自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件   作:とんこつラーメン

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なんか間が開いちゃいましたね。すいません。

許してヒヤシンス。

因みに、死にません。












セシリアが死んだ!? この人でなし!

 お昼休みになり、私は箒と一緒に屋上へとやって来ていた。

 

 普通、学校の屋上と言えば『危険だから立ち入り禁止』なんて理由で入れない筈なのだが、このIS学園は事情が違うみたい。

 私も学校の屋上に来るなんてことは前世&今世含めて生まれて初めてなんだけど、なんか普通に備え付けのベンチや丸テーブル、ちょっとした芝生なんかもあって、明らかに生徒達がここで寛ぐことを前提にしている感じだ。

 …屋上でワイワイするなんて、それこそフィクションだけの話だと思ってた…。

 

「……で? どうして『お前達』もいるんだ…?」

 

 私と箒は並んで丸テーブルに座っているが、その箒はさっきから眉間に血管を浮かべながらピクピクとしている。

 その理由は恐らく、一緒のテーブルに座っているセシリアと鈴と本音と簪とシャルロットだろう。

 

「私達は本音さんに教えて貰ったのですわ」

「アンタ一人だけにいい思いはさせないんだから」

「……簪は?」

「授業が終わった直後に本音からメールを貰った」

「本音―――――――――――――――――――――――っ!?」

「しののん……抜け駆けは良くないと思うんだよ~…?」

 

 ほ…本音…虫も殺せないような顔をしてるのに、なんて強かな子なんだ…。

 意外と、本音みたいな子こそが一番敵に回したら怖いのかもしれない。

 

「それで、どうしてデュノアもここにいる?」

「後ろからこっそりとついてきた」

「お前はストーカーかっ!?」

「失礼だな~。純粋に皆と一緒に食事がしたいと思っただけなのに」

「だったら普通に来い……」

「なんだか照れくさくて」

「どの口が言うか……」

 

 それには激しく同感。

 皆の目の前で、あんなにも堂々と量産機愛を語っていたのに、今更にそんなしおらしい事を言われても…ねぇ~?

 

「ま…まぁいい。それよりも今は昼食が先決だ。緒理香」

「お? これがさっき言ってたお弁当?」

「そうだ。お前の口に合うと良いのだが……」

 

 箒が私の目の前に置いたお弁当を開けると、鮭の塩焼きに鶏肉の唐揚げ、こんにゃくと牛蒡の唐辛子炒めとほうれん草の胡麻和えといった、非常にバランスの良く取れた組み合わせ。

 うん。どれも普通に私の好きなメニューですな。

 そういや、最近の若者たちは『鶏肉って何の肉?』って聞かれても分からないらしいね。

 なんとも嘆かわしい事だ。

 

「ど…どうだ?」

「どれも凄く美味しそうだよ。箒、いつ料理なんて勉強したの?」

「ま…まぁ……中学の時に知り合った者とかに…な」

「へぇ~…」

 

 箒も箒で、私が知らない所で独自のコミュニティを創り上げてたんだなぁ~。

 幼馴染として緒理香ちゃんは感動しておりますよ。

 

「それじゃあ早速…いただきま~す。あむ」

 

 まずは一番最初に目についた唐揚げを頂くことに。

 少し時間が経過しているにも拘らず、かなりジューシーに仕上がっている。

 歯で噛むと肉汁がジュワ~って出てくるし。

 

「ん~…♡ 美味しい~♡」

「そうか! それはよかった! どんどん食べてくれ!」

「うん!」

 

 こんなお弁当なら喜んで食べますとも!

 この鮭の塩焼きも、ちゃんと中まで火が通っていて美味しいな~♡

 

「むむ…やるわね箒…! けど、こっちだって負けてないんだから! こんな事も有ろうかと…ってね! 緒理香!」

「もきゅもきゅ……にゃに~?」

「実は、あたしも今日はこんなものを作って来たの! よかったら食べて頂戴!」

「おぉ~!」

 

 鈴が取り出したタッパーには、なんとも美味しそうな酢豚が入っていた。

 なんだか懐かしいなぁ~。

 

「それじゃ、遠慮なく貰うね。あむ! ん~! これも美味しい~! めっちゃ白米が欲しくなる~!」

「ま…まぁ? 伊達に中華料理店の娘をやってないって言うか? これぐらいは当然って言うか?」

 

 酢豚のように油分が多い料理と白米のコンビネーションは最強だよね~!

 いや…マジでご飯がどんどん進むんですけど。

 

「おりりんは沢山食べるんだね~」

「成長期?」

「その筈なんだけどね~……」

 

 どれだけ食べても、その栄養分は背にも胸にも行き届かないんだよね…。

 私が今まで摂取した栄養はどこに消えたの…?

 イデの覚醒によって因果地平の彼方にでも行っちゃったのかしらん…?

 

「美幼女が満面の笑みで食事をする姿……これは社内ポスターに使えるかも? いや、ポスターよりもパンフレットに採用すれば……」

 

 んで、そこの量産機愛好者はさっきから何もぶつぶつと言ってるのかしらね?

 

「ところで、緒理香さんはお料理が出来るのですか?」

「出来るっていうか、せざる負えなかったというか」

「どういう意味だ?」

「そのまんまの意味。ほら、私が少し前まで束と一緒に暮らしてたのは知ってるでしょ?」

「そう言えば、そうだったな」

「で、アイツってば家事の類を滅多にしようとしないから、必然的に私がする羽目になるんだよ。その過程で自然と上達していった感じ。普通に料理すること自体が楽しかったってのもあるけど」

 

 ネットや本とかで色んな料理のメニューを調べていた時は割と楽しかった。

 一時期は、私が試験的に作った料理をクロエに試食して貰うのが日課だったりしたっけ。

 

「因みに、得意料理は何だったりするの?」

「割と何でも出来るよ? 特に苦手な料理とかもないし。学園に来る少し前にはビーフ・ストロガノフにもチャレンジしたっけ」

「マジでッ!? 緒理香ってチャレンジャーなのね……」

 

 チャレンジャーってよりは、普通に好奇心が強いだけだよ。

 

「お…おほん! 緒理香さん? 実は私も昼食を作ってきてまして……」

「「「「「!!?」」」」」

「へ?」

 

 セシリアの言葉を聞いた途端、私達は本気で戦慄をし、同時に背筋に氷柱を入れられたかのような恐怖を覚えた。

 何にも事情を知らないシャルロットは目を丸くしてキョトンとしているけど。

 

 もう既に、私達はセシリアの料理スキルが壊滅的なレベルに到達しているを知っていた。

 そりゃもう、言葉では到底言い表せないぐらいに。

 

「これなんですけど……」

 

 彼女がテーブルの上に置いたバスケットからは、真っ黒なオーラが浮かび上がっているように見えた。

 普通ならば幻覚だと思うかもしれないが、生憎と見えているのは私だけではないらしい。

 箒も鈴も本音も簪も、顔に冷や汗を掻いて唾を飲んでいる。

 

 セシリアがバスケットの蓋を開けると、其処には綺麗に並んでいるサンドイッチが。

 見た目はいい。そう…見た目だけは。

 

「ねぇ…セシリア? 少しいいかしら?」

「なんですの?」

「これ…ちゃんと味見はしたわけ?」

「してないですわ。緒理香さんに一番に食べて貰いたいと思ってましたので」

(((((やっぱりか……)))))

 

 ここで少しでも味見をしていれば、この悲劇を少しは回避出来るかもしれないのだが、この少女は変に気を効かせてそれを全くしようとしない。

 いい加減に自分の料理の酷さを自分の身を持って味わうべきなのかもしれない。

 その思いは私達の共通認識となったようで、目が合った鈴が力強く頷いてくれた。

 

「…セシリア? まずは自分で味わったら?」

「でも、これは緒理香さんに……」

「いいから。緒理香だってまだ他のを食べてる途中なんだし。今からでも遅くは無いから、まずはアンタが味見をした方が良いわ」

「それもそうですわね。では………んぐっ!?」

 

 自分自身のサンドイッチを一口食べた途端、セシリアの顔が真っ青になってテーブルの上に突っ伏すようにして倒れた。

 

「ちょ…オルコットさんッ!? 大丈夫ッ!?」

 

 これまた何にも知らないシャルロットだけがセシリアを心配する。

 私達は、こうなる事が最初から分かっていたので、そこまで大きな反応はしなかった。

 

「ね…ねぇ…あれ……」

 

 簪が恐る恐るセシリアの頭上を指差す。

 そこにはなんか文字が浮かんでいた。

 

【セシリア・オルコット】状態:毒

 

「「「「「サンドイッチ食べて毒になってる―――――――――――っ!?」」」」」

 

 明らかに体に悪い事は分かってたけど、まさか毒状態になるレベルなのッ!?

 って事は、下手をしたら私が毒になってたって事…?

 

「ちょ…セシリア! アンタ大丈夫なのッ!?」

「だ…大丈夫ですわ……代表候補生たる者…この程度で狼狽えたりは……」

「台詞の部分まで毒を表す緑色になってるじゃないのよーっ! だ…だれか解毒薬とか持ってないのッ!?」

「そんなの持ってるわけないだろ!」

「それもそっか! んじゃどーすんのよ~!?」

「ご…御心配なく……自分で保健室に行けますわ……」

 

 ヨロヨロとしながらも静かに椅子から立ち上がり、震える体で一歩を踏み出すと、どこからか変な音が聞こえてきた。

 

 グジャッ!

 

「なんか歩く度に毒のスリップダメージを受けてるんだけど――――――っ!?」

「このままでは保険室に辿り着く前に力尽きてしまうぞ!」

「私達でセシリアを抱えて……あ」

 

 簪が急に変な声を上げる。

 その視線の先を見てみると、屋上の出入り口の前に人一人が入るぐらいの棺桶が置いてあった。

 

「セシリアが死んだっ!?」

「この人でなし――――――っ!!」

 

 はいはい。お約束、お約束。

 

「言ってる場合か―――! 早く棺桶を保健室まで持っていくぞ!」

「だ…大丈夫なのかなぁ……?」

 

 シャルロットの言い分は御尤もだけど、気にしちゃいけないよ。

 ギャグ時空じゃ何でもアリだからね!

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 昼食を中断して、皆で力を合わせてセシリアが入っている棺桶を御神輿みたいに担いでから保健室まで直行。

 急いで中に入ると、そこにはどこぞの超有名RPGの教会にいそうな神父っぽいおじさんが白衣を着て椅子に座っていた。

 

「先生!! セシリアが毒で瀕死になっちゃいました! どうにかしてください!」

「分カッタ。イイヨ」

「なんでカタコト…?」

 

 そこもツッコミは無しだよ、シャルロット。

 

「セシリアサンヲ生キ返ラセルニハ、550ゴールドガ必要ニナルネ」

「お金を取るのッ!?」

「私モ、慈善事業デヤッテル訳ジャナイカラネ。オ金ハ取ルヨ」

「学校の保健室でお金を払うとか前代未聞な気がするんだけど……」

 

 このIS学園に常識を求めちゃいけない。

 私達の担任がアレな時点でね。

 

「デ、払ウノ? 払ワナイノ? ドッチ?」

「因みに、1ゴールドって日本円に換算すると幾らになるんですか?」

「1ゴールド=1円ネ」

「要はたったの550円っ!? めっちゃ安っ!?」

「というか、セシリアの命って550円の価値しかないのかっ!?」

「モシモ彼女ガ国家代表ニナレレバ、ソノ時ハ値段ガ二倍ニナルヨ」

「それでもたったの1100円っ!?」

 

 凄くリーズナブルと言うべきか、それともこの人の価値観がシビアなだけなのか。

 

「ここはあたしが払うわよ。焚き付けたのはこっちだし。はい、550円」

「ソレジャア、生キ返ラセルネ」

 

 ピロリ~ン♪

 

 そんな音と共にセシリアが棺桶状態から復活した。

 これで一安心だね。

 

「後ハ、ココデ安静ニシテイレバ問題ナイネ」

「それもお金を取るんですか?」

「エ? ナニ言ッテルノ? ソンナワケナイジャナイ」

「え~……」

 

 さっきまで量産機への愛を語っていたシャルロットはどこへやら。

 今は完全にIS学園の洗礼を受けているね。

 一刻も早く、このカオスな環境に慣れる事をお勧めするよ。いやマジで。

 じゃないと本気で気疲れしちゃうからね。

 

 この後、私達で山田先生に報告をして、セシリアは午後の授業を休んで体調回復に努めた。

 え? なんでそこで担任の千冬さんじゃないのかって?

 その理由を言う必要がある?

 

 勿論、途中で食べそこなった箒のお弁当と鈴の酢豚は後で全部食べました。

 どっちも凄く美味しかったとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 放課後。

 校舎裏にあるゴミ捨て場にてセシリアの作ったサンドイッチを処分することにした箒と鈴。

 

「お…おい…鈴?」

「何よ?」

「セシリアの作ったサンドイッチをビニールに入れるのは構わんのだが…どうして袋に危険物(バイオハザード)マークを書くんだ?」

「それを敢えて聞くわけ? 迷い込んだ野良猫とかが間違ってこれを食べて突然変異とかしたらどうすんのよ。あの子が作った料理は核廃棄物と同等の扱いぐらいが丁度いいの。万が一にも何かあっても、あたしは責任とか取りたくないし」

「それに物凄く納得出来てしまう自分が嫌だな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セシリア、九死に一生を得る。

これで懲りれば御の字。

けれど、現実はそう甘くない訳で。
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