主人公は基本的にいつもこんな感じです。
小学四年生 1話
「起立」
日直が号令をかけ、皆一斉に立ち上がる。
「礼」
神棚に向かって礼をする。
「神樹様に、拝」
礼をしたまま手を合わせる。
『神樹様のおかげで今日の私達があります』
感謝の言葉を神樹様に伝える。
「着席」
大切な挨拶を終えると席に座り、今日も神樹館での1日が始まる。
────────
「優士、学校には慣れてきた?」
休み時間、ぼーっとしていると隣の席の銀が話しかけてきた。
「うん、おかげさまで」
「そっか、ならよかった」
転校してから幾ばくか経過した。クラスメートのみんなは親切でいい人ばかりで、俺がいつも通りに接することができるようにまでそう長くはかからなかった。特に銀は俺が学校のことで困っている時にはいつも助けてくれる。俺が楽しく学校生活を送れるようになってきたのも銀のおかげだろう。
「次の時間は国語か、宿題って出てたよな?」
問題文に合うことわざを書けっていうやつだっけ。
……ふっふっふ、昨日のプリントは進んでできたから自信があるんだなぁ~これが。
「確か……あったあった、これだろ?」
ランドセルからプリントを取り出し得意げに銀に見せつける。
「今日のは自信があるぜ!」
「おー、どれどれぇ………ツ────」
俺のプリントを見て銀がぷるぷると震えだす……いや笑っている。
なんでだ?……なんか面白いことでも書いてあったっけ?
「…ゆ…優士。お、お前この答えおかしくない?」
銀から返された自分のプリントに目を向けてみる。
㊀ 鬼に
㊁ 石橋を叩いて
㊂ 犬猿の
㊃ 馬の耳に
「うん。ばっちりじゃね」
「どこがだよ」
ツッコミをいただいた。して、どの問題が間違ってるというのだろうか。自分では分からないので聞いてみる。
「どこが間違ってんの?」
「全部」
「え?」
はっはっはっ。……聞き間違いだよね?全部とか言いました?
「この鬼に
一応金棒は鉄棒と書くことはあるが、その場合はてつぼうではなく
なんか銀が考え出してるけど……鬼が鉄棒をしているってこと? 何その変な光景。いや、鉄の棒を装備するみたいな感じなら普通に強そうだな……じゃなくて。
「何言ってんだ銀、鬼に金棒でしょ?」
流石に俺だってそのくらいのことわざは分かるわ。七転び八起きとか、情けは人の為ならずとかね。
「……自分のプリント見返してみろー」
言われた通りにもういちど自分のプリントを見てみる。……あっ、金を鉄って間違えて書いてる。しかし漢字の金、鉄、銅、銀とかって間違えやすくない?
「あ、これは間違えやすい漢字の例えみたいなもんだっただけで友達である銀のことは絶対間違えないからな」
「何が?」
しかしなんでこんな間違いしたんだろう。
────あ。一つだけ思い当たる節が見つかる。
「そういえば、昨日この宿題をしながらゲームを進めてたんだけど」
「100%、それが原因だと思う」
「ですよねー……」
銀から呆れたような目で見られる。しかし仕方がなかったのだ。昨日はイベント最終日のため、限定キャラを手に入れるためにはどうしても周回しなくてはいけなかったんだ。……確率が低すぎて1週間空いた時間にプレイしてやっとドロップだからね。あのゲームの評価が低いのはそういうのが原因の一つなのだろうか?
「そんなにゲーム好きなのか?」
「もちろん、ゲームは俺の生きがいの一つでもあり、存在理由の一つでもあるからな」
「そこまで!?」
少しふざけてオーバーに言ってみると案の定、銀の面白いリアクションを見ることに成功する。ナイスツッコミ、ボケもこなせるし……さては両刀ってやつだな。
「なあなあ、俺と銀で漫才やらない?」
「唐突だな……アタシは見てる方が好きなんだけど」
「いやいや行けるって、一緒に目指そうぜF1グランプリ!」
「……1文字違うだけで大分目指すものが変わってくるなぁ」
あれ、Nワンだったっけ? 今度クラスのみんなの前で披露しようと思ったのだが、まあいいか俺もノリで言っただけだし。
「ていうかさ、優士ってやっぱ勉強苦手だよね?」
「うん、苦手」
逆に勉強好きなやつとか存在するのかな? 問題が解けたときは嬉しかったりするけど、基本苦手だな。
「だよな。アタシも」
「算数とか8桁以上の数字見たら頭痛くなってくるもん」
「それはやばくね?」
いやぁ、仲間がいて良かった。神樹館の子達って頭が良さそうな子ばかりに見えるから、てっきりほんとに全員そうなのかと思って焦ったわ。
「何か失礼なこと考えなかった?」
「き、気のせいじゃない?」
少し安心できた。そうだよ、勉強なんてほどほどにできてればいいのだ。それに小学生なんて元気が取り柄みたいなもんだって誰かが言ってたしな。
「よっし!というわけで、外に遊びに行くぞ銀!」
「いやどういうわけ!?というか、あと1分で休み時間終わるんだけど!?」
この後、銀によってすぐに教室に引き戻された。
次の日、返されたプリントにはチェックと一緒に[もっと頑張りましょう]というコメントが書かれていた。
こんな感じで、日常のお話を書いていくことにしました。
このまま本編に入ってもいいのですが、主人公達の仲についてなど疑問に思う点がいくつも出てきてしまうと思ったため、そこに至るまでの過程を書いていくことにしました。そのため、本編を書くのはもう少し先になると思います。
にちじょう編は鷲尾須美の章に至るまでの主人公達の過去に関する話しがほとんどになる予定なので詳しく知りたい人や本編の展開が苦手だという人向けのお話になると思います。
本編では日常編を見なかった人にも分かるように進行していきたいので、もしかしたら同じような説明が書かれていることがあるかもしれませんが、そこのところはご了承していただけると嬉しいです。