最近、カイロ・レンと神奈蓮の名前が似ていることに気が付きました。
青い青い空。
ではなく。
曇天の空。雨からはどうにか逃れたものの、依然、頭上は灰色に塗りつぶされていた。
陽を塞ぎ、曇り模様の空から、影。影全部が、蓮達の視界を暗く写している。
時刻は、昼手前といったところだろうか。太陽の位置が正確に分からないので、時刻は大雑把にしか把握できない。
やはり、蓮の耳には、走行音と、エンジン音と、
「ねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜暇じゃんよ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「......」
真後ろから、呑気な声が聞こえるだけだった。
「あのさぁ、エイイチ指揮官?の所に行くって言ってたじゃんか。...距離は?ワタシ、エイイチの母港知らないから、計算しようがないんだけど。」
蓮は、逆にピュリファイアーへ尋ねる。
「何キロだと思う。」
「...逃げ出した場所から、二時間で着けるような近場じゃないと踏んで、250kmでどうだろう。」
その予測への返事は、しばらく返ってこない。
2人を乗せたバイクが、少し街外れを、法定速度で走り続けるだけ。
「...レン、どうなの?」
「惜しいな。」
ふ〜ん、と予想通りでつまらない、というようなトーンで返すピュリファイアー。
「正解は500kmちょいだ。」
「何が惜しかったのかなァ⁉︎」
「っおイ!叩くんじゃあねェ‼︎痛ェだろこっちは運転手だぞ⁉︎」
「叩いたって文句ないでしょ⁉︎ワタシの反応を楽しむ為に言ったろう‼︎」
どすっ、どすっ、とそれなりに力の入った拳が、蓮の背に響く。
しかし、蓮はお遊び半分に500kmという数字を出したが、その実、中々、馬鹿に出来ない距離だ。
車ならまだしも、二輪で500kmとは、疲れる距離だろう。
そして、蓮は、いわゆる高速道路を使っていない。下道を使い、まさに地道に進んでいるのだ。
側から見れば、カップルがバイクでデートしているようにしか見えないが、2人の事情はそんなに微笑ましく、穏やかなものではない。
何しろ重桜の本部から追われているのだから。どこまで捜索の手が及んでいるかわからないが、少なくとも、見通しの良い高速道路には頼らない方が良いだろう。と、言うことで、ピュリファイアーと蓮の意見は合致していた。
が、残りの距離数を話せば、
「うわああああああああじゃあこっから先すごい暇じゃんんん暇暇ひまひまヒマヒマだよ〜‼︎」
「ガキか‼︎」
こうなるのは自明の理であった。
変わりゆく景色を見るのもいずれは飽きる、ということだ。いかにも子供が駄々をこねる理由そのものだ。そして、それは運転手からすれば、たまったものではないことも世の常であるが。
「ねぇレン〜〜〜〜〜‼︎」
しかしそんな理屈がわかったところで子供は泣き止まない。
「うるせぇな全く!!」
「だって〜。」
やいのやいのと騒ぐのを、蓮はたしなめるも、彼女は駄々をこね続ける。
(仕方ないか。)
蓮は心の中で耳栓をして、すべての意識を運転へ戻す。
何気なしに、見上げて見るも、変わらず、空は重い色に支配されていた。
むしろ、また降り出すのではないか、と心配になる蓮だった。
赤信号だ。止まってから、ようやく、周りの人間が活動し始めた事を知る。
いや、周りを見るに、とっくに皆、活動を始めている時間だったのだろう。止まらなければ見なかっただろう。
「見つかんないよね?」
「ヘルメット被ってるし大丈夫だろ、民間人からは。」
「それもそうか。」
目の前の信号は青に変わり、また、バイクは2人を乗せて走り始める。
そして、走り始めて5分も経たず、
「ねぇ、レン。」
「今度はなんだ。」
「暇。」
「今度も暇じゃあねェか‼︎」
こういう始末であった。
「てめェさっきから何回暇って言ってやがるよ⁉︎」
「直近だと8回?」
違う、そうじゃあない。求めた回答は少なくともそうじゃあない。
さらりと回答を出せる要領の良さ、もっと他に活かす場所があったろう、セイレーン...
またしばらく、道なりに進む。
「お、目を覚ましたね。ツバ...メ指揮官。」
「あれ...ここは。」
ここは、医務室。真っ白な医務室。
まだ意識が覚醒しきらないツバメ指揮官の顔を覗きこむ明石と青葉。
「ここに担ぎ込まれて...8時間ちょっとかニャ。」
「あ、明石、青葉‼︎」
意識がようやく覚醒し、ベットから跳ね起きるツバメ。
「せ、セイレーンは⁉︎」
「あ〜...」
問い詰められて、青葉は目を泳がす。
「取り逃したのね...そう...作戦失敗、か。」
「そういうことになるね。返り討ちにあったところを君のお姉さん、ツバキ指揮官が助けて、ここに担ぎ込んで来てくれたんだ。」
「私の姉が⁉︎今どこにいるの⁉︎」
「え〜と...私にアナタを預けたあと、執務室にしばらく居たけど、帰っちゃった。各母港への連絡も、ツバキさんがやってくれたよ。」
それを聞くと、ツバメは乗り出していた身をベッドの上へ戻した。
「そう...いつかお礼を言わなきゃ...どうしていつも居なくなってしまうの、姉さん...」
「今度、掛け合ってみるさ。あっちも忙しいんだろう、きっと。」
青葉はそう、優しくツバメ指揮官に言ったのだった。
「そろそろお昼だね〜」
「...ふむ、確かにそうかも。」
太陽は出ていない、腕時計もない。が、自分の腹時計に聞いてみれば、そろそろ昼飯時だ、と告げている。
...こいつ、もう既に並大抵の人間より、食に敏感なんじゃあないか?
「お昼ご飯食べたいって事だろう?」
「そうそう。」
バイクに乗りながら適当な店を探す他ない。幸いなことに都市街地辺りを走っているので店を探すのに苦労はしないだろう。
手持ちを考えて、定食屋を探す。しかし、とにかく走り続けてどこまで来たかと思えば、ここは...
「名古屋、か。」
「ナゴヤ?」
「名古屋。」
そう、都市名古屋だ。海に面していながらも、港都市ではなく、国内の経済と深く結びついて発展を遂げた。
元々の国の中心部が、軍事開発、発展を繰り返したので、経済の中心は半ばこちらへ移されたのだ。
だが、都市の役割が変わっても、その土地の文化が失われることはない。
食文化。それもまた文化のひとつだ。
手羽先...も名物だが、昼間から食べるものではない、という先入観から、今回は見送る。後ろのピュリファイアーが聞いたら黙っちゃいないだろう。言わないでおこう。
「レン、どうするの?」
「ああ〜...」
適当な答えが浮かばない。が、パッと目に入ったものが丁度良かった。
「...お?レン、アクセルを緩めたね?」
「ああ、どっかにバイクを停めてから今見えた店に入る。」
「え?見えた?どれ?」
「味噌カツ定食があった。」
「...しかも見たのは店じゃあなくてメニューか。」
適当な駐車場にバイクを停める。まぁ、キップは切られないだろう。
「...盗る人いないの?」
「居ねェだろ。...多分な。」
俺とピュリファイアーはバイクを降りた。ピュリファイアーは身体が凝っていたのか、身体を伸ばしている。
その姿を見て、ようやく俺は再認識する。そういえば。
「...おい、そうだわ、お前マジか、そうだったわ。」
「え、何。」
身体を伸ばしたピュリファイアーの姿を見て、驚く他ない。
勢いで家を出てきたその時の服装のまま。
俺の服装はまぁ普通だ。私服だ。いたってノーマルな服装だろう。
だが、ピュリファイアーがいけなかった。
人の私服にとやかく文句をつけたい訳じゃない。腹の出るセーラー服も、性癖を拗らせそうなスパッツも、まぁ許そう。左手の義手も同様に。
だが、その上に着ているものはなんであろうか、何故、目の目の彼女は...
「何故エプロンを着てるんだ⁉︎」
「え?あ〜...」
ツバメ指揮官が強襲して来たとき、確かに、エプロンを着ていた。その時のままだ。
「目立ちすぎるだろ!変だわ‼︎預かるぞそのエプロンは‼︎」
「え⁉︎嫌だよ⁉︎これ気に入ってるし脱ぐのは嫌だよ⁉︎」
「ハァ⁉︎」
なんだあそりゃあ。意味がわからん。わからないが...脱がんと言ったらこいつは脱がないだろう。
せめてもう少し自然な形に見えるように、その地まで着きそうな髪をどうにかして結ってやる。
単純に...そうだな。ここまで毛量が多いと、頭に団子を作ってやってもお釣りが返ってくる。
「レン?何やってるの?」
「ああ、」
「いや、ああで事を済まさないでよ。」
団子を作って余った髪は、適当に肩に流してやる。
これもこれで目立ちそうな髪型に変わりないが、自己満足という形で自分を納得させる。
「よし、行くか。」
「...おん。」
自分の髪をいじられたのが嫌だったのか、不服そうについてくるピュリファイアー。
そんな嫌だったのだろうか。
「え、レン。店どこ?」
「この路地だ。そこに店があった。」
「ええ⁉︎路地の店の、しかもメニューを見たって言ったよね⁉︎路地裏の店のメニュー見たの⁉︎」
「ああ。『眼』が良いんでな。」
店の前に着き、がらり、と戸を横に引く。
古風だ。いかにも古風だ。訪れる者全てを、あの母港とはまた違った雰囲気で、懐かしい気分にさせてくれる
そんな静かな空気だ。
「いらっしゃい。珍しいね。客が来るのも珍しいのにさらに髪型が珍しいと来た。」
老婆が、店の奥からのそのそとやってきた。
「あ、ああ、ええ。まぁ俺の連れが変なヤツで...。注文は決まってます。味噌カツ定食を二つ。」
「あいよ。適当な席に座んな。」
と、言うなり店奥へまた戻って行った。俺とピュリファイアーは路地のようすが見える窓側のへ。
「なんか古っちいね。」
「オイ言い方ァ」
木の椅子を引いて、腰掛ける。どこまでもレトロチックな店だ。時計はおろか、壁の素材すら2世代前だ。
一端、店の奥に引っ込んだ、と思われた老婆が、2人分の水を持ってきてくれる。
「少し待ってな。すぐできるでよ。」
それだけ言って、水を置いてのそのそと、また店奥に戻って行った。
「...ねぇ、レン。」
「うん?」
「どうしてレンはそんなに目が良いの?」
「う〜む。生まれつき、と言いたいところだが。」
そう言う答えが知りたいんじゃあないのは、目の前のピュリファイアーのようすから分かる。
目の前のピュリファイアーは、左手で指を鳴らそうとしているのか、パキン、パキン、と金属質な音と火花を出している。きっと、答えが返ってくるまでの暇つぶしだろう。
「お前は、重桜の人間のほとんどに、ミズホの神秘が宿っているのを知ってるか?」
「あ〜、まぁね。」
「知ってたろう。」
「シラナイヨー」
それとなく彼女は窓の外を見る。いかにもわざとらしい、やはりセイレーンなだけあって知っているのだろう。
「まぁ、良い。ミズホの神秘、神様から授かったそれのおかげで、身体に何らかの生き物の特徴が出るんだ。およそ4歳までには発現する。」
「なるほど、生き物って架空の生き物でもいいの?」
「ああ。『在る』と信じていれば、その存在は人々の意識の中で生きて、姿を象るわけだからな。」
「ムズカシイ事言うね。わかるケドさ。」
「そうだな。お前が会った中だと、ツバメ指揮官は龍だな。それと、さっきのばあさんは鶴だな。」
「えっ?羽なんてあったかい?」
「ああ。服で羽は見えなかったが、店の隅に羽が落ちていた。」
そう言って、さっきの注文の時に見えた、陰にある羽を指す。
「ふ〜ん。」
ピュリファイアーは、なるほど、と、左手でほおづえを作る。
「ま、そういうわけで、重桜の人間、どんな人間でも、生き物の特徴を宿しているんだ。で、遠回りしたが、俺の目の良い理由だけど、」
「ミズホの神秘がどーちゃらってコト?」
「ああ。」
「...あれ?でも」
ピュリファイアーが、右手の人差し指でこちらを指す。
「何も特徴が...レンには特徴が無いじゃあないか⁉︎普通の人間にそんな生き物の特徴なんてないから気にしてなかったけど、そうだよ‼︎重桜の人間からしたらレンはおかしいんじゃあないか⁉︎」
と、驚いている。目の前のおかしい少女におかしいと指摘されるのは少し心外だが。
「特徴が出にくいんだ。発現の度合いが薄くてな。」
「と、言うと?」
「梟の眼、だ。目だけだ。視力、暗視強化。たったそれだけだ。」
このしょうもない神秘を授かったお陰で、幼い頃はよくいじめられた。神は不平等だ、と思った。
誰かみたいに、器用な訳じゃない。
誰かみたいに、空が飛べる訳じゃない。
誰かみたいに、頭が良い訳じゃない。
誰かみたいに、強い訳じゃあない。
だから、あの時も、
「ふ〜ん、『それだけ』、ねぇ。」
ピュリファイアーはそう言ってから、ガラスの外を見ながら付け加えた。
「良かったよ、レンがレンじゃ無かったら、ワタシを助けてくれなかったもんね!」
笑いながらそう言った。
「コタツも入ったし、おいしいご飯も食べたし、寝るっていう貴重な経験もできた!死んでもワタシは死なないけど、きっとこんなに楽しくなかったろうね!」
義手になっちゃったけどね。と左手を振る彼女は、嬉しそうだった。
...つまり、つまりは、こんな神秘を授かったから、俺が居る、と、
そしてそんな「レン」をこいつは認めたってことなんだろうか。
「はい、お待ちどうさま。味噌カツ定食2つだよ。」
「おおー‼︎でっけー‼︎」
と、考え込んでいる間に頼んだ味噌カツが来た。
そのカツは、値段ととても釣り合っているように思えない大きさだ。見るだけで、口の中に唾液が溢れる。
ある一種の幸福な時間だ。そして、その定食。白米が左、汁物が右、中央の皿、刻まれたキャベツの上に鎮座する味噌カツだが。
「待って、ねぇ‼︎レン‼︎これ赤いよ‼︎味噌汁かな⁉︎赤味噌ってヤツかな⁉︎」
目の前のピュリファイアーは、その汁物にとびきり目を輝かせていた。
「オバチャン‼︎この味噌汁、赤味噌⁉︎」
「ああ、そうだよ。ここいらじゃ良く見るだろう?別のところから来たのかい?旅行かい?」
「まぁ。そんなところです。」
「ありがとう、オバチャン‼︎ワタシ、赤味噌の味噌汁食べるの初めてなんだ〜‼︎」
「おや、そうかいそうかい。んじゃ、召し上がれ。言っとくけど、カツが主役だからね?」
そう言って老婆は、今度は店奥に行かず、カウンター席に腰掛けた。
こうも美味しそうだと、考え事の続きなんてやってられない。
「んじゃ、食べるか。」
「そうするっ‼︎いっただっきまーす‼︎」
そう言って、ピュリファイアーはもしゃり、とカツに食いついた。
「んんんん〜‼︎ん゛ん゛〜⁉︎」
噛んだ時の、衣のからりとした音がよく聞こえてくる。見ていては生殺しだ。
そう思い、自らのカツを箸で掴み、口へ運んだ。
一口目にしゃくり、という小気味良い音が歯を通じて耳に伝わり、口の中へ、肉の旨味が雪崩れ込む。そして、口の中で味わえば味わうほどに、カツにかかっていたミソソースが肉の油と融和し、二口目を誘う。
「うぉぉぉぉおお‼︎レン‼︎すごい‼︎コレ‼︎」
「ああ‼︎美味いぞこれ!」
そして誘われるままカツを口に運ぶ。
二口目もしっかり美味しい。人の舌を全く飽きさせない味だ。噛めば噛むほど、肉汁とソースのラッシュが止まらない。
そこへ、白米を‼︎口に運ぶ‼︎
口に運ばれた白米は、口を支配していた肉汁と旨味を絡めとり、更なるおいしさを作り出す。
カツを一口、白米を一口、二口...。だが、ここで。
「うぉおおおお‼︎スゴッ⁉︎全っ然味違うじゃんこの味噌汁‼︎」
どうやらピュリファイアーに先を越されたらしい。
そう。味噌汁。そこにある味噌汁は「赤味噌」を使った味噌汁だ。
それを、遂に口にする。
口に滑り込んでくる波は、いつもの波とは違う。
白味噌がおだやかな水平線の見える海だとするならば。
赤味噌は、荒々しい波。そんな海だ。
荒々しく口の中の崖を削り取り、味が舌に刻み込まれる。とても『力強い』味。旨味やコクが深い。
ピュリファイアーにとっては、いい経験になっただろう。
この力強い味が、一時の間、カツのあの旨味を、あの脂を、忘れさせられるのだ。
そして、忘れさせるからこそ、恋しくなる。
だから、おかずへの手は止まらなくなるし、そちらの肉と衣に口の中を支配されたのなら、また、味噌汁の味が恋しくなるのだ。
そして、そんな味の分析をする時間は、あっという間に過ぎてしまった。
「あ〜、美味しかった‼︎赤味噌も食べられたし満足‼︎」
は〜、と
幸せそうに息を吐き出す彼女は、名残惜しそうに水を飲んだ。
「お?レン。外見てみなよ。」
その、ピュリファイアーが指した路地に、一筋の光が当たっている。陽だまりがある。
陽だまりが、どんどん広がってゆく。
分厚い灰色の雲の隙間から、青い空が、眩しい太陽が、顔を覗かせている。
窓に、道路に、屋根に、陽が射して、その色彩を変えてゆく。
「これでまた、違う景色が見えるね。あとの旅も退屈しなそうだ。」
眩しそうに、外の景色を見る。
「さ、行こう。レン‼︎ワタシをもっと楽しませてくれ‼︎」
...図々しいったらありゃしない。コイツは、俺やピュリファイアー自身の身の上をわかっているのだろうか。
それでもコイツの屈託のない笑顔は、自分の中のわだかまりを少しづつ溶かしていってくれてる...のだろうか。
いや、そうと決まったわけじゃない。考え事に、きっちり決着が付いた訳じゃない。訳じゃないが。
「...ごちそうさまでした‼︎」
行こう。一端保留でも、良いだろう。
「ごちそうさまでしたっ‼︎」
ピュリファイアーは、大きな声で、感謝の意を込めて食事を終えた。
「あんた、いい食べっぷりだね。こっちまでいい気分になるよ。」
老婆が、レジへとのそのそ歩いて行った。
「ご馳走様でした。美味しかったです。」
「あいよ。毎度。」
俺は、2人分の定食の料金を払う。
そして、がらり、と戸を開ける。
風を切る、2人の身体。広い、広い青空の下、バイクは走っている。
「ねぇ、やっぱこの髪元に戻していい?なんかイヤ。」
「やっぱ嫌やったんか...」
時刻は、昼下がり、と言った所だろうか。太陽は頂上から少し傾き、暖かな陽が射している。
やはり蓮の耳には、走行音と、エンジン音と
「いや〜〜〜やっぱり暇〜〜〜〜!!!」
「オイ」
真後ろから、呑気な声が聞こえるだけだった。
「それに、何だか眠たくなって来たし...」
「寝るんじゃあないぞ‼︎あと半分は残ってるんだからな‼︎」
「えええ〜⁉︎」
「叩くんじゃあねェ‼︎運転手だっつったろォが‼︎」
ただ、良い景色だ。鳥が高く飛ぶ。
青い空から、影一つ。
神奈 蓮:しれっとピュリファイアーの髪の毛でお団子を作るわだかまりバイク運転手。背中に定期的に5ダメージづつ受けている。彼の心の問題は根本的には解決しているようには見えない、が...
ピュリファイアー:暇とつまらないことが嫌い。食べることが好き。睡眠と食を知って、「人は幸せだな」と思っている。短絡的に見えるがちゃんと色々考えている。
ツバメ指揮官:お姉ちゃん大好き。実際は執務室で倒れていた所を青葉に運ばれた。
ツバキ指揮官:セイレーン大嫌い。つまり、3.5話に居た執務室に居た指揮官はツバキということになりますね。
青葉:ツバメ及びツバキ指揮官の補佐。ツバメとツバキが入れ替わるのを知っている。そしてそのことをツバメには黙っている。
明石:青葉同様にツバメとツバキの関係を知っている。
老婆:ずっとあそこで定食屋をやっている。娘も孫もいるが、会う機会は少ない。
名古屋;ナゴヤです。経済都市の中心になりました。明日に後ろから刺されそうですが、大阪は二番目の経済都市です。