エイジ・オブ・サイヤン   作:イナゴライター

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プレデター

愚か者がぁ!!

 

普段あまり感情を表に出さないクラァが声を荒げた。

 

ケーン「し、しかし、今回ばかりはちゃんと始末した!それにあの時あーするしかなかったんだ!」

 

クラァ「…。そのガキはなんだ?死体の処理は?追手は確認したのか?だからお前は未熟なのだ弟よ。俺をガッカリさせるんじゃあない。」

 

ケーン「…す、すまねぇ。もうヘマはしねぇよ…。」

 

クラァ「ふんっ。で、仲間の手掛かりは何か見つけたのか?」

 

ケーン「…手掛かりって程の事でもないが、殺したサダラ人の仲間が何か情報を掴んでいるみたいだ。」

 

クラァ「ちっ、やはり我々の存在はバレているか。」

 

 

クラァは不機嫌そうにサダラ人の子供の顔をまじまじと眺めた。

しばらく眺めていたが、近くのダイオウ親衛隊員に鎖で繋いでおけ。と命令し、その場を後にした。

 

 

その頃サダラ人の村では。

 

 

コウライ「おい、ウーリ。今日もあのウチュウ捕まえに行かないか?」

 

ウーリ「ウチュウ?…あぁ、あいつらか、いいぜ!」

 

 

2人は村を離れて森を進んでいた。

 

 

 

ウーリ「そう言えばよ、お前んとこガキはどうなんだ?強そうなのか?」

 

コウライ「さぁ…どうだろうな。才能を持ってるのは確かだとは思うが、俺とは少し違うな。」

 

ウーリ「ふーん。で、名前は?」

 

コウライ「『サイヤ』ってんだ。」

 

ウーリ「サイヤかぁ、早く鍛え上げねぇとな!頑張れよ親父!」

 

 

しばらくくだらない話で盛り上がっていたが、急にウーリが立ち止まった。

そして視線の先には誰かが倒れていて、ピクリとも動かない。

 

ウーリ「なんだ…?死んでんのか?」

 

コウライ「みたいだな…。ん?こいつ、ジベじゃねぇか?」

 

ウーリ「本当だな、こいつはジベだ。なんでこんな所に?恐竜にでもやられたのか?」

 

コウライ「いや、いくら弱虫のジベでもそんな奴に殺されるなんて考えにくい。まさかあのウチュウ…?」

 

ウーリ「それは無いだろ、だってあいつ弱っちかったぞ?」

 

 

普段から人の死に対して感情を抱く事はない。

ジベとは同じ村出身だが、あまり共通点は無いし、連む仲でも無い。

が、何故だか2人はスッキリしない気持ちでいた。

 

ウーリ「こいつも、ガキがいたよな。何つー名前だったか忘れたけどよ。」

 

コウライ「あぁ、聞くところによると母親もいねぇんだとよ。この様子だと、こいつのガキももしかしたら…。」

 

ウーリ「…。俺達がここに来て、こいつと出会ったのも何かの縁だ。埋めてやろう。」

 

 

ジベの亡骸を埋葬し、また2人は進み出した。

後味が良くないせいか口数も減っている。

 

 

何時間歩いただろうか。

2人は前にイカパス人達を見つけた崖の上に着いた。

 

ウーリ「おい、見てみろ。奴らがいるぞ。」

 

コウライ「あぁ、見えてる。」

 

崖の上からはイカパス人達が居を構えている洞窟が見える。

 

ウーリ「あいつらいつからここに住んでやがんだ?」

 

コウライ「さぁな…。しかも俺達よりもよっぽど立派な家だぜ。…ん?おい、あれを見てみろ!」

 

 

コウライが話の途中で何かに気付き、指を刺した。

視線の先には鎖に繋がれ、グッタリした様子のサダラ人の子供がいる。

 

ウーリ「おい…あれって…。」

 

コウライ「…ジベんとこのガキだ。捕まってやがる。」

 

ウーリ「どうする?助けるか?」

 

コウライ「ふ、俺達はこんな危機的な状況程燃えあがる種族だろ?助けてやってもいいが、まずは手始めに奴らの仲間を1匹捕まえて、腹ごしらえと行こうぜ。」

 

その感情は仲間が捕まっている事から来る怒りなのか、自分にも子供がいて、我が子とジベの子を照らし合わせて抱いた同情か、それとも単にワクワクしているだけなのか

それはコウライ自身にもわからなかった。


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