自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件 作:とんこつラーメン
そう、彼女のご登場です。
「はぁ……」
日がすっかり落ち、完全に夜となった時間帯。
あたしはIS学園の正面ゲート前に立っていた。
「何が悲しくて、あたしがこんな学校に通わないといけないのかしら……」
夜風に靡く自分の髪を手で抑えながら、ここから見える校舎を見上げる。
無駄に金を注ぎ込んだことが丸分りな程にでっかい建物だ。
成る程。もう見ただけでこれはエリート校だって理解できる。
実際、編入試験もかなり難しかったし。
「ま、このあたしにかかれば楽勝だったけどね」
嘘。ホントは少しだけ苦戦した。
「お上の命令だからって、こんな所まで態々……」
あたしにとって、この日本は第二の故郷と言っても過言じゃないから、こっちに戻って来れた事だけは純粋に嬉しかった。
あたしが向こうに戻っていたのは一年ちょっとぐらいだけだけどね。
「休みの日とかには『アイツ』の家とかに遊びに行ってみようかしら」
日本における数少ない知り合い。
少なくとも、孤立無援で送られるよりは遥かにマシだ。
いざとなれば、相談ぐらいは出来るから。
「さて…と。いつまでもこんな場所に突っ立ててもなんだし、とっとと目的の場所まで行きましょうかね…っと」
服のポケットに中に入れているメモ用紙を取り出そうとするが、中々に見つからない。
あれ? ホントにどこにやったっけ? ここに入れたはずだと思うんだけどな~?
「あ。こっちにあった」
反対側のポケットに入ってた。
きっと、空港で一度だけ確認した時に、反対側に入れちゃったのね。
「えっと……」
メモには『学園に到着したら、まずは本校舎一階総合事務受付に行け』と書かれてあった。
うん。言いたいことは分かるし、あたしだってまずはそれ系の場所に行って手続き的な事をしなくちゃいけないと理解はしてるわよ? してるけど……。
「肝心な場所が書いてなくちゃ意味ないでしょうが……!」
こんなんだから、いつまで経っても中国は他国にバカにされるのよ……!
「……こうなったら自力で探すしかないか」
いざって時に一番頼りになるのは、やっぱり自分の足と目だけ。
こんなにデカい学園なんだから、校舎案内図ぐらいは必ずあるだろうし、ますはそれを探しましょうか。
運がよければ、教師に逆らって外をうろついている不良生徒に遭えるかもしれないし。
「『アレ』を使って空から探せたら、手っ取り早いんだけどな~」
なんて言ってみたけど、それが法律で禁止されていることは、あたし自身が一番よく知っている。
だから、試しに言ってみただけだ。これホント。いやマジで。
「はぁ……せめて、こんな時に愛しの『あの子』に遭えれば最高なんだけどな~」
本当に会えたら、その瞬間にこっちのやる気ゲージがフルバーストするだろう。
もしかしたら、その勢いでそのまま超サイヤ人になってしまうかもしれない。
「まずはどこから探そうかしらね~…って、あら?」
こっちが捜索を開始し始めた瞬間、女子の集団がISの訓練施設と思わしき場所から出てくるのが見えた。
なんだか楽しそうに話しているが、そんなのはこっちには関係ない。
まさに神がくれたチャンス。千載一遇の好機。
彼女達に場所聞いて、それから早く学生寮にある自分に割り当てられた部屋に行ってから長旅の疲れを癒したい。
そう思って彼女達の方へと小走りして行こうとした瞬間、聞こえてきた声を聞いて自分の足がピタッと止まった。
「いや~。流石は代表候補生だね~。訓練の様子を見ているだけでも凄く勉強になったよ~」
「そ…そうですか? 緒理香さんにそう言っていただけるのなら、これからもお好きなだけお見せして差し上げますわ!」
「え? ホント? いや、マジで嬉しいんだけど」
この声……間違いない! 絶対に『あの子』だ!
あたしが『あの子』の声を聞き間違えるわけがないもの!
「緒理香、本当に平気か? 放課後の訓練の他にも、クラス代表としての仕事に加え、生徒会でも頑張っているんだろう? 疲労が蓄積してるんじゃないのか?」
「う~ん…それが、思ってるよりも大丈夫っぽいんだよね」
「そうなのか?」
「うん。やっぱアレかね? 生徒会室で糖分補給をしているのが効いてるのかな?」
「おりりん、本当に美味しそうに食べてるもんね~」
「いやいや。あの紅茶とケーキの組み合わせに勝てる人間なんて絶対いないって。箒もセシリアも、一度でも体験すれば言葉じゃなくて舌で理解できるから」
「緒理香にそう言われたら……」
「無性に気になってきますわね……」
急いで近くにあった生垣に隠れ息を潜めて様子を伺った。
やっぱりそうだ……あたしがあの子の姿を見間違えるはずがない。
あの日本人離れしたピンク色のツインテールに、今でも余裕で小学生料金でバスに乗れる小さな体。
(いやいや、ちょっと待つのよあたし。もしかしたら、奇跡的偶然でよ~く似た美幼女の可能性もあるじゃない。それもそれでアリだけど、ここはちょっと確かめてみないと駄目ね……)
生垣から少しだけ顔を覗かせて、あたしはそっとギリギリ聞こえるぐらいの声で呟いた。
「新沼健二は?」
「鳩が好き」
やっぱりそうだ!! そうだったんだ!
あたしの勘は大当たりだった!
「ん~?」
「どうしましたの?」
「いや、なんか誰かが私と一緒にバドミントンに関して語りたがってるような気がして……」
「「はい?」」
え? なんで? なんで緒理香がIS学園にいるの?
あの子、昔からISになんて微塵も関わってなかったわよね?
ここに行きたい的な事も全く言ってなかったし……。
はっ! もしや……。
(あたしと緒理香って運命の赤い糸で結ばれてる? いや、もう赤い糸を通り越して深紅の糸で結ばれてるんじゃない?)
つーか、今までにISとは縁も所縁も無かった緒理香が何故かIS学園にいて、そこにあたしが偶然にも転入してくる可能性なんて、それこそ天文学的確率じゃない?
これはつまりあれね。運命が…神があたしに久々に再会した緒理香と思う存分に愛し合い、その上で結ばれなさいって言ってるのね!
(感謝します!!
あぁ……今になって上層部の連中に感謝だわ。
生まれて初めて、あんたらがいい仕事をしたって褒めてあげる。
代表候補生になって、本当に良かった……。
念の為に、手荷物であるボストンバッグの中に中学の時に購買部で買った『緒理香ちゃんぬいぐるみ』を入れてきて大正解だったわ。
にしても、なんか気になることを言ってなかった?
クラス代表とか、生徒会とか。
相変わらず、どこに行っても緒理香は色んな場所に引っ張りだこなのね。
当然のように、同性からも可愛がられてるし。
あたしも早く手続きを終わらせて、緒理香の事を愛でたいな~♡
そうと決まれば、善は急げよ!
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
緒理香たちが去っていくのを見届けてから移動を再開すると、あっという間に目的地である事務受付に辿り着いた。
これもきっと、あたしと緒理香の愛の力が成せる技よね!
「これで手続きは終了です。ようこそIS学園にいらっしゃいました。『
「ありがとうございます」
お礼はきちんとね。
代表候補生として、この程度は常識よね。
「ところで、一つだけお聞きしたいことがあるんですけど……」
「なんですか?」
「この学園に『莱鞭緒理香』って子が在籍してますよね?」
「莱鞭……あぁっ! あの、篠ノ之束博士から直々に推薦を受けた特待生の子ね! はい、ちゃんといますよ」
ま…マジでっ!? 緒理香って特待生だったのっ!?
しかも、篠ノ之博士直々って……アンタってば一体何をしたのよ?
「あの子は確か一年一組に所属してて、クラス代表も務めてるらしいわよ」
「クラス代表……」
「しかも! 入学早々に生徒会にまで入ったんですって! 特待生は違うわよね~」
「道理で……」
さっきの会話の中で『クラス代表』とか『生徒会』なんて単語が出たわけだ。
入学してまだ一ヶ月ぐらいしか経過してない筈なのに、もうクラスや学年の中心的存在になりつつある。
今にして思えば、小学生の時や中学の時もそうだったわね。
……中学の時は、主に当時の生徒会長の暴走が原因だったけど。
「貴女は二組。つまりはお隣さんになるわね」
「二組…ですか」
一緒のクラスになれなかったのは残念だけど、いつでも会える機会が出来ただけでも十分に良しとしよう。
けど、重要なのはここからだ。
「もう一つだけ聞いてもいいですか?」
「何かしら?」
「二組のクラス代表って、もう決まってたりするんですかね?」
「そ~ね~。聞いた話だと、暫定的には決めてるらしいけど、後々で代表に相応しい人物が現れたら、普通に交代させるとかなんとか……」
「それって、転入したてのあたしが代表にも慣れる可能性があるってことですか?」
「かもしれないわね。代表候補生なら、クラス代表としてなら申し分ないだろうし。実際、四組も代表候補生の子がクラス代表をしてるらしいわよ?」
「それを聞いて安心しました」
緒理香と同じ場所に立てる……!
これは圧倒的なアドバンテージね!
クラス代表同士で色んなことを話し合いながらランチをしたり、一緒に委員会に出席したり……妄想が膨らむわ~…♡
「えへへへへ……♡」
「だ…大丈夫?」
今夜はいい夢が見れそうな気がする……♡
今から明日が楽しみだわ!
こんな気持ちになったのはいつ以来かしらね……。
ISにおけるツインテール枠が登場です。
次回、遂にツインテールシスターズ結成?