おい!おいエテ公!いつまで寝ておるんじゃ!
ファースの修行に取り掛かって半年が過ぎた。
ヤーダ「しかしお前さん達エテのガキはたった半年あまりでずいぶんと成長するもんじゃの。元から可愛げは無かったが、さらにツラが酷くなっておるわ。」
ベジータ「??、そうなのか?自分じゃ良く分からん。」
寝床にしている巨大樹からなるモーニングルーティンという名の実を頬張りながら身支度をするベジータ。
このモーニングルーティンという果物には特殊な成分、イイネイッパイウレシチンが多く含まれており疲労回復、承認欲求を満たす等多彩な癒し効果が得られる。
ヤーダ「さて、エテよ。この半年間お前にファースの鍛錬を行なっていて気がついた事がある。何か変だとは思っていたが昨日の出来事で確信した。お前はファースの使い手にはなれん。」
ベジータ「な!?なんだと!!今何と言った!俺様にファースが使えないだと!?」
ベジータは半年間の修行で確かに戦闘力自体は向上したが肝心のファースの発現には至らなかった。
そして昨日、いつものようにファースの力を引き出す上で最もポピュラーなトレーニング、花咲けわっしょいをしていた。
枯れた花にただ手をかざして花を咲かすイメージを持つだけのトレーニング。
普通なら花がポンっと咲いて成功!わーい!の流れのはずがベジータの場合違った。
地面に置いた花に手をかざしていたベジータの手からはボンっと言う音と共にエネルギーの塊が放出され、地面ごとえぐり、焦げた臭いと煙が上がった。
うおー!ファースすげぇえ!ファース出た!とぬか喜びしていたベジータだったが、ヤーダは目を見開き口をあんぐりと開けそのまま引きつった気持ち悪い笑顔で、
よ、良かったなエテ公‥!(え。何あれ。見たことない。)とだけ言って寝床に帰り、動揺した心を落ち着かせる為に寝た。
ベジータ「さぁ説明しやがれ、いったい何が言いたいんだババァ。」
ヤーダ「お前のは、ファースであってファースではない。ファースとは表裏一体のエネルギー体じゃ。昔若い頃にチラッと聞いた事があるが確か、ある界隈では"気"、"チャクラ"等と呼ばれておる力じゃ。」
ヤーダ曰く、ファースとはあらゆる生物の体内にあり誰もがその才能を備えている。
しかしその未知の力の存在に気がつかないまま生涯を終える者ばかりであって、むしろそれが普通なのだと言う。
そして、開花したとしても使いこなせなかったりファースの容量そのものが小さ過ぎて結局のところ意味の無い物になってしまう事も良くある。
だが、ベジータの体内にあるのはファースではなかった。
ファースの力が陽だとしたら、このエネルギーは陰。
癒しを与える力がファースだとしたら、破壊を与えるのがこのエネルギー。
ベジータ「キか、チャクラか何か知らねぇが強くなれるんなら関係ない。さっさと次のステップに進めやがれ。」
ヤーダ「あ、あぁ。じゃがエテよ、ファースの力では無いのならば話が違ってくる。何故ならワシにはその"気"というエネルギーの知識が無いからじゃ。色々試してはみるが…。」
ベジータは舌打ちしながら昨日の要領で巨大樹に手をかざした。
体の内側から感じる力を掌に一点集中させ、凝縮し、解放。
とてつもない爆音と共に掌から放出させたエネルギー弾は巨大樹の根本にどデカい穴を開けてなぎ倒した。
ヤーダ「な、なんじゃそのとてつもない力は…!いとも簡単に巨大樹キョコンを倒してしまうとは…。いったいどれ程の容量をしておるんじゃ…。」
ベジータ「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。だ、ダメだ…1発撃っただけでこの疲労感…、ま、まともに呼吸ができねぇ…。」
息遣いも荒くなり、ガクガクと膝が震えて、まともに立っていられなくなったベジータは力無くへたり込んだ。
ヤーダは新しいモーニングルーティンを持ってくると言って一旦その場を離れた。