自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件   作:とんこつラーメン

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緒理香VS鈴の後編。

さてはて、原作通りの展開になるのか?

それとも……?







黒の異形

 なんとかして『衝撃砲』の初撃を防ぐことには成功した。

 だけど、あんな事をもう一回やれと言われれば、自信満々に『出来ません!』と断言してやろう。

 さっきのは正真正銘の偶然なんだよ!

 アレを何回も出来たら、誰も苦労なんてしないッつーの!

 

(なんて言ってる場合じゃないか…。なんとかして衝撃砲を攻略しないと、こっちがやられる!)

 

 幸いなことに、鈴はなんでか攻撃を仕掛けてくる気配が無い。

 さっきの衝撃砲真っ二つがいい感じのブラフになってくれてるのかな?

 

(まさか、初見でこっちの『龍砲』が見破られるとはね……! かなり驚きはしたけど、そうでなくっちゃ面白くないわ! 流石はあたしの大好きな緒理香よね! 本当に…いつもいい意味でこっちを驚かせてくれる!)

 

 ……うん。

 ハイパーセンサーのお蔭で、鈴の表情がめっちゃよく分かる。

 最初は驚いた顔をしていたけど、すぐに嬉しそうな笑顔に変わった。

 しかも、あの笑顔はアレだ。

 鈴の『やる気スイッチ』が入った時の顔だ。

 中学の時にあった運動会のクラス対抗リレーの時も、今と全く同じ顔をしてたもん。

 

(あそこは素直に攻撃を受けてお気べきだったかな……)

 

 いや、それはそれでヤバいような気がする。

 あの時は何をすれば正解だったのやら。

 

(いやいや。そんな事を考えている暇があったら、少しでも衝撃砲攻略の鍵をだね……)

 

 緊張で掻いた汗が頬を伝って地面に落ちる。

 そういや、今の私ってかなり下の方にいるんだっけ。

 道理で地面が近いと思った……ん?

 

(ちょい待てよ……地面?)

 

 地面スレスレで飛行しているから、白式のブースターで私の周りには僅かだけど土煙が発生していた……って!

 

(あああああ!!?)

 

 お…思い出した…! 完全に思い出した!

 よくISの二次創作に出てくるオリ主がしている『対衝撃砲必勝対策』を!!

 どうして、今の今まで忘れていたんだ私は! 緒理香ちゃんのおバカさん!

 

「これしかない……!」

 

 未だにポン刀しかない私には、もうこれしか残されていない!

 原作一夏じゃない私は、私なりのやり方でこの試合を制してやる!

 

「鈴……」

「どうしたのかしら緒理香?」

「…その『見えない攻撃』…攻略させて貰うよ」

「なんですって……?」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 一方、観客席では箒と本音、セシリアが試合を観戦していた。

 

「な…なんだあれはっ!? 緒理香がいきなり『何もない空間』を斬ったかと思ったら、その直後にあいつの周りで何かが弾けたような感じがした!」

「リンリンが何かをしたって事なのかな…?」

「あの急に光った肩部装甲が怪しいが……」

 

 本音と箒が二人で色々と考えている横で、セシリアが険しい顔をしてステージを見ていた。

 

「さっきからどうした?」

「もしかして、さっきの攻撃について何か知ってるの?」

「えぇ……。恐らく、鈴さんが放ったのは『衝撃砲』ですわ」

「「衝撃砲?」」

 

 初めて聞いた単語に、二人は揃って小首を傾げる。

 それを見て、セシリアは丁寧に説明を始めた。

 

「『衝撃砲』とは、中国が開発した第三世代兵装の一種ですわ」

「それって、セッシーのビット兵器と同じ……」

「その通り。空間自体に圧力をかけてから砲身を形成。その余剰で生成された衝撃を砲弾として発射する兵装なんですの」

「な…成る程…?」

「箒さん…全く理解してませんわね?」

「うぐ……!」

 

 一発でバレた。

 代表候補生の目は誤魔化せない。

 

「しかも、あの衝撃砲には発射角度の制限が無いらしく、理論上ではどのような体勢、どのような状況でも攻撃か可能らしいですわ」

「そんな凄いものを中国は作っていたのか……」

「まだ試作段階だとは聞いていたんですのに、もう実機に装備していたなんて……」

 

 同じ代表候補生として、絶対に見過ごせない事態。

 自分の『ブルー・ティアーズ』とは全くの逆に位置する機体が、目の前で猛威を振るっている。

 緒理香が負けるとは思ってはいないが、それでも苦戦は免れないだろうと思っていた。

 

「せめてもの救いは、射程と威力がアサルトライフルと同程度ってことかしら……」

「それでも、脅威であることには違いないな。空間を圧縮するが故に、発射した本人以外には見る事すらも出来ない、文字通りの『不可視の弾丸』…か」

 

 自分ならば、間違いなく避けようとするだけで精一杯になるだろう。

 少なくとも、緒理香のように『迎撃しよう』という考えには至らない。

 

「けどけど、その衝撃砲をおりりんは斬ったんだよね?」

「やろうと思えば出来なくもないですけど……確実に至難の業ですわ。恐らく、可能なのは織斑先生を初めとした、国家代表選手レベルじゃないと……」

「緒理香は、そんな凄い事をしていたのかっ!?」

「そうですわ。しかも、初見で斬り裂くなんて、代表でも出来るかどうか……」

「おりりん……」

 

 自分達のクラスメイトが、目の前でとんでもない偉業をしていた。

 改めて、彼女の凄さを実感した三人だった。

 

「ともかく、これで精神的には優位に立ったでしょうね」

「鈴も、自分の切り札をああも呆気なく見破られるとは思ってないだろうしな」

「けどけど、もう一回同じことって出来るのかな~?」

「難しいかもしれませんわね……。なんとかして、本当の意味で衝撃砲を攻略する手立てを考えな限り……」

 

 三人が不安に駆られて暗い顔になった…その時。

 何を思ったのか、いきなりステージにいる緒理香が雪片で地面を攻撃し始めたのだ。

 

「きゅ…急にどうしたんだ緒理香はっ!? 自棄にでもなったのかっ!?」

「ううん…そうじゃないよ、しののん」

「なに?」

「おりりんの顔…すっごく真剣だよ」

 

 本音の言う通り、緒理香が全力で地面を斬り、その衝撃で徐々にではあるが、ステージにいる二人の間に土煙が充満していった。

 

「地面を斬る……ここは一種の密閉空間で風は無い……土煙……まさかっ!?」

 

 何かに感づいたのか、思わず立ち上がって大声を上げたセシリア。

 その行動に、周りにいた生徒全員が驚いていた。

 

「流石は緒理香さん……よもや、そのような方法で衝撃砲の弱点を見破るだなんて!」

「弱点…だと? それはどういう事だ?」

「簡単な事ですわ箒さん。弾丸が『見えない』のであれば、単純に『色』をつければいいだけの話なのです!」

「『色』を……」

「つける?」

「えぇっ!」

 

 流石に立ったままでは周囲に迷惑だと思ったのか、軽い謝罪と共に席に座り直した。

 

「思い出してくださいまし。衝撃砲は周囲の『空間』を『圧縮』する兵器。その圧縮する空間には勿論、『空気』も含まれています」

「そ…そうか! 土煙で鈴や自分の周りを覆えば……」

「圧縮時に土煙も一緒に巻き込んで、衝撃砲に『色』がついてしまう……」

「その通り! たった一回見ただけで弱点まで看破してしまうなんて……本当に素晴らしいですわ……」

 

 うっとりとした顔を浮かべるセシリアの視線の先では、必死に衝撃砲の遮断空間を作っている緒理香がいた。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「し…しまったっ!」

 

 やられた!

 思わず心の中で舌打ちをしてしまう。

 雪片で地面を抉って土煙を発生させている緒理香を見て、完全に拙いと思った。

 

 衝撃砲最大の弱点。

 それは、煙幕などを散布されると、空間の圧縮時に煙も巻き込んでしまい、結果として不可視の弾丸が『着色』されてしまう事。

 

(今の緒理香にスモークグレネードの類は無かった。けれど、それを土煙で代用してくるなんて!)

 

 普通ならば、そんな地道な事でどうにかなるのかと思ってしまいがちだが、ISにはパワーアシスト機能が搭載されている。

 これにより、通常では考えられないような力を発揮出来るため、たった一撃でもかなりの土煙を発生させることが可能となる。

 

「これなら……!」

 

 自分がいる高度までは全ての土煙は上がってこないが、緒理香がいる場所は完全に覆われてしまって、完全に彼女の姿を覆い隠してしまった。

 緒理香に奇襲のチャンスを与えたばかりか、十八番である衝撃砲も封じられてしまった。

 あっという間に、鈴は不利な状況へと陥ってしまったのだ。

 

(見えない段階でも普通に防がれたのに、色がついた状況で放っても命中率は3割にも満たないでしょうね…! 奇襲、強襲こそがあたしの『甲龍』の真骨頂なのに、まさかされる側になるなんて!)

 

 咄嗟にハイパーセンサーの感度を最大にし、自分の肉眼と合わせて周囲を警戒する。

 ここで下手に追撃しても、それは完全に緒理香の思う壺。

 かといって、ここでジッとしていたら、緒理香にとっていい的になる。

 ならばどうすればいいか。答えは一つだった。

 

(緒理香が仕掛けてきたタイミングで、カウンターをするしかない!)

 

 同じカウンターでも、衝撃砲はもう効果が無いだろう。

 ならば、ここはお互いの距離である『近接戦』に賭けるしかない。

 鈴は、連結していた近接ブレード『双天牙月』を分離させ、二刀にしてから両手で構える。

 万が一、左右のどっちから仕掛けられても対応し易くなるように。

 

(どこ……どこから来るの……?)

 

 今度は、鈴が冷や汗を流して唾を飲む番になった。

 目まぐるしく視線を巡らせ、最大級に神経を張りつめる。

 

「……はっ!?」

 

 次の瞬間、ハイパーセンサーが自機に向かって何かが急速接近している事を知らせた。

 鈴自身も即座にそれを察して防御の構えを取る。

 彼女に向かって接近してきたもの、それは……。

 

「こ…これは……鞘っ!?」

 

 先程まで、雪片の刀身を覆っていた鋭い刃の形状をした鞘だった。

 それが、まるで何者かに全力で投擲されたかのような速度で鈴に向かってきたのだ。

 

「グッ……!」

 

 急いでガードするが、またもやハイパーセンサーが敵機の接近を知らせた。

 視線だけを後ろに向けると、そこには抜き身の刃を両手で構えた緒理香が凄まじい速度で飛び出してきていた。

 

(なにあれ……緒理香の目から…真っ赤な火花が散ってる……!?)

 

 今まで見たことが無い緒理香の『戦士』としての顔。

 目は鋭くなり、口はしっかりと閉じられたまま。

 全身からは、圧倒的なまでの『剣気』を放っていた。

 

(は…早い! これは…瞬時加速(イグニッション・ブースト)っ!?)

 

 万事休すか。

 誰もがそう思った、その時……。

 

 事態は、誰一人として予想だにしない展開になっていくのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 IS学園上空。

 そこには何もない。

 穏やかな青空と、真っ白な黒だけが広がっていた。

 飛ぶ鳥は気持ち良さげに風に乗り、遥か遠くの方で旅客機がどこかに向かっている。

 

 そんな、何の変哲もない空の真ん中で、人知れず『とある異変』が起きようとしていた。

 

 ゆっくりと雲が流れ、それが丁度、試合の真っ最中であるアリーナの真上を通過した瞬間、どこからともなく『ソレ』は音も無く出現した。

 空間が開いた訳でもない。

 誰かが送り込んできたわけでもない。

 ましてや、どこからかやって来た訳でもない。

 『ソレ』は本当に突如として、この空域に姿を現したのだ。

 

 漆黒の装甲に包まれた『ソレ』は言葉の類を全く発せず、まるで何かを待っているかのように、その場にジッと滞空している。

 だが、そんな時間はすぐに終わり、『ソレ』の深紅の目が怪しく光り出し、まるで深海にダイブするような体制になってから、真下にあるアリーナ目掛けて急降下を始める。

 それこそが己の役目であるかのように、一切の迷いなく突撃していく。

 およそ、普通の人間がするような行動ではない。

 

 『ソレ』の深紅の目は、アリーナで試合をしている一人の少女だけを見据えている。

 無言で、只管に、少女がいる場所へと向かっていく。

  

 その光景を遠くで見ていた一人の女が、静かにこう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どんなに足掻いても…『歴史(原作)』は変えられない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、例のバトルが勃発します。

きっと、色々と長くなるんでしょうね。私の事だから。
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