休日なのだが、特にやることもないため自分の部屋でゲームをしている。布団の上で寝ながらするゲームは最高だと思う。
急所とかカンスト値が出せたときってすごい爽快。火力こそ正義である。
「よっし、中ボス撃破!」
久しぶりにゲームをするとこれまた楽しい。少し前までは色々バタバタしちゃってて余裕がなかったけど、最近は新しい生活にも慣れてきたこともあり、ゲームを楽しむ余裕ができた。
学校でも友達ができてきたし、絶好調だな!
気分良くゲームをしていると誰かが部屋を訪れてきたらしい。コンコンと部屋のドアがノックされる。
一旦ゲーム画面を閉じ、入ってきて良いことを伝える。使用人さんの誰かかな?
「……帰ってきて早速ゲーム?」
ノックとともに入ってきた千紘さんは俺を見て、やれやれといった反応をするのだが、家に帰ってすぐゲーム画面を開いてログインする。なんてのは当たり前のことだと思うんだけど……
やる気が起きない日でも、ログインボーナスは必ず受け取るようにしてる。只より高い物はないって言うしな。
……ここ一か月くらいは忘れてたけど。
「せっかくの休みなんだから、外で友達と一緒に遊んで来たら?」
「銀とサッカーして遊ぼうと思ったんだけど、断られたからいい」
家族で買い物に行くって言ってた気がする。銀にとって、家族と過ごす時間というのはとても大切なものなんじゃないかと思う。弟の話や家族の話をするときの銀はどこかいつもと違って少し嬉しそうというか。別に普段は笑ってないとかそういう訳じゃないのだが……なんて表現すればいいのだろう。
……いつもより少し幸せそうな感じっていうのかな?
つまり何が言いたいのかというと、銀が家族思いの女の子ということだ。
弟の世話もしてるって聞くし、親からも褒められているに違いない。
家族水入らずの時間を奪う訳にもいかないため、また今度遊ぶことにした。
他の友達と遊ぶという案もあったのだが……なんか乗り気になれなかったので、なら久しぶりに家でゲームでも進めるかということになった。
「三ノ輪家の娘さんか……」
何か含みのある言い方をする千紘さん。つい反射的に聞いてしまう。
「銀のことなにか知ってるの?」
「いや、娘さんのことは知らないが家柄上何かとね」
「あ! そっか、銀の家もカクシキってやつが高い家なんだっけ?」
でも、この前家を外から見たときは特別大きいって訳でもなかった気がする。銀もちょっと広い普通の一軒家だって言ってたし、俺の前の家と同じで庶民の家って感じだった。
別に馬鹿にしてるわけではない。ちらっと中を見たとき和式の家ってわかって羨ましくなった。……和式の家ってなんか憧れる。畳とかいいよなぁ~……でも飲み物とかこぼしたら大変そう。
高嶋家みたいに大きい家もいいんだけど、掃除とかが毎回苦労してそうなんだよな。
そのため自分の部屋くらいは俺が片づけようと思っているのだが、使用人さんたちが掃除することを譲ってくれないのだ。他にも沢山仕事があるはずだし、そのくらいは自分でやらないといけないなと思うのだが……今度もう一度頼んでみようかな。
「あぁ、そういえば同級生の三ノ輪さんの家は確か分家だったか」
本家から分かれた家族の人達……とかだったっけ? 駄目だ思い出せない。
「……まあ、人様の家に他人がどうこう口出しするものでもないな」
多分俺には直接関係のあることではないのだろうけど、覚えてたら今度先生に聞いてみるか。
「そういえば、千紘さんは何で俺の部屋に来たの?」
遊びに来た……って訳じゃないよな。そうだったら嬉しいのだが、普段から忙しくしている千紘さんの様子を見てみるにそれはないだろう。
休日とかでもパソコンと睨めっこしている時もあるのだが……大赦って実はブラックだったりするのかな? 月月火水木金金みたいな。
「あ、ここに来た本題忘れてたわ」
本当に疲れてるんじゃないのだろうかと心配になってくる。大丈夫なのかな?
「優士、明日の日曜日は空いてるよな? 先週からこの日だけは何も予定は入れとくなといってたから大丈夫な筈だと思うけど」
訓練も休みにしておいたしなと千紘さんが言う。あれ、そうだったっけ?
少し遡って記憶を探ってみる。
………そういえば言ってたような気がする。
「うん、大丈夫……」
元から銀と遊ぶのは土曜日にする予定だったし大丈夫だったのだが……危ない危ない。
「まさかとは思うが忘れていたとか……」
「ないないない! だって遊ぶ約束は元から土曜日にしてたから大丈夫……あ、」
やべ、墓穴掘ってしまった。いつもみたいに怒られるかなと恐る恐る千紘さんの顔を見る。しかし予想した顔と打って変わり、呆れた顔を浮かべながら溜息を吐いた。
「まあいい。今日は目をつむっておいてあげるけど、次はそんなことが無いように気をつけるように」
はい、気をつけます……今度からメモとかしておくようにしよう。
「……ちなみに優士、明日何をするかはわかってるよね?」
「それは大丈夫、ばっちり覚えてる!」
確か乃木さんの家に養父さんと一緒に挨拶をしに行くと言っていた。養父さんはそれとは別で用事があるらしいんだけど……挨拶終わったら俺は何してればいいんだろう?
暇つぶしにゲームとか持っていってもいいかなって聞こうとしたのだが、それよりも先に両肩を千紘さんに掴まれる。
「いいか優士、くれぐれも失礼がないようにするんだぞ。君の振る舞い一つ一つが高嶋家を変えることになるかもしれないから……」
訓練の時、もしくはそれ以上に真剣な表情を千紘さんが浮かべていた。圧がすごいのだが……そんなに怖いのかな乃木さんって? 高嶋家と乃木家は古くからの付き合いだって養母さんが言ってた気がするんだけど。それにわざわざ挨拶に行くくらいなんだから友達……って訳じゃないのかな。
大人の交友関係というのは俺たち子どもとまた違うのだろうか?
「わかった。俺も気をつけるようにする!」
なんか大変なことっぽいので忠告はちゃんと聞いておくことにする。大丈夫、俺はやればできる子YDKだからな。
俺がそういうと千紘さんは確認が取れて少し安心したのだろうか顔を綻ばせる。
「じゃあ確認はとれたから僕は部屋に戻るけど……ゲームはほどほどにな」
「わかってまーす」
千紘さんが部屋を出て行くのを確認しゲームを再開する。
明日のことは気になるが、考えすぎても仕方ないしそれで空回りしてちゃ意味ないしな。
今は目の前のゲームを楽しむことにしよう。
主人公はかなりのゲーム好きです。とある勇者と勝負できるくらいには強いです。
この話の次の日が園子と初めて会い友達になった話『普通の女の子』になります。
次回からは園子もにちじょう編に登場しますので楽しみにしていただけると嬉しいです。