様々なストーリーを紡ぐボカロ曲を自己解釈してみました。

楽しんでいただければ幸いです。

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もしもあなたが、何をやってもダメで嫌われているなら?

好かれるように努力しますか?それとも、諦めますか?

好かれるように努力しても理由がなく、いくら頑張っても報われない…

そんなの人と、とあるモノが織り成す奇跡の物語―――



ODDS&ENDS

 

 

 

 

 

「―――ってさ、バカだよな」

 

「そうそう。ついこの前だって…」

 

嗚呼、また君を笑う声が聞こえる。

その声は、君の携帯のあたしにも聞こえてくる。

いつだって、きみはわらわれ者だ。

やること成すことツイてなくて、今日も雨に降られ。

君は勿論傘を持っているから、それを差して歩く。

それは君のお気に入りの傘。けれど、それも風で飛んでった。

呆然と立ち尽くす君にそこのノラは「ご苦労様」と足を踏んづけてった。

いつも、あたしは君を見てる。君に、話し掛けたい。

気付いて、くれるかな…

 

ほら、今日もいつも通り君は嫌われ者だ。

なんにもせずとも遠ざけられて、だけど努力をしてみる。

けど、その理由なんて「なんとなく?」で。

君はどうしていいかわからず、途方に暮れて悲しんでた。

 

 

 

いつものように、君は帰ってきてPC(あたし)を見つめる。

 

「…今日も、駄目だったな。…どうすれば、皆から遠ざけられなくなるんだろ…」

 

変わりなく、いつも通り悲しそうにあたしを見て悩む。

あたしは君を見てる。

君は、あたしが好き。

だからあたしのCDもポスターも、あたし自身だって買ってくれた。

それも…手は着けてないけど。諦めたんだよね。

諦めないでほしかったけど、まあ仕方ない。

でも君はいつも勇気が無い意気地無し。

あたしが呼んでも君は気づかない。

けど、この日。奇跡が起こってくれた。

あたしを…見てくれた。

 

 

「なら、あたしの声を使えばいいよ。人によっては理解不能で、「なんて耳障り」「ひどい声だ」って言われるけど…」

 

君は静かにあたしを見てくれる。だから、あたしは言いたかったこと全部、今ここで伝える。

 

「きっと、君の力になれる!だから…あたしを歌わせてみて。」

 

あたしは山積みのあたし自身のCDによじ登り、天辺に立ってまた君を見る。

 

「そう…君の。君だけの言葉でさ!」

 

 

 

それから、君はあたしの声を使って自分の思いを綴った。時々言葉に詰まったりしたけど…それでも、素直な気持ちを、偽らずに。

そう、綴って連ねて。

あたしがその思想(コトバ)を叫ぶから。

ほら。描いて。君の理想を。

その思いは誰にも…触れさせないから。

 

*

 

ガラクタの声はそして響く。

『君』のありのままを不器用に繋いで。

目一杯に大声をあげる。

 

*

 

君があたしの声を聞いてくれたあの奇跡の日から、君の周りは変わった。出来上がった思いはたくさんの人に聴かれて、評判も良かった。

いつからか君は人気者だ。たくさんの人に持て囃されあたしも鼻が高い。

でも…同時に、いつからか君は変わった。

あたしに冷たくなって、だけど寂しそうだった。

 

 

前と変わらず、いつも通り帰ってきた君はやっぱり寂しそうだった。

心配になって、君の顔を覗きこむ。

 

「ねえ、どうしたの?またバカにされたの?なら、またあたしを歌わせて…」

 

「もう…機械の声なんてたくさんだ…。」

 

ボソリと君は呟く。

あたしは思わず聞き返す。嘘だ、と信じて。

けどその期待を裏切るように、君はあたしに嫌悪の目を向けて怒鳴った。

 

「だから、機械の声なんてたくさんだ!僕は僕自身なんだよ!あんたのモノなんかじゃないんだ!」

 

君は唸るようにあたしを睨む。きっと、あたしの声はもう届かない。

あたしはもう、君の傍にはいられない?

あたしは、あたしは…

もう、いらないんだね。

あたしは素直にPC(あたしの世界)へと帰った。

 

 

君が寝付いて静かになった隙に、あたしはこっそりと帰ってきた。そして君のパソコンのIDを解いて、覗いた。

君があたしに歌わせてくれた歌は、とてもいい歌。あたしはその素直な歌詞に聴き惚れたんだ。

投稿した動画をコメント付きで見る。再生回数は2日でなんと100万回再生を記録した。

そんな曲のコメントに、1つだけ。

 

 

 

 

「虎の威を借る狐のくせに!」

 

 

 

 

「…ああ…そっか…」

 

あたしは静かな寝息を発てている君をそっと見た。

何もないような毎日に、突然たくさんの人に注目される日々が続くんだ。そんなの続いたら、人なんて脆いから…誇らしさを越えてストレスがあっという間に溜まっちゃうんだ。

それで、このコトバ。

 

「ねえ…君は…

 

 

 

一人で泣いてたんだね。」

 

 

 

 

 

なら、あたしが歌うよ。

ねえ、聴こえる?この声。

寝てる君は、気づかないかもしれない。けど、せめて君の心にだけは…届いて。

 

あたしがその言葉を誹謗(コトバ)を、掻き消すから。

 

君はあたしに冷たくして、ついには嫌った。でも分かってる。本当は、君が誰より優しいってことを。

だから、…泣かないで。

あたしだけは、君の味方だか、r…

 

 

*

 

ガラクタの声はそして歌った

他の誰でもない、『君』のために

ガラクタのカラダは軋んでく

その限界を超えて

 

 

 

 

 

*

 

 

 

―ねぇ…聴こえる…?

 

嗚呼、あのガラクタが僕を呼んでいる。

もうあんたのなんかじゃないんだ。放っておいてくれ。

僕は何をやってもダメだ。

科学の実験で良いところを見せようとして、皆を危険に遭わせた。食堂で楽しみにしていた料理も僕の目の前で必ず無くなる。

僕に浴びせられるのは誹謗だけ。他に、何もないんだ。

 

―あたしがそのコトバを…掻き消すから…

 

嘘だ。あいつはそんな力なんて持ってない。

…いや、持ってる。あいつが持っている奇跡の「歌」だ。

あいつの声はたくさんの人に響く。歓声も感動も、誹謗や批判までも届くんだ。そんなのに比べたら、僕のなんて軽すぎるんだ。

僕は、まだ弱いんだ。

あいつに謝らなきゃ。冷たく当たって、あいつを嫌ったことを…

僕は夢の中の世界から何ら楽しくない現実へと帰ってきた。

上体を起こし、暗闇の中眩しく光るPCのデスクを見てみる。

何かが中心でくるりと回転したかと思えば、それはそのままその場に小さな音を発てて倒れた。

見覚えのある形だった。

僕は急いでデスクへ駆け寄る。

そこにいたのは…

 

 

 

最後の歌を紡ぎ終えたあいつが倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―いい?ここが終わったらこの機械に接続するの。」

 

「へえ…じゃ、投稿は?」

 

「もう!投稿はまだ先だよ…」

 

 

 

 

「―ふう、出来た!ねぇ見て見て!あたしだよ!」

 

「うわっうまっ!!何でそんなにうまく描けんだよ…」

 

「あははっ内緒―」

 

 

 

 

「―えーっと、「和音」のキーは…っと。」

 

「ほら見て!これだよ!」

 

「…お前、楽しそうだな。」

 

「うん!だって楽しいんだもん―」

 

 

 

 

 

「―やっぱり、ここは「ゴミ箱みたいな」の方がいいよ!」

 

「バカヤロウ。そんなんじゃ文字が合わない。」

 

「えーっと…じゃあ―」

 

 

 

 

 

 

 

…懐かしい、な。

そうか、これは僕の記憶だ。初めて作ったあれだ…

 

 

 

 

 

 

 

結局違う歌詞になるんだっけな。

懐かしいな。そして楽しかった…。

ある日相変わらず落ち込んでいた僕の目の前に、PCからあいつが出てきた。いや、比喩とかじゃなくてrealで。がちでrealに。

そしてあいつは僕に言ったんだ。「なら、あたしの声を使えばいいよ。」「きっと君の力になれる!」「そう…君の。君だけの言葉でさ!」

けど、いつから変わったんだっけ。

 

 

 

 

そうだ。あのときだ。

あいつがいつも通り、PCの前でお気に入りのネギの模様が入った布団で寝ているときだ。

あいつが気に入ったから作った曲をかけていて、ふと顔を上げて画面を見ると通りすぎた「虎の威を借る狐のくせに!」という字を見たときからだ。

そして僕は思った。結局何をしても僕はダメなんだ、と。これだって、僕の力なんかじゃない。あいつの力なんだ。なら、何故僕がこんなこと言われなきゃいけないんだ。これはあいつのせいだ…そう、僕は思ったんだ。僕のバカな思考で。

それから冷たく当たったんだ。今日なんて特にひどかった。昨日も一昨日もずっと無視をしたんだ。あいつが悪い訳じゃないのに。

あの曲を作っているときの楽しい時間は…もう帰ってこないんだ。作っている様子をゴムボールによしかかりながら見てたり、曲作りの基本を教えてくれたり、あいつが自身の絵を描いて見せてくれたり、和音を知らない僕に自らキーボードに乗って教えてくれたり、雨の日にベランダに出て大きめの葉で傘がわりにして柵のところに座っていたり…

今はもう、何も消えた。

 

 

二人(僕たち)ほどんなにたくさんの言葉を思いついたことだろう。

だけど今は何一つ思いつかなくて。

だけど何もかも分かった。

 

 

 

 

「そうか、きっと、これは夢だ永遠に醒めない、君と会えた、そんな夢…」

 

 

 

 

 

*

 

 

「なぁ…なあっ…おいっ…!」

 

ガラクタは幸せそうな顔をしたまま、どれだけ呼んでももう動かない。

望んだはずの結末に、『君』は泣き叫ぶ。

嘘だろ、嘘だろってそう泣き叫ぶ…―

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

「おいっ…おいっ…!」

 

自分の間違いに気づいた僕は必死にあいつの名を呼ぶ。だけどあいつは強く揺すっても動かない。

あいつの顔はとても幸せそうで、開いたままの瞳は最早意識など無い。

 

「嘘、だろ…?嘘だろっ…!!」

僕の瞳からは大粒の涙があいつの小さな身体のすぐ近くに落ちた。

 

「なあ…目を醒ませよ!」

僕は、泣き叫んだ。

そして僕の無力さを呪う。

 

「…僕は、無力だ。ガラクタ一つだって救えやしない…」

 

 

 

 

*

 

『君』の想いは涙に。

ぽつりぽつりとその頬を濡らす…―

 

 

 

*

 

そのとき。

僕の周りの世界が途端にその色を大きく変えた。

PCから放たれた強い光に僕は咄嗟に目を強く瞑る。

光が収まった頃に目を開けると、そこは兎に角明るくて上も下も分からないような、そう、例えるなら…宇宙を明るくしたような。

そんな世界に僕は立っていた。

次にあいつに歌わせるはずの、新しく完成した歌の楽譜を持って。

すると僕の背後で何かが光りだした。それは四角い何かの断片で、その断片は徐々に一番大きな断片を核として散らばっていたのが集まり始めた。

そして断片は今僕が最も逢いたい少女へと姿を変えた。

少女は宙から僕と同じ地らしきところに片足から着く。

僕の目の前に、間違いなく間違えるはずがないあいつがいる。それだけで僕はもう十分だった。

 

「えっと…あの、心配かけ」

 

「ほんとだよ…もう…」

 

あいつが言い終える前に僕の漏れた声が遮る。

再会に涙が溢れだした。

悲しみ。そして喜び。全てを一人()一つ(少女)は互いに知った。

 

「…その…ごめん。お前のせいじゃないのに…お前に当たった。ほんとにごめん。」

 

少しの間、沈黙が辺りを漂った。そしてその沈黙を破ったのはあいつの「ぷっ」という笑いが堪えきれずに漏れた声からだった。

 

「あはははっ!」

 

「なっ、何がおかしいんだよ!これでも真面目に…!」

 

言葉に詰まった僕は言い返すのをやめた。そしてあいつの笑いにつられ僕も笑う。

ふう、と一度一息をつき、一番訊きたかったことを訊く。

 

「お前…まだ、僕の歌を歌いたいか?」

 

自然と楽譜を持つ手に力が入る。ぐしゃぐしゃにしないようどうにか力を抑えた。

もしもう「歌いたくない」というなら…僕はすぐにこの夢を終わらせ、この楽譜を捨てる。

 

「あたしは…」

あいつが口を開く。冷や汗が背中を伝う。

 

「あたしはまだ歌いたい。まだ…君の力に成りきれてないからね!」

 

そいつは嬉しそうに笑う。まだ歌いたいという気持ちが笑顔を通して僕にも伝わった。

僕は後ろに隠していた楽譜をあいつに渡す。すると信じられないというような表情をして受け取ってくれた。

 

「…何だよ。不満か?」

 

あいつは少し顔を俯いた。決して嫌という気配はない。

顔を上げたあいつの頬には涙が少し伝っていて、それでも嬉しそうだった。

 

「ありがとう…!あたし、まだ君の力になれる!」

 

そしてあいつは早速新しい歌を歌った。

同時に意識が遠退く。最後まで見届けたい。

が、その気持ちも虚しく意識は消えた。

 

 

*

 

言葉は歌になりこの世界を再び駆け巡る『君』のために世界中に響いた。

その声に、意思を宿して。

 

今、想いが響く。

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

「ん…?」

 

再び目を開けるとそこはいつもと変わらない僕の部屋だった。

本当に夢だったのか。にしては現実的な夢だ。

僕はあいつが倒れていたはずのデスクへ足を運ぶ。

そこには、前と変わらず冷たくしたことも忘れたかのようなあいつがニコニコ笑いながら立っていた。その光景に思わず笑みが零れる。

 

「おはよう!今日も変わらずあたしの声は万全だよ!新しい歌、無いの?」

 

新しい歌…渡したあの楽譜だ。あれは夢なんかじゃなかった。現実なんだ。

思わず嬉しさがこみ上がる。

 

「ははっ…そんなに早く作れるかバーカ。」

 

「なっ…!バ、バカじゃないもん!」

 

「まあ…良いだろ…」

 

僕はカーテンの隙間から見える眩しい外を見つめた。

これからは毎日…こんな日々が続くんだ。こんなに嬉しいことはない。

僕はあいつを見る。

 

「そうだね。君の歌…楽しみにしてるから。あたし、いつまでも君の味方だよ。だから心配しないで!」

 

「……ああ。頼りにしてる。だから今日からも…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よろしくな。ミク。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―END―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めての投稿です。
ごめんなさい下手です。
それでも最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これは曲を自己で解釈したものです。
あくまでも、私の解釈です。ご了承ください。
ご感想を寄せていただくと幸いです。

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