少年は勇者の味方である   作:ft.優士

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本当は第五話でまとめて投稿しようと思ったのですが、時間がかかりそうだったし区切りが付けにくかったので二話に分けました。


第六話 鷲尾須美の良いところ

何故、思い出せなかったのだろう。

 

あの日、初めて■■■■■■と対峙した時に脳裏を過ぎった五人の■■達の姿。そしてそこには自分の幼馴染に似た少女の姿もあって────

 

いつもの様に俺がバカだったから。それだけで片付けられれば簡単に事は済んだのだろう。

 

流石に生まれてからこちらに来るまでの10年間という自分が生きてきた時間の大半、ほとんどを共に過ごしてきた幼馴染の顔を忘れてしまうほど物覚えが悪い自覚は無かった。

 

けれど戦いが終わり現実に帰ってきた頃には、そのことに関する全てを俺は思い出すことができなかった……いや、忘れてしまっていたという方が正しいかもしれない。

 

あぁ、そっか───

 

……思えば、あの日戦いが始まり■■として戦う事を決めた瞬間から俺の身体は既に■■へと近づいていたってことか。

 

あの頃のお気楽だった自分に聞かせてもきっと信じないだろうな。

 

この戦いに巻き込まれたこと、自分が■■として選ばれたこと自体偶然なんかじゃなくて────

 

俺がこの世に■を受けた時から、俺の■■は始まる前から■■■■いたってことを。

 

 

             

勇者御記 ■■■.■.■■

 

────────

 

 

 

祝勝会を終えて1週間が経った日の朝、俺は学校へ向かう前に少しの間銀の家にお邪魔していた。理由としては単純に一緒に学校に登校することと、銀のお手伝いをしに来ていた。他所様の家のことに関しては深く関われないし、実を言えば手伝いなんて言葉を使うくらいのことはしていないのだが。単純に説明すると、朝忙しい時に銀が余裕を持って支度を終わらせられるようにするため弟の相手をしてあげている。女の子は身支度に時間がかかるって言うしね、女の子のことはよく分からないけど髪の毛をそろえたりするので忙しいのだろう。

 

髪といえば銀って四年生の頃は短くしてたのに、五年生くらいの頃から伸ばし始めたんだよな。短い方が楽だとか言ってたのに、それを伸ばすようにしたということは……銀の中でようやく洒落っ気がついて来たということなのだろう。

 

ショートカットの銀はスポーツなどでも全力を出して取り組む姿も相まって男の俺から見てもすごくカッコよかったのだが、髪を伸ばした銀は更に女の子らしさが増して可愛くなっているように感じるので特に問題は無い。松井さんも「自身持って銀ちゃん! 世界一…いや宇宙一可愛いよー!」っと叫びながら抱きついていることもあったので、同じ女子から見ても好印象なのだろう。

 

しかし人間は不平等だなと度々思う。かっこよくて、かわいいとか最強じゃん? ずるいよね。前世は一体どんな徳を積んでいたのやら。

 

少し話がずれたが、もちろん手伝いも毎日という訳ではなく、俺に特に重要な用が無く、時間に余裕がある日だけ立ち寄って手伝いをするようにした。ほんとはもっと手伝おうと思ったがその条件じゃないと銀が納得してくれなかった。納得した後も歯切れが悪く渋々といった顔だったが。

そんなこんなで現在手伝いも終わりしっかり準備ができたらしい銀と一緒に神樹館に向かっていた。

 

「今日もありがとな。弟達の相手してもらっちゃって…にしても金太郎は生まれたばかりだから仕方ないとしても、鉄男はお兄ちゃんになったってのに相変わらずやんちゃっ子のままだし……」

 

「まあまあ、子供は元気が一番だって言うし男の子ならあのくらいのやんちゃは当たり前だと思うぞ」

 

「優士もやっぱ鉄男くらいの時はやんちゃしてたのか? …って聞かなくても今の優士を見たらわかるか…ごめんな、叱られた苦い記憶思い出させちゃって」

 

「勝手に決めつけないでもらえます!?ってか何で叱られてる前提なんだよ!」

 

まあ…銀の言う通り、思い返すと苦い思い出なのは確かなんだけども。そういう銀の方がやんちゃしてたように見えるのだが……言わないでおこう。

それにしてもと銀が先程の家であったことを話題に出す。

 

「鉄男はほんと優士に懐いてるよね。前にアタシと喧嘩した時なんか、優兄が兄ちゃんだったら良かったのにー!って言ってたこともあったし」

 

まあそのおかげもあって助かってるんだけどさと軽い感じに言う銀だが…ちょっと待ってほしい。喧嘩してたとか何それ初耳なんだけど?ってか鉄男は銀に向かってそんなこと言ってたのか…今度ちょっと注意しないとな。ってか俺が理由で二人が喧嘩してたとかだったらすごい責任を感じてしまうんだが。

 

「あー…大丈夫、1日経ったらすぐ仲直りしたし鉄男も怒った勢いで言い過ぎたとは思ってたみたいだったから」

 

「それなら良かったけど…」

 

銀の返答に思わずほっとすると同時に少し疑問に思った。

何故そこまで銀の弟に自分は懐かれてるのだろう。特別なことをしてあげた覚えは全く無いんだよな。

 

特に記憶に残っていることといえば、仮○ライダーごっこしたり、ド○ゴンボールのベ○ータと悟○の一騎打ちを再現したりとかそんな感じのことをしてたかな。思わず役を演じていると段々面白くなってきてしまい、夢中になって悪役に徹しているところを銀から呆れたような目線を向けられたのは内緒だ。

 

戦いごっこをする時は鉄男くんが主人公役で悪役はもちろん俺が毎回やらせてもらっている。再現した怪人の声が結構似ていると好評で、自分はもしかしたら正義役より悪役の方が向いているのではないかと少し考えたりしてしまった。

 

まあ、俺勇者なんですけどね!(ドヤ顔)

 

そんな感じで、後は一緒にゲームしたり、おやつ食べたり、鉄男が園であったことを良く聞かせてくれるのでそれを静かに聞いてあげたりしてあげたくらいかな。他のお父さんも息子に対して似たようなことをしているのではないかと思う。

 

「あれじゃね? 単純に同じ男同士だから気が合うとか」

 

「んー、やっぱそうなのかな…? アタシは女だからそういった男の子の好きなものとかはてんで分からないし、最近は鉄男と話しも合わなくなって来たし、反発するわで……」

 

はあーっと大きなため息を吐く銀。よくある性別の異なる姉弟による価値観の違いが生じてきてしまっているのだろう。例を挙げるなら基本日朝に男の子は戦隊モノなんかを好んで見るようになり、女の子ならプ○キュアを見るようになると思う。物心ついてきて自分のやりたいことを率先して行おうとする時期でもあり尚更だろう。

 

「ま、それもそのうち落ち着いてくるさ。銀の弟なんだから、なんだかんだしっかりしている筈だし」

 

「なんだかんだか…相変わらず優士は人を励ますのが得意そうに見えて、その根拠はいつもあやふやだよな」

 

「うるせーな…俺は馬鹿だから頭使うの苦手だし、銀が求めてるようなカッコいい言葉は咄嗟には出てきませんよーだ」

 

少し嫌味ったらしく銀に言い放つと、銀からはいじけてるように見えたのが受けたのか左手で口元を押さえて恐らく笑うのを堪えているようなので、ジトーっという感じの目で銀に目線を向ける。

 

「別にアタシは悪いとは思わないけどね。考えて難しい言葉を口先で並べられるより咄嗟に出た言葉の方が優士の本心みたいに感じてアタシはす、好きかな……?」

 

「そう? 相変わらず銀は変わってんなあー」

 

しかし俺としてはそんな風に銀が考えてくれてるとは思わなかったので素直に嬉しかった。漫画とかアニメでよくある親友同士だと多くを語らなくても分かり合えるというやつだろうか。

 

 

「あははそうかもな。……相変わらず鈍感なやつめ…!

 

隣で銀が何か呟いてたような気がするが、重要なことならもっと大きな声で言うはずなので多分問題はないだろう。

 

その後も学校へと足を進めていると案の定銀のいつもの体質が発動して、前から犬の散歩をして歩いて来た人の手から犬のリードが外れてしまい、逃げ出した犬を追いかけるというトラブルがあったが何とか始業のチャイムがなる前に学校に着くことができ遅刻は免れた。

 

 

───やはり銀には誰か頼りになる人が着いてなきゃ駄目だなと思った。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「よっしゃ、学校終わり! 須美、園子、銀、三人とも暇だな? 暇だね! よっし、今日は帰りにイネスに寄ろうぜ!」

 

「相変わらず押しが強すぎて断る暇もないわね…」

 

とは口で須美もいいつつ別に今日は特に予定も急ぎの用もないため、提案に乗りイネスに行くことに同意する。園子は寝ているが起こせば絶対来るだろうし、銀はというとイネスの話題を出した時からうきうきとした表情を見せていたため聞くまでもなく。以上、全員無事参加するということになりまして。

 

 

「というわけでやってきましたイネスのー、フードコート!」

 

「おー! ってなんか既視感が…」

 

「この前の祝勝会でも同じことを言ってたわね」

 

「言ってた言ってた〜」

 

「細かいこと気にすんな、2回目の祝勝会ってことにしよう!」

 

小学生の買い食いは基本禁止されているが、神樹館の教育方針では、お金の使い方を知っておくのも勉強だということで四年生を超えた時、つまり十歳を越えればこういった買い食いも許可されている。子供達のモラルが高い神樹館ならではといったところなのだろう。(一部例外生徒あり)

 

「やっぱり、ラムネ味はハズレなく安定して美味い!」

 

俺と銀は以前にも何度か一緒にイネスに来ては色々見て回ってから最後にジェラートを食べて帰るというのがいつから当たりまえとなっていた。

須美と園子も一緒に食べに来れたらいいなとずっと思っていたので今日はその願いが叶った日でもあった。

 

「どう、どう? ここのジェラート、めっさ美味しいでしょ! イネスマニアのアタシ、イチオシだからね」

 

「すっ〜、ごく美味しいぃ〜!最高だよミノさん、ゆーさん、ジェラートってこんなにいいモノだったんだね〜」

 

「おう。やっぱ本場が1番よ! 自分で好きなものを選んで買って食べる!この一連の流れが大事な訳が分かったろ?」

 

「うんうん! ようやくゆーさんの言ってた意味実感できたよ〜」

 

「ちょい待ち、いまいち話しについていけないんだが詳しく聞いてもよくて?」

 

「ああ…悪い。園子、話してもいいか?」

 

笑顔で顔を縦に振る園子に了承を得て、俺が今まで園子と一緒に過ごして来た思い出を簡潔に打ち明ける。

 

園子が御役目を始める前、正確には勇者に選ばれるまでは気ままに外出することが出来なかったこと、そのせいでこういったお店にも気軽に来たりすることが出来ずにいたことを不憫に思い、俺は園子と一緒に園子が当時おかれていた「退屈で窮屈な世界をぶっ壊せ!」作戦(by高嶋優士)を決行したのだ。

 

最初は親に外出をしてもいいかとお願いしてみることから始めた園子と優士だったが、やはりそう簡単に一人での外出の許可は出されなかった。

俺は乃木家の判断に最後まで不満だったが、他所の家庭の事情ということと園子の説得もあり渋々諦めることにした。

 

しかし外出は出来なくてもせめてその場所の気分を少しでも楽しめるようにしてあげたいと思い、園子に会いに乃木家に行く度に色々な差し入れをバレないようによく園子に渡していたのだ…最初の内は。話しを聞いている内に嫌な予感がして来たらしい銀だったがその予感は残念ながら当たっている。

 

後の方には何をしたのかというと学校の帰りに園子を連れて帰り道の途中にある公園に寄り道して遊んだり、近くの駄菓子屋に寄ったりするという大胆な行動を起こしたことが何回かあった。人目に付かないようにちょっと工夫したり、人がいる時は帽子を被せたりとかして誤魔化してはいたが、よく乃木家の関係者にバレなかったなーと常々思う。 

 

多分運も相当良かったよな。

理由は結局今もよく分からないんだけど、俺が園子をしっかり家まで送ってくれると約束できるのであればたまに一緒に下校することを許すっていう条件を園子の家の人が許可してくれたからできた事であって、前と同じでリムジンを呼んで登下校だったら絶対誤魔化しきれなかったと思う。

 

「今思うと結構すごいことしてたのかな?」

 

「そーだよ〜私ゆーさんの行動には驚かされてばかりだったもん」

 

「天下の乃木家相手にそんなことしてたのか…てかバレたらどうするつもりだったんだよ」

 

「そん時はそん時で考えてたと思う!」

 

「つまり言い訳なしと、はあ…」

 

とりあえずその場のノリでサムズアップして銀に応えるとため息を吐かれた。

 

「最悪、園子と関わることを禁止されてたかもしれないという可能性は考えなかったわけ?」

 

「もちろんその可能性も考えてはいた。しかし考えてみてほしい、絶対にバレては行けないこととか秘密の作戦を決行している時ってこう、ちょっとスリルがあるというか…ワクワクしてこない?」

 

結論から言えば、俺はデメリットよりも園子とワクワクを共有する結果を選んだのだ。まあバレたとしても普段から注意されてばかりの俺に責任は全部回ってくると思っていたし俺のせいってことにしとけば大丈夫だったと思う。

 

「…おまえは本当に真のバカだよ。おめでとう」

 

「ありがとう」

 

「褒めてねえ!」

 

銀にツッコミとともに足先で脛を蹴られた。銀なりの心配と見ていないところで無茶でバカなことをしたことを怒ったのだろう。

銀達の手前少し恥ずかしくなって適当な理由を言ったが……

 

それぞれ人様の家の都合があるということは俺にも分かっている。そういうことに安易な気持ちで関わるべきではないということも分かっている。もちろん俺が園子に対してやったことはただのエゴであり、園子を大切にして育てて来た乃木家の関係者からしてみれば子どもの自分勝手なわがままでしかない。

 

しかしどんなに正当な理屈を並べられようと大人達の都合で園子が不憫で寂しい思いをしているのが気に食わなかった。気に食わなかったから反抗させてもらった、ただそれだけだ。

 

今もジェラートを食べながら幸せそうにしている園子の笑顔を見て、やっぱりあの時の俺の行動は間違ってなかったかな…なんて思えたりもしたり。ま、それも今はもう関係なく外出禁止令も解除されたし、終わり良ければ全て良しってやつだ。強引に話しを切り上げる。

 

「はい、この話はおしまい! …ところで須美さんや、お前はいつまでジェラート持って固まってんだ?」

 

ずっと話しに入ってこないため不思議に思い隣に座っている須美へと目線を送るとそこには難しい顔をして、ジェラートを見つめている彼女の姿があった。

 

「わっしーにはジェラート合わなかった?」

 

「会わないどころか…宇治金時味のジェラートがとても美味しくて…」

 

優士と銀は顔を合わせるとニヤリと笑い合う。また一人無垢な子供を虜にしてしまったイネスのジェラート。それも超優等生な須美まで陥落させてしまうとは流石だと褒めてやりたいところだ。

 

「イェーイ。気に入ってくれたなら嬉しいね」

 

「それなのに、なんで難しい顔してるの〜?」

 

「私は、おやつは和菓子か、せいぜいところてん派だったから。それがこの味…わずかに揺らいだ私の信念が、情けなくて…」

 

そろそろカタカナ拒絶症を治しても良いのではなかろうか?

 

「美味しいなら美味しいって素直に認めなよ。そんな態度でいるから、お堅い鷲尾さんのイメージが付くんだぞ」

 

キッ──っといった鋭いワシのような目線で睨んで来る須美。

 

「鷲尾とわっしーだけにワシ(鳥)の真似ってか」

 

ダジャレを言った直後、スパーンという音と共に俺の頭に衝撃が走った。おい、どこから取り出したんだそのハリセン。

 

「さっき同じ階に売ってたのを見かけたから買ってきたわ」

 

こちらを見て得意げに笑う須美。急にどうしたのだろうかこの子は。

……え、この子ほんとに鷲尾さん家の須美さんだよね?

 

「高嶋君には生半可に説教するだけじゃ駄目なことはこの2年間でたっぷり実感してきましたので。それにこういった漫才(ボケ)には張り扇の突っ込みで対応するものだと昨日読んだ本にも書いてあったし……

 

「須美ー?」

 

自分の世界に入ってしまったようだ。こうなってはしばらくの間は帰ってこない。

 

「なんかわっしーってゆーさんと一緒にいる時は凄い面白いよね〜」

 

「そうだな、なんかいつもより生き生きして見えると言うか」

 

「そうか? 須美は戦艦とか歴史の話しを引っ張って来れば俺関係無くはっちゃけるぞ」

 

いつしかやった海面を使った戦略ゲームを須美に進めたら、嬉々とした表情で時間も忘れて夢中になって遊んでたっけ。

 

確かに二人の言う通り、最近は俺への注意喚起(ツッコミ)にも勢いがついてきたように感じるし。少なからず須美の中で何かが変わってきてるのだろう、それはもちろん良い方向に。さっきのハリセンの一撃も一つの証と言える。

 

「ゆーさんはわっしーのこともよく知ってるんだねー」

 

「おうよ。五年生の頃は同じクラスだったし、隣の席に座ってた時もあったからな。神樹館の生徒達の中では誰よりも須美のことを理解してるつもりだぜ」

 

「…一年間だろ? ならアタシとだって四年生の頃は同じ席だったし、大体一緒に過ごしてたじゃん」

 

「銀の場合は俺以外にも仲の良いクラスメートがいっぱいいたじゃん。松井さんなんて四年間もクラスが一緒だったらしいし、流石に一年一緒にいた程度じゃ昔から培ってきた仲にはそう簡単には勝てんわ」

 

俺の返答に納得してなさそうな顔をする銀。加えてどこか悔しそうな表情にも見える。別に須美のことだけではなく銀のことだってしっかり知っているつもりだし仲良しのつもりだ。

 

五年生ではクラス替えで銀とは別のクラスになってしまったが、だからといって疎遠になることは無く学校では休み時間には一緒に遊んでいたし、休日の日もたまに一緒に出かけたり、銀の家で一緒に鉄男の相手をしてあげたりと、仲が拗れることも離れることも無かったと思うんだが…なんなら今日の朝だってあてはまるし。

 

須美は同じ転校生だったし、俺以外には特別仲の良いクラスメートも当時はいなかった。挨拶とかの社交辞令は返されるけれど遊びに誘われたりはしてなかったっけ。同じ転校生なのに何故俺とここまでの差があったのやら。まあ9割性格なのは目に見えているが。

 

整列係とか含めて色々厳格にし過ぎたせいで関わりにくいイメージが着いてしまったに違いない。実際須美の整列の指示はすごく怖い、少しでも列を崩したりあくびでもしようものならその場で粛清されてしまいそうだ。

 

「じゃあゆーさんはみんなが知らないようなわっしーの良いところとかも沢山知ってるんだね〜」

 

私達の知らないわっしーのこと何か教えてよーと園子に強請られる。まあ確かに相手の良いところを知ることは仲良くなるためにも必須だよな、ということで何個か教えてあげることにする。

 

 

「そうだなー……実は須美ってすごい料理が得意でね、和食と和菓子限定なら大人も顔負けなんだ。俺も前の家では料理は毎日作ってたから自信あったけど正直負けを認めざるを得なかったね。

 

それから…そうだ。落ち着いててどんなことにも冷静沈着そうに見えるけど、好きなことにはとことん夢中になってのめり込むタイプだから最初はそのギャップに少しびっくりすると思う。

 

あと、しっかりしてるように見えるけど実は少しおっちょこちょいな部分もあってね?その時の焦った反応は見てるとちょっとおかしくて面白いんだ。

 

よく須美は怖いとか無愛想だってみんなから思われてるみたいだけど実際話してみると全然そんなことは無くて、ただ単に真面目過ぎるだけなんだよね。もっと力抜いて楽に過ごせばいいのになーっていつも思うんだ。

 

勉強面ではいつも俺はお世話になってて、宿題や授業でわからないところがあるといつも持ってて須美に聞きにいくんだけど、その度自分で少しは考えなさいって小言を口にしつつも何だかんだ最後は教えてくれるからいつも本当に助かってる。

 

テストの点数も大体いつも満点か90点台がほとんどでいつもすごいなーって思う。園子と同じ閃きタイプなのかいいなって最初は思ったんだけど実は違くてね。まあ、頭の入りは凄い良いんだろうけど。

 

ノートとか貸してもらってよく見てみると改善点とか注意点がまとめてあったりとすごい工夫されてたり、みんなが気づかない場所ですごい頑張ってるんだなーって思った。そういう努力家なところも俺はすっごく尊敬してる。

 

それからね、須美ってたまに見せてくれる笑顔が────」

 

「優士ストップ! ストーップ!! 須美が、須美さんがもう限界だからやめてあげて! ってか聞いてるアタシまで恥ずかしくなってきた!」

 

須美と過ごしてきた日々を思い返してみるとこんなこともあったなーと懐かしみながら二人に語っていると突然銀から待ったがかかった。

 

「うーん…まだ結構あるんだけどなあ。このくらいで平気か園子?」

 

「私2、3個くらい聞けたらいいかなぁ〜、くらいの軽い気持ちで聞いたんだけど……なんかごめんねわっしー」

 

園子から謝罪を受けた張本人はというと、いつから聞いていたのか両手で顔を隠しながら机に顔を突っ伏していた。

 

「何してんだ須美?」

 

その両耳は茹でられた蛸の如く赤く染まっていた。室内は外と比べてすごく涼しい筈なんだけどな。

 

「いつもふざけてばかりなのに何故そんなところはしっかり見ているのよぉぉ……っ」

 

「須美のことが気になるからだ!」

 

「そういうとこだぞ……まあ他意はないんだろうけど」

 

「おぉ〜! 今のうちにメモメモ〜!」

 

ほんっ、とに馬鹿なんだから……!

 

 

その後は園子が須美とジェラートを食べさせ合いっこをしたり、銀が須美と園子の口にしょうゆジェラートをねじこんで派閥に加えようとしたりと色々あり、初めての体験ばかりであたふたしている須美の様子を横目に楽しみながら俺は溶け始めてきたラムネ味のジェラートを食べ終わるのだった。




UAが10000突破しました!
見てくださっている皆さま本当にありがとうごさいます!
お気に入りも現在は90人近くの方がしてくれており、この小説を読んで少しでも楽しいなと思ってもらえていたら嬉しいです。
最近少しモチベも上がってきたのでこの勢いを無くさないよう頑張って行きたいです(フラグ)
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