藤丸一行は、始皇帝を直接叩くべく小隊と一人のサーヴァントに分かれ、都に向かっている。
「信用は出来ねぇが、案内しろクソ狐」
「チッ」
いつもより暗めのトーンで藤丸はコヤンスカヤに指図した。
この時点から30分前。藤丸はシャドーボーダーで待機してした仲間たちに芥ヒナコの正体について報告した。
「アレはやはり、人間ではない。アレはサーヴァントで例えるなら……そう。」
「暗殺者『アサシン』だね?」
「そうだ。突然気配を消しての奇襲攻撃……アレはその動きだ。次は仕留める」
藤丸はそう呟くと席を外し、【硝子のようにこれから壊される世界】の空気を吸いに行った。
「マスター、ちょっとした話がある。」
「……なるほど良いだろう。アンタの意見【覚悟】に敬意を払おう。」
そして、藤丸はそのサーヴァントとは別々に動くことで帝都を叩き出しつつこれから壊そうとする世界の空想樹『核』を破壊する作戦を仲間たちと立てたのだ。
「やっと着いたか……ここに空想樹の反応があるんだな?」
「さぁ?探してみては?」
「相変わらず食えない女狐だ。」
藤丸は焦らして苛立たせようとするコヤンスカヤの挑発を軽く流し、二騎の馬と騎士のサーヴァントに命令して帝都へ入る入り口を門番ごと破壊させた。
「始皇帝様っ!カルデアの者たちが!」
「やはりこうなったか。韓信と衛士長に向かわせろ。」
人形だけではなく、獲物に群がる狼のような顔つきをした拳法使いまでもがカルデア一行を囲んだ。
「1000人以上か……ちょうど良い準備運動だな」
藤丸はそう呟くと、白い小型メカを腰に当てて青白い鎧を着こんだ。
そして、白と黒の短刀を両手に握りしめた。
一方で始皇帝の間では白い暗殺者が影から標的を仕留めようと虎視眈々と隙を伺っていた。
勝負は刹那的な時間の中で決まる……それを弁えてるからこそ、暗殺者は標的が単独行動を行っているときに行うのだ。
一つの影が動き出し、一人歩きした。すると、その影が一瞬でその動きを止めた。
「始皇帝……覚えているか?」
暗殺者・荊柯は標的の影に対して冷たくしかし、ドスを利かせた声で語りかける。
まるで、これから消え行く命を弔いながらも呪うように。
「その声……よく覚えおるぞ…荊柯…」
標的は虫の息だ。
「では、死んで―」
……状況は明らかに暗殺者に軍配が挙がっていた……が、そんな状況は長く続かなかった。
それは草むらにずっと隠れていた蛇のように、領域に入った不届き者の首を刈り取った。
荊柯は驚きの叫びも挙げないまま、地面に背を向けた。
「ふぅ、危ない危ない。水銀分身を造ってなかったら、こちらが死んでおったわ。」
殺されたはずの者の声が生き生きした声で荊柯に語りかける。
「ハァッ!!………っ!」
藤丸は異変に気付いた。それは、隕石が落ちるときに見た物と似ていた。それを悟った藤丸は、叫びたい一心を噛み締めた。その口の中は、汁が赤い果実を食べたばかりのようになっていた。
「今だっ!!カルデアのマスターを殺せっ!!!」
「――!!!!」
自分を殺しにやってきた衛士を全ての生き物を殺すような眼光で睨み、
その腕を両手に携えた牙で噛み切った。続けて牙で首も噛んだ。
牙に噛まれた首は転がり、他の敵の足を滑らせた。
そこも容赦なく、敵の左胸へ目掛けて藤丸は自身の手刀を振るった。
そうしていると、眼鏡をかけた小太りな男が多くの衛士を連れてやってきた。
「……誰だ、お前は?」
藤丸は敵を踏みつけながら、その男を蛇のような目で睨んだ。
すると、踏まれている衛士が叫んだ。
「か……っ!韓信殿っ!!!」
男・韓信は、何かを楽しむように笑っていた。
完
次回予告
「最高だぁぁぁ!!」
「お前ら伏せろ。」
「さて、今度は儂が相手しようか。若僧。」
「知識は……『善』だっ!」
「民が知識を得ることは……『悪』だっ!!」
もう1話は午後挙げます