非常にまずい事態になった。
目の前には顔を赤くし目に涙を溜めている魔理沙と鬼気迫る表情の翠が立っていた。
事の顛末は俺が風呂に入ろうとしたら魔理沙が先に風呂に入っていた。
そこで俺はあろうことか裸の状態で魔理沙と鉢合わせしてしまった。
「……蓮さん」
いつもより低い声で翠が話しかけてくる。
「は、はい……」
「一体どういうことですか?」
「魔理沙と風呂で鉢合わせしました……」
「そんなのさっきの見たら分かります」
翠が静かに問い詰めてくる。
「魔理沙さんの悲鳴が聞こえてから時間がたってましたけど蓮さんぼーっと立ってましたよね? 何でですか?」
「そ、それは……」
痛いところを突かれた。
魔理沙の裸に見とれていたなんて言えるはずもない。
「まさか見とれていたなんてことないですよね?」
「うっ……」
「命の恩人の裸に見とれていたなんて無礼なこと蓮さんがするはずありませんよねぇ?」
「……」
俺は黙るしかなかった。
(完全に見破られてる)
翠の言葉を聞く限りこの子は全てわかって俺を問い詰めている。
そして俺に罪を認めさせようとしているのだ。
「な、なあ翠……それくらいにしてやったらいいじゃないか蓮も反省してるし……それに私の―」
「魔理沙さんは黙っててください」
翠がはっきりそういうと魔理沙は黙ってしまった。
「蓮さんいいんですか?」
翠の言葉にハッとした。
このまま黙っていれば間違いなく魔理沙に嫌われるだろう。だから翠はさっさと白状して謝れと言っているのだ。
「どうなんですか!」
翠が口調を強くして言ってきた。
俺は意を決して
「すまん、魔理沙……君の裸に見とれていた……」
と言うと魔理沙は顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
「本当にすまない」
そう言いながら俺は土下座をした。
「み、見とれてったって……」
魔理沙がそうつぶやく。
当たり前だ年頃の女の子が裸を見られましてや見とれていたなんて言われてば当然の反応だろう。
(これは嫌われただろうなぁ……)
俺の恋はここで終わりだななんて思っているとどうにも魔理沙の様子がおかしい。
「み、見とれてた……」
何やらボソボソ呟きながらモジモジしているのだ。
「はぁ……全くこの2人は……」
翠がそう言ったが意味がわからなかった。
「魔理沙さんすみませんでした。私の部屋に布団を敷いているのでそこで休んでください」
「お、おう……」
「私もお風呂に入ったらすぐいくので」
「わかったぜ……」
そう言って魔理沙は2階へと上がっていった。
「蓮さん……全くあなたって人は……」
魔理沙が2階へに上がった後に俺は翠に説教をされていた。
「蓮さんが魔理沙さんにお風呂に入っておいでっていったんですよね? なのに何で自分も行ったんですか?」
「それは……」
「それは?」
言いたくなかった。
理由を言えばこの後間違いなく俺は翠に怒られる。
「なんでなんですか?」
翠が早く言えと言わんばかりに問い詰めてくる。
「忘れてました……」
「忘れてたぁ?」
「……はい」
「……蓮さん覚悟はできてますね?」
この後俺は翠にこってり絞られた。
翌朝目を覚まし、下へ降りると翠が朝ごはんを作っていた。
そして魔理沙が食卓に座っていた。
「……」
「……」
無言のまま椅子に座り黙々と朝食を食べた。
「それじゃあ蓮さん、翠は学校にいってきます」
「ああ、行ってらっしゃい……」
気の抜けた返事を返して翠を見送ると俺は店に戻った。
店には俺と魔理沙しか残ってなかった。
「……」
「……」
沈黙の時が続く。
「なあ、魔理沙」
俺が声をかけると魔理沙はビクッとして
「ど、どうしたんだぜ?」
と返してきた。
その反応に傷つきながら
「気に入った商品あったか? あったら好きな物持って行っていいぞ……」
そういうと魔理沙は困った顔をしながら
「き、今日は遠慮しとくぜ」
と返された。
(完全に嫌われたなぁ……)
そう思っていると魔理沙が
「ま、また今度くるからその時に持って帰るぜ」
と言った。
「え……?」
俺が戸惑っていると
「じ、じゃあ私は帰るぜ」
そう言って足早に店を出ていった
出ていく間際に
「ぜ、絶対にまた来るから約束忘れるんじゃないぜ!」
と言って顔を隠すように帽子を深く被り魔理沙は帰っていった。
おや?魔理沙の様子が…