ウーリ「おい見てみろ。1人外に出て来たぞ。あいつにしようぜ。」
質より量のサダラ人の品定めの方法は、ただ目の前にいたから。
崖の上から勢いよく飛び降りた2人。
ウーリが飛び降りた勢いのままイカパス人の後頭部を片手で掴み
そのまま地面に叩きつける。
グシャリ。
嫌な音をたてたまま、その場から起き上がらない。
コウライは生きているのか、死んでいるのかも確認せず
肩に担いで、急いで身を潜めた。
ウーリ「やっぱり弱っちいな。ま、俺はこいつの肉あんまし好きじゃねぇからお前が食べろよ。」
コウライ「もちろんだ。いやぁハラ減ってハラ減って、死んじまいそうだったぜ!」
イカパス人達の洞窟から少し離れた茂みで食事をしているコウライ達、
離れてはいるが、洞窟の入り口が良く見える位置にいる。
ウーリ「あのジベのガキどうするよ?ササッと助けるか?」
コウライ「いや、それは少し待て。中にどんな奴がいるかもわからねぇ。次の満月はいつかわかるか?」
ウーリ「確か今夜だったと思うぜ?」
コウライ「よし、なら日が沈む前に突入して、もしもヤバくなったら外に出て暴れようぜ。」
少しの間仮眠を取る事にした2人だが、しばらくして
イカパス人達の騒ぎ声で目を覚ました。
どうやら、先程食ってしまったイカパス人を探している様子だ。
イカパス「おい!みんな来てくれ!ここを見てみろ、地面に血がついてる!」
そこはウーリがイカパス人の頭を叩き付けた場所。
何事かと、騒ぎを聞きつけて
クラァとケーンが姿を見せた。
コウライ「おいウーリ、あの2人を見てみろ。あいつらだけ他のウチュウと微妙に違うぞ。」
ウーリ「あぁ、なんだか強そうなやつらだな!」
クラァ「皆洞窟の中に入っていろ、これは恐らく我々の仲間が何者かに襲われた跡だ。そしてこの血痕、まだ新しい。近くに潜んでいるかもしれない。」
イカパスの人々はクラァの言葉を聞いて急ぎ洞窟の中に帰って行った。
周りに誰もいない事を確認してクラァがケーンに話かけた。
クラァ「弟よ、なんとなく気付いてはいるだろうがこれは恐らくあの猿どもだ。」
ケーン「あぁ、だろうな。あのガキを連れ戻しに来やがったのか?」
そう言って視線を洞窟の方に向けた。
さっきまでグッタリしていた様子のジベの息子ベジータは、意識を取り戻しこちらを睨みつけている。
クラァ「おっと、そう怖い顔をするな、若きサダラの戦士よ。もしかしたらお仲間が貴様を連れ戻しに来たかもしれないぞ?」
ベジータ「…。そんな訳あるか、俺達種族は他人の命なんかに興味がねぇんだ。」
ウーリ「ジベのガキが目を覚ましたみてぇだな、何か話してるぞ。」
コウライ「あぁ…、そんな事より俺は早くあの2人と戦いてぇ。」
コウライはその本能に刻まれた、強い奴と戦いたい、という欲求が前面に押し出て来ようとしている。
コウライ「…周りの奴らはみんな帰って行った。今目の前にいるのはあの2人だけだ、行こうぜウーリ!」
ウーリ「しゃーねぇな、ワクワクしてんのは俺も一緒だぜ!行くぞッ!」
茂みに隠れていた2人のサダラ人は
狂気とも言える程の笑みを浮かべながら茂みを飛び出した。
ケーン「!!アニキッ!サダラ人だ!!!」
クラァ「ふ、ようやく姿を見せたか猿共。」
ベジータ「…!!あれは、コウライとウーリ…なんでここに!」
ウーリ「おいコウライ。お前どっちのウチュウに行く?」
コウライ「強そうなデケェ方の奴がいい。」
ウーリは一瞬舌打ちしたが、実力はコウライの方が上
仕方なくイカパス人の余った方を選んだ。
コウライが選んだのはケーン。
ケーンの方が兄のクラァよりは体格がガッシリしている。
何かを問いかけるという訳でもなく、いきなりクラァとケーンへ向けて
突っ込んで行ったコウライと、ウーリ。
クラァ「おい、ちょっと落ち着けよ野蛮な猿共。名前ぐらい名乗ったらどうだ?」
走りながらウーリが答える。
ウーリ「これから死ぬ奴に名前を教えてどうなる!」
コウライは嬉しそうな笑顔を浮かべたまま、ケーンの頬目掛けて鋭い拳を放ったがケーンはそれを片手で受け止めた。
ケーン「死ぬのはてめぇら猿どもだ!」
そしてウーリもクラァの腹部へ強烈な蹴りを見舞ったが、クラァは腕を組んだままスルリと回避。
クラァ「ふ…。まぁ貴様らのくだらん名前なんぞハナからどうでもよいがな…。」
コウライ「お前らのくだらんお喋りが最後の言葉にならねぇように、せいぜい気をつけるんだな。さぁ始めようぜ。」