「人間にしては、おかしな部分があるってマシュは言っていたが…。」
「その魔力反応は……っ!マスター君、そいつからは一旦逃げたほうが良い!!『真祖』だっ!!」
「『真相』ですとぉっ!?」
真相。それは、人間を律するために星が生み出した「自然との調停者」「星の触覚」と呼ばれている物だ。吸血鬼の中の吸血鬼と呼ばれており、人々に恐れられていた魔属の一種と言っても過言じゃない。
「なんだ、大したことねぇな。おいマスター、こんなんでチビってねぇよな?」
「珍宮殿たちはサポートを頼みますぞ、ヒヒーンっ!」
「ちょっと待て!話をー」
ダヴィンチちゃんが脳筋サーヴァント二体を制そうとするが、カルデアのマスターも肝が冷えてはいなかった、
「こんなにも強いヤツがいるのか―疼くぜ」
「ダヴィンチ女史、マスターにスイッチが入ってしまったようだ」
「おらどうしたどうしたっ!?」
「!」
赤い剣が大地を割るが仙女は蝶のように舞った。
「おぉぉぉっ!」
次は人馬が矛を以て仙女を凪ぎ払おうとする。
これでも中々捕まらないどころか、馬の肩に一瞬で乗り地面に降りた。
「速ぇなっ!だがなっ!!」
赤い剣を持った騎士が大声を挙げると、それを合図かのように白い鎖が仙女の足に絡み付こうとしていた。
「なるほど、これがカルデアのマスターの能力…ね。」
仙女は再び敵でありサーヴァントを従える青年を凝視した。
「まだまだ未熟ねっ!!」
仙女は鳥のように宙を舞い、そのまま後ろへ迂回しようと目論んだ。
鎖は一瞬にして仙女から遠ざかってしまった。
「ふん、この距離なら…!?」
そこで、虞美人が見たのは信じられない光景だった。なんと、足に黒い足枷が付いていたのだ。そして、その起点は敵マスターの指から出されていた。
「捕まえた…っ!」
「ホワイトチェーン第二縛式・黒走蛇『ブラックマンバ』!!」
「止めと行きましょうっ!!」
赤兎馬が号令をかけると、それぞれ剣、槍そして弓矢に力を込めた。
「これは―我が父を呪いし邪剣―『我が麗しき父への叛逆(クラレント・ブラッドアーサー)』!!」
「その命―貰うぞっ!!『偽・刺し穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!』」
「人中に呂布、馬中に赤兎、今や一つ!『偽・軍神五兵(イミテーション・ゴッド・フォース)』!」
偽物も含めた三つもの宝具が虞美人に命中したっ!
「……今のところ魔力反応は無いな…」
「待て、マスター。奴は生きているぞ。」
「何?」
荊軻の忠告に耳を傾ける藤丸。そして、その一言で敵がどのような存在なのかを悟った。
「この気配は……後ろだっ!!マスターっ!!!」
「!!!」
藤丸は赤黒く、攻撃に適した長剣を取り出し敵の二刀を止めた。
二刀を持った敵は赤目に黒い布を纏いながら敵『人間』を憎むような目付きをしていた。
「チッ!」
「これでテメーのクラスも分かった。あとは……お互いお迎えが来てしまったようだな。」
虞美人は二つの戦車がこちらに向かっているのを察知した。
「マスター君、お説教は後にするから乗って!」
「おい、馬に眼鏡!付いてこい!」
「なっ!?」
藤丸は大地を斬って煙を挙げると、サーヴァントと共に銀の装甲を持つ戦車に飛び乗った。
敵が大きな機人馬に乗り本拠地へと戻っていくのを見届けながら。
装甲車の独房に鉄を踏む音が鳴り響く。
青年がある部屋に入る。そして、中にある椅子に重い腰を下げて煙草を咥えては愚痴を溢す。
「また説教されちまったよ……なんてまぁ、ここに来たのはそんな話をしに来たんじゃない。ランサーのサーヴァント。質問したいって聞いたんで来たんだがね?」
鎖に縛られている白いタイツ姿の女が青年を睨む。
「私のことは秦とでもリャンとでも好きにお呼びください。それより、聞きたいことがあります?」
「何?」
「貴方はどうして、この世界を壊そうとするのですっ!?ここは貴方たちの世界とは違って誰も傷付かない!貴方たちさえいなければ―」
青年は秦良玉の弁解を割った。
「『貴方たちさえいなければ』…?なるほど、ここで一部以外なんの知識も得ず囲いの中の生活に囚われている生活を『幸せ』と定義するか。」
青年は煙草に火を付けながら、前屈した。
「選択肢が少ないってのは確かにストレスフリーになり得る。けどな、押さえ付けてるせいで、『一生知りたいことを知れないまま死ね』と言えるのか?」
青年は続ける。
「『貴方たちさえいなければ』って台詞……その台詞そのまんま返してやるよ。この世界を造った神様とやらとクリプターさえいなければ!!俺は氷付けにされてしまった仲間を救えたというのにっ!!アイツらが攻めてきたせいでっ!!!居場所や恋人を失って心の傷を植え付けられた奴らだっているっ!!!!」
青年は顔を太陽よりも赤くして吠えた。そして、乱した息を落ち着かせて秦良玉の質問に答えた。
「何故ここに来たのか…それは。この世界を破壊すること……それが俺たちのやるべきこと『オーダー』だからだ。人類史を救う唯一の方法だからだ。」
暫くすると藤丸は独房から出ていった。
完
次回、藤丸は背水の陣へ挑みます。