クラスなどで纏まって移動する時などによく行われている。効率や規律など理由は色々あるのだろうが、子供達にとっては面倒くさいものである。
かくいう現在、校庭で朝会が始まる前の時間で各自クラスの整列係の子達が頑張って声を出し、背の順番に並ばせようとしている。先生からの
加えて雲ひとつない快晴の空であるためどうしてもじっとしているのが辛い。
それは優士も例外ではなく、額から垂れてきた汗を拭いながら「あっつッ……」というぼやきが出ていた。教室ではいつも下敷きを使って仰いだりしているのだが、今はそれができないため手をパタパタと動かし風を自分に送る。
何もしないよりは増しになるかと思ったが────
◇◇◇
「………」パタパタパタ
(…変わんねぇ〜………)
意味がないことほどやっていて辛いことはないと思う。
それに加えてこの後長い話しを聞かないといけないというのがキツイ。
校長先生の話しって内容が難しくて分かりづらいんだよなぁ……
それは転校する前の学校でも神樹館でも変わらなかった。まあ校長先生とか偉い人のする話しは難しいモン……だよな?
なんだっけ、
当たり前だけどみんな真っ直ぐ先生の方を向いて真面目そうに聞いてるけどさ……いや、俺も顔はきちんと前を向いてるよ?けどさ、話しを聞いてる最中いつも思うんだ。みんなは話しとかちゃんと聞いてるのかなって。だけど横目とかでチラッと見てみると真面目そうに聞いてるように見えるんだよな。
……やっぱ話しが理解できてないのは俺だけなのかな?
いや、ちゃんと聞いてるんだよ最初は。でも俺長い話し苦手だし、なんとなく分かんなくなると意識が違うことに飛んじゃうんだよなぁ……
────だが、こうも思う。
《俺が分からないような話しをする先生が悪い!》と。
勉強だってそうだろう、自分が分からない問題集を出されたってやる気が出るはずがないのだ。
(つまり俺は悪くなかった!!)
勝手に自己満足を終えると、大体ここら辺といつもの決まった場所で待機していた。
その時────
「皆さん、速やかに並んでください!」
透き通っていてどこか力強さを感じる声が聞こえたのは。
……すげぇ、あのクラスだけほとんどもう列が作り終えている。きっと優秀なクラスなのだろうと思いつつちょっとおっかないなーと感じた。
多分整列係の子、なのかな。少し目の前に映っている少女に興味が出たため引き続き整列係?の子に目を向けていると、近くで話していたクラスメート達の話しを偶然拾ってしまった。
「鷲尾さん、しっかりしているなぁ……こんなに暑い日でもいつも通りだよ〜」
「同じ女の子であんなハキハキと行動できるのって尊敬しちゃうよね〜」
(……わしおさん?っていう人なのか)
なんかかっこいい名前だなと、それが最初に抱いた印象だった。
盗み聞きは悪いかなと思いつつも、一度気になってしまったため知りたい欲の方が勝ってしまいそのまま耳を傾けることにする。
「ついこの前まで転校生だったのにね」
「数ヶ月くらいしか経ってないのに、あんな風にみんなの前で行動できるのってすごいよね〜」
ヘぇ〜転校生、俺と同じかぁ………って────
「えぇぇェ!? あの子も転校生だったの!?」
「う、うん。高嶋君は知らなかったの?」
まさかの驚愕の事実を知ってしまい、そのまま勢いよく二人の話しに参加してしまった。
驚かせてしまったため、すぐにごめんと頭を下げて謝ると「急だったからびっくりしたけど大丈夫」と言ってくれたため胸を撫で下ろした。
申し訳なく思いつつもその事実に俺の方が驚きである。
マジかぁ……もう少し早く気づければ良かったぜ。
俺の中では既に仲間意識のようなものが芽生え始めてきていた。
てか、同じくらいの時期に来たってことだったんだよな? 俺は4月の終わりくらいに神樹館に来たからあの子の方が先輩ということか……
次の瞬間、優士の口がニッと笑う。その顔には何かを思いついたということが明確に分かるようだった。
「よっし、今日やること決まった!」
「ありがとね」と二人に感謝を伝えると再び前を向きビシッと並ぶ。早く休み時間にならないかなとその時を楽しみにしながら。
そんな優士の様子を一通り見ていた同じクラスの少女二人は────
「「(鷲尾さんと高嶋君は性格的に合わない気がするんだけど……)」」
しかし、小さな子供が新しいおもちゃでも見つけたかのように目を輝かせる優士を見て、言わぬが吉かと思いつつ口を閉じるのだった。
ーーーーーー
という訳でやって来ました休み時間。授業が終わったらすぐに鷲尾さんのいるクラスに向かう。自分の席で読書をしているところを見るに優等生みたいなオーラがある。
「こんにちはー!」
「……こんにちは?」
本に夢中で気づくのに遅れたらしい。目と目があうのだが……なんか良く思われてないのかな。何かさっきも思ったけど目線がキツいし、機嫌が悪かったりするのかな……虫の
少し萎縮気味になるもここまで来た俺に帰るという選択肢はない。
行け行けゴーゴー!向かってけと自分に言い聞かせながら話しを続けようと頑張る。
「君が鷲尾さんだよね?」
「え、ええ。そうだけれど……」
何か用でもあるのかと疑問みたいに思っているのだろうけど、特にこれといった用はないのである。
じゃあなぜ会いに来たのかというと、とりあえず転校生同士仲良くなるために挨拶でもしとこっかなーって思ったからだ。
ほら、まずは挨拶が大事って言うもんな。友達になったら毎日することでもあるし。
「俺は高嶋優士、よろしく!」
できるだけ明るい雰囲気で鷲尾さんに話しかける。昔読んだ本に第一印象は直ぐに決まっちゃうって書いてあったのをふと思い出し、いつものように接するように心がける。しかし初めて話す人は大抵緊張してしまうものだろう。
「……よろしく、知っているらしいけど私は鷲尾須美。貴方と同じく今年に入った転入生よ」
鷲尾さんが知ってくれていたことに喜ぶ。やっぱ転校生というアドバンテージは強かったみたいだ。
「それで、高嶋君は何をしに来たの? 私と挨拶だけしに来た……ってことはないでしょ?」
「……え?」
訝しげな目で見られるのだが、少し待って欲しい。
……俺、今日は挨拶だけしに来たんですけど……あれ? それだけじゃ駄目な感じ? この後は普通にバイバイして銀達とサッカーする予定だったんだけど……
「………」
「………」
先程とは違い一言も喋らず静かな空気になる俺と鷲尾さん。いや、待てここはいい方向に考えるんだ。これは鷲尾さんと仲良くお話しをするチャンスだと。
何か話題を考えろ、俺!
「………………」
「………………」
片目を少し開けてチラッと鷲尾さんを見てみると、先程と同じようにずっとこちらを鋭い目で見ているのを確認できた。
「……ごめん、ホントは特に用はなかった……です」
「……はぁ…?」
現状の空気に耐えられず謝ってしまった。思わずあははとから笑いする俺。多分何だこいつみたいに不審に思われてそうなので改めてちゃんと謝っておこう。
「いやほんとごめん、今日偶然鷲尾さんが俺と同じく転校してきたって知ってさ。仲良くしたいなーって思ったから、まずはちゃんと会って挨拶しようって思いました」
ただ挨拶しに来ただけなんですということを伝える。
「そ、そう……」
周りにいる人から見れば、なんだこの状況はと思うに違いない。
そんな気まずい空気の中、救いの手は外から差し伸べられた。
「うぉーい!? どこ蹴ってんのぉ!」
「ごめーん!!」
多分どこか予期せぬ場所にボールが飛んでいったのだろう。俺も鷲尾さんも反射的に窓の方を向く。
「(……はっ!……ナイスタイミングだぜ!)」
今この状況を回避するにはこれしか方法はない!
「──あ、やべッ! そういや今日クラスの子とサッカーする約束してたんだった…ごめん鷲尾さん、また今度話そうね!」
「え、ちょっと──」
「わり! 前から約束してたことだからぁ!!」
そのまま走って教室を出る。全くの嘘ではないが……ちょっと心が痛む。鷲尾さん何か言いかけてたし────
「こらぁ! 廊下は走らない!」
「ご、ごめんなさい!」
走っているところを先生に見つかり怒られてしまった。何か今日は不幸だぜ……
(明日、話しを切り上げちゃったことでもう一度鷲尾さんに謝んないとな……)
そのことをしっかり心に残しつつ、銀達が行っていたサッカーの試合に向かった。
はい、ということで鷲尾さんと主人公の出会いでした。
前回の投稿から約4カ月、期間が空きすぎですね……
特に病気とかにはなっていません。自粛期間が終わり学校が始まってしまい、部活やらテストやらと気づけば夏休みといった感じです(白目)
その間には色々ありましたが、一番の衝撃はやはり結城友奈は勇者であるの三期が決まったことですね。「マジか」と声に出して驚きました。
投稿速度に関しては不定期更新になってしまうかもしれませんが、毎日少しずつ話しは書いていくようにしていますのでこれからもよろしくお願いします!