転生マーキュリーのONEPIECE物語   作:永久@

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第24話、逆しまのひとたち

「……とも、だち?」

 

 きょとん、と。

 目を丸めてそう呟いたナキに、ジラフは白い歯を見せて屈託ない笑顔を見せる。

 やはりルフィと似た雰囲気の明るさだが、どうしてか違和感も感じて首を傾げる。まるで、その明るさを上辺に纏っているだけのように感じたのだ。

 

「……えっと、な、何で、友達……?」

「何でじゃろうなぁ?」

「えぇ……?」

 

 釈然としない返答にナキは顔をしかめたが、当人は気にする事なくニコニコしている。

 

「ま、そんな意地悪は嫌じゃわな。もう一回言うんじゃが、お前さんガープ中将の孫なんじゃろ?」

「あ、うん……」

「ワシな、政府の役人を目指しとるんじゃ。だから英雄の孫にお近付きしとうてのう」

「へ、へぇ……」

 

 自分にお近付きになる意味が果たしてあるのかどうかはよくわからないが、理由自体はよくわかった。

 正直、多少の打算があった方が気持ち的には安心できる。サボとエースとだって、様々な事柄を超えてようやく義兄弟の関係に落ち着いたのだ。初めから無条件に仲良しだった訳ではない。

 

「……えっ、と。ジラフ、さん?」

「何じゃあ。友達になる言うのに、距離を感じるぞ」

「え……」

「ジラフじゃ、ジラフ!さん付けなんてつまらんわい!」

 

 めっちゃグイグイくるジラフに思わず背中を仰け反らせる。なんというか、本当にルフィに似ている。相手に確認する前に、一方的に話を進める所とか。

 どうやら極度の人見知りには、推しの強すぎるぐらいがちょうど良いようであった。

 

「……ジラフ、くん」

「おう、そうじゃそうじゃ」

 

 名前を呼ばれたジラフは満足気に笑った。呼び捨てではなかったが、くん付けぐらいならまぁ許容範囲だ。

 そのままジラフは色んな事を問いかけた。好きな食べ物、好きな色、好きなうんたらかんたらetc。

 ナキは一つ一つの質問にきちんと答えた。緊張か、もしくは警戒心からか、その声は声は震えている。しかしジラフが笑顔で相槌を打ちながら冗談を混ぜて話すと段々と落ち着いていった。

 

 

 そうして談笑していると、はっとしたジラフが懐から懐中時計を取り出した。

 

「あー、結構話したみたいじゃな。もうこんな時間じゃ」

 

 そう言ってジラフがナキに見せた懐中時計は、日付が変わる直前だった。

 ナキは目を丸くする。自分でもそんなに長い時間、話しているつもりはなかったのだ。

 

「じゃ、ワシ帰る。また来てもええか?昼間はちょっと忙しいから、夜になるんじゃが。迷惑かのう?」

「え?あ、えっ、と……う、うん……いい、よ……」

「そうか、良かった!ありがとうな!」

 

 晴れやかな笑顔を浮かべてそう言うと、ジラフは思いっきり飛び上がった。

 

「じゃあの!」

「───」

 

 まるで兎のように飛び上がり、そのまま消えていくジラフを、ナキはただ呆然として見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、ナキはいつものように目を覚ました。

 

 遅くまで起きていたからなのか、夢も見ないぐらいぐっすりだった。まだ少し残っている眠気と戦いながら洗面所に向かうと、既にガープが歯磨きをしている所だった。

 

「何じゃ、早いのー。よく寝たか?」

「ん……」

「ぶわははっ!まだいつもより眠そうじゃな!」

 

 そりゃあ、夜更かししたのだからそうだろう。

 

 

 朝食はガープが作ったトーストとハムエッグだった。色々と大雑把な男だが、なんだかんだ人生経験は豊富な上にサバイバルにも精通している為、料理は得意な方らしい。

 

 香ばしいトーストにかぶりつきながら、昨晩の事を思い出す。

 鼻の長い謎の少年。突然現れ、話をして、そして飛んで行った男の子。

 

(……何だか、既視感があるような……)

 

 最初に思い浮かんだのは、某ネズミのアニメ会社の嘘をつくと鼻が伸びる人形。しかしそれも違うような気がして、ナキは首を傾げて考え込み、結局その答えは出ないまま朝食の時間は終わった。

 

 

 その既視感の正体が、弟の率いる海賊団に仲間入りする予定の狙撃手であるとナキが知るのは、そこそこに遠い未来の事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方が第一に覚えるべき事は能力の制御です」

 

 正義のコートを翻し、講師に選ばれた海軍少将キョウテンは丁寧な口調でナキに言った。黒いショートヘアがさらりと頬を流れている。

 

「私は能力者ではありませんが、能力者の指導をした事もあります。貴方が暴走した時、止める為にここにいます。それは、よろしいですね?」

 

 こくりとナキが頷いて、キョウテンも穏やかに頬を緩

ませる。

 

「……言い方が物騒だよなぁ」

「暴走前提の言い方なんだよねぇ」

 

 そんなキョウテンに苦笑いを浮かべるのは、“悪魔の実の能力者”である二人の大佐。

 ゾオン系イヌイヌの実を食べたダルメシアンと、ロギア系ウドウドの実を食べたウェニー。

 大佐であるが二人共コートは羽織らず、シンプルなマリンの隊服を身に着ていた。ウェニーは赤に近い茶髪を緩い内巻きのミディアムロングにして、耳たぶには小さなピアスをつけている。

 

「私は事実を言ったまでの事ですよ。それよりも、能力の制御を教えるのは貴方達の担当でしょう?」

「へいへい、わかってますよ」

「あはは」

 

 場には軽い雰囲気が流れる。ダルメシアンとウェニーはナキの前に立つと膝をつくと、まずウェニーが口を開いた。

 

「こんにちは、ナキちゃん。もう一回名乗らせてもらうね。私はウェニー、こっちはモデル“ダルメシアン”を食べて名前がダルメシアンとかいうややこしいワンコだよ」

「おい、お前その説明やめろ」

「私達は昨日も言った通り悪魔の実の能力者なんだけどね」

「人の話聞け」

 

 それでも同期の言葉を華麗にスルーしてウェニーは続けた。

 

「私はロギアの中でも少し特殊なの。さて、どうして特殊なのでしょう?」

「え、」

「ヒントはねー、私の能力は“樹木”です」

 

 流れるようにスラスラとウェニーは語る。

 ペースに飲み込まれそうになりながらも、ナキはウェニーの言葉を頭に留め、考え、そして答えを一つ見つけた。

 

「……実体が、ある……?」

「お、正解。よくわかったね」

 

 次の瞬間、ウェニーの右手が軋んだ。

 目を見開いて飛び退いたナキの目の前に、木の幹が伸びる。浅い茶色に木目の柄は、山育ちのナキにとって実に馴染み深いものだ。

 

「私は身体が樹木なの。樹木は他のロギアと違って塊だから実体がある。だから銃弾があたったり斬られたりすると凄く痛い」

 

 死ぬ事はないんだけどね、とウェニーは笑う。

 生々しい話になった事でダルメシアンがナキの顔色を伺うが、ナキは突然伸びた木の幹に驚いたぐらいで、気分を悪くする事はなかった。山賊が身内にいてグレイ・ターミナルという修羅で育ったナキにとって、生々しい話というものは単なる日常の一部に過ぎないのだ。

 真っ白正義の海軍本部で現役海兵をしている三人は、そんな少女のズレたメンタルに気付かない。

 

「まぁつまるところ何が言いたいのかって言うと、悪魔の実って案外万能じゃないって事だよね。条件が揃えば能力封じられる時もあるんだし。ロギアなのに実体がある私とか、パラミシアなのにロギアと相違ない君とかね」

 

実体を持ったロギア(ハズレ)自己防衛できるパラミシア(アタリ)。けれど戦場は、それを凌駕して何もかも死に追いやる。

 

「だから死ぬほど鍛えてもらうよ。能力を制御して使いこなせるようになって、その上で鍛えて鍛えて強くなる。それが、悪魔の実の能力者になった人間の精一杯の責任だからね」

 

 

 それが、ウェニー達は恩師に教わった事だった。




【5秒で名前決めた系オリキャラ講師達】
・キョウテン(男)
東の海出身。少将。敬語はデフォ。能力者ではなく六式がえげつなく強い人。CPに勧誘された事もあるが、掲げているのが『王道の正義』なので断固拒否した。闇堕ち暗殺ノットお手の物。モモンガの同期。
・ウェニー(女)
南の海出身。大佐。ロギア系なのに実体はあるし攻撃当たるし痛いし素手で捕まえられるしのウドウドの実の樹木人間。同期と恩師(黒腕)に恵まれていたのでそこまで拗らせなかった。故郷の海に血の繋がらない弟(?)が二人いる。ダルメシアンの同期。

【選ばれたのはワンコでした系原作キャラ講師】
・ダルメシアン
この世界では能力者。同期となかよち。
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