少年は勇者の味方である   作:ft.優士

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やっと二話目(本編)の投稿……


第二話 はじまり

高嶋優士の日記ーーーー

 

今までと同じように勇者御記とは別に日記は続けて書いていこうと思う。

 

内容は勇者御記に書いた内容と同じ部分もあるけど……こっちはまあ、少しぶっちゃけて自分の心情とか思ったこととか御記に書けないような内容も自由に書いていこうと思う。

 

 

んじゃ始めに早速一つ。

 

 

……勇者御記ってどんな感じに書けばいいんだろ?

 

 

 

298年 4月25日

 

──────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───"チリンチリン"と鈴の音が聞こえた───

 

 

 

「……?」

 

 

教科書の朗読が半端な部分で止まる。読めなくて一瞬戸惑う感じではなく、テレビが一時停止で止まるような印象だった。

……いや、例えではなく()()()()()()()()()

 

 

「あれぇ?」

 

「これって……」

 

園子と銀も違和感を感じとり周囲を見渡し始める。

 

 

(これは……まさか!)

 

 

ガタっと須美が椅子から立ち上がる。銀も須美の方を真剣な表情で見てきたところを確認するに気づいたのだろう。

 

 

(間違いない。これは────)

 

 

「なんだ? みんなして固まったふりなんてして……もしかしてドッキリ?」

 

 

そんな緊張感を含んだ静寂な空気を破ったのは聞き慣れた少年の声。「すげぇー本格的だな」と、隣の男子の背中をバシバシと叩いている。

 

 

「いつから練習してたんだ……? ほんとに止まってるみた────ッ!」

 

 

言葉の途中でハッとした顔に変わり、思わず時計に目を向ける優士。

 

 

 

……こんな状況の中でもいつも通りを保てていることを褒めるべきか、自分が御役目を担っているという意思がないただの馬鹿(愚か者)と思うべきか……須美は本気で迷っていた。

 

 

 

「……まぁ、冗談はこのくらいにしておいてと。須美、これはもう確実に()()だよな?」

 

 

時計の秒針が動いてないことを確認すると、打って変わり真面目な雰囲気に切り替わるのだが……最初から知ってた風に装っている優士に対し「あなた、今気づいたんでしょ?」と言わんばかりのジト目を向ける須美。

 

 

 

そんな優士のいつもの様子に呆れるも、すぐに気持ちを引き締める。

 

 

 

何故なら、"()()()()"を告げる音は既に告げられており────

 

 

 

 

(……やっと私達の()()()が始まるんだ……!)

 

 

 

須美がその確信を持った直後、周囲を光が照らす。

 

 

 

 

 

 

 

──────戦いを知らせる火蓋は切られているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「……すっげえぇぇ!」

 

目を開けると、目の前に広がっていた日常ではまず光景に圧巻する。

優士が口にしたのは単純な言葉だったが、須美達の第一印象も大体一緒だったため、特に口を挟むこともなく変わりきった世界をしばし黙って観察していた。

 

「これが神樹様の作り出した結界……」

 

「俺達勇者が戦う為のバトルフィールド、だよな!」

 

キラキラとした目線を向けている優士、横にいる銀と園子も不思議な光景にそれぞれ盛り上がる。樹海という現象については事前に説明されていたが、実際に自分達の目で見てみると改めて色々考えさせられると須美は思ってしまった。

 

 

「イネス見えるかなー、優士は分かる?」

 

「う〜ん、あっちじゃね」

 

「ゆーさん絶対適当だぁ〜」

 

 

話しながら優士は端末を手にし、中に入っているカメラの機能をタッチする。

 

 

「二人ともー、記念に1枚撮ろうぜー!」

 

「「イェーイ!」」

 

樹海を背景にして銀と園子を撮る。ピースを作りつつ、見ている方も微笑ましくなるような純粋な笑顔である。

二人に見せ終わった後、次は自分も撮ってもらおうかなと優士がお願いしていた。

 

 

「高嶋君、三ノ輪さん、乃木さん、遊びに来ている訳じゃないのよ! 特に高嶋君!」

 

 

 

御役目が始まったというのにお気楽に話しをして笑い、さらにポーズをとって楽しそうに写真を撮るなどという行為をしている三人の姿に思わず呆れを通り越して驚きであり、そんなことは須美にとっては考えられないし、信じられないことだった。

 

 

 

三人を見て須美が気を引き締めさせるために注意をするのだが、優士が反論を立てるように須美を説得しようとする。

 

 

「まあまあ、今からそんな気ぃ張ってたら本番で空回りするかもしれないぞ? それにまだ敵さんの姿だって見当たらないし……てかなんで俺は2回も呼ばれたの?」

 

「あなたが一番あてはまるからよ!」

 

「エエー? ソンナコトナイヨー」

 

「何で棒読みなのよ!」

 

 

しかしそれは逆に須美の反感を買ってしまったらしく、いつものように"おこりんぼの須美"(名称元は優士)による叱りつけが始まり、《いつものが始まった》と銀と園子の二人は少し離れたところから傍観し須美に聞こえないように小声で話す。

 

 

 

「須美もよく飽きないよなぁ……」

 

「ん〜、見慣れた光景だねぇ……」

 

 

 

二人の会話に耳を傾けながらもそれぞれの感想を述べる。

 

 

須美による説教(優士限定)は神樹館全体、とまでは行かないかもしれないが一種の名物?みたいになっている。見る側からしたら面白いらしいのだが優士(当事者)からすれば面倒くさいことこの上ないらしい。

 

 

その中で一つの例をあげると、低学年の子達が高学年の教室を横切った際には偶に廊下で正座をさせられて反省している男子が見られるという話しが出たこともあり、それがすぐに優士だと特定されて安芸先生からも怒られたこともあるのだ。

 

 

いや、理不尽すぎないですか? by高嶋優士.

 

 

 

「で、でもほら見てよ、二人ともいい笑顔で撮れてるでしょ?」

 

「……確かにそうね。けれどそれと御役目はまた別の話しです!」

 

「じゃああと1枚だけ! 次は鷲尾さんも一緒に────「駄目です」」

 

 

堅いなさすが鷲尾須美かたい。こういう時の彼女は本当に真面目だから何をしたって後には引かないだろう。

 

 

「ちぇ〜……そうやって融通が効かなくておこりんぼだから友達少ないんだよ……

 

「何か言ったかしら?」

 

「滅相もございません!!」キリッ

 

 

その証拠を見せるように優士はポケットへ端末をサッとしまう。

 

 

 

とまあ、こんな感じで仲の良い? 二人を見て冷やかしたりする輩もいるのだが(銀と園子もあてはまるが)……大半が須美のことをおっかなく思っており言えないため、優士を揶揄いに行くのだが『でしょー!俺達仲良しでしょ?』……というように肯定されてしまい聞いた本人達も呆れるような惚気話(友達自慢)が始まるのだ。もちろん銀と園子の場合もあてはまる。

 

 

 

「あの二人ってさ一部の生徒から付き合ってるとか噂されてるけどさ……」

 

「どっちかというとお母さんとその子供みたいだよね〜」

 

 

須美には失礼と思いながらも、銀と園子から見れば規則や決まりに厳しく注意をしているはとされてる姿はそうにしか見えてならなかった。

 

 

「だあー! 分かったから、こんな時まで説教しないでください!」

 

「じゃあ自覚を持ってもう少ししっかりしなさい!」

 

 

 

逃げるようにしてプイッと他所を向く優士だが、須美が注意を促すのは同じ勇者に選ばれた者として、そしてあくまで自分の友人(自称)と名乗るのであればもっとしっかりしてほしいと思っているからこそのものであり、優士もそれは薄々分かっているのだが……普段の生活態度などに対しても何かと口うるさく言われるため口論になることもたびたび。

 

 

 

二人は別に仲が悪いという訳ではない、むしろ須美からしてみれば優士と話している時はいつもの堅苦しい感じが少し和らいで接することができている。本人は気づいていないが自然と気を使うことなく話せることができており、しかもそれが男子が相手である(優士限定だが)というのは、昔の須美からしてみれば大きな進歩と言える。

 

 

 

五年生の時に同じクラスだったため話しやすいというのもあるかもしれないが、現状で優士は須美が唯一"気を使わないで話せるような相手"というものに近かった。

 

……友達友達といつも言ってる優士はそのことに気づいていないが、とにもかくにもなんだかんだ二人の仲が良いという事実は誰から見ても分かることだった。

 

 

 

「全くもう……」

 

「うー……」

 

 

須美は「また高嶋君のペースに乗せられてしまった……」と髪をかく。

 

 

「…………」

 

「まあまあ、私達もちょっと浮かれすぎてたってのもあったしさ……」

 

「今度また違う場所で写真撮ろうよ」

 

 

しょんぼりとしているのが目に見えて分かり、そんな優士をはげます銀と園子。

 

そんな様子を見た須美も何か思うことがあったのか「はぁー……」っと言うため息を一度吐くと────

 

 

「終わった後で時間や余裕があったら……一緒に撮ってあげても────」

 

「────ほんと!?」

 

 

食い気味に須美の言葉に反応を示すと、顔を縦に一度だけ頷く。

それは呆れたからか、少し罪悪感のようなものを感じてしまったためかは分からないが須美が一緒に写真に入ってくれることを承諾してくれたことが優士にとってはとても嬉しいことだったため特に気にしていないようである。

 

 

 

 

「わっしー優しい〜」

 

「須美さんは素直じゃないなぁ〜」

 

ニヤニヤとした表情を浮かべ須美をからかうようにして言う銀と園子。

 

「────ッ! あぁ、もう……とにかく御役目に集中してください! 高嶋君、いいわね?」

 

「おう。任せとけ!」

 

 

 

顔を赤くして照れつつそれを隠すように確認をとる須美。その問いにやる気は万端といった様子の優士に、そんな二人の様子を見て微笑ましく見守る銀と園子といった温かい空間ができていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──しかし、それはすぐに破られることになる──

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各自再び樹海の観察に戻ると────

 

 

 

 

「アレ見て!!」

 

 

 

誰かがそう言うと、四人はようやく実際にソレを目の当たりにすることになる。

 

 

 

「もしかしてあれが……」

 

 

 

()()()()()()……?」

 

 

 

目に映るそれは、明らかに自然界に住む生物ではなく異形という言葉がこれほど合う存在もいないだろうと断言できるモノだった。

 

 

 

「うひゃあ、なんか気色悪いというかなんというか……優士はどう思う?」

 

 

「……………」

 

 

 

 

優士のことだからいつもと同じように面白いことを言い出すのだろうと銀がちょっぴり期待する。しかし優士からの返事は返って来なかった。

 

 

 

 

「……優士?」

 

 

 

 

疑問に思い、優士に視線を向けてみると先程までの須美との約束をして張り切っていた雰囲気からは想像もつかないくらい静かに、ただバーテックスを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 

先程、バーテックスを目撃した瞬間から俺の身体は金縛りにあったように動かなくなっていた。

 

 

 

脳は正常に動いているため思考を行うことはできる。しかし、腕や足の指を動かそうとしても全く微動だにしなかった。まるで機械の回路が途中で千切れてしまったように。

 

 

 

 

────ナンダ、コレ……?

 

 

 

冷や汗が額から出始める……それはまるで爆弾を目の前にして身体が危険信号を伝えているようだった。更に背中辺りを何かが動き回るようなぞわぞわとした違和感が襲ってくる。

 

 

 

 

────するとそれらを全て吹っ飛ばすように頭の中に一つの疑問が投入された。

 

 

 

 

本当にあんな化け物を倒せるのか?

 

 

 

 

"アレにお前は立ち向かえるのか?"と誰かから頭の中で指摘されたような気がした。

 

 

 

声を喉の奥から出そうとするが、上手く息が吸えず痰がからむようにして声を出すことができない。

 

 

 

────呼吸がしづらい。

 

 

一度大きく深呼吸をし、気分を落ち着かせようとゆっくり目を閉じた。

 

 

 

────その時、五人の少女の姿が目に映った。

 

 

 

 

 

(あ………ぇ───?)

 

 

 

 

 

昔どこかで────その後ろ姿を見たことがあるような。そんな既視感を覚える。

 

 

 

 

────その中でも赤色の目立つ長い髪、桜をイメージさせるようなデザインの服装、そして両手に籠手をつけた少女の後ろ姿から目が離せなかった。

 

 

 

 

……その姿はまるで自分の幼馴染みを彷彿させるような人物だったから────

 

 

 

そんなことはありえないと思いながらも、ついその名前が頭を過ってしまい……

 

 

 

()()────)

 

 

「優士!!」

 

 

「────ぇ?」

 

 

 

身体を強く揺さぶられ、強制的に現実に戻る。思わず両手の指を動かして握ったり開いたりを繰り返し行いつつ俺が銀達の方に顔を傾けると、心配そうな顔を浮かべながら見つめられていた。

 

 

「……大丈夫か? さっきから呼んでるのに全然反応がなかったけど……」

 

 

 

珍しく緊張でもしているのかと思い遠くから様子を見ていた園子と須美も明らかに様子がおかしいことはすぐに分かったため優士の近くまで寄ってきていた。

 

 

 

「────あ、ああ。ごめんちょっと考え事してた……」

 

 

なははと"いつも"のように笑っているが、それが"いつも"の優士の様子と違うことは明らかだった。

 

 

「……ゆーさん、ほんとに平気なの?」

 

「ん! 大丈夫大丈夫!」

 

 

腕を前後に動かしたりして、特に問題がないように三人に見せつける。

しかし先程のような異常な様子を見てしまった以上でそれだけでは判断し難いもののため須美も続けて確認をとる。

 

 

「大丈夫だって! そんなことより、早くアイツを倒してみんなで勝利の集合写真でも撮ろうぜ!」

 

 

「……分かったわ」

 

 

今笑って見せた顔はいつもの彼らしい顔だった。

本人が大丈夫と言っているし、須美はこれ以上追求しても答えは同じな気がしたため納得して諦めることにした。

 

 

 

(だけど、念のため高嶋君のことは頭の隅に入れておきましょう……)

 

 

用心することに越したことはないのだから。

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

……身体は問題なし。

 

痺れなどの異常も感じられなかったためそれについては安心するが……先程見えた光景の方が頭の中にはあった。

 

三人にはああ言ったが、正直言うと先程の光景が目に焼き付いて離れない。しかし何が起きたのか、考えてもやはり分からず……夢でも見ていたのだろうか?

 

 

疑問に思うことが多すぎる。このままでは御役目どころではないだろう……しかしそんなことは言っていられない。敵は徐々に大橋を渡るために進み、世界を壊しに来ているのだから。

 

 

 

 

 

(こういう時は……!)

 

 

 

一度いつもの切り替えでやる"あれ"を行うことにしよう……

 

 

「──んっ!!」

 

いつもより気持ち強めに両手で頰をぶっ叩く。ぱちーんという音とともにひりひりした感覚が襲ってくる。その音に一瞬びくっと驚く須美達だったのだが、今まで何回もその行動を見かけたことがあったためすぐに何のためにやったのかを理解する。

 

 

 

やっぱ効くなぁ……これ。 

 

 

 

さっきの件に関してはとりあえず保留ということで手を打つことにする。

 

 

……今ここで考えたって仕方ないし、きっと答えは出ないだろう。とにかく今は御役目(目の前のこと)に集中しないとな。

 

 

 

切り替え大事!

 

 

 

再び端末を取り出し、とあるアプリを起動する直前順番に銀、園子、須美の顔を見る。須美はいつも通りキリッとしており、銀と園子はいつでもいけるといった準備万端そうな笑みを浮かべる。

 

 

 

そんな友人達のいつも通りの様子を確認したら、自然と顔が綻ぶ。

 

 

 

「よっし! 最初の御役目だ。スタートからかっこよく決めようぜ!」

 

「「おー!」」

 

「……おー

 

「須美、声が小さいぞぉー!」

 

「……おー!!」

 

 

 

掛け声と共に四人が同時に端末に入っているアプリを起動する。

選ばれた子供達はこのアプリ、勇者システムを使用することで神樹様の力を授かることができる。

 

四人は一斉にアプリの変身アイコンをタップする。

同時に、彼女達は光に包まれる────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────そこにはもう戸惑いは無く、自ずと一人じゃないのだと前に進む"勇気"が湧いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




樹海の中でこんな風にはしゃいだりする主人公は多分うちの子ぐらいだと思います……ま、まあ後半はシリアスだからセーフ……

本編と日常編を同時に書いているからやっぱりどちらかに偏って集中しちゃうんですよねぇ……やっぱりみんな本編の方が見たい感じですかね?

最近筆が進まないため、感想やアドバイスなどを書いていただけると作者の励みになります。気が向いたらで良いのでよろしくお願いします。
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