いつの間にか女サイヤ人になっていますた   作:無名戦士

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誤字脱字報告ありがとうございます!
本当は金曜日投稿したかったのですが、予定が狂ってしまいました。


第十二話

 ギネは困惑していた。

 死んだ目で出された料理を食べるキューカの姿は悲しみを感じさせるものがあった。あの惑星で何があったのかは分からない、大猿を制御すると言って飛び出していった彼女がまさかああにも落ち込んで帰ってくるとは誰が予想できるだろうか。

 

「えっと・・・」

 

 どう声をかけていいのか分からないまま、ギネは言葉を詰まらせる。キューカが出て行ってから数日後、ギネは様子を見に行ったが彼女はなんともなく元気そうだった。

 あの日以降、何かあったのは確実だろう。だからと言って聞き出せる雰囲気ではない、今のキューカの機嫌はかなり悪かった。

 

「悪いねギネ、態々誘ってくれたのに・・・」

 

 気分はあまり良くない。尻尾の弱点を知ったその日からというものの、彼女はひたすら尻尾を鍛え続けていた。木の枝から尻尾だけで宙づりになり、大型動物に尻尾を踏ませたりと工夫していた。

 しかしそれでも根本的な解決にはならない。最終的に彼女は持ってきていた栽培マンを使い、尻尾を握るよう命令したのだ。その時の光景は余りにもシュールであり、キューカにとって屈辱にまみれていた。

 大猿の制御ができるようになったものの、尻尾は相変わらず弱いままだった。今のキューカにとってそれはとても耐えられない事なのだ。

 

「あたしは別に気にしてないよ、でも大丈夫?」

 

「大丈夫じゃない・・・」

 

 そう言いながら彼女は肉を口に入れた。

 当初の目的は何とかなったものの、新たに見つかった弱点を克服しようと四苦八苦したのに解決に至らず落ち込むのも仕方のない事かもしれないのだ。

 

「キューカ、あの惑星で何かあった?ずっと機嫌が悪いけど」

 

 すると彼女の手が止まり、何か思い出したかのように両手で顔を隠した。隙間から薄っすらと頬が朱に染まっているのが見え、それを見たギネは首を傾げさせた。

 

「キューカ?」

 

「───っぽ」

 

「え?」

 

「あたし、尻尾が弱い事に気付いたんだよ・・・」

 

「え、尻尾ってあの尻尾だよね?それだったらサイヤ人全員も同じだと思うけど・・・」

 

 ギネの言う通り、尻尾はサイヤ人にとって最大といえる弱点だ。しかし、その弱点も鍛えれば克服できるようなものであり、そこまでキューカが気にするほどでも無いように思えた。

 

「それは知ってるよ、それに鍛えればなんとかなるのも知っている。だけど・・・」

 

「だけど?」

 

 ここでキューカは覚悟を決めるかのように深呼吸をした。

 

「幾ら鍛えても弱いままだったんだよ・・・」

 

 溜め息を吐きながら彼女は頭を抱えた。

 それを見たギネは、なんとか落ち込むキューカを慰めようと頭をめぐらせる。ギネもキューカと同様に尻尾が弱点なのは変わらないが、それでも尻尾を鍛えることによって克服ができたのだ。他のサイヤ人も同様で、鍛えても克服できないという人間はいなかった。

 彼女の事だから、弱点は徹底的に無くそうとするはずだ。

 

「一応聞いておくけど、どれくらいやってた?尻尾のトレーニング」

 

「・・・二週間」

 

「二週間か、うーん」

 

 普通、一週間もトレーニングをやっていればある程度は慣れてくるはずだが、どうやらキューカはそうでも無いらしい。

 もしかすると彼女は、極稀に生まれるとされる特異体質を持っているかもしれない。

 

「まぁ、何も気付かないよりかはマシかな。もし気付いたのが戦闘中だと思うと、身震いが起きるよ」

 

 もし戦闘中に尻尾を握られたとしたら、酷い目を見る羽目を見る事になるだろう。これが前回戦ったリコ星人だった場合、確実に自分は死んでいたのだ。

 これだけで十分儲けものだと考えればいいのかもしれない。

 

「確かにそうだけど、どうするの?一週間後、キューカはまた仕事に出発するんだろう?」

 

「そうだけど、出発前までトレーニングをやることにするよ。それでも無理だったら、その時は気合で何とかするしかないけど」

 

 もしかするとあたしの尻尾は他のサイヤ人と比べて、やや敏感な体質を持っているのかもしれない。出来ればそうとは考えたくないものだが、仮にそうだとしたら我慢するほかないだろう。

 ハァ、いくらサイヤ人とは言え、弱点があるのは辛いものがある。

 

「・・・ねぇ、キューカ」

 

 ギネはまるで怯えるかのように、小さな声であたしの名を呼んだ。その目には、少しばかり怯えが含まれているようだった。

 ギネの視線の先には、二人のサイヤ人はニヤニヤと笑いながら何か話す姿が見えた。二人のサイヤ人はまるであたし達二人を見定めるがの如く、舐めるような視線で見ていた。

 一目見た瞬間、あの二人のサイヤ人はあたしにとって嫌いなタイプだという事を確信した。

 

「なんだ、あの二人は」

 

「分からない、けどずっとあたし達を見てるよ」

 

 確かにさっきまで視線を感じていた。

 まるで舐め回すかのような視線はあの二人だったのか。ハッキリ言って、不快だ。

 

「さっさと食い終わらせてここから出て行こう」

 

「うん、そうだね」

 

 その時だった。

 あたしとギネの様子を見ていた妙な二人組は動き出し、あたし達二人に近づいて来るのが見えた。

 遅かった。そう思いながら近づいて来るサイヤ人二人の戦闘力を測る。・・・どちらも戦闘力は1500程度、あたしの敵ではない。

 

「キュ、キューカ・・・」

 

「大丈夫、なんとかするさ」

 

 震えた声であたしの名を呼ぶギネに声を掛けながら二人を見た。二人のサイヤ人の目は明らかに下心が丸出しだった。スカウターで相手の力量を測らない様子を見るに、相当な馬鹿だと言うことが判る。

 

「ヒヒッ、よう嬢ちゃん」

 

 二人はあたし達がいる席まで来ると、ナンパにしては糞以下の誘い文句で話しかけて来た。上半身から下半身まで、舐める様にゆっくりとあたしの身体を見た。もはや、この時点であたしはこの二人を本気で殺そうかと考えたものだが、理性が働いたおかげで何とか思いとどまらせることができた。

 

「なに?」

 

 キューカは冷めた目で、二人のサイヤ人を見た。いつ相手が何をしてきてもいいように、最大限の警戒をしつつ二人の様子を伺う。

 二人のサイヤ人はギネはともかく、明らかにキューカの事も格下を見る目だった。戦闘力が低いのにも関わらず隙だらけ、戦士としても三流以下で相手にするのも馬鹿らしかった。

 

「そんな目で見ないで俺たちと遊ぼうぜ?」

 

「そうそう、あんたら二人で寂しく飯食うより俺たち二人と一緒に居た方が楽しいだろ?丁度俺らも二人だしさ」

 

 ギネは心配そうに見るなか、あたしは額を触れた。この二人の馬鹿さ加減に、不快を通り越して思わずあきれてしまったのだ。

 この手の奴は死んでも治らない、それどころか反省しないまま再び同じ事を繰り返すだろう。ある意味で、厄介な存在だ。

 

「誘うなら他をあたりな。今のあたしは機嫌が悪いんだ」

 

「なら俺がその機嫌を治してやるよ、な?」

 

「なあ良いだろう?」

 

 断ったがいいものの、それでも尚しつこくこの二人にキューカの苛立ちが増していく。未だ10代にもなっていない自分達に対し、所詮ガキだと見くびるその姿勢に不快に感じるのは当然の事だろう。

 

「はあ、いい加減にしてくれないか?」

 

「あ?んだとガキっ!」

 

「ガキの癖に何なm「黙りな」・・・っ!?」

 

 殺気を送れば、二人の動きはピタリと同時に止まった。ちょっと殺気を送っただけでこれだ、その程度でビビるなら何故スカウターを使わなかったのか甚だ疑問だ。

 威勢がいい割にただの小者じゃないか、笑わせないで欲しいものだな。

 

「さっきからあたしが下手に出れば、何故そこまで調子に乗れるんだい?その顔に付けてあるスカウターは飾りか?」

 

「このガキ、言わせてみればっ!」

 

「言わせてみれば、なんだって?たかがその程度の戦闘力で私を倒せると思っているのか?」

 

 彼女は心底馬鹿にした口調で告げると、二人の目には捉えられぬ速さで片方のサイヤ人の首を掴んだ。

 

「う、が・・・」

 

「少し動いただけでこれか。元々期待はしていないけど、もう少しなんとかならなかった?」

 

 首を掴む力を少し入れる。その少しがこの男にとって凄まじい力なのだろうが、彼女からしてみればどうでもよかった。

 キューカの手から逃れようと足掻くが、息ができずやがて気絶してしまう。

 男の気絶を確認した彼女は、完全に怯えきった男へと視線を向けた。

 

「ひ、ヒィっ!」

 

 情けない声で悲鳴を上げて後ずさる男に、気絶した相方を投げた。ドサッ、と言う音とともに男は腰を抜かし、その場に座り込む。

 そんな男を見るキューカの目は、仕事で原住民を殺している時と同じ目であった。酷く冷たく、見るものを全て凍らせるかのような目、男に更なる恐怖を与えるのに十分過ぎた。

 

「一応、言っておくがあたしの戦闘力は5200だ。その意味が、分かるか?」

 

 既に青ざめていた男の顔が、更に青くなる。散々キューカを侮ったツケが、今ここで回って来たのだ。

 相手の力量すら測ろうとしないこの男にとって、丁度いい教訓になるだろう。

 

「た、たすけ・・・」

 

「安心しな、命は取らんさ・・・。その代わり二度とあたし達に近付くな、次近づいたら・・・分かるよな?」

 

 必死にコクコクと頷く男を見たキューカは、満足そうな顔で言った。

 

「いい子だ、ならさっさとコイツを連れて行きな!」

 

 そう言われた男は相方を担ぎ、その場から逃げて行った。漸く面倒事が終わったと思いながら、あたしは深い溜め息を吐いた。

 今日で何度目か分からぬ溜め息、この日だけでどれだけの幸運を逃したかと思うと物凄く腹立たしかった。

 

「だ、大丈夫?」

 

「ん?ああ、大丈夫だ。ギネは?」

 

「あたしも大丈夫」

 

「なら良かった。それにしても、あいつらは何だったんだ?成長促進剤のお陰で成長が早いとは言え、まだ10に満たない歳だって言うのに・・・」

 

 明らかにあの二人の様子は異常其の物だ。二人の歳は四、五十代の中年、幼女趣味にしても何か様子が可笑しいようにも見えた。

 

「多分だと思うけど、女のサイヤ人って数が少ないらしいしそれじゃないかな?」

 

「つまりあいつらは行き遅れ、ねぇ・・・」

 

 前世のあたしもあいつらと同じだったようだから多少は同情できるが、それとこれとは違う。奴らはあたしの機嫌を更に損ねたんだ、これ以上は同情する気もなれん。

 

「まあいいか、さっさと飯を食って家に来ないか?」

 

「・・・?別に良いけどなんで?」

 

「この間食べたギネの料理が美味かったからさ、あたしもやってみたは良いけど分からない事があってな」

 

「そう言う事ならお安い御用だよ。作るなら帰りに何か買ってから行こうよ」

 

「お、良いねぇ。じゃあ何作ろうか───」

 

 この時点で既にキューカの頭からあの二人の事は頭の中から消え去っていた。記憶に値する価値も無い、それがあの二人に対する評価であったのだ。

 ギネとキューカは、先程までの出来事がまるで無かったかのように、談笑を続けるのであった。




今回は頭に思い浮かんだ事をひたすら話にしただけ、次回の内容は決めておりますが正直言ってネタが切れてしまって大変です・・・。

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