自分がツインテールの可愛い女の子だと妄想して日々の出来事を日記に書いていたら、転生して本当にツインテールの可愛い女の子になってしまった件   作:とんこつラーメン

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衝動買いって怖いですね……。

ポルタノヴァとオプションセットが安売りされていたので、思わず買っちゃいましたよ……。










ちっちゃくないよ!

 篠ノ之箒の朝は早い。

 剣道場主の娘として育てられていたせいか、幼少期からずっと早寝早起きを日課とし、それが体に染みついているのだ。

 因みに、姉である束も同じ立場であるにも拘らず、箒と同じようには起きられない。

 毎日毎日、緒理香やクロエに叩き起こされている。

 

「ん……んん……?」

 

 カーテンから差し込む日差しが網膜を刺激し、箒は目を覚ます。

 最初はボーっとしていたが、少しして自分がIS学園に入学し、そこにある学生寮にいる事を思い出す。

 それと同時に、ある大事な事も思い出した。

 

「そうだったな……私は……って、んん?」

 

 自分の体に誰かがしがみ付いている感覚。

 箒は寝る時に浴衣を着ているのだが、それが僅かにだけ着崩れている。

 その原因は、目の前にいる幼い体をした少女だった。

 

「しゅぴ~……」

「緒理香……」

 

 彼女のもう一人の幼馴染にして、密かに思いを寄せている相手。

 昨日言った『一緒のベッドで寝たい』という何気ない冗談を真に受け、彼女は本当に一緒に寝てくれた。

 その時は心の中で狂喜乱舞したが、流石に実際にはしなかった。

 

 普段はツインテールに結んでいる緒理香の桃色の髪は解かれて、真っ直ぐなストレートになっている。

 その点に関していえば箒も同じなのだが、自分の事なので気にしない。

 

(緒理香の寝顔……なんて可愛いんだ……♡ これこそまさに天使の寝顔だな……)

 

 今まではなんとなく早く起床していたが、この時ばかりは早起きをして本当によかったと思った。

 『早起きは三文の得』という言葉を生み出した人は本当に天才だ。

 

(けど、姉さんはこの天使をいつも傍で見ていたんだよな……)

 

 そう思うと、実姉に対して別の意味での嫉妬心が生まれる。

 けど、それはすぐに目の前の現実によって書き換えられた。

 

(いや……この場にいない人間に嫉妬をしても仕方がないじゃないか。今、緒理香の傍にいるのは、この私なんだ。だったらせめて、緒理香が起きるまではこの寝顔を堪能してもバチは当たらないんじゃないか?)

 

 実際には、緒理香が箒の体に腕を伸ばして抱き着いているから、思うように身動きが取れないのだ。

 緒理香は箒の豊満な胸に顔を埋めるようにして寝ていて、世の男共が見たら血の涙を流す事は確実だ。

 

「んんぅ~……」

「ん? 寝言か?」

「私だってぇぇ……綺麗なお洋服とか着たり……アクセサリーとか着けたり……お化粧とかして可愛くなりたい……」

 

 ハッキリとした口調な寝言を聞いて、箒は頭の中で妄想する。

 

(緒理香には絶対にフリルとかが沢山ついた洋服が似合うのだろうな……。いや、意外と清楚系の恰好も似合うのではないか? それとも……)

 

 一度始まった妄想はそう簡単には止まらない。

 箒がニヤけている間も、緒理香の寝言は続いている。

 

「だってぇぇ……女の子だもん……むにゃむにゃ……」

 

 この時、箒はある決意を固める。

 緒理香と一緒に買い物に行く時は絶対に彼女に可愛い服を買い与えようと。

 こうなった時の箒の心は、そう簡単には揺るぎはしない。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

「ふわぁ~……」

 

 欠伸を噛み殺しながら、私は箒やセシリア、本音と一緒に廊下を歩いて行く。

 皆より一日早く来ているとは言え、まだまだここの環境には慣れてないみたいだなぁ~……。

 なんか、思ったよりも寝つけなかったような気がする。

 起きた時、箒の体に抱き着いていたのには本気でビックリしたけど。

 

「箒さん。なんだか朝から浮かれてませんこと?」

「凄く嬉しそうだね~」

「いやなに……偉大なる先人の残した言葉の素晴らしさを改めて実感しているだけだ……」

「「「はい?」」」

 

 な…なんか箒が急に妙な悟りを開いてるんですけどっ!?

 この子はこんなほんわかとしたキャラでしたっけっ!?

 そーゆーのは本音の役目だろぉっ!?

 

 にしても、道行く皆はまだ私の事を見まくってるな。

 昨日、散々見たでしょうが。まだ満足してないのかい? この欲張りさんめ!

 

 視線のマシンガンを受けながらも、なんとか食堂まで辿り着き、私達は販売機の所まで急ぐ。

 もう知っている人も多いかと思うけど、ここで一応の説明をしておこう。

 IS学園の食堂は、最近よく見かけるようになった販売機にて食券を購入し、それをカウンターに出してから注文を受け取るシステムを採用している。

 こーゆーのに関しては、殆どの高校にある食堂と同じだと思う。

 実際、作者の高校も全く同じシステムだった。

 

「ん? なんだ、この台は?」

「あぁ……それ多分、私のだ……」

「緒理香さんの……ですか?」

「うん。余り自分で言いたくないけどさ、私ってばこんな体だから、販売機の下から二番目までしか届かないんだよね。こんな風にぃぃぃ……!」

 

 思いっきり背伸びをしても、なんとかギリギリ二段目のボタンに届く程度。

 一番上にはどう足掻いても届かない。

 

「だから、食堂のおばちゃん達が私の為にこうして台を用意してくれたんだと思う。って、聞いてる?」

 

 なんか、さっきから三人の様子がおかしいんですけど?

 心ここに非ずって感じがする。

 

(背伸びをする緒理香可愛い。略して『緒理可愛い』)

(足をプルプルさせて体を伸ばす緒理香さんが可愛すぎますわ~♡)

(いつか絶対にチューしてやる)

 

 ほ…本当に三人共どうした? 特に本音の目が凄い事になってるんですけど?

 因みに、今日の私の朝食はきつねうどんだ。

 前世からもそうだったんだけど、私は麺類全般が大好きっ子なのだ。

 特にうどんは一番好き。一時期、本気で讃岐に引っ越す事を検討した程に。

 

 この後、我に返った皆も注文をしたんだけど、いつの間にか鼻にティッシュを詰めてたんだよな。一体どうしたんだ?

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 販売機の一番上に手が届かないのならば、当然のようにカウンターにも私は背が届かない。

 頑張れば頭頂部ぐらいは向こうに見えるようなのだが、それでは意味が無い。

 だから、ここにも私専用の台が設置してあった。

 うぅぅ……我が事ながらなんて惨めなんだ……グスン。

 

 おばちゃん達からありがた~い言葉と注文の品を受け取り、皆と一緒に並んで移動。

 丁度いい感じに空いている席があったので、誰かに取られる前に座る事にした。

 

 するとまぁ、途端に私達の周りに人が集まってくるわくるわ。

 今までずっと立っていた連中の殆どが近くの席に座りやがった。

 

「いただきます。あむ」

「相変わらず、緒理香は麺類が好きなんだな」

「まぁね。私の体は無限の麺類で出来てるから」

 

 これこそ私の宝具『無限の製麺(アンミリテッド・ヌードル・ワークス)』なんちゃって。

 

「緒理香さんは麺類が好き……と。メモですわ」

「おりりんはよく食べるんだね~」

 

 セシリアは一体何をメモしてるんだよ。

 それと、本音は逆に少なすぎだ。

 普段からお菓子ばっかり食べてるから、そうなるんだよ。

 

「ちるちるちる……プハ~♡」

 

 美味し~♡ やっぱり朝はきつねうどんに限りますニャ~♡

 お昼はとんこつラーメンでも食べましょうかね。

 

「「「「「お姉ちゃんのお部屋に来ないっ!?」」」」」

「病院行け」

 

 いきなり、周りに集まっていた連中が揃ってお菓子を持って私を誘惑しに来た。

 けど残念。今の私は魅力無効のスキルが付いているのだよ。

 それとさ、もう何度も言ってるけど、こんな見た目でも一応はお前達と同い年なんだぞ? 完全に忘れてないか?

 

「緒理香は何をしても物凄く可愛いな!」

(全く、アイツ等は何を考えてるんだ!)

「箒、入れ替わってるから」

 

 遂に箒もこんなギャグをするようになったのか……。

 似てないようで似てるよな、篠ノ之姉妹は。

 

 バタンッ!

 

「「「「ん?」」」」

 

 後ろから何かが倒れるような音が聞こえた?

 気になって振り向いてみると、そこには血文字でメッセージを残してジャージ姿で倒れている千冬さんがいた。

 

「お……緒理香のうどんを食べている姿が可愛すぎて辛い……」

 

 …………放置だな。

 他の皆も同じ結論に達したのか、すぐに元の位置に戻って食事を再開した。

 

 その後、朝食を食べ終えてから教室へと向かったんだけど、そこにはいつの間にか復活していた上に、ちゃんとスーツにも着替えていた千冬さんがドヤ顔で教壇に立っていた。

 

 この人はマジでチートの無駄遣いをしていると思うのは私だけだろうか。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 校舎内の廊下を歩く二人の少女。

 片方は特徴的な水色の髪をしていて、もう片方は眼鏡を掛けていた。

 リボンの色が緒理香達とは違う事から、彼女達が違う学年…即ち、上級生である事が窺える。

 

「で、例の特待生の彼女について何か分かった?」

「いえ。調べれば調べる程、当たり障りのない情報しか出てきませんでした」

「そう……」

 

 水色の髪の少女が自分の顎に手を当てて思案する。

 その顔は真剣そのもので、本気で何かを探っているようだった。

 

「これ以上は無駄かしらね……」

「そうかもしれません。あの篠ノ之束博士から直々の推薦があったとされる時点で相当に怪しいのですが……」

「少なくとも『亡霊』達と関係は無いと見るべきかしらね」

「はい。博士は自分の身内以外には微塵も関心を示さない事で有名ですから」

「そんな人物が自分から推薦をしてきたこと自体が怪しさの塊なんだけど……」

 

 頭の中で、以前に見た書類の内容を思い出す。

 

「莱鞭緒理香……年齢15歳。篠ノ之博士の知り合いの子供で、父が事故死、母が病死した後に彼女の身柄を引き取ってから今に至る……ね」

「あの文面をそのまま信用するのは普通に有り得ません。そもそも、彼女の父親の事故の情報なんてどこにもないですし」

「分かってるわよ。だから調べてるんじゃない。でも……」

「でも? いかがしました?」

「いえね。入学式の時に彼女の事を一度、この目で見ているのよ。背の関係からか、一番前に座ってたから」

「プロフィールを見る限りでは、相当に背が低いですからね」

「えぇ。まるで体の時間が止まってしまったかのように(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)……」

 

 同じなのに、同じじゃない。

 そんな事を考えるのは失礼だと思ってはいても、自然と頭の中で考えてしまう。

 

「兎に角、まずは一度お話でもしてみた方がいいかもしれないわね」

「そうですね。幸いな事に、本音が同じクラスで、既に彼女とも接触しているようですし」

「あの子自身は、普通に友達になりに行っただけかもしれないけどね。あの緒理香って子、かなり可愛いし」

「…………お嬢様?」

「べ…別に私は緒理香ちゃんと知り合いになりたいだなんて微塵も思ってないんだからねっ!?」

「はぁ……分かりました。その時が来たら、私の方もちゃんと準備をするようにします」

「それがいいわね。貴女の紅茶を飲めば、きっとあの子も心を開いてくれるでしょうし」

「そう簡単に事が上手く運べばいいですけどね……」

 

 全く逆のテンションのまま、二人は『生徒会室』と書かれた部屋へと入っていった。

 

 授業……始まりますよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もう次回に関しては言わずとも分かりますよね?

そう、我等が生徒会長様がご登場です。
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