自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件   作:とんこつラーメン

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前回の続き。

今回は生徒会メンバーとのその後+α。






牛乳はいつも裏切る

「大丈夫? おりりん」

「な…なんとか……」

 

 放課後になり、生徒会役員である私は本音と一緒に生徒会へと向かった。

 箒とセシリアは部活に行っている為、当然のように不在。

 今、私は本音に手を引かれるように廊下を歩いていた。

 

「これからも箒におんぶして貰う訳にもいかないしな…。リハビリだと思って、少しは自分の足で歩くこともしないと……いたた……」

 

 一歩一歩と足を動かす度に下半身に全体に激痛が走るけど、本音と手を繋いでいるお蔭で、辛うじて倒れずには済んでいた。

 

「もう少しだから、頑張って」

「うん…!」

 

 私の目には、もう見慣れた生徒会室の扉が小さく見えている。

 あともうちょい……あともうちょい……!

 

「着いたよ」

「長かった……」

 

 いつもはこんなにも時間は掛からないのに、今日に限ってはそうじゃない。

 私の歩幅が小さい上に、歩行スピードが圧倒的に遅い。

 本音にはマジで感謝の言葉しかありません……。

 

「ありがとう……それしか言うべき言葉が見つからない……」

「これぐらい、お安いごよ~だよ」

 

 ……天使か。あ、違った。女神か。

 

「しっつれ~しま~す」

「しま~す……」

 

 いつものように本音が扉を開き、いつものように挨拶をする。

 そしてまた、いつもの位置に楯無先輩と虚先輩がいた。

 

「いらっしゃい……って、緒理香ちゃん? なんだか辛そうだけど、どうしたの?」

「だ…大丈夫ですか?」

「大丈夫……とは言い難いですね……ははは……」

 

 虚先輩が心配そうに体を支えてくれて、そのまま椅子にも座らせてくれた。

 なんだか妙に手馴れてるけど、もしかして虚先輩って将来は介護職希望だったり?

 

「実はですね……」

 

 恥の上塗りだと承知はしているけど、ここで中途半端に説明をして変な勘違いをされるよりは、素直に白状した方がマシだ。

 

「…ってな訳でして…」

「筋肉痛……」

「昨日、あんなに激しく動いたのですから、無理もありませんが……」

 

 虚先輩。その言い方だと、さっき私が言ったみたいに変な誤解を生んじゃいますよ?

 ロリな私が激しい運動って、それは確実にR-18な同人誌的な展開じゃないですかヤダ―――――。

 

「それで痛そうにしてたのね……。具体的にはどんな感じなの?」

「もう全身がめっちゃ痛むんですよ。朝も箒に手伝って貰ってベッドから起きたぐらいで……」

「重症……って、この言葉は筋肉痛にも適応されるのかしら?」

「怪我じゃありませんから、違うと思いますよ?」

「そっか。とにかく、大変な状態である事には違いないわね」

 

 せめてもう少し、私の体が大きく成長して全身の筋肉とかが歳相応以上に出来上がっていたら、こんな無様を晒すことは無かったんだろうなぁ……。

 

「はぁ~……」

「緒理香ちゃん?」

「あ…いえ。何でもないです。ただ……」

「ただ?」

「……毎日毎日、最低でも牛乳を瓶で一本以上は確実に飲むようにしてるのに、なんでその効果が全く出ないのかな~って思って……」

 

 多分、今の私って無駄に骨だけが丈夫になってるんだろうな~。

 少なくとも、カルシウム不足には悩まされずに済むってか?

 

 

(牛乳ってことは、お風呂上がりの時とかに飲んでるのかしら……?)

(バスタオル一枚を体に巻いて、腰に手を当てながらグイっと牛乳を飲む緒理香さん……)

((それはそれで凄く萌える!!))

 

 最終的には、手術とかするしかないのかしらん?

 背を伸ばす手術とかって確かあったような気が……。

 

「と…とにかく、体が痛いんだったら、今日はゆっくりと休んでていいわ」

「え? でも……」

「今は特に仕事とか無いから平気よ。こうして痛む体を引きずってでも、ここに来てくれた事が素直に嬉しいから」

「そうですか……」

 

 なんだよおい。めっちゃ後輩思いのいい先輩じゃないのさ。

 これでシスコンな部分さえなければ普通に最強なのでは?

 うむ……『更識緒理香』ってのも悪くないな……。

 

「では、紅茶とお茶請けを持ってきましょうか」

「ありがとうございます」

 

 虚先輩は本気で気が利く人だよな~。

 こんな人こそが、全ての男共が理想とする嫁なのでは?

 

「そうだ。緒理香ちゃんに知らせる事があったんだった」

「知らせる事? なんですか?」

「あなたの役職についてよ」

「あ~」

 

 そういや、ここに始めて来て役員になった時は、それ系の話は一切しなかったしな。

 てっきり、流れで下っ端の雑用係、もしくは本音と同じ書記とかになるもんだと思ってたんだけど。

 この感じだと、そうじゃないようだ。

 

「緒理香ちゃんが帰ってから、私と虚ちゃんで少し話し合ってね、それで決めたんだけど……」

 

 ドキドキ。私はどんな役職になるのかしら?

 

「『副会長』になって貰おうと思うわ。どうかしら?」

 

 ゴンッ!

 

 こっちの予想の斜め上を行き過ぎて、思わず頭をテーブルにぶつけてしまった。

 

「お…おりりん?」

「だ…大丈夫?」

「はい……」

 

 うぅぅ……また痛みが増えた……(泣)

 

「なんで一年生の私が副会長なんですか? 三年生である虚先輩を差し置いて」

「理由は幾つかあるわ。今から説明してあげる」

 

 聞かせて貰おうじゃないか。その理由とやらを。

 

「まず、緒理香ちゃんは今年の新入生の中でもかなり注目されている。それは何故か?」

「こんな体をしてるから?」

「それもあるけど、重要なのはもう一つの方」

「もう一つ?」

 

 何のことだ?

 

「緒理香ちゃんは、あの篠ノ之博士から直々に推薦された特待生だからよ」

「あ」

 

 ……完全に忘れてた。

 そうだよな。私は余り意識とかしてなかったけど、束はISの開発者ってことで、いい意味でも悪い意味でも世界的な超有名人なんだった。

 そんな奴から直に推薦とかされれば、そりゃ否が応でも注目はされるわな。

 

「本当ならこれだけだったんだけど、最近になってココにもう一つの理由が追加されたわ」

「それって……」

 

 なんとな~く答えを予想していると、奥から紅茶とお菓子を持って来てくれた虚先輩が代わりに答えてくれた。

 

「昨日の試運転にて、いつの間にか受領していた専用機を使用し、他を圧倒するような動きを披露したからです」

 

 説明をしながら私達に紅茶と、お茶請けである羊羹(明らかにめっちゃ高級そうな代物)を置いて行ってくれた。

 

「虚ちゃんの言う通り。あんな動きを皆の前で見せれば、あっという間に学園中に噂が広まる。恐らく、暫くは学園は緒理香ちゃんの噂話で持ち切りになるでしょうね」

「マジっすか……」

 

 つまり、あの白式試運転イベントが、同時に私の生徒会副会長就任フラグに直結してたって事なのか……。

 こんなの誰が予想出来るかよ……。

 

「仮に他の役職に就かせたとしても、他の生徒たちは納得しないでしょうね。だから、会長の次に偉い副会長にするしかないって事。納得してくれた?」

「はい……」

 

 つーか、これは納得するしかないじゃないか……。

 学園の安寧の為に、私が副会長に就任する……ね。

 副会長ともなれば、忙しくなるんだろうなぁ~……。

 

「あ。別に緒理香ちゃんが懸念しているような事は一切無いから安心して。それに、緒理香ちゃんはクラス代表もしてるんでしょ? だったら、そこまで忙しくはしないつもりよ」

「それならいいんですけど……」

 

 クラス代表つっても、名ばかりなんだけどな。

 確実に私は一組の偶像(アイドル)扱いされてる自覚がある。

 原作の一夏も、代表になった時はこんな気持ちだったんだろうか……。

 

「さ、小難しい話はここまでにして、虚ちゃんの淹れてくれた紅茶を味わいましょう? 温くなったらいけないし」

「「は~い」」

 

 私に合わせて本音も元気よく返事をするけど、さっきまでずっと黙ってたのは、難しい話に着いていけないだけだったんだろうな。

 

「おりりんがふくかいちょ~か~。なら、おじょ~さまが卒業したら、今度はおりりんがかいちょーになるのかな?」

「私はそれでも構わないと思ってるわ。昨日の動きを見る限り、強さに関しては申し分無いし」

「それでいいのか生徒会……」

 

 普通なら選挙とかするんだろうに……。

 民主主義はどこに消えてしまったんだろうか。

 イデと一緒に因果地平の彼方に消し飛んだのか?

 

「あ~む。んっ!?」

 

 こ…この羊羹……!

 甘さ控えめで超私好みなんですけど~♡

 美味しい~♡♡

 

(ねぇ…虚ちゃん?)

(なんでしょうか、お嬢様)

(気のせいかしら……今、緒理香ちゃんのアップになってる髪が動かなかった?)

(多分、気のせいじゃないかと)

(やっぱり?)

 

 そして、この羊羹がまた紅茶と合い過ぎなんだよな~♡

 紅茶と羊羹の組み合わせ……これまた最強の悪魔合体だな……♡

 これこそまさに、お口の中でルシファー様の誕生や~!

 

(また動いた……)

(動きましたね……)

(あーゆーのって、てっきりマンガやアニメだけの演出だと思ってたけど……)

(現実にも起きるんですね……)

(でもまぁ……)

((可愛いからよし!!!))

 

 …ん? なんで先輩たち二人は揃ってガッツポーズとかしてるんだ?

 紅茶、飲まないのか?

 

「よし。バッチリ撮った」

 

 本音は何をバッチリ撮ったんだ?

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 同時刻。

 千冬に呼ばれて、箒とセシリアの二人が生徒指導室へと呼ばれていた。

 

「来たな、二人とも」

「あの…部活に遅れるんですけど…」

「心配するな。そこまで時間は取らせん。何か言われたら、私に呼ばれたと言っておけ。それで静かになるはずだ」

「「はぁ……」」

 

 なんで自分達が呼ばれたのか、イマイチ理解していない二人は、怪訝な顔をしながらも大人しく椅子に座った。

 

「お前達二人に来て貰ったのは他でもない。緒理香のことだ」

「緒理香さんのこと…?」

「そうだ。昨日も説明をしたと思うが、あの時、緒理香はゾーンに入って驚異的な能力を発揮した」

「はい。あれは本当に凄まじかったです……」

「だが、強大な力には必ず、何らかのリスクが伴うのが必定だ」

「そのリスクというのが……」

「今日の緒理香さんの状態…ですわね」

「その通りだ」

 

 千冬も椅子に座り、二人を真正面から見据えるように向き合った。

 

「見ての通り、緒理香は他の者達と比べても、かなり小柄な体格をしている。だからこそ可愛いんだが、そこは今は置いておく」

 

 コホンとワザとらしく咳払いをし、話を戻す。

 

「体が小さいということは、それだけスタミナと筋肉量も少ない事になる。であるにも関わらず、あれ程の動きをすれば、必然的に体に大きな負担が掛かる」

「今朝、緒理香はベッドから起き上がるのも辛そうにしていました」

「そうか……」

 

 自分の愛する緒理香の苦しそうな顔を想像するだけで、胸が締め付けられるような思いになる千冬だったが、今だけは我慢をした。

 

「これはあくまでも私の個人的見解だが、あの時の緒理香は、あの武器…雪片弐型を握りしめた瞬間に半ば強制的にゾーンへと入っていた」

「きょ…強制的…ですの?」

「どうしてそんな事が……? 本来、ゾーンとはそんな形で入るものじゃないのに……」

「それは私には分からん。だが、入るタイミングが分るというのは、こっちにとってはある意味で好都合とも言える」

「「え?」」

 

 背凭れに体を預けて楽な姿勢をする千冬。

 

「これも昨日に説明をしたが、ゾーンにとって最も唾棄すべきものは『雑念』だ。超集中状態であるゾーンとは最も対極に位置しているからな」

「では……」

「そうだ。今の緒理香にとってゾーンとは文字通りの諸刃の刃だ。これから先、何らかの理由で緒理香が雪片を握ってゾーンに入った時、私達の手で緒理香に雑念を与えて強制的にゾーンを解除する。そうすれば、今回のようなことにはならない筈だ」

「そうですわね……。どれだけゾーンが強力でも、発動をする度に体を壊していたら緒理香さんが保ちませんわ」

「だから、緒理香にとって当面の目標は二つになる」

 

 千冬が見せつけるかのように、指でVの字を作る。

 

「まずは、ゾーンの反動にも耐えられるような体作り。完全には無理かもしれんが、少しでも軽減が出来るようになれば、ゾーンは緒理香にとって最強の切り札と成り得る」

「ですね」

「もう一つは、ゾーン自体の制御が出来るようになる事。ゾーンに突入するのに何かをスイッチにするようでは話にならないからな。少しでもそこに自分の意志が介入出来るようにしなくては」

「心と身体。両方の修練ですね」

「そうなるな。なに、緒理香ならば必ずや成し遂げてくれるさ」

 

 笑顔と共に言ったその一言に、千冬の緒理香に対する全幅の信頼が見えた気がした。

 

「今回、この事をお前達に話したのは、お前たちがクラス内で最も緒理香と仲がいいからだ。可能な限り、緒理香の傍にいてアイツの事を見守ってやってくれ。頼む」

「織斑先生……」

 

 自分の教え子に向かって、迷わず頭を下げる。

 プライドなんか関係ない。

 ただ只管に、緒理香の事を想えばの行動だった。

 

「先生に言われなくても、私はこれからも緒理香さんの傍に居続けるつもりですわ」

「私も同じです。もう二度と、緒理香と離れないと誓いましたから」

「そうか……」

 

 自分の頼みが杞憂だった事を知ると、顔を上げて気を抜くように息を吐く。

 

「ま、それと緒理香を巡る戦いは別だがな。私は誰にも負ける気は無い。無論、お前達にもな」

「その言葉は……」

「そっくりそのまま返させてもらいますわ」

「いい度胸だ。小娘共」

 

 本音に続く強力なライバルの出現。

 だが、それに関しては全く危惧していない。

 ここにいる者達は、ライバルであると同時に同志でもあるのだから。

 

「今回の話の事は、生徒会の連中には私から説明しておく」

「分りました」

「私の話はここまでだ。部活に行ってもいいぞ」

「それでは、失礼致しますわ」

 

 軽くお辞儀をしてから、二人は部屋を出て部活へと向かった。

 自分の生徒達を見送ってから、今度こそ本当の意味で千冬は体の力を抜いた。

 

「悔しいが……私一人では、どうしても限界が来る……。あいつ等なら大丈夫だろう……」

 

 窓から見える空を見上げながら、千冬は静かに呟いた。

 

「もう二度と後悔だけはしたくない……してたまるか……! 緒理香は私が絶対に守ってみせる……! 例え、束…お前が敵になったとしてもな……」

 

 

 

 

 

 

    




前半はシリアスとシリアルが混在した感じで、後半は完全にシリアス一色。

一応、ギャグ作品の筈なのに、どうしてこうなった…?
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