自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件 作:とんこつラーメン
いきなりの提案に、緒理香はどうするのか?
「生徒会……ですか?」
「えぇ。別に無理強いをするつもりはないわ。よかったらでいいの」
よかったら……か。
今までも、その言葉に何度騙されてきた事か。
「おりり~ん……生徒会に入ろ~よ~」
「本音……」
その顔は反則だって……。
今にも泣きそうな顔をされたら、思わず『うん』って言いそうになるじゃん。
「こら。あまり緒理香さんを困らせたらダメよ」
「でも~……」
「お嬢様も言っていたでしょう? 無理強いをするつもりはないって」
「うん……。ごめんね~…おりり~ん…」
「いや…気にはしてないけど……」
虚さんはこっちの味方っぽいけど、不思議とこの人の事も全面的に信用が出来ない気がする。
優しい人なのは間違いないんだけど、なんて言えばいいのかな……私の『勘』的なものが激しく警鐘を鳴らしてるんだよな。
「まだ聞いてなかったけど、緒理香ちゃんは、どこか入りたい部活でもあるのかしら?」
「入りたい部活か~……」
前にも言ったけど、私が最も望むのは帰宅部だけだ。
だけど、ここではその選択肢を取れない。
ならばどうするのか最善なのか。
試しにここで、ちょっとした脳内シミュレーションをやってみよう。
もしも、私は普通の部活に入った場合。
まずは運動部。
球技系→体格が小さいのでついていけない。論外。
ならばマネージャーは?→絶対にマスコット扱いされる。これもまた論外。
陸上系→私はマキバオーじゃないから無理。
水泳部→残念。私はカナヅチだ。
格闘技系→これも体格的な問題で論外。
文化系の部活ならばどうだろうか?
体の大きさとかは関係無いかもしれないけど、これと言って興味のある部があるわけでもない。
はぁ……ダメだな。さっきから言い訳ばっかりだ。
こんなんじゃ、前世の頃から何にも変わってない。
確かに生徒会と言う存在にはトラウマがあるけど、中学の時と今とは全く環境が違うし、私の記憶が正しければ、癖はあっても理解はしてくれる人物達であると認識している。
もしかしたら、これはダメな自分を脱却するいい機会なんじゃないのか?
それに……。
「あの……ちょっと質問なんですけど……」
「何かしら?」
「もしも生徒会に所属すれば、次からもこの紅茶とケーキが食べられたりするんでしょうか……?」
「そうね。仕事の合間とかの休憩の時には出るわよ?」
やっぱりか……!
心は男であっても、体は紛れもない女。
女としての本能が、この甘い誘惑に乗れと言っている……!
「ゴクリ……」
この紅茶とケーキをまた味わえるメリットは恐ろしくデカい……!
読者の皆には分からないかもしれないが、この二つにはそれ程の魅力がある!
「は…………」
「は?」
「入ります……生徒会に……」
「ほ…ほんと?」
「はい。おと……女に二言はありません」
「ホントにホント?」
「ホントですって……。そんなに何回も聞かれたら、逆に決意が鈍るんですけど」
私が楯無先輩の目を見ながらハッキリと言うと、いきなり虚さんが先輩の所まで行って、思い切りパチン! と、ハイタッチをした。
「あ……私は何をして……」
「気持ちは一緒だったって事よ」
「おりりん……♡」
ほ…本音さん? なんか凄く感極まってません?
今のやり取りに、そこまで感動する要素があったっけ?
「やった~♡ 今日からおりりんと一緒だ~♡」
「わぷっ!?」
きゅ…急に抱き着かないで……!
見た目に反して、とてつもない男泣かせのお胸様が私の顔を圧迫する……!
男の頃だったら喜びの余りに昇天していたかもだけど、生憎と束や千冬さんのお蔭で、もうその手の事には耐性が付いてしまっている。
つまり、今の私には単純に苦しいだけなのだ。
「本音……ギブギブ……!」
「わ~っ!? ごめんね~!」
「大丈夫……気にしてない……」
酸素が足りなくなって、白装束を着ている私の事を大きな川の向こう側から呼んでいる人達が見えただけだから。
無駄にめっちゃ一杯いたのは気のせいだろうか?
「でも、なんで入ってくれる気になってたのかしら? なんだか迷ってるようにも見えたけど」
「そうですね……。中学の時はどこの部にも所属とかしてこなかったんで、この機会に帰宅部エースの座から降りようと思いまして」
「それだけ?」
「それだけって言いますけど、割と帰宅部を捨てるのって勇気がいるんですよ? だって、帰宅部のままだと放課後の時間を自由に使い放題なんですから」
「そう聞くと、なんだか魅力的に聞こえるわね……」
帰宅部か……何もかもが全て懐かしい……。
……別に死亡フラグじゃないからね?
「折角の高校生活なんですから、今までとは別の事に時間を使うのも悪くないんじゃないかと」
「……そうね。私も、先輩として、生徒会長として、緒理香ちゃんには色んな事を経験して欲しいわ」
「楯無先輩……」
なんだよ……今までは妹大好きなシスコン女なイメージが強かったけど、思ってる以上に真面目な人間だったんだな。
けど、当たり前だよな。いくらIS学園の生徒会長が実力で決定するとはいえ、それだけで今までやって来られるわけがない。
それ相応のカリスマだって絶対に必要にはなるんだろうし。
「けど、正式に入るにはどうしたらいいんですか? 本音からは、生徒会も部活動の一つとして認められてるって聞きましたけど……」
「その通りよ。IS学園では生徒会も立派な部活動。だから、入るには他の部と同じように、職員室に行ってから貴女の担任の先生に入部届を貰って、それに自分の名前やクラスなんかを書いてから、また先生に提出すればOKよ」
「その辺は普通なんですね……」
思ったよりも簡単そうでよかった。
問題は、ウチの担任が千冬さんだって事だけど、意外と教師をやってるあの人なら、二つ返事で書類をくれるだろう。
万が一、駄目だった場合は私の女神である山田先生にお願いしよう。
「たった今、思ったんですけど……こんな簡単に生徒会のメンバーを決めても大丈夫なんですか?」
「それなら心配無用よ。基本的にIS学園の生徒会メンバーは、生徒会長の一存で決められるようになってるから」
「そうだったんだ……」
スゲーなIS学園生徒会。一体何処の独裁国家だよ。
「まだ時間はあるし、善は急げとも言いますから、今から早速、職員室に書類を貰ってきますよ」
「分かったわ。いってらっしゃい」
「私も一緒に行く~!」
んな訳で、私は残った紅茶を一気飲みして、ケーキもパクリと全部食べてから、会釈をしてから一度、生徒会室を後にする事に。
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二人が去ってから、楯無は急に今までの締りのある顔を崩し、いきなりニヤニヤ笑顔になった。
「これからは緒理香ちゃんも一緒かぁ~……。今まで以上に生徒会活動が面白くなりそうね~…」
「そうですね。それには私も同感です。それに、直に話して分かりました。篠ノ之博士にどんな意図があるにしても、少なくとも緒理香さん自体はとても真面目で優しい少女であると」
「そうね……。篠ノ之博士の妹さんとは昔馴染みらしいからいいとして、それ以外にも二人もお友達を作れたのは、間違いなく彼女の優しさが大きいんだと思うわ。あと、すっごく可愛いし」
「全くですね」
遂には『可愛い』を否定しなくなった虚。
彼女も振り切ってしまったのだろうか。
「ところでお嬢様。実は緒理香さんの事を調べている時に非常に興味深い情報を入手したのですが」
「興味深い情報?」
「はい。実は……」
虚が凄く真面目な顔で眼鏡を上げる。
「緒理香さんが在学していた中学の購買部で、オリカちゃんグッズが発売されていたそうです」
「その話……詳しく聞かせて貰おうかしら?」
さっきまでの後輩想いなお前達はどこに消えた。
「では、まずはこちらの『オリカちゃん非公認ファンクラブ』のウェブサイトをご覧ください」
「早速登録ね」
この豹変っぷりを見た時、緒理香は何を思うのか。
今日も愉悦だ麻婆が美味い。
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「そんな訳で、生徒会に入る為の書類ください」
「くださ~い」
「お…緒理香が生徒会に入る……だと……!?」
言われた通りに職員室に来たら、即座に千冬さんが戦慄してた。
(おのれ更識……! 一体何をどうして緒理香を籠絡したのだ……! はっ! まさか……色仕掛けかっ!?)
さっきから何をブツブツ言ってるんだ?
いいから早く書類を頂戴な。
「なんか織斑先生は忙しそうなんで、山田先生、書類をくれませんか?」
「いいですよ。確かこの辺りに……」
自分の机の引き出しを探ること数秒、すぐに例の書類は発見された。
「はい、これが入部届です」
「ありがとうございます。ここでササっと書いちゃってもいいですか?」
「構いませんよ。なんでしたら、私の机を使いますか?」
「いいんですか?」
「勿論です。仕事に使う書類とかはもう直してるんで問題無いですよ。えい」
「わっ」
いきなり山田先生に腋から持ち上げられて、そのまま彼女の膝の上に乗せられた。
かなり驚いたけど、なんか役得かも……。
「あ…ごめんなさい。つい……」
「気にしてないですよ。それよりも、早く書いちゃいますね」
サラサラサラ~っとな。
記入箇所は少ないから、書くこと自体はすぐに終わる。
恨めしそうにこっちを見ている千冬さんさえいなければな。
「真耶め……! 自然な流れで緒理香を自分の膝の上に乗せおって……! なんて羨ましいんだ……!」
拳を握りしめながら血涙を流す程ですか?
割と普通に怖いですけど。
「出来ました」
「はい、受け取りました。これで完了ですね」
「ありがとうございました」
再び腋から抱えられてから降ろして貰った。
その隙を狙って、今度は千冬さんが私を自分の膝に乗せようとしてきたが、私はマッハスペシャルで回避した。
「残念でした」
「うぐ……!」
そんな悲しそうな目で見るなよ……。
なんだかコッチが悪いみたいじゃないか。
「けど、まさか莱鞭さんが生徒会に入るとは思いませんでした」
「勧誘されたんですよ。最終的に決めたのは自分の意思ですけど」
「そうなんですか……。でも、私は偉いと思いますよ? 頑張ってくださいね」
「はい!」
山田先生にまた頭を撫でられた……♡
これだけでも、生徒会に入る事にして良かった。
「わ…私も偉いと思うぞ! 応援してるからな!」
「あ…ありがとうございます……」
うわぁ……必死になって点数を稼ごうとしてる。
でも、山田先生の後だと効果は薄いな。20点。
こうして、私は正式にIS学園生徒会の一員となった。
なんか状況に流されたっポイけど、未体験の活動ってのは、それだけでワクワクするから嫌いじゃない。
特に、生徒会の活動とかした事が無いから猶更だ。
でも……私の役職って何になるんだろうか? やっぱり最初は雑用係とか?
皆さんも分かっていたとは思いますが、生徒会に入りました。
ま、これもまたお約束ですよね。