「そうか、そちら側に付いたか。貴様とは手合わせ願いたいと思ってはいたからさほど衝撃でもない。しかし、疑問は残る。何故裏切ったのかとな。」
先手を打たれたにも関わらず、平静な態度を保つ衛士長。
秦良玉も同じように平静を保ちながらしっかりとした口調ではなす。
「私は他の世界の笑顔を見てみたい…それだけです。」
「なるほど…では話はこれまでにして…死合おうかっ!!」
衛士の長は、しなやかでありながらも何万頭以上の象をも殺すような動きで藤丸と秦良玉の二人に飛び掛かる。
「!」
二人は彼の間合いから離れる。
「良さん!ちょっと時間稼ぎを頼む…10秒ぐらいでも良いから!」
「了解!」
良は素早い槍裁きで、衛士長の拳を食い止める。
藤丸は左腕に付けられたデバイスのスイッチを入れた。
「準備は終わった!!」
「はい!」
「!!!」
衛士長は危険を察知したが、彼は良に気がそれたほんの少しの瞬間を狙われたのだ。
しかし、強豪・衛士長も只ではやられない。
不意討ちを交わし、攻撃してきた敵に一矢報いようとする。
「三倍加速」
藤丸がそう唱えると衛士長の目の前から消えた。
そして、敵の周りに無数の剣を配置していたのだ。
鉄の蜂が敵を襲う。
「………流石は衛士の長だ、これでも死なずに居られるとは。しかもかすり傷のみで済ますとは。」
藤丸は続ける。
「気功で防いだか……これでアンタの正体も漸く分かったよ」
そういうと、藤丸は敵と全く同じタイミングで構えた。
「この魔力は…ぶつかりますね!」
「………!」
敵味方問わずに、対峙した二匹の獣たちの殺気は周囲へと伝わったのだ。
虎―衛士長―は聳え立つ山の如く、龍―藤丸立香―は大波と雷打たれる海の如く身構える。
そして、その二つがぶつかろうとしている。
「七孔噴血―」
「解き放て、白き大蛇よ――」
虎は炎を、龍は雷の衣を纏って力を十分に蓄えた。
陽炎と雷光が彼らの後を追うように走った。
「巻き死ねぇぇぇい!!」
「雷龍の牙!!」
炎の鉄槌と雷の剣がぶつかった。
そして、地に膝を着いたのは――
「若僧………いや、カルデアのマスター・『藤丸』。ここを通すことを認めよう。」
「良い死合いだったぞ……『李書文』。」
藤丸も側頭部から赤い布を垂れ下げながら、好敵手に敬意をはらった。
「おー、戻ってきたか!」
「やはり時間を食ってしまった…申し訳ない。」
藤丸は仲間に謝罪し、狐を睨みながら言った。
「さて、始皇帝に会おうか。」
マスターの一言を号令に、一行は始皇帝の間へと参った。
しかし、間の前に二つの影があった。
「なんだ、門番かよ『センパイ』。随分大人しく下ったな。」
影のうちの一つに煙草を吸いながら、皮肉な言葉を吐き出す藤丸。
それに対して虞美人は前へ出ようとするが、項羽の制止が入った。
暫く沈黙が続いた。
「………アークさん、普通のメイガスモードで頼む。」
「なら、合言葉を言え。」
「暴食『グラ』の書庫『アーカイブ』に接続!テーマを実行する!!」
青白い鎧が燃え上がる炎のように藤丸を包んだ。
「皆……行くぞぉお!!!」
藤丸が叫ぶと、両勢力が衝突した。
果たして、カルデアは虞美人と項羽に勝てるのか?
完
次回のFate/Grand Orderは!
「項羽様……ッッ!!」
「始皇帝様ぁ、樹ごとその命頂戴するぜ」
「朕より先に片付けておくべきことがあるのではないか?」
「……!!!」