エイジ・オブ・サイヤン   作:イナゴライター

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低燃費

ケーン「おいエテ公、なかなかいいパンチを持ってるな。」

 

そう言うとケーンは、コウライの拳を掴んだまま

腹部目掛けて蹴りを食らわせた。

 

コウライ「ガフッ!!」

 

強烈な蹴りはコウライを一瞬地面から浮かせ、すぐさまもう片方の拳を

コウライの頬に食らわせる。

 

数メートル吹き飛ばされたコウライを見て、ウーリは笑っている。

 

ウーリ「はっは!油断するからだよ、マヌケぇ!」

 

クラァ「なら、よそ見をしている貴様は大マヌケだな。」

 

まだ腕組みをしているクラァは上半身を後ろへ仰け反らせ、

ウーリ目掛けて頭突きを見舞った。

 

ウーリ「うげぇっ!!」

 

クラァの頭突きは重くて、早い

ウーリは一瞬足の力が抜け、軽い脳震とうを起こして地面に両手をついた。

四つん這いの状態のウーリを、サッカーボールキックでコウライの方まで飛ばした。

 

一時的ではあるが、脳と腹にダメージを負ったウーリは

その場で嘔吐し、顔色も悪い。

 

コウライ「へっ、情けねぇなウーリ。ゲロってんじゃねぇよ。」

 

ウーリ「う、うるせぇ…。あいつ結構ヤバいぞ…。」

 

コウライは腕で口を拭い立ち上がり、またケーン向けて走り出した。

 

ケーン「まだ挑むのか?脳ミソまで猿だなぁ!!」

 

しかし、コウライは口角を一瞬吊り上げ

さっきまでとは段違いのスピードで、射程距離を詰めた。

 

ケーン「なっ!はやっ

 

全て言い終わる前にコウライの右の拳は、ケーンのみぞおちにめり込んでいる。

そして素早く拳を戻し、今度は左の拳で頬目掛け渾身の一撃を食らわせた。

 

ケーンはそのまま吹き飛ばされ、木にぶつかって地面に落ちた。

ピクッピクッと痙攣したまま起き上がらない。

 

クラァ「ほぅ、我が弟をたったの2発で沈めるとは、ただの猿では無いようだな。」

 

ここでようやくクラァは腕を解き、骨を鳴らしながらストレッチを始めた。

ウーリはまだ気分が悪そうだが、スッと立ち上がり両手で頬を叩き

気合いを入れた。

 

コウライ「おいウーリ、まだお前やれんのか?なんなら変わってやろうか?」

 

ウーリ「へっ、余計なお世話だ。お前は黙って見てやがれ。」

 

クラァ「まだ貴様が俺に挑むのか?今ので実力の差はわかり切ったと思うが。」

 

コウライはドシっと腰を下ろし、携帯していたイカパス人の肉片を食べ始め

ウーリは今度は構えを取った。

構えを取ったウーリを見て、

今度こそクラァも構えに入り、笑みを浮かべている。

 

辺りは静寂に包み込まれ、両者の呼吸音すら聞こえてくる。

 

 

 

バキッ

 

 

!!?

 

 

張り詰めた空気を何かが破壊された音で、緊張が解かれた。

3人は一斉に同じ場所を見る。

 

 

クラァ「…っ!!しまった!!今日は満月かっ!!」

 

コウライ「なんだと、あのガキ!化け始めてるぞ!!」

 

ウーリ「どこに月があるんだ!?」

 

月に背を向けていたコウライと、ウーリは気が付かなかった。

洞窟の入り口からクラァの背を見ていたベジータには、ハッキリと満月の姿が見えていた。

 

この危機から脱するのに最善の策である大猿化。

しかしコウライと、ウーリが驚いたのはそこではない。

 

ベジータ「ウウウゥゥ…ユ、ユルサ…ナイ…」

 

サダラ人は、大猿化する事で体内のリミッターが解除され、戦闘力も飛躍的に上昇する。

そして、好戦的な意欲だけが脳に残り、理性を失ってしまい

暴れるだけ暴れ、エネルギーの消費までも桁違いに大きくなるというデメリットも存在する。

その為大猿化が終わった際、極度の空腹と疲労に襲われる。

彼らにとって空腹とは死活問題である。

 

しかし、本当に稀だが

理性を保つ事が出来る個体がいる。

 

 

コウライ「あのガキ、理性を保ってやがる!!」

 

ウーリ「あぁ、何て奴だ。おい、俺達も化けちまう前にズラかろうぜ?」

 

クラァは何故逃げるんだ?大猿化すれば俺を倒せたかもしれんのに、と疑問に思ったが

こちらにとっても好都合な為すぐに姿をくらました。

 

ベジータは一度空に向かって咆哮を上げ

森の中に走って行った。


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