「フ、フリーザ様。まもなく、惑星フリーザNo.0に到着いたします」
フリーザは報告に来た部下をチラリと見る。
爬虫類タイプの異星人で、その外見はお世辞にも良い方とは言えない。とはいえ、フリーザ本人からしてみればそこは心底どうでも良かった。問題なのは、この者が酷く怯えている様子なのだ。
ガタガタと震え、今にも逃げ出したいと考えるその姿勢にフリーザは苛立ちを覚えた。
「フリーザ軍に臆病者は要りません。ドドリアさん!」
「了解しました。おい、大人しく付いてきな」
「あ、あぁっ・・・!お、お許しを・・・」
ドドリアに首根っこを掴まれた異星人はずるずると引きずられていき、命乞いの声が遠のいて行った。フリーザのもう一人の側近であるザーボンにとって、この光景はある意味見慣れたものであった。
基本的にフリーザは無闇に部下を粛清する事はないが、彼の機嫌が悪い時に限ってだが粛清が行われる事がある。主な粛清対象はフリーザに対して不満を持つ者、またはただの役ただずが対象になる事が多かった。先ほど連れて行かれた異星人も前者であり、クーデターを画策していた疑いがあったのだ。近い内に関係者全員も粛清される事だろう。
この時、ザーボンは機嫌が悪いフリーザの事を恐れていた。いつ自分にもとばっちりが来るのか分からず、先ほどの兵士と同様の未来が自分にも訪れるのではないかと恐々としていた。
とはいえ流石に顔には出してはおらず、普段通りの凛とした立ち振る舞いで内心を隠していた。
「ところでザーボンさん、以前ベジータ王に頼んでいた例の件、どうなりましたか?」
ザーボンの心情を知ってか知らずか、フリーザは数年前に命令していた話を持ち出した。一瞬見抜かれていたのかと焦りもしたが、気にも留めていない上司の姿を見るとザーボンは胸を撫で下ろしたした。
「つい先ほど、ベジータ王から例の件に関する報告が来ました。どうやら、七年前に生まれたサイヤ人のガキの親はエリート戦士だそうです」
「で、その親はどうしましたか?」
「手筈通り始末したと・・・」
「ほっほっほ、ベジータ王も保身の為とは言え随分と手際が良いですねぇ」
数日前に指示したばかりの命令、それがたったの数日で片付けられた事に僅かだが衝撃を受けた。
ベジータ王は下級戦士たちの事をあまり良い印象を抱いていない、それどころか徒党を組んで反乱を起こされる事を警戒しているのだ。下級戦士でありながら戦闘力値が王族並と聞いたベジータ王は、すぐさま子供の両親の特定に乗り出したのだ。
そしてすぐに子供の両親は見つかった。親は王族直属のエリート戦士、戦闘力は共に7000と非常に優秀な者だ。
「優秀な戦闘員をその日の内に処刑ですか、ベジータ王らしいですね」
手渡された書類を見ながら、フリーザは小さな溜め息を吐いた。ベジータ王の過激すぎるその性格は、フリーザにとってあまり好ましいとは思っていなかった。何かある度に優秀な人間を殺し、身勝手に行動するベジータ王は何かと合理性に欠けている、というのがベジータ王に対するフリーザの評価だった。
「例のガキを下級戦士にした理由は、どうも育児の際に発生する義務が面倒と感じたようですね」
「ただの杞憂だったという事ですか・・・」
理由がどうであれ、フリーザはあの二人のサイヤ人を生かすつもりは端からなかった。自分の許可なく、身勝手な行為を働く人間はフリーザにとっても目障りな存在なのだ。
「サイヤ人の子供は今何処に?」
「カーレ星の制圧に向かっているという報告がありました。始末致しましょうか?」
少し、思案する。此処で脅威にならない内に始末しておくか、そのまま生かしておくかでフリーザは考えた。勝手を働いて疑惑を持たれたのが親であって、その子供には何の罪が無い事を手元の書類がそれを証明していた。
「たかが猿一匹、放っておいても構わないでしょう」
精々自らの野望を成し遂げる駒になればそれでいい、というのが彼が出した結論だった。エリート戦士が親なのだからそれなりに優秀な戦闘力を持っており、何より下級戦士では極めて貴重な戦力に成り得る。ただでさえベジータ王はエリート戦士を出動させるのに難色を示し、よっぽどの事が無い限り前線に出ない。
「少し様子を見てから判断します。使えるのでありましたら、精々死ぬまで使ってあげなさい」
「ハッ」
失礼致しましたと一礼し退出して行くザーボンを横目に、フリーザは妙な胸騒ぎを覚えた。理由は分からない、まさかあの子供が・・・?と思案するもフリーザは単なる杞憂だと断じ、他の事に意識を向けさせた。
今から数十年後、この何気ない判断が己の首を絞める事になるとは知らずに・・・。
今回はいつもと違ってかなり短めです。一応後編としてカーレ星に向かってキューカの話を出す予定でしたが、以前書いた内容と被った為に没となりました。
次回は漸くあのキャラの名前が出るかも・・・?
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