しいなら言えばいいじゃない」
そう彼女は言うとティーポットからお代わりの紅茶をティーカップに注いだ。
「ありがとう、パース」
「いいのよ、それより私のカップにも注いでもらえる?」
どうやらパースも一杯目を飲み干したらしい、もちろん断る選択肢はない
「もちろん」
そう言って今度は私がティーポットを持ち、彼女のカップに注ぐ
「Thank you」
そうしてお互いスコーンを食べながらティーカップを片手に雑談をしながら時間は過ぎていった。
最後のひと欠片を食べ終わると残った紅茶を飲み干し、ナプキンで口と手を拭く
「ご馳走様、パース、また頼むね」
パースも手を拭きながら答えた。
「ええ、喜んで」
そう言いながら微笑しパースはさらに続けた。
「さぁ、食べた後、すぐ横になるのはあまりよろしいとは言えないけどお昼寝しましょう?」
そう言うとパースは私の手を引き、執務室の隣にある仮眠室へ向かう。
「なぁパース、カップとかは片さなくていいのか?」
「後で片すわ、気にしなくて大丈夫よ」
今日は遠征も出撃もない為、誰かが執務室に来ることはまずない、最近のパースはいつも私をいることを優先するのだ。
仮眠室に入るとパースが言う。
「帽子とジャケットは脱ぎなさい、皺になるわ、ほら私に貸して?」
パースは脱いだジャケットと帽子を奪うように私から取るとポールハンガーにかけた。
そしてパースはベットに腰を掛けると左手で膝をとんとんと叩きながら右手で私に手招きをする。
「さぁ、おいで?提督」
紅茶のお陰か少しだけ思考がぼんやりとして来ていたので私はそのままベットに横になり、頭をパースの太ももに乗せた。
仰向けになっている為、少し大きい二つの丘の向こうにパースの顔がよく見える。
薄紫の瞳、前で三つ編みにしているはちみつ色の髪の毛、柔らかそうな肌、かすみがかり始めた思考で彼女はやはり綺麗だなと再確認した。どうやら私もパースにゾッコンらしい、相思相愛だといいのだが少し不安になる。
不安のあまり、つい口走ってしまった。
「なぁ、パース、なんでここまでこんなにしてくれんだ?」
一瞬困った顔をしたパースは意を決したように目を一瞬つむると少し顔を赤くしながら答えた。
「あなたが好きだからに決まってるじゃない、おやすみなさい、あなた」
まどろみの中、唇に何か触れたような気がしたところで意識はなくなった。
いかがでしたでしょうか?タイトルは昔、別名義でPixiv様の方で上げていた小説のを使いやすかったのでオマージュしました。
言い訳タイム
前回投稿の小説の後編を上げてないのに短編を上げる系投稿者、別でとある作品のノベライズをやらせて頂きましてそちらが忙しかったので春までには後編を上げたいところですが・・・・・・・第二版の締め切りとその他台本、脚本が待っているので連載してる方はあまり期待しないでください
それではまた