魔法少女すみか☆マギカ 作:無名
7月下旬。定期テストを乗り越え、俺の一人暮らしの生活も安定してきた頃。
月曜日に気温が真夏日を超えるようになってから、キュゥべえが毎日毎日俺にアイスをせがむようになった。
こいつ、暑いとか寒いとかいう感情も感覚もなかったはずだが……。……あっ。
原作では、キュゥべえにとって感情というものは精神疾患に過ぎなかったって言われていた。
なに?精神疾患に罹ったの?マジ?
「どうしたのー?すみか、そんな辛気臭い顔しちゃって」
「あー……さやか」
ついさっきまで4限目の授業だったかと思ったら、いつのまにか昼休みになっていたらしい。
「お弁当、食べに行こ?」
「……うん」
「……もしも、魔法でなんでも願いを1つだけ叶えてあげるって言われたら、どうする?」
「なに、藪から棒に……。……そうだなぁ……。あたしはやっぱり億万長者とか?」
「あはは……。わたしは…………今すぐには思いつかないや」
「そっか……。私、別の人にそう『叶えてあげる』って言われて、困ってるの」
「え?なにそれ?……すみかって、もしかしてめっちゃ電波さんだったのか!?ゆんゆんな電波をじゅs「そんなことあるわけないよ……。私だって最初は変な人だと思ったよ……。けど、実際にそいつに願いを叶えてもらった人がいて……絶賛お困り中なの」
「ふーん……」
放課後。いつものようにそれぞれの家へと帰り、また集まって遊ぶような時間。
バタン、ガラガラ
「はぁ……どうしよう……」
顔を上げて目についたのは、ソファーとテレビとテーブルしかない殺風景なリビング。
クッションやカーペットとかいった類いのものは一切ない。カーテンも無地の白と、その上に緑の暗幕。壁・天井は真っ白で、床は冷たいフローリング。
はっきり言って、寂しい。
「……はぁ……」
2度目のため息。
「どうしたんだい?」
「あっ……キュゥべえ……。いや、ちょっとね……空虚な部屋だよね、ここ……」
「……」
「僕は君を魔法少女にできたらいいんだけど……」
おい、空気読め。
魔法少女ね……魔法少女か……。魔法少女……。魔法女……魔女……。
魔法少女はいずれ魔女になる……それはこの世の
てか、新学期にはほむらが入ってくるんだよね……?魔法少女じゃないと歯が立たないよきっと……。
心の中は男なのに魔法少女なんて……原作や外伝にも『男の娘』は存在してないのに。
「…………決めた」
目を閉じてゆっくりと伝える。
「私、魔法少女になる」
「自分のための願いでもいいんでしょ?」
「そうだよ。さぁ、教えてごらん。君はどんな祈りで、ソウルジェムを輝かせるのかい?」
臭いセリフだと心の中で嘲笑う。
「私の願いは……──
続く
次話にすぐ続く