少年は勇者の味方である   作:ft.優士

4 / 27
今年初めての投稿になります。
今年も頑張って小説を投稿していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。


初めての友達

新しい小学校、神樹館。

最初は新しい場所ということで、緊張もあったがクラスの人達が良くしてくれたこともあり馴染むことができていた。

神樹館に通っている子供は家族が何かしら大赦に関係しているらしい……って今は俺もその1人か。

 

 

神樹館では指定された制服があり前の学校みたいに私服で行くことができないのだ。最初は着替えるのにすごい時間がかかった。

そもそもネクタイの結びかたが分からなかったので、千紘さんに教えてもらった。でも、制服ってなんか新鮮?な感じがしてワクワクした。

 

 

 

義兄(千紘)さんとは訓練の時などで一緒にいる機会が多いので結構話せるのだが、養父さんと養母さんとはまだ遠慮がちになってしまうのだ。

新しい家族ですと言われてもすぐに分かりましたとはできないものである。

 

 

 

訓練でもまだ難ありといったところだ。

とりあえずは基礎をしっかり身につけることから始めるとのことで、体力づくりを中心に行なっている。腕立てやランニングなどのトレーニングに加え、高嶋家にある空きスペースや大赦が用意してくれている場所などを使って訓練をしている。今までスポーツや習い事など、何もかじってこなかった俺にとっては難しく感じたりもする。

 

唯一思い浮かぶといえば、友奈がおじさんから武術を教えてもらっているところを見たことがあるくらいだ。護身術の一つでも教わっておけばよかったかな。

 

 

 

「ん〜……」

 

自分の席に座り、頭を数回掻く。こういうのを前途多難って言うんだっけ?

 

一人で考え込んでいると突然背中を誰かに叩かれた。

 

「よっす!優士」

 

「おぉわぁ⁉︎」

 

急に背中を叩かれた事に驚いてしまい、ついおかしな声を出してしまった。

 

「あはは!なんだよ変な声出してさ」

 

どうやら面白かったらしいのだが、俺は普通にびっくりした……

 

「…おはよう。銀」

 

少しむすっとしながら挨拶を返す。

 

「あー、悪い悪い。面白かったぞー」

 

「お気に召したようで優士さんは嬉しいよ……」

 

「悪かったって、今度アタシが誇るとっておきの場所に案内してやるから許してくださいな」

 

手を合わせるとごめんごめんと謝ってきた。

 

彼女の名前は三ノ輪銀。俺が転校してきた日に初めて話したクラスメートだ。右も左もわからない自分のために学校を案内してくれた。ちなみに隣の席でもあり、転校してきた当初は授業の範囲やペースに追いつけない俺を毎回ずっと助けてくれた。

 

お礼を言った時も「困った時はお互い様だろ」と、ニッと笑いながら言ってくれた。女の子なのにイケメン過ぎる言動に思わず(あね)さんと呼んだら頭を殴られた。

 

「なんか暗い感じだったからな、何か困りごとがあるならこの銀さんが相談にのるぞ」

 

そんなに顔に出ていただろうか……だとしたらダメだなまったく。

情けない、そう思った。勇者として頑張ると自分の意志で頑張ると決めたはずなのに。この程度で弱音を吐いてたら何も守れないよな……ましてや、友達に心配をかけるようでは……

ふと、ズボンのポケットに入っている栞に触れる。

あの日友奈からもらった栞を士朗(優士)は約束通りいつも持ち歩いている。

幼馴染の彼女の言葉が、思いが伝わってくる気がするから。

 

"士朗君ならきっと大丈夫!!"

 

友奈ならきっと笑顔でそう言ってくれるだろう。

それは気休めかもしれないが、俺にとってはそれで充分だ。

 

「大丈夫大丈夫!ちょーっと考えごとしてただけだから」

 

銀に何でもないというように返事を返した。

悩んだって仕方がないもんな。一歩一歩、自分にできることから頑張っていくしかないんだから。

 

「ふーん……ならいいけどさ」

 

少し不満気な様子だったので、じゃあ本当に困った時が来たら頼らせてもらうと答えると「おう!」と、腕と腕をぶつけニッと笑い合った。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

神樹館に転校してきた日、初めてクラスで話したのが三ノ輪銀という女の子だった。

 

 

「転校生のゆ……高嶋優士です。みなさんと楽しい学校生活を送りたいと思っています。これからよろしくお願いします!」

 

一瞬戸惑ってしまったが、みんな特に気にしていない様子だった。

間違えて前の名前言いそうになってしまった。

……気をつけなきゃな。

 

「高嶋君の席は窓際の一番端です」

 

担任に指定された席に着き、ランドセルを下ろす。

 

「よっ、転校生。アタシは三ノ輪銀よろしくな!」

 

「うん、よろしくね三ノ輪さん」

 

これが俺達の最初のやりとりだった。

 

 

─────

 

 

「ふぅ……とりあえずひと段落つけるかな」

 

「おつかれ、やっぱり転校生の人気はすごいな」

 

俺は今、三ノ輪さんに校内を案内してもらっている。

転校生という一時的な効果により朝から先程まで授業の休み時間の度にクラスメイト達が押し寄せ質問をしてきており、一人一人質問にきちんと答えていたため流石に喋り疲れていた。

そこで、授業の時に銀から昼休みは校内を案内してあげると言われ、クラスメイトには適当な理由を述べ、今に至る訳だ。

 

「ありがとね三ノ輪さん。案内までしてもらっちゃって」 

 

初めて喋る人とかって何となくさん付け、君付けしちゃうんだよな。でも悪いことじゃないからいいよな?

 

「いいんだよ。困った時はお互い様、だろ?」

 

ニッと笑いながら言う三ノ輪さんがすごく眩しく見える。

 

(あね)さん!一生ついていきます!!」

 

少し余裕が取り戻せてきたため少しふざけた返答をする。

 

「誰が(あね)さんだ。アタシの弟は鉄男だけだぞ」

 

頭をチョップで軽く叩かれる。

 

「っつう……三ノ輪さん、弟いるの?」

 

「ああ、それはそれは可愛い奴さ。いづれはこの銀様の舎弟としてこき使ってやるのさ……ふっふっふ」

 

「えぇぇ………」

 

本心なのだろうか……多分違うと信じたい。

 

「あ、そうだ」

 

「ん?」

 

何かを思いついたらしい。

 

 

「アタシのことは銀でいいよ。三ノ輪さんって何かくすぐったいしさ。アタシも高嶋のこと優士って呼ぶから」

 

右手を差し伸ばされる。

 

「…うん! よろしく、銀!」

 

差し伸ばしてくれた手を掴み握手をする。

 

()()()()としての()()()()()()ができた。それがすごい嬉しかった。

 

 

じゃあ友達のよしみとして弟について教えてやると言われ、校内の案内をしながらそれは昼休みが終わるまで続いた。

 

とりあえず銀が弟のことを大切にしてることだけは分かった。

 

 

◇◇◇

 

 

学校の授業が終わり、各自帰りの支度を済ませたものから帰っていく。

ちなみに高嶋家の人から送迎をしようかと聞かれたが丁重にお断りさせてもらった。

今までの暮らしと違いすぎて、そこら辺も慣れるのにはまだまだかかりそうだ。

 

 

残っているクラスメイト達がさようならと挨拶をしてくれたので俺も少し遅れながらもさようならと返す。

……やっぱまだ上手くいかないな。

そもそも話せるようになっただけ大きな進歩だし、何より友達が一人できたのだ。転校初日にしてみれば上等だろう。

 

神樹館の校門を出て、通学路に出る。

事前に高嶋家から神樹館までの帰り道は教えてもらっていたので特に迷うことはないだろう。

運がいいのか、結構真っ直ぐ歩いて3、4回道を曲がるだけなのだ。

 

 

「おーい──!」

 

 

少し不安だったけど、クラスメイト達とも思った以上に仲良くやれそうでよかった。今日は上手く自分を出すことができなかったが明日からは出せるようにしたい。

 

 

「優士ー!!」

 

 

怖そうな人や乱暴そうな人はいなかったし、早くみんなと仲良くできたらいいな。

 

「ゆーじぃぃーー!!」

 

明日もまた友達ができたら嬉しいな。今度は俺から何か話してみればいいのかな?共通の話題ってなんだろう。

 

「無視、すんなぁぁ!!」

 

ランドセルを後ろから誰かに強く引かれた。あれ、なんかやな予感がする。ゆっくり後ろを振り返ると、そこにはすごい怖い笑顔を浮かべている女の子がいました(まる)

 

 

─────

 

 

俺って考えごと始めるとよく周りが見えなくなっちゃうんだよな……今みたいに声をかけられても気づけないことが多い。あんまり普段深く考えたりしないからだろうか。

銀も無視されたのがわざとではないと分かってくれたため許してくれた。

 

「まあ、でも良かったよ。てっきりほんとはお節介とか感じられて嫌われたかと思っちゃったからさ」

 

 

銀は頰をかき、苦笑いを浮かべていた。

 

 

「それはない!!」

 

 

強く否定する。銀が突然俺がだした大きな声に驚くも、気にせず続ける。

 

「俺、初めての場所で知り合いもいないし本当はすごい心細かったけど、今日銀に助けられてすごい助かったし、嬉しかったんだ」

 

また一人になってしまうかもしれない。そう考えないようにしていたけど、やっぱり不安なものは不安だった。

 

「そんな銀のことを嫌うなんて絶対にない!」

 

だけど、手を差し伸ばしてくれたから。友達になってくれたから。

 

「それに俺、銀みたいな優しい人、好きだ」  

 

高嶋優士()と友達になってくれてありがとう。

 

自分の考えを、思ったことを伝える。……そうだ、難しく考える必要なんて一つもない、色々深く考え過ぎてた。それで目の前の友達を傷つけちゃダメだよな。

 

銀の顔を見ると、何故かすごく驚いた顔をしていた。それに気のせいか頰も少し赤い気がする。

 

「どうしたんだ銀?」

 

「だ、大丈夫、大丈夫!問題ないから……」

 

ほんとに大丈夫なのだろうか?すごい動揺しているような気がするけど……まあ、本人が言うならそうか。

 

「これからも友達としてよろしく!」

 

「そ、そうだよな。そっちの意味でだよな……うん、分かってたけど」

 

よく分からないが自分の中で納得がいったらしい。ていうか、友達にそっちとかあっちってあるのか?

俺の知らない友達表現があるのだろうかと疑問に思う。

 

「悪い悪い……こちらこそ改めてよろしくな!」

 

「うん!」

 

先程と同じように嬉しさがこみ上げてくる。

 

「これが、無自覚ってやつか……」

 

「ん、何かいった?」

 

「うんにゃ何も」

 

 

その後は途中まで一緒に歩きながら帰った。

銀の家は高嶋家から結構近いことがわかった。行こうと思えばいける距離であった。

 

家に帰った後、千紘さんから何か良いことでもあったのかと聞かれたので俺は今日の学校での出来事を沢山話した。

 

 

◇◇◇

 

 

次の日。

 

教室のドアの前に立ち、入る前に一度深呼吸をする。

 

「おはよう!」

 

前の学校と同じように挨拶をして教室に入る。

変に気を使ったりせず、いつも通りの自分でみんなに接すればいい。最初は難しいかもしれないけど、少しずつ頑張っていこう。

挨拶を返してくれた銀やクラスのみんなを見てそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




タイトル通りです。主人公に初めての友達ができました。
転校してきたばかりの頃は緊張していることもあって少し大人しくなっています。

主人公は単純でとにかく真っ直ぐな子供っていうイメージです。いずれ設定みたいなのを書こうかと思っています。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。