エイジ・オブ・サイヤン   作:イナゴライター

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ファースの力

謎の老婆?に大ゲンコツを喰らい、意識朦朧としているベジータ。

 

?「この戯け者が!これじゃからエテ公共は嫌いじゃ。マナーは悪い、話は聞かん、食う事と闘う事でしか生きられん下等な種族。」

 

ベジータ「てめぇ…、助けてもらっておいて大ゲンコツかました上に悪態までつきやがるとは、なんて品の無い野朗なんだ!」

 

?「野朗では無いと言うとろうが!!…ん?お主、尾はどうした。もしやエテ公では無いのか?」

 

ベジータ「ここへ落とされる前に引っこ抜かれたんだよ!それよりもてめぇいったい何者なんだよ!」

 

?「なんと、不憫なエテ公じゃの。

そしてよくぞ聞いてくれた!ワシに質問したエテ公はお主が初めてじゃ。知恵も尾も無いが、他のエテ公よりはちょっとばかしマシな奴じゃ。

ワシはマスター・ヤーダ。とってもとーっても偉いジャダイなんじゃ!

ついでに、大ミミズから救ってもらったお礼じゃ、ほれっ!」

 

ヤーダの手から光の球体が現れ、ベジータを包み込んだ。

すぐに光は消え去ったが、コウライに引き抜かれたはずの尻尾が元通りになっていた。

 

ベジータ「なっ!?何をしやがった!!何で尻尾が生えてるんだ!」

 

ヤーダ「フォッフォッフォッ、ファースの力じゃよ。ファースの力は無限大、森羅万象と一体になればその程度の事は容易い。ま、何でもかんでも出来る訳じゃあないがの。」

 

ベジータ「訳の分からない事をぬかしやがって!この胡散臭いババァめ!」

 

ヤーダ「ほんと可愛く無いのぉ。せーっかくこのファースの力をお主に授けてやろうと思うとったのに。やめじゃやめじゃ!」

 

ベジータ「なっ…!くっ…ま、まぁいい。俺はそんな事出来なくてもいい!!強くなってこんな所からすぐに抜け出してやるぜ!!!」

 

そう言ってベジータはこの場から立ち去ろうと振り返って歩きだした。

しかし、やはり多少の興味がありヤーダの方をチラッと振り返った。

 

 

なっ!?

 

 

ベジータの視界に映っていたのは、ドヤ顔を決め込んで宙に浮いているヤーダの姿だった。

 

ヤーダ「色んなエテ公共にこのファースの力を、使い方を教えてやろうと思うておったが

ヤツら人の話をひとつも聞きやせん!」

 

腕を組んだまま宙に浮いているヤーダは不満げにベジータに言った。

しかし、目の前の出来事を理解する事に必死だったベジータの耳には何も届いていない。

 

ベジータ「な、な、な、なんだ貴様っ!!それは一体どうやってやがる!!!」

 

ヤーダ「すごいじゃろ?カッコいいじゃろ〜?

これがファースの力じゃ、お前たちエテ公共はこのワシの凄さをち〜っともわかっとりゃせん!」

 

ベジータ「さっさと教えやがれぇ!!」

 

 

生意気な態度に少しムッとした様子を見せたが、宙に浮いたままのヤーダはベジータにこう言った。

 

ヤーダ「教えてやっても良いが、条件がある。」

 

ベジータ「何を言ってやがる、貴様が教えたがってたんじゃないか。」

 

 

それもその筈。

かつてヤーダは、

故郷スカイランナー星のジャダイと呼ばれる騎士団の長、ジャダイマスターだった。

ジャダイは宇宙のバランスを保っていた存在であり、平和の象徴。

しかしファースの力を悪用した暗黒帝王ダースベイとの戦いに敗れたジャダイはヤーダを残し全滅。

そして命からがら逃げついたこの惑星で、

300年もの間身を潜め待っていた。

 

 

新たなジャダイの誕生を。

 

そこへ運良く出会えたのがベジータだった。

 

 

ヤーダ「ダースベイはまだ生きておる。今もなおワシの事を探しておる。じゃがワシはもうこんなに老いてしもうた。ファースの力も若い頃に比べてはるかに弱い。

そこで小僧、このファースの力を授けてやる代わりに暗黒帝王ダースベイを倒してくれ!」

 

ベジータはフンッと鼻で笑った。

 

ベジータ「面白い!そのファースの力ってのを習得してやる、腕試しにもなるかわわからんが、このベジータ様がダースベイとやらを消し去ってやるぜ。」

 

 

 

フハハハハ!!!と高笑いしたベジータ(5)の笑い声は

クラナの谷に響き渡った。


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