少年は勇者の味方である   作:ft.優士

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銀ちゃんは体育万能型である。


小学四年生 3話

四時間目の授業は体育で現在サッカーをしていた。

 

最初に俺はキーパーをやりたいと言うとみんなから驚かれた。フォワードじゃなくていいのかと言われたのだが、みんなわかっていないなぁ。

キーパーはゴールを守る守護神だよ? 守りの神様とかめっちゃかっこいいだろ。

とあるサッカーアニメを見てみれば考えが変わってくるはずだ。

 

 

俺がキーパーに決まると、同じチームの子から三ノ輪さんは強いから気をつけてと言われた。銀ってそんなにサッカーが上手いのだろうか?

確かにこの前一緒に走った時は早くて驚いたが、銀は女の子だし流石に強いシュートを撃ってきたりはしないだろう。

サッカーは大体男が活躍するものだし。

 

 

 

今回のゲームでは、俺がAチームで銀はBチームであるため敵同士である。

 

ただ今の点数は同点であり、一進一退の猛攻という状況なのだろう。

 

「銀ちゃん!」

 

「ナイス、まっつん!」

 

Bチームの松井さんがパスを出して銀にボールが渡る。

 

「行くぞ、優士!」

 

「かかってこーい!」

 

一対一という状況。しかし俺には止められる自身があった。いや、止められる自信しかなかったといえる。

 

俺の知っている中で女の子のシュートというのは大抵弱かったし、今まで見たことがあるのもコロコロや勢いが弱いシュートばかりだった。前の小学校でもシュートを打つのはほとんど男子だったため、余裕が生まれていた。

 

これは勝負であり、俺は敵チームのキーパー。全力でボールを止めさせてもらうが悪く思わないでくれ。

 

止めに行こうと前に飛び出すが────

 

「もらった!」

 

「……っ!」

 

銀が右側寄りに走ってきてシュートを撃つ体制になったので、ちょうど真正面に立つようにしてコースを塞いだつもりだったのだが……

 

カーブシュート……だと……

 

くそぉ、完全に騙された。まぐれだったとしてもすごい。

 

「いぇーい! 銀様最強!」

 

「やったね銀ちゃん!」

 

銀が先ほどパスをもらった松井さんとハイタッチをして、そのまま手を合わせるとその場でぴょんぴょんと飛び跳ね始める。

 

「くそぉー、やっぱ転校生も三ノ輪は止められないかぁ……」

 

「仕方ないよ三ノ輪だし」

 

くそう、あいつなんでもできんな。男子でさえ素直に尊敬するレベル。テクニックタイプとは、恐れいるぜ……

しかし、このままではまずいことが一つある。銀が体育万能型ということは、俺の上位互換ということになってしまうのではないだろうか?

 

……つまり俺にとってのライバルは銀だった?

 

「高嶋、大丈夫?」

 

「あ、ああ。ごめんな、シュート止められなくて」

 

持っていたボールをチームメイトに渡す。

自分でキーパーやるって言っといて止められないとか恥ずかしいんだけど。

 

「大丈夫、取られたら取り返すさ!」

 

そんな俺を励ましてくれるチームメイト。……そうだな、まだ試合は終わってないぜ!

俺は銀に聞こえるように宣言する。

 

「ぎぃぃぃーん!! 次は絶対止めてやるからなぁぁ!!」

 

そう言うと、「望むところだ!!」と返された。あいつ、ほんとにかっこいいな……男だったら絶対女の子とかにモテるタイプに違いない。

()()()()()()()、なんていうんだっけ……ショートカットってやつか。性格も良くて顔も良いって反則じゃね?

 

 

だがしかーし! 男が女の子に負けるというのはどんな理由でもカッコ悪い。

絶対次こそ止めて、俺が銀よりすごいんだってことを証明してやるぜ!

 

 

「よっしゃあ! みんなーサッカーやろうぜ!」

 

 

かかってこいという意味合いをこめて言い放つ。

しかし俺は忘れていた。この時が体育の時間で授業の一環であるということを。それに気づいたのは必要以上に大声を出すなと先生から怒られた後だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「あぁぁ……疲れた」

 

四時間目ということもあり、疲労感と空腹感が同時に襲ってくる。午前の授業が終わるともうあっという間に放課後になってる気がする。

 

水飲み場の蛇口から水を出し、乾いた喉に水を流す。思いっきり動いた後の水分補給っていいよな〜……生き返っていく感じがする。

 

飲み終えると、隣の蛇口を使って水を飲んでいた銀を見る。

顔が良いやつって何してても様に見えるなぁ……

 

「……なんだよ、人の顔じろじろ見て」

 

少し照れ臭そうな顔を浮かべる銀。ついじっくり見てたわ。

 

「ごめんごめん。銀って"()()()()()()()()()()()"からさ、つい見ちゃってた」

 

さっきのシュートもすごかったし! どうやったらカーブシュートって打てるようになるんだろう? 今度教えてもらおうかな。

 

「……かっこいい、か」

 

そう言った銀の様子はいつもと違うように見えた。なんていうか、うーんと言いたげで微妙そうな顔を浮かべている。どうかしたのだろうか?

少し考えるようなそぶりを見せる銀。

 

 

「具合でも悪いの?」

 

「……ううん、何でもない。それより、今週はアタシ達が給食の配膳をする当番でしょ。早く着替えないと!」

 

「あ、そうだった! 急がないと!」

 

やっべ、普通に忘れてたわ。俺たちの班が揃わないと給食の準備ができないため、クラスのみんなに迷惑をかけてしまう。

 

「じゃあ、お先!」

 

「あ、待ってよ銀!」

 

先に走り出した銀はいつもと変わらない様子だった。

気のせいだったのかな?

 

 

 

まぁいいや、とにかく急ぐことにしよう。

俺も早く給食食べたいし。

 

 

 

 

 

 

 




女の子にかっこいいと言う主人公……本人は褒めたつもりらしいですが、銀ちゃんはどう思ったのでしょう。

この小説では、四年生時点の銀ちゃんは短髪の設定です。

ちなみに松井さんは原作四話で名前だけでてくる銀の友達です。
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