『咄嗟に止めに入ったものの、なんだこいつ。とんでも無く危険だ。どうする…。』
ヤモシの拳はクラァの手刀で弾かれた。
弾きはしたものの、あまりのパワーに腕がジンジンと脈打っている。
強大な力の前に成す術も無く、
余裕の表情と態度を示すのに精一杯のクラァ。
ケーン「あ、アニキ‥すまねぇ。けど、こいつはヤベェぜ…。見た事ねぇ‥こんなデタラメな野朗‥。」
ホレソ「何やってんだヤモシぃ!!!さっさとやっちまぇ!!!!!」
背後の方でホレソが叫んだ、
はっ!と我に返ったクラァは目の前の大男の顔面目掛け渾身の蹴りを放った。
バチィッ!!と音が辺りに響いたが、ヤモシは表情ひとつ変えず
軽く手でクラァを突き飛ばした。
『な、なんだこの重さはっ!?軽く押されただけじゃないのかっ!』
クラァは突き飛ばされた衝撃で数歩後退した後、尻餅をつき一気に恐怖が押し寄せてきた。
確実に勝てない。
ここは一旦引くしかない。
もう作った表情などしていられない。
早くここから立ち去らねばっ!!
焦りと絶望の感情を抱いたまま
目の前の大男を見上げたが、さっきまでいた大男はもうすでに背後に回っている。
アニッ‥
後ろで何が起こったのか見なくとも分かる。
本当に一瞬の出来事だった。
ほんの一瞬の心の迷いで生まれた隙に、判断と行動が遅れたのだろう。
ゴロンと転がってきた弟の頭部は、クラァの足に当たって止まった。
クラァ「 」
数々の修羅場を乗り越え、どんな犠牲も払い、
家族や友の死をこの目で見てきたクラァにも、
弟の死はとてつもないダメージを与え、絶望と喪失に打ちのめされた。
戦意を削がれだだ立っているだけのイカパス人など、怪我したサダラ人でも倒せる。
ホレソ「どきやがれぇ!!」
ホレソの拳はクラァの顎に的確に命中し、その場で気を失った。
ホレソ「クックックック!!ざまぁねぇなぁぁクソがよおぉ〜!!おいヤモシぃコイツらの他の仲間たちも皆殺しにしちまえ!!!」
ホレソの掛け声でヤモシは何も言わず村の中まで入って行った。
すぐに人々の悲鳴や断末魔の叫びが渓谷中に響き渡り、
イカパスの民は根絶やしにされた。
3人の若い戦士達も激しく抵抗したが
ヤモシの力にねじ伏せられ
生きてはいるものの皆声を出す事も出来ない程の重症をおっている。
数日が経ち、
クラァは瓦礫に腰掛けこの惨劇を受け入れられずただ呆然と仲間の亡骸を見ている。
ある程度活動出来るレベルにまで回復したアオリが、クラァに声をかけた。
アオリ「ダイオウ様、生存者は我々3人とダイオウ様の4人だけです。事実上の‥絶滅になります。」
クラァ「あぁ‥。」
モンゴ「あのぉダイオウ様、俺達もうここにずっといてもしょうがねぇと思うんだけどよぉ、違うとこにいかねぇか?」
モンゴの空気の読めない発言にアオリが舌打ちしながら睨んだ。
モンゴ「こえー顔すんなってアオリ。お前だってあの化物に太刀打ちできねぇ事くらい十分わかってるだろ?だったらさっさとこんな星捨ててもっと住みやすい星に移住しようぜ?」
ケンサキ「何を言っているんだお前は。どうやってこの星から出ていくのだ。お前もあのサダラの猿と同じ脳みそになったのか?」
モンゴ「ん?どうやってって船だよ。ほら見てみろあれ、船じゃねぇのか?」
モンゴが指差した先にあったのは
山の頂上付近にある謎の物体。
苔等の植物に覆われて今まで誰も気がつかなかった。
アオリ「間違い無いのか?なぜ船だとわかる。」
モンゴ「あぁ、この星に来る前に立ち寄った
『コリオ星』って星があっただろ?
そこのコリオ星人のガキが自慢気に俺に言ってきたんだよ。
確か『チルド』って名前のガキだったな。」
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チルド『おい、そこのお前!これがなんだかわかるか?
わからないだろうなぁ〜!ホーッホッホッホ!
教えてやるよ!これは僕のパパが誕生日プレゼントにくれた、
『ナメック星人』の船なんだ!』
モンゴ『え?あぁ、そうなのか!かっけぇなぁ!!』
チルド『そうだろ〜?僕はいつか宇宙海賊になるのが夢なんだ!これは僕にとってオモチャみたいな物だけどね。いつかお前達も仲間にしてやってもいいぞ!ホーッホッホッホッホー!!』
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モンゴ「っつー訳なんだ。」
ケンサキ「なんと、そうだったのか。何という幸運。」
アオリ「ダイオウ様、どちらにせよここに居ては危険です。いつまたあのサダラ人が襲ってくるかもわかりません。さぁ、まずはあのナメック星人とやらの船まで行ってみましょう。」
アオリの言葉に返事はしなかったが
クラァの心の中では段々と絶望から怒りへと変わりかけていた。
絶対に許さんぞ、一度この星を出るが
必ず戻って復讐してやる。
待っていろサダラ人め。