エイジ・オブ・サイヤン   作:イナゴライター

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共鳴

ケーン「なんだありゃあ。アニキ!あのデケェ猿俺達の船をめちゃくそにしてやがる!」

 

クラァ「あぁ、どうやら我々はこの星の住人にならざるを得ないな。」

 

ケーン「まぁいいぜ、ちょうど体もナマッててウズウズしてたからな!ちょうどいい準備運動になりそうだぜ!」

 

森に避難するイカパス人を尻目にケーンは大猿に向かって勢いよく走り出した。

 

こちらに向かってくる小さな生き物を獲物として認識した大猿は、大きく腕を振りかぶり

ケーンに向けて巨大な拳を振り下ろした。

 

ズガァァァァァン!!!

 

命中したかにおもえたが、地面にポッカリ穴が空いているだけで

間一髪のところでケーンは回避していた。

 

クラァ「ほぅ…。」

 

ケーン「なんでぇ、お前中々はえーじゃねぇか!しかも中々のパワーだな!」

 

ケーンは大猿の顔付近まで大きく跳ね上がり顔面を蹴り上げた。

しかしバランスを崩して片膝を着いた程度で

大したダメージになっていない。

 

片膝を着いたと同時に、まだ地面に着地していないケーンを左手で鷲掴みし渾身の力を込めて握りしめた。

 

ケーン「がっ…!!こいつッ…!なんてパワーだ…ぐっ!アニキィ!手を貸してくれぇぇっ!!」

 

そう言っている間にも大猿は力を緩める事はなく、右手で左手を更に覆った。

 

ミシミシ

 

ケーン「うっ…や、やべぇ…ア…アニキィ…!」

 

クラァ「使えないイカパス人等…。いや、やれやれ手の掛かる弟だ…。」

 

 

音も無くクラァの姿は視界から消えた。

と、思った瞬間腹部に強烈な痛みが大猿を襲う。

 

グアァァ…!

 

大猿は痛みで咄嗟に両手を離し

ケーンは地面に落ちた。

 

 

クラァ「野蛮な猿め。」

 

ケーン「くっ…。何本か折れちまった…。クソッ」

 

大猿は一歩、二歩と

後ろへ後退りして、再び立ち止まり

空に向かって咆哮を上げた。

 

 

ケーン「けっ…、負け犬の遠吠えかよ…。」

 

クラァ「…。いや、こいつまさか。」

 

叫ぶの止め、辺りは静寂に包まれた。

両者は睨み合いながら動かない。

 

ケーン「な、なんだってんだよ。」

 

クラァ「待て…。」

 

ァァァァ…

 

ァァァァァ…

 

微かにだが遥か遠くの方から何かが聞こえる。

そしてその何かは確実にだんだんとボリュームを上げて近付いてきている。

 

ケーン「こいつ、まさか仲間を呼んだってのか!」

 

クラァ「…そのようだ。一匹二匹ならどうって事無さそうだが、群れられると厄介だ。一旦逃げるぞ。」

 

クラァがケーンの腕を掴み、肩に掛けようとした時。

森の方からイカパス人達の悲鳴が聞こえた。

 

クラァ「しまった!もうこんな近くまでッ!」

 

姿こそまだ見えないが、確実に数頭の大猿達がかなりの近さまで接近している。

目の前の大猿も2人を逃さまいと、戦闘態勢に入った。

 

 

ウガァァァァァァァァァアア!!!!

 

大猿が2人を捕まえてようと両腕を伸ばしたが

クラァの超スピードには及ばず空振り。

 

ケーン「アニキ…すまねぇ。」

 

クラァ「いや、そんな事はどうでもいい。早く仲間の所へ行くぞ。」

 

シュン。

シュン。

シュン。

 

瞬く間に森の奥へと消えて行ったが

大猿は大きく息を吸い、口を開け2人の進行方向へ気弾を放った。

 

 

着弾点はイカパス人達の集団がいたと思われる地点。

 

クラァはケーンを連れ、一瞬で集団の近くまで来たはずだったが

姿が見えない。

 

イカパスA「クラァ、ケーン。こっちだ!俺達戦闘タイプじゃないやつらは擬態が出来る!あそこに洞窟があるからそこに入るんだ!」

 

ケーン「あぁ、そうだったな。羨ましい能力だぜ全く…。」

 

 

 

事なきを得た彼らだったが、この恐怖の中眠れる者が居るはずもなく

皆身を寄せ合い夜を明かした。


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