自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件 作:とんこつラーメン
最初にあった一夏とセシリアの試合がいい例ですね。
二次創作ではよくオリ主とセシリアが試合をしますが、それすらもありません。
けど、どこかでちゃんと主人公がISを動かすシーンを入れないといけない。
だから、必然的に別にイベントを挟む余地が生まれてくる。
今回は、丁度そんなお話が始まります。
「試運転?」
私が生徒会に所属をした次の日の朝。
皆が教室に入ったところで、既に教師まで来ていた山田先生と千冬さんに話しかけられた。
「その通りだ。緒理香の専用機登録は私達で済ませておいたが、学園側としてはちゃんとした起動データもあった方がいい。それに、これからずっと世話になる機体なんだ。少しでも早く動かして慣れておくに越したことはないだろう?」
「それもそうですね」
またもや千冬さんが教師をやっていることに感心しつつ、私は自分の腕に付いている白式の待機形態に目をやる。
(本当なら、お前の主は私じゃないんだよな…。でも、今はこうして私の元に存在している。束にどんな意図があるにしろ、こいつを無駄にしていい理由はないし、無駄なままで終わらせたくもない)
束の元にいた頃にISの搭乗経験があると言っていたが、その殆どはシミュレーターを使ったものばかりだ。
本物のISに乗ったとしても、実際に空を飛んだことは一度も無い。
そんな事を出来るような環境では無かったしな。
だからこそ、ISに乗って空を飛んでみたいという純粋な欲求もある。
自己嫌悪をしたくなる程に俗な欲求だが、未知の領域へ行きたいと思うのは人間として当然のことだと思う。
「了解しました。で、いつするんですか? 放課後?」
「そう慌てるな。目をキラキラさせて聞いてくる緒理香も可愛いが、まだ話は終わってないんだぞ?」
「はぁ……」
しれっと変なことを言ってきたけど、ここは気にせずに耳を傾ける。
「実はな、今回の試運転には別の目的も含まれてるんだ。というか、こっちの方が主目的と言った方がいいかもしれない」
「別の目的?」
話がよく見えないけど、私に何をさせる気なんだ?
「最近になってですね、IS委員会の方が若い内からISの才能を発掘しようという試みが出てきてるんです」
「いや……このIS学園にいる皆も十分に若いですよ?」
「私もそう思うのだがな、委員会の連中はもっと若い連中に注目してるんだ」
「それってまさか……」
余り聞きたくないような、聞かなきゃいけないような……。
「要は、小学生の頃からISの適性を調べて、小学校の必修科目にISを加えようとしているんだ。流石に本格的な授業ではないらしいが」
「英語やPCじゃないんだから、そんな簡単に……」
「別に今すぐにというわけじゃない。将来的な話だ。いつになるかは完全に未定になっている」
私的には、『未定』イコール『しないのと同じ』なんだけど。
委員会や政府の『未定』って言葉ほど、信用出来ないものはない。
「その先駆けとして、まずは小学生女子専用のISスーツの試作が行われた」
「あ……なんとなく、何をするか分った気がする……」
「ですよね……」
山田先生が申し訳なさそうにする必要はないんですよ。
少なくとも、先生は何も悪くないんですから。
「つまり、私にそのISスーツのテスターをしろってことですよね?」
「そうなるな」
「やっぱり……」
んな事だろうと思ってたよ……。
でも、悔しいことに私サイズのISスーツが無いのも、また事実なんだよな……。
だから、専用機は持っていても、まだ肝心なISスーツは持っていない。
「デザイン自体は学園でも支給しているスーツと同じらしいが、そのサイズがかなり小さくなっている。一応、お前のサイズは業者の方に教えておいたから、着る分には問題無い筈だ」
「なんで私の体のサイズを知ってるんですか……」
「愛の力だ」
「聞いた私がバカでした」
せめてそこは、歴戦の眼力で見抜いた的なことを言ってほしかった。
「だから、別に緒理香のISスーツ姿を愛でて、脳に全力で焼き付けてからオカズにしようだなんて微塵も考えてないんだからな?」
「……その一言で全部が台無しですね」
「なんだとっ!?」
どうして千冬さんは、己の評価を上げてから、自分自身の手で落とすような真似をするんだろうか?
もしかして、狙ってやってる? この人なりのボケなのか?
「試運転は今日の放課後にしようと考えています。いつもならばアリーナの予約が一杯で無理なんですけど、今日はなんとか少しだけ時間が取れそうなので」
「逆を言うと、今日しか無理ってことですね」
「そうなります」
「それなら仕方がないですね。了解です」
「私達も全力でサポートしますから、莱鞭さんは難しいことを考えずに、ISを動かすことだけに専念してください」
「ありがとうございます」
なんて心強い一言なんだろう。
私の中で山田先生の評価は上がる一方だよ。
未だに落ち込んでいる千冬さんを放置して、私たちは一緒に教室に入っていった。
けど、この時の私達はまだ知らなかった。
この一連の会話を影から聞いていた人間がいたことを。
「フフフ……いい事を聞いちゃった♡ これは新聞部として頑張るしかないわね……」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
放課後になり、予定通りに緒理香の専用機の試運転を行うことになった。
場所は第3アリーナで、ピットには千冬と真耶の二人だけがいる……筈だった。
「なんでお前達がいる……!」
誰にも言っていないにも関わらず、なんでかここには教師二人の他に、箒とセシリアと本音、それから学年が違う楯無と虚までいた。
「生徒会長として、同じ役員の活躍は見届けたいですから♡」
「私は本音が粗相をしないように見張る為です」
なんて言ってはいるが、明らかに建前だった。
虚に至っては、完全に妹をダシに使っている始末。
「ルームメイトとして、緒理香の事が心配でしたので」
「私は、代表候補生として、緒理香さんの専用機の事が気になったのですわ」
「おりりんのISスーツを見たくて来ました!」
本音以外は、上級生達と同じような言い訳をしている。
きっと、全員が同じ穴のムジナなのだろう。本音を除いて。
「今回の事は秘密にしておいたのに、どこで知ったんですか?」
「「「「「掲示板に貼ってあった学園新聞に書いてありました」」」」」
全員揃っての言葉に、千冬は一瞬で犯人を特定してみせた。
「新聞部……恐らくは副部長の黛の仕業か……!」
「彼女、噂話とか大好きですからね~…」
黛薫子。
二年生にして新聞部の副部長をしている少女。
普段は新聞部らしく、真実を伝える事に全力を注いでいるが、時と場合によっては記事を捏造する事も少なくない。
「ところで、今回の主役である緒理香ちゃんはどこにいるんですか?」
「アイツなら、まだ更衣室で着替えている最中だ」
それを聞き、全員が一斉に更衣室の扉を見た。
「あの扉の向こう側で……」
「緒理香さんが着替えている…」
「なんだかドキドキするね~」
「うふふ……今から楽しみね」
「いけない……こんな事を想像しちゃ……」
まだ着替えには時間が掛かっているようで、その間に上級生組と下級生組の交流が行われていた。
「本音の姉君か……聡明そうなお方だな」
「メガネだからね~」
「それは関係ないでしょうに……」
「まさか、こうして生徒会長と直に話せる日が来るとは思いませんでしたわ」
「私もよ。お互いに国の旗を背負っている以上、本来ならば試合以外で会話をすることは無いんでしょうけど」
少女達同士の会話が盛り上がっていると、遂に更衣室の扉が開き、着替え終わった緒理香がやって来た。
「えっと……着替え終わりました~……」
恥ずかしそうに体を縮めながら歩いてきた緒理香は、彼女の体に合わせたサイズのISスーツを着用していた。
本来のSSサイズよりも更に小さくなっていて、非常に小柄な彼女の体にピッタリとフィットしていた。
「うぅ……見るのと着るのじゃ大違いだよ……。こんなにも恥ずかしい物を普段から皆は着ているのかよ……。本気で尊敬するんですけど……」
物凄く恥ずかしそうに顔を赤くして、上目遣いで全員を見る。
「これで……いいのかな?」
余りの恥ずかしさに目に涙まで溜めていた緒理香は、想像以上の破壊力があった。
つまり、何を言いたいのかというと……。
ボンッ!!!×5
こういう事である。
本音と真耶以外の全員が、見事に鼻から『愛』を噴出した。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
いきなりの血の噴水に両手を上げて驚く緒理香。
目の前で出血沙汰が起きれば、誰だって似たような反応はするだろう。
「緒理香……それは反則だぞ……」
「緒理香さんの太腿……緒理香さんの二の腕……」
「や…やるわね…流石は私が認めた緒理香ちゃんだわ……」
「なんでISスーツは、こうも破廉恥なデザインなんでしょうか……」
「…………………」
箒は悶絶し、セシリアは血走った眼で緒理香の体を眺め、楯無は『幼女万歳!』と書かれた扇子で顔を隠しながら鼻血を出し続け、虚に至っては目を逸らしながら文句を言いつつも、しっかりと薄目で彼女の事を見ていた。
千冬は立ったまま気絶していた。
「……つーか、なんで皆がいるの?」
「それは後で話します……」
「そーですか……」
聞かない方がいいのかもしれない。
真耶の溜息交じりの一言でそう悟り、取り敢えずは気にしないことにした。
「準備をしても?」
「はい。いつでも大丈夫ですよ」
「分りました」
全員の傍を通り過ぎようとすると、本音が突然のサムズアップ。
「おりりん。超可愛い」
「あ…ありがとう?」
喜んでいいのか分らない緒理香は、一応の礼だけ言っておいた。
全員から離れた場所まで歩いていき、立ち止まってから右腕に装着されているガントレットを左手で握りしめた。
(今の私はきっと、最低の恥知らずだ。他人の褌で相撲を取ろうとしてるんだから。だから、この瞬間だけで構わない……)
目を瞑り、静かに呟いた。
「私に力を貸してくれ……白式」
すると突然、緒理香の体が眩い光に包まれ、同時にその体を量子化したISが取り囲んでいく。
自分の体に『何か』が装着されていく感覚を覚えながら、緒理香は不自然なまでの安心感に包まれていた。
(なんでだよ……どうして……こんなの絶対におかしい……。どうして……
自分達の背後で光る存在によって我に返った面々は、すぐに背後に振り返った。
すると、そこにいたのは……。
「これが……私の……」
純白の装甲に身を包んだ緒理香の姿があった。
次回、動きます。