サイヤ人はその種族柄、仕事から帰還した直後に再び惑星の侵略に駆り出されると思っていたのだが、どうやら違ったらしい。暇なのだ、この最低でも一か月の間はあたしに仕事が来ない。
給料や報酬で一年近くは余裕で過ごせるだろう。実質的な長期休暇にあたしは驚いたが、暇なのだ、あまりにも。長期休暇が始まって今日で15日目の昼、あたしは行き詰っていた。
始めは基礎トレーニングや技の開発に時間を潰していたのだが、どうしても暇になってしまう。ただそこは耐えて少しづつ強くなるものだが、如何せんあたしは元々の素質のおかげで強くなっている節があるのだ。戦闘力と技量の差にギャップがありすぎる。
「さて、どうしたものか・・・」
修行をやろうにもまず何を始めたらいいのか分からないに加え、そもそもが教えを乞う様な人間が居ないのだ。全てを自力で鍛えなければいない現状、一番効率的に強くなれる方法は実戦を積む方法以外無い。
「そうだ、クリリンと悟飯がやっていたイメージトレーニングをやってみてみるか」
たしかにアレは使えそうだ。ナメック星に向かう時以外には見た記憶はないが、それでも何もやらないよりかはマシだろう。
だが、あたしの想像力だとできるものなのか?それ以前に強い奴と言えば、以前戦ったキドゥ以外に居ないし・・・まあ、試して見るか。
「・・・・・・」
集中集中、確かキドゥは鶏みたいな顔で、鳥と人間のキメラみたいな奴だったな・・・なんかフライドチキン食べたくなってきた。
最近は栄養剤以外口にしてないし、そろそろまともな飯が食いたい。
「だけど、あたし以外のサイヤ人とは関わり合いたくないんだよなあ」
どうしても気が合いそうにも無い、聞くたびにどんな殺し方が良いかで談義してるんだ。元日本人であるあたしからしてみればその会話には入りたくは無い。
こうして見ると孫悟空がかなり性格が良いのかが分かる。・・・ニートでよくあの世に行くけど。
あーやばい、色々と脱線してた。
「・・・・・・」
集中集中、キドゥの動きを想像しろ・・・。
「・・・・・・zzzzzzzz」
zzzzzz・・・ハッ!?。
「・・・いや無理だろ」
クリリンの奴どうやってアレやっているんだ?悟飯も悟飯で何適応しちゃってんの?君一年前まで戦闘のせの字も知らなかったやん・・・。
「はあ、これは諦めるしかないか・・・」
あたしは溜め息を吐く事しか出来なかった。右も左も分からない状態で技術を上げるのはやはり至難の業、やはり実戦で腕を磨く他に方法は無いだろう。
「身体を鍛えるか」
それなら手段は沢山ある、ドラゴンボールの修行法として有名なのが悟空とクリリンがやった修行法───
「ここ一面耕すか」
見渡す限り全て荒野、人里から10km離れた場所だがまあ問題はない筈だ。特に範囲を決めてはいないが、まあ大丈夫だろう。亀仙人の修行法ではあるが、何もやらないよりは真似した方が良いだろう。
「やるか」
出来れば重りが欲しい所だが、無い物を強請っても仕方がない。惑星ベジータの重力がその代わりと考えればいいだろう。
このやり方がそれ程の効果があるのか、見ものだな。
◾️
惑星侵略に於いてフリーザ軍は二つのパターンに分けられている。
一つは通常戦力を用いた侵略、一つは戦闘力が一定以上超えた戦士を向かわせるのがある。フリーザ軍は全宇宙の制覇を主目的と定めており、戦闘力が数百以上の戦士を数多く所属しているが何せその絶対数が少ない。
個がいくら強くとも数多くの人間を支配、征服するのに限界が来るのだ。そこでフリーザ軍は数を補うために地上軍を保有している。
地上軍の構成員全員の戦闘力が一桁代と低いものの、彼らは地球とは比べ物にならない高度な兵器群を有しており、フリーザ軍の勢力拡大の一手を担っているのだ。
しかしそんな地上軍が手に負えない惑星が出現した場合、フリーザ直轄の部隊が動くことになる。地上軍と異なるかつ、地上軍とは比べ物にならない戦闘力を持つ部隊はフリーザ本軍*1と呼ばれている。
形式上ではサイヤ人もフリーザ本軍所属とされているが、まあサイヤ人に与えられる仕事はあの有名な宇宙の地上げ屋こと原住民の抹殺だ。
とまあ、出発するまでの休憩の間にフリーザ軍について調べた内容だ。率直に言ってフリーザ軍はサイヤ人を見下しているのがひしひしと伝わってくる。だからベジータ王に反乱起こされたんだぞフリーザ、まあ直ぐに鎮圧されたけど。どちらにせよ、反乱は起きそうだし結果は変わりないか・・・。
だからフリーザはサイヤ人を滅ぼしたんだ、いくら戦力になり得ようとも厄介ごとの種を潰す為に。それまでにあたしは逃げ出さなければならないのだ。
「だが、どうやって?」
逃げ出す行為だけで見れば簡単だ。ただアタックボールで逃げ出せばいいだけの話だが、当然そう簡単にはいかない。
アタックボールに自爆コードを送信するだけで良い話だ。サイヤ人はフリーザの様に宇宙空間で活動はできず、現状だと不可能に近い。仮にそれが無くとも追手も考えなければいけない、気のコントロールができない今のあたしでは脱出するのは諦めた方が身の為になるだろう。
少なくとも暫くは修行に専念し、脱出の算段は後々ゆっくり考るとしよう。
だがそれ以前に───
「これは幾らなんでもやり過ぎだよなあ、あれ・・・」
あたり一面耕された大地を見ながら苦笑する。途中から楽しくなり、その勢いで昼食も摂らずに日が暮れるまで耕していた。
だからやり過ぎだ。自分でも軽く引く程度にはやり過ぎている。
「ま、明日には元に戻しておくか」
彼女の小さな呟きが空へ溶けてゆく。
自分の将来に不安を抱きながら、どう生きて行くのか分からないまま修行した結果があれなのだ。
楽しかったのは自分で自分を騙す為のカモフラージュだったのだ。
今回は色々と微妙な出来で申し訳ありません。正直、大筋は決まったものの細かい所が思いつきませんでした。私自身も読者として書いているのもあるので残念で仕方がありません。
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