少年は勇者の味方である   作:ft.優士

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久しぶりに書きたくなったので約一年ぶりの投稿です。
今後も気が向いたら書いていく感じなのでそれでも読んでくれる方がいたら嬉しいです(土下座)




第四話 変化していく日常

あの後、四人で力を合わせて何とか敵の撃退には成功した。戦闘が終わった後、街の樹海化は戻りいつも通りの日常が帰ってきた。

 

勇者になったことも、怪物か襲ってきたことも、まるで全て夢だったかのようにも思えた。

 

 

——————

 

 

 

「やっと検査終わったぁ〜」

 

「……高嶋君が暴れなければもう少し手早く終わった筈なのだけど……?」

 

両手を上げ、身体を伸ばしながら呟くと須美からの不満の声が上がる。

現在学校に戻り保健室で各自検査を受け終わったところであり、担当の人(安芸先生)が来るまで待機と指示された。

 

(昔から注射だけは苦手なんだよなぁ……)

 

あの先端の針を思い出すだけでも……駄目だ鳥肌が立ってきた。

 

「でもまさか逃げ出そうとするとはねぇ…ッ」

 

くっくっくと悪どい感じに笑う銀と意外な一面を発見したと嬉しそうにニコニコしている園子がおり、もう絶対ネタにされるんだろうなと半ば諦めている。

 

「ゆーさん、ちょっと泣いてなかった?」

 

「……泣いてないです」

 

「泣いてたわよ」

 

少し、ほんのちょこっと。欠伸した時出るくらいの少量だから実質泣いてはいない。否定するがジーッと三人からガン見されてしまい思わず顔を誰もいない方角に向ける。

……あ、しくった。これだと認めたことになるじゃん。

 

「忘れてくれ、ください」

 

「それはちょっと無理かなぁ〜」

 

「泣きそうになりながら駄々をこねる誰かさんの気が紛れるようにアタシ達が手を握ってあげた気がするな〜?」

 

ニヤニヤと揶揄うようにこちらを見てくる二人の表情から忘れる気が全くもって無いことが伝わってくる。弱みを見せた俺も悪いのだろうけど。こいつらほんといい性格してんな感心するよ。

……てか銀はともかく園子は前までこんな感じじゃなかったよね。いったいいつからこんな意地悪な子になってしまったんだ。

 

 

「仕方ないだろ何か注射器ってデザイン、フォルム?からして異質というか恐怖を与えて来るんだよ! みんなだって少なからず怖かったりするでしょ!?」

 

「「「いや、別に」」」

 

「ハモリで即答!?」

 

おかしい。子供は普通『注射器、ダメ、絶対』の三拍子が基本じゃなかったのか。

 

 

「全く……注射程度で泣くなんて男の子として情けないわよ」

 

「ぐふっ……!」  

 

 

やめて須美。今その言葉は俺にすっごく効くから。

そして後ろで今もなおクスクスと笑っている銀と園子は覚えていろよ。忘れた頃にくすぐり攻撃でも仕掛けてやるからな。

 

 

「その調子なら特に問題は無さそうね」

 

「あ、先生!」

 

「言いたいことはいくつかあるけれど……」

 

とりあえず"四人共"よくやってくれたわ。

 

おつかれさまと労うかのように普段は厳しい先生が俺達の頭を優しく一人一人撫でてくれた。

 

 

「襲来が予定よりも少し早かったようで……突然のことで困惑してしまったわよね」

 

 

正しい状況を伝えることができなかったことを謝る先生。別にそれは先生のせいじゃなくて上層部にいる大赦の人達がしっかりしてないからではないだろうか。ま、事前に色々御役目に対する対処法などを確認していたのが功を成したってところだろう。

 

 

「これから訓練を——「え!? マジで? 今日この後やんの!?」……」

 

 

先生から聞き捨てならない単語が聞こえたため、遮るようにして驚きをぶちまける。実戦終わった後だし流石にキツくないだろうか。

 

「……そんなわけないでしょ、話しは最後まで聞きなさい」

 

呆れたように吐き捨てる須美にあははと笑う園子とやれやれと頭を掻く銀。そしてカチャっという音を立てて眼鏡をかけ直す安芸先生。

やだ何この空気怖い。

 

「……これから訓練を重ねようという矢先で来るとは予定外だったわ」

 

あ、続きからなんですね。……すいません俺には構わず話してください。

 

「検査結果も異常無いし、特に大きい怪我もないみたいだし今日は四人共帰って大丈夫よ」

 

「ほんと!? よっしゃ!」

 

先生の言葉を聞いた俺はその場で軽くジャンプして喜ぶ。結果的に今日の分の授業受けなくて良くなったぜ! 月曜は苦手な科目ばっかだったし。先程よりも強めにボードアタックが頭に飛んできた。

……先生、俺頭悪くなるよ? 多分ただでさえ脳細胞が少ないとおものに。

 

「なら増やすために勉強しなさい」

 

「思考を読まれた……だと?」

 

 

とりあえず今日は寄り道は禁止で家に帰って一応様子見で安静にしてなさいとのことだった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

 

「いやぁ〜今日は疲れたなぁ!」

 

「そう言える時点でまだまだ元気だと思うのだけれど……」

 

「優士っていつでも元気一杯だよな」

 

「ね〜」

 

肩を並べて歩く女子三人組はその少し先で楽しそうにステップを踏みながら進む優士を見つめながら会話を続ける。

 

「ふふ〜♪」

 

「お、園子今日はご機嫌だね」

 

「だってぇ、わっしーとミノさんとゆーさん、四人で一緒に帰るの初めてだったから」

 

「……言われてみればそうね」

 

 

六年生に進級してからは四人共同じクラスになったこともあり、今までよりも何かしら一緒になったりすることが増えていた。休み時間だったり班活動だったり。まあそのほとんどを優士が園子達を引っ張り回しているせい、いやおかげなのだろう。

 

 

「四人で何かするのは楽しいなぁって最近思うんよ〜」

 

「何かって……今はただ帰宅をしているだけよ?」

 

「友達と一緒なら何してても楽しいの♪」

 

ただ自宅までの道のりを進んでいるだけなのに何がそんなに楽しいのかと不思議そうな目で園子を見つめる須美。

 

 

「……あなた達と一緒にいると分からないことがよく増えるわ」

 

 

言葉を話さなくても、それがただ学校の帰り道を歩くだけでもいい。一緒にいることが園子にとっては何よりも嬉しいし楽しいのだ。

 

「近い内わっしーにも分かる日が来るよ」

 

須美はその意味が()()分かっていないらしく頭を傾げている。んん?っとでも言いたげに困惑している姿が園子には少し可愛らしく見える。

 

 

「確かに園子は最近楽しそうだよな。表情とかいつもニコニコしてるし」

 

「えへへ〜」

 

「なになに、何の話し?俺も混ぜて混ぜて!」

 

先へ先へと進んでいた優士だったが、立ち止まって話している三人が気になり飛ぶように戻って来た。

 

「自分だけ仲間外れで寂しくなったのか?」

 

「うん!」

 

少しからかってやろうと思った銀だったが、帰ってきたのはとても素直な返事。想像していた反応と違ったらしく、「あ、そう……」と小さく銀が呟いた。

 

「普通男子ってこういう事聞かれた時は大抵恥ずかしがって否定するもんだと思ったんだがなあ……」

 

「ゆーさんにそういった常識が通じないのはミノさんも知ってるでしょ?」

 

「あぁ……そういえばそうだな。今思い出したわ」

 

そういう園子も大抵常識外れではないだろうかと銀は思ったが、口には出さず自分の心の中に仕舞い込んだ。

 

優士には羞恥心とかの感覚があるのかと少し疑問に思うことが時々いや頻繁にある。少なくとも女の子相手に気軽に話しかけたり、手を握ったり、(友達として)好きだとか素直に伝えられる辺りないのだろう。

 

「みんな俺の歩幅に合わせてよー」

 

「いや、歩くの早いんだよお前」

 

「えぇ〜、みんなでスキップしながら帰ろうよ」

 

「何故?」

 

「楽しいから?」

 

「聞いた本人が何故疑問系なのだろうか……」

 

「これが分からない」

 

「お、有名なゲームのセリフでのツッコミいただきました。園子選手10ポイント贈呈!」

 

イェーイとノリを合わせてハイタッチをする二人。会ったばかりの頃は優士の言っていることやネタやノリがよく分からなかったけど今は見ての通りお手の物である。

 

「未だに高嶋君にだけはついていけそうにないわ……」

 

「考えるな、感じるんだ!」

 

ドヤ顔に近い表情で須美に言い放つ優士。

それができる頃には"頭痛が痛くなってそうだ"と想像する須美。

 

「こういう時の優に対応するには頭空っぽにして適当にそれっぽいこと言っておけばいいんだゾー」

 

「そうそう。ゆーさんも思い付いたこと適当に口に出してるだけっぽい時あるから」

 

「そんな適当な……」

 

「あ、あの雲ドーナツみたいで美味しそう!」

 

「ドーナツ……どこどこ〜?」

 

須美の話しを切り上げ、違う話題を引っ張ってくる優士。園子も乗っかり一緒に空を見上げている。

須美が横にいる銀に呆れたような目線を向けると「ほらね」と苦笑の笑みを返してきた。

 

自分勝手というべきか、いつも自分に正直でいるというべきか、気になる事があったら無視できずにいるところは彼の長所であり短所でもあるのだろう。実際、そんな優士の思いつきや行動に今まで須美達が巻き込まれた回数は両手では数えきれなかった。

 

こんな現状でうまくやっていけるのだろうかと、未来のことを慮ると頭を押さえたくなってくる。須美の中で、三人には大切な御役目を担っているという責任感が少し足りないのではないかと思えてしまっていたが、その考えを撤廃する。

 

 

思い出すのは先程の戦い。最初は作戦もなにも考えていないないただの特攻でバラバラに攻撃を仕掛けていき直ぐに瓦解してしまった三人だったが、そのあと汚名返上の如く仲間同士で連携を重ね自分たちの武器の特性を活かし戦った。優士が褒めてたように特に園子が顕著だった。

 

敵との相性もあったのだろうが、結果だけ見れば、三人とも勇敢に戦っていた中自分は敵の攻撃をいなしたことや敵に向かってきりこんでいく優士と銀を狙った敵の水球を止めるくらいのことしかできておらず、目立った活躍ができなかった事が須美の中では少し悔しまれた。

もちろん御役目を達成することが自分の中では第一であり、自分がとどめを刺せなかったからなどという幼稚な考えは須美の中に存在していないし三人に対する妬みなども一切無かった。ただ胸の中にあるのは自分への戒めだけ。

 

(この失敗を胸に刻み、切り替えていかなくては!)

 

今回のことで分かったこと、いや再認識させられたのは極めて一つ。

()()()()()()だ。何をするに関してもこれができないのであれば話しにならないだろう。ではどうするべきか、答えは簡単である。

 

「三人とも少しいいかしら?」

 

須美は三人に対して一つの提案をするのだった。

 

 

 

 

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