自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件 作:とんこつラーメン
果たして、彼女は中身オッサンな美幼女の魅力に勝てるのか?
今日も全ての授業が終了し、待ちに待った放課後の時間が訪れる。
二日目にしてもうすっかり学園に馴染んだのか、少女達は各々に色んな場所へと行こうとする。
中には教室に残っている連中もいるようで、そんな彼女達から部活動に関する話が聞こえてきた。
「部活動か……。そういえば、IS学園って何故か生徒全員の部活動所属義務があるんだよな。なんでだろう?」
「そこは私も疑問に感じていた。いくらIS学園が他の学校と比べて非常に特殊な学び舎とはいえ、この規則は余りにも異色だった」
「それは恐らく、この学園の部活動が『公式』じゃないからですわ」
「「公式じゃない?」」
私と箒の疑問にセシリアが答えてくれたが、なんとも意味深な言葉だった。
「なんでも、IS学園の部活動は他の学校の部活動が普通に行っている大会などの出場が不可能だと窺っています」
「大会に出れない……?」
「それって、文化部、運動部どっちも?」
「らしいですわ」
「マジか……」
そんな規則があったとは本気で知らなかった。
私もまだまだって事かな。
「あくまで『趣味』や『自己研鑽』を目的として部活動を行うのではないかと」
「それもある意味では部活動をする目的の一つではあるけど……」
やっぱり、大会に出れないとなると、いまいちモチベーションが出ないんじゃないのか?
いや、だからこそ生徒全員に部活動を推奨してるのか?
折角の青春をISだけで消費しないように。
「そういう二人は、もうどこかの部に入ってるのか?」
「まだだが、剣道部に入ろうとは思っている。まずは今日、見学をしてから、その後に職員室に入部届を貰いに行くつもりだ」
矢張り、箒は剣道部志望か。
剣道の全国大会王者っていう立派な肩書があるんだから、高校でも更に頑張りたいって思うのは当然だよな。
「私はテニス部に入ろうと考えてますわ。故国でもテニスを嗜んでましたので」
あ~……うん。めっちゃイメージ通りだわ。
セシリアがテニスウェアを着て、テニスコートに立っている姿が簡単に想像出来る。
間違いなくライバルキャラだけどな。
「緒理香さんはどうしますの?」
「私は……」
部活ね~……。
前世では見事に中学、高校と6年間に渡って帰宅部だった。
なんなら、帰宅部のエースと言っても過言じゃないね。
それは転生してからも変わってなくて、二度目の中学も迷わず帰宅部を選択した。
別に部活動を否定する訳じゃないけど、どうも私の性には合わないんだよ。
けど、このIS学園じゃそうはいかないみたいだし……う~ん……。
「どうするかな……」
「迷ってるんだったら、生徒会なんかどうかな?」
「本音?」
ここで、今まで会話に入ってこなかった本音の登場。
そういや、この子って生徒会書記だったっけ。絶対に仕事してないけど。
「生徒会だと? 生徒会は部活動じゃないだろう」
「普通の学校だとそうかもだけど、このIS学園だと生徒会も部活動扱いになってるんだよ~」
「それはまた珍しいですわね」
つーか、よくよく考えたら、これって二次創作とかでよくオリ主が生徒会に強制加入させられる時の常套句じゃないのか?
『入りたい部活が無いのなら、生徒会に入ればいいじゃない!』って、マリー・アントワネットかっつーの!
「生徒会か~……」
「ん? 嫌なのか?」
「嫌というか、碌な思い出が無いというか……」
転生してこんな体になったせいか、第二の中学の時は本当に苦労した。
その苦労の主な原因は生徒会にあったのだが、話しだしたらマジでキリが無いので、ここはダイジェスト方式にしてお送りしよう。
・生徒会長(女子)が過剰なまでのロリコンだった。
・その生徒会長が、私の事を無理矢理にでも生徒会に入れようとした。
・一夏達の協力でそれを跳ね除けたら、次はデフォルメした私の姿を学校のマスコットにしようと企んできた。
・なんでか校長がめっちゃ賛成しやがった。
・結局、マスコットキャラである『オリカちゃん』が完成し、そのグッズが購買部で飛ぶように売れてしまった。
・そのグッズの中の一つである『オリカちゃんぬいぐるみ』を一夏達も密かに買っていた事に本気で衝撃を受けた。
・しかも、一夏に至っては『等身大オリカちゃん抱き枕』まで買っていた。
・一夏に頼んで買って来て貰い、実は千冬さんもそれを持っていた事実に、私は灰になった。
「ってなことがあったんだよ……」
ホント、中学の時はマジで波乱の三年間だったよ。
IS学園も負けず劣らずかもしれないが、毎日毎日に渡って生徒会長のストーキングが無いだけマシだな。
え? 千冬さん? あの人も酷いけど、ちゃんと教師としての一線は守ってる思う……って、なんか教室の入り口付近に千冬さんの姿が見えたような気がしたんですけどっ!?
(オリカちゃんぬいぐるみ……)
(オリカちゃん抱き枕……)
(((めっちゃ欲しい!!!)))
ど…どうした三人共? なんか目が怖いぞ?
「なんで私は緒理香と同じ中学じゃなかったんだ……」
「もう少し早く日本に来ていれば……」
「いいなぁ~……羨ましいなぁ~……」
…………取り敢えず、我に返るのを大人しく待とう。
その方がいい気がする。なんとなく。
「と…とにかく、まずは見学だけでも来ればいいんじゃないかな?」
「そ…そうだな。見るだけならタダなんだし、騙されたと思って行ってみたらどうだ?」
「イヤならば、その場で断ればいいのですから」
「それもそうだな……」
本音の事だから、変に何かを企んでいるとは考えにくい。
ついでに言うと、彼女の誘いを断るとか私の良心が痛むから普通に無理。
(緒理香と同じ部活に入れないのは残念だが……)
(もしも生徒会長が緒理香さんの可愛さの虜になれば……)
(高い確率で『オリカちゃんグッズ』が購買部に並ぶ!!)
こ…今度はなんか凄い目が燃えてないか?
なんでそんなにも情熱大陸してるんだ?
「そうだな。行ってみるだけ行ってみるか」
「「「やった!」」」
何故にそんなに喜ぶ?
まぁ、いずれは『生徒会長』とも接触はするんだろうし、そのタイミングが少し前後するだけの話だろ?
こっちから行かないと、向こうの方から寄ってきそうだしな。
「それじゃ、早速行こ? おりりん!」
「ちょ……手を引っ張らなくても、ちゃんとついていくから!」
こうして、本音に手を引かれながら、私は生徒会室へと向かう事となった。
教室を去る際、箒とセシリアがすっごいいい笑顔でサムズアップしていたのが気になった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「着いたよ~」
「早っ!?」
展開の都合上、文字通りあっという間に御到着。
私達の目の前には、超機械文明な感じの学園の雰囲気とは全く合わない、洋風のデッカイ扉が立ち塞がっていた。
少なくとも、私からしたらその巨大さから『真理の門』に見えてしまう。
私、別に人体錬成とかしてないよ?
「しっつれ~しま~す」
「せめてノックぐらいしろよ……」
どんだけテンション上がってんだよ……。
仕方がないので、私の代わりに扉を開けてくれた本音の後に続く事に。
中へと入っていくと、そこには大人数が座れるような大きな楕円形の円卓があり、その上座に水色の髪をした一人の少女が司令座りをしていた。
「うふふ……よく来たわね。莱鞭緒理香ちゃん。私がこのIS学園の生徒会長である『更識楯無』よ。よろしくね」
「これはこれはご丁寧にどうも。一年の莱鞭緒理香です」
更識楯無……中盤以降になってから登場したヒロインの一人で、二年にして生徒会長を務め、更には暗部の当主をしながらもロシア代表なんて肩書まで持ってる凄い奴。
でも、身内の事となると急にヘッポコになる印象が強い。
要は、優しすぎるんだよな。その甘さは嫌いじゃないけどさ。
「……………………」
「あの~…どうしました?」
「え? あ……なんでもないわよ? ジッと見てしまってごめんなさいね」
「はぁ……」
そんな風に見られるのにはもう完全に慣れっこだしな。
ははは……自分で言ってて悲しくなった。
(やっばー!! 見た目が完全に美幼女なのに、一生懸命に大人ぶろうとしてるギャップが可愛すぎて本気で見惚れちゃった――――!!)
おい。なんか顔が赤いぞ? 風邪でも引いてるのか?
「かいちょ~、顔が真っ赤だよ~?」
「そ…そうかしら? 暖房を強くしすぎたせいじゃない?」
「お嬢様。この部屋は別に暖房なんてつけてませんけど?」
呆れながら奥の部屋からやって来たのは、眼鏡を掛けたお姉さん。
リボンの色から、彼女が最上級生である三年であることが分かる。
「初めまして、莱鞭さん。私は本音の姉の『布仏虚』と申します」
「こちらこそ初めまして。妹さんにはいつもお世話になってます」
「こちらこそ、いつも本音がお世話になっています」
「おね~ちゃ~ん……」
いやいや、割と本気で私は本音のお世話になってますから。
主に彼女の可愛さに癒されてます。あと、お菓子をくれたり。
「幼な妻……」
「「「はい?」」」
なんかスゲー事を口走ってなかった?
(思いっきりご近所の奥さん同士の会話じゃない! 緒理香ちゃんが奥さんになったら……)
お~い? 大丈夫ですか~?
(いってらっしゃいのキスをしたり、帰ってきた時に『ご飯にします? お風呂にします? それとも…わ・た・し? 的な事を言っちゃったりして~♡)
完全に上の空だわ……もー知らね。
「どうしたんですかね?」
「お気になさらず。いつもの事ですから」
「ふ~ん……」
こりゃ、ほっとくが吉だな。うん。
「それよりも、紅茶いかがですか? お茶請けのケーキもありますよ?」
「紅茶! ケーキ!?」
布仏虚の紅茶と言えば、マジで絶品だってよく聞くからね!
紅茶を嗜むようなお上品な舌は持ってないけど、それでも本当に美味しいものとぐらいは私にも分かる。
「私も飲む~♡」
「はいはい。ちゃんと本音の分も用意してるから」
「虚ちゃん、私の分はっ!?」
「「「あ。正気に戻った」」」
「私は最初から正気よっ!?」
嘘つけ。さっきまで妄想の世界に行ってた人間が何言うかね。
「うんしょ……っと」
「大丈夫ですか?」
「はい、なんとか」
高校にもなると、もう殆どの椅子には小ジャンプしないと座れなくなったな。
小学生の時から私は背が低い方だったからなぁ~。
そのまんまの状態でここまで来てしまった以上、普段の生活から工夫をしていかないといけないのだよ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
まずは紅茶を頂きますか。
昔から猫舌な私は、お茶系は全部フーフーしないと飲めないのです。
「ふ~…ふ~……ごくん」
お……お……美味しい~♡♡
なんじゃこりゃ!? 今までそこまで多くの紅茶を飲んできたわけじゃないけど、それでも、この紅茶がぶっちぎりで美味い事だけはハッキリとわかる!
例えるなら、お貴族のお嬢様方が薔薇が咲き誇る庭園で飲んでいる紅茶みたいな感じ?
「ん~…♡ これは本気でほっぺた落ちる~…♡」
ピキッ
「んん?」
何かが割れるような音が聞こえたような……。
「失礼しました」
虚パイセンっ!? なんか眼鏡のレンズが割れてるんですけどっ!?
しかも、それをなんでもないように予備の眼鏡と交換してるしっ!?
(不覚……! 一瞬だけ本気で緒理香さんの可愛さに見惚れてしまった……!)
妙に先輩がプルプルしてるけど、下手に聞かない方がよさそうだな。
それよりも、お次はこのケーキを……パクリ!
「これ好き~♡ 意識してなくても微笑んじゃう~♡」
ブボッ!!
今度は何かが噴き出るような音がっ!?
って、なんか先輩二人が鼻血出してるしっ!?
「虚ちゃん。ティッシュ」
「畏まりました」
澄ました顔で鼻ティッシュしても、普通にカッコ悪いだけですよ?
唯一、本音だけが何にもなってない……なんでこっちにスマホを向けてるのかな?
「一部始終を全部録画して、しののん達に見せてあげないと……」
君は一体何を撮影してるのかな?
友情に熱いと言うべきか、それとも、君もそっち側だったのかと言うべきか。
「けど、よく私の分がありましたね?」
「急な来客に備えて、いつも余分に用意してあるのです」
「すげ~……」
これが本当の従者ってやつか。
こいつぁマジでリスペクトですわ。
リアルで尊敬できる先輩だな。
「どう? 虚ちゃんの紅茶は美味しかったでしょう?」
「はい。生まれて初めて、紅茶を飲んで感動しました」
「うんうん。その気持ち分かるわ~」
したり顔で言ってるけど、その鼻ティッシュが気になって仕方がないです。
まだ鼻血が止まらないの?
「緒理香ちゃん。これはあくまでも私からの提案なんだけど……」
へいへい。遂に言うんですね。あのセリフを。
「……生徒会に入ってみない?」
想像通り、ストレートに言ってきたな。
さて……と。どうしますかね……。
次回も生徒会室からお送りします。