エイジ・オブ・サイヤン   作:イナゴライター

5 / 20
ダイオウ

悪夢のような日から数ヶ月余りがたった。

 

イカパス人達はこの星の環境に順応して来ていたが、やはりあの日の恐怖が記憶から消える事は無く

皆怯えて隠れながら生きていた。

 

しかしやはり収穫はあり、大猿、サダラ人の謎が解明されつつあった。

 

サダラ人という人種は変身タイプの宇宙人であり、満月がその引き金になるという事は皆に知れ渡っていた。

 

 

クラァ「A殿、ちょっとした提案なのですが。我々の生活にも少しばかり平穏が訪れつつあります。しかし、いつまでもこのような影の中の生活にも限界がございます。若者の中には、満月の時だけ外にいなければいい。と思っている者もおります。」

 

そう切り出したクラァが提案したのは、

イカパス人達の抑止力となる、戦闘タイプのイカパス人の育成。

 

 

イカパスA「しかし、我々は元々戦闘タイプはなかなか産まれにくい種族。エギーラ星人に侵略されてから、戦闘タイプのイカパス人はお前達2人しか生き残っていないんだぞ?」

 

クラァ「ええ、ですがお忘れでしょうか?我々イカパス人は成人するまでタイプはわかりません。なので若いうちから鍛え上げておけば、戦闘タイプでなくても戦力にはなります。」

 

しばらくやり取りは続いたが

皆の意見を聞いてみるという話に至った。

 

 

 

イカパスA「…きっと、誰も賛成はしないぞ?」

 

 

しかしAの予想は外れる事になる。

イカパスの人々は、いままでに数々の実績を残して来たクラァへの信頼と、

彼の人情的な人柄から

自ら志願する若者や、我が子を鍛えてくれ、と言う親達が後をたたなかった。

 

こうしてイカパス人の戦闘タイプの育成が始まる事となった。

 

類稀なる才能を発揮する者や、離脱者等、様々な者達がいたが

3か月も経つと

しっかりと精鋭部隊として形になりつつあった。

 

 

イカパスA「素晴らしい成果だな、クラァ。これで皆も少し安心できるだろう。」

 

クラァ「いえ、確かに大幅な戦力向上にはなりましたが、まだまだ皆を守れる程の集団とは言えません。」

 

 

ケーンが若者達を鍛えているのを離れて見ていたクラァにAが話しかけた。

 

イカパスA「ところでなんだが、お前はみんなからの信頼も厚い。今となってはツーボ星の王もいないし、どうだ?お前がこのイカパスの王となってみる、というのは?」

 

予想外の提案に少し驚いた顔を見せたクラァだが、イカパスの人々にも指導者のような存在は必要と考えていた為、その提案を受け入れた。

 

クラァ「しかし、我々だけで決めるというのも。皆の意見を聞いてから決定したいと思います。」

 

 

 

全てのイカパス人が集められ、事の経緯を話したが

否定する者等誰1人としておらず、満場一致であった。

簡単過ぎる王の誕生だが、彼らにとってのクラァは正に英雄と言える程の存在で

今の自分達があるのはクラァのおかげ。と誰もが思っていた。

 

 

イカパスA「ここに我らの新たな王が誕生した!皆、クラァ王に忠誠を!」

 

新たな王の誕生に皆が喜び、ひとときの平穏と和やかな雰囲気に包まれ

イカパスの人々は希望の光を見出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして、その一部始終を遠くから見ていたサダラ人がいた。

 

?「なんだあの生き物は、見た事が無いな。どうする、コウライ。一匹捕まえてみるか?」

 

コウライ「…。あぁ、そうだな。」

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。