転生マーキュリーのONEPIECE物語   作:永久@

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第7話、初日早々

結局、ナキとルフィは山賊ダダン一家に預けられる事になった。

あまりの一方的な決定にダダン達は最後まで不服そうだったが、そっとガープが拳を構えると即座に黙り込んだ。

 

「ちなみにルフィは頑丈じゃからバンバンしごいてやって構わんが、ナキは女の子なんじゃから丁重に扱え」

「じゃあ預けんじゃねぇよ…」

「何か言ったか?」

「イーエナンデモ!」

 

そんな風にダダンに釘を刺してから、ガープはさっさと山を降りていった。

 

 

 

 

 

 

「俺、山賊大っっ嫌いなんだ!」

「黙れクソガキあたしらだっておめェらみたいなの預けられて迷惑してんだよ!ここにいたくなきゃ好都合!出てってその辺で野垂れ死んじまえ!」

「まーまーお頭…」

 

翌日、早々に失礼な発言をかますルフィに、ダダンは大きな声で怒鳴り返した。気に入らなさそうにダダンにあっかんべーするルフィを、隣に座ったナキが心配そうにチラチラ見やる。

 

「メシも食いたりねェ。俺もあの肉食いてェ!」

「あの肉もこの肉もみんなエースが獲って来た野牛の肉だ!あたしらにも分け前を渡す事で食卓に並ぶんだ、山賊界は不況なのさ!」

「なーねーちゃん腹減ったー」

「…あとで、も、森の何か、料理、できたらする、から…」

「やったー!」

「話を聞けぇこのクソガキ共!」

「っご、ごめんなさい…」

 

ビクッと震えたナキの表情が恐怖で固まる。「丁重に」と釘を刺されていた事を思い出し、思わずぐっと押し黙る。一旦呼吸を整えてからまたぐわっと勢いよく凄む。

 

「とにかく!明日からおめェら死ぬ気で働いて貰うぞ…!掃除洗濯靴磨きに武器磨き!窃盗略奪詐欺人殺し!」

「お頭、女の子の方はさせたらガープさんにぶん殴らりるんじゃニーですか」

「そっちのガキは掃除洗濯だけ教える!いいな…ここでさせられた事は絶対にガープの奴にチクるんじゃねェ!」

 

ゴゴゴと音が聞こえそうな程に凄んだ表情に、涙目になっていたナキの目が更に潤み、さして驚きもしないルフィをぎゅっと抱き締める。

 

一日に一回(・・・・・)、茶碗一杯の米!一杯の水!これだけは保証してやる。後は自分で調達するんだ!そして勝手に育ちな!」

「わかった!」

「んわかったんかいっ泣いたりするトコだそこはァ!」

「…ま、前、ジャングルに、な、投げ込まれた、事…ある、から…」

「うん、べつに森ぐらいへーきだ」

 

ズガンっ!と頭から床に滑りながらツッコんだダダンに姉弟は冷静にそう返す。

後ろでは仲間の山賊達が「ジャングル…?」「何でジャングルに…?」と囁きあっている。

そのうちの何人かはガープの自由な人柄や無茶振りをよく知っているので、『ジャングルに投げ込まれた』というその特殊な状況が、ガープの理不尽な修行方法の一端である事を瞬時に察していた。

山賊の自分達が言えた事ではないが、仮にも“海軍の英雄”を名乗っているなら、もう少しだけ人道的な修行に変えた方が良いと思う。

 

「ミミズもカエルもヘビもキノコも、ここが森なら腹一杯食える!俺はいつか海賊になるんだ、それくらいできなきゃ!」

「海賊ぅ!?」

「あ、あいつどこ行くんだろ。ねーちゃん、俺ちょっと行ってくる!」

「う、うん…い、行ってらっしゃい…」

「だから!話を!聞けっつってんだろうがァ!!」

 

ダダンの叫びも虚しく、ルフィはエースの後を追って外に出ていった。自由奔放な所は流石ガープの血縁と言った所だろうか。

 

「ホラ見ろ逞しすぎなんだよ!だから嫌なんだよガープの孫なんて!」

「まーまーお頭…」

 

ダダンもそのモンキー家特有のその奔放さを肌身にしっかり感じたようで、頭を抱えてギャーギャーとガープに対する恨み言を叫んでいる。

義理とはいえ祖父への恨み言を間近で聞いてしまったナキは非常にいたたまれなく、察したドグラが手を引いてナキを離れた場所に移動させてやる。

 

「あー…お頭は慣りりば良くしてくりるから、あんま嫌わニーでやっティくりよ」

「あ…だ、大丈夫、です…こちら、こそ、あの…祖父の、か、勝手に…付き合って、もらって…す、すみません…」

「良い子だぁ…」

「礼儀正しい良い子だ…」

「おどおどしてるけどめっちゃ良い子…」

 

エースからは全く感じられない『良い子』要素に、山賊達は思わず目を潤ませた。

 

 

 

 

 

 

 

 

前もってガープが話していたように、ナキは人見知りが激しい子供だった。

 

ここにやってきた時も、最初は不安そうにしてガープの足元に隠れていたし、預けられてガープが帰っていった時も、苛立つダダンに落ち着かない様子でずっとルフィの手を握っていた。ビクビク怯えてもいたようなので、単純に怖がりなのだろう。

掃除洗濯を頼めば全て滞りなく終わらせていて、聞けばフーシャ村で暮らしていた時から、家事はナキがやってという。

まだ8歳だというのに随分働き者だと、山賊達は素直に感心した。

しばらくして落ち着きを取り戻したダダンも、大人しく言われた事をきちんとするナキに心底安心したようで、はーっと深いため息をついていた。

 

「ナキ。あんた、掃除洗濯の他には何ができるんだ?」

「…え、えっと…料理とか、裁縫、とか…で、でも、ちょっとだけ…です…」

「…あんたホントにガープの孫かい」

「…ち、血は、繋がってない、から…」

 

ぼそぼそと小さな声で話すナキを、ダダンはわずかに口を曲げながら見下ろす。

血が繋がってないなら確かに納得はする。しかし、それでもここまで性格が違ってくる物なのだろうか。いや勿論こちらにとってはありがたい事この上ないが。

 

まぁ、いいか。

ダダンは心の中でそう呟きながら、ナキの黒髪をわしわしと撫で回した。どうか弟の方も、特に問題は起こさぬようにと祈りながら。

 

 

 

率直に言うと、問題は当然のように起こった。

ルフィが帰って来ないのだ。

 

先に戻ってきたエースにダダン達が問いかけるも、返ってくるのは「知るか」という冷たい一言のみ。

ダダン達には、探しておくからとりあえず先に寝ろと言われたが、正直心配でとても眠れない。

 

だって、フーシャ村にいた頃は、一緒のベッドで寝ていたんだ。

 

 

 

 

 

「……ル、フィ…」

 

 

その夜、ナキは山小屋を抜け出すと、暗い暗い森の中を震えながら進んでいった。

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