ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 ~紋章のマレビト~ 作:早起き三文
「もうすぐ」
「何、リデール?」
「シアルフィではありますが……」
自身の馬の背にエリアを乗せているリデールは、そこまで言って。
「食べ歩きはお止めください、エリア様」
「歩いてないじゃない」
「いや、そうではなくてですね……」
無作法に干しリンゴを食べているエリアをと視線をむけながら、軽くため息を吐く。
「いい天気だな……」
そのリデール達の後をラディ、そしてシーザが馬を引きながら続き、微かにいなないた馬の首筋を撫でつつに、シーザがその目を薄く細める。
「なあ、リデールさん」
「何だ、ラディ殿?」
「シアルフィのパイロンだか、シグルドって」
昼の陽射しは暖かく、街道に植えられた木々からは春の香りが漂う。
「どんな方なんだ?」
「そうですな……」
気分が良いのはリデールも同じなのであろう、二個目の干しリンゴにその手を伸ばしたエリアをもう咎めることはせず、そのまま遠くに見える純白の城、それへと視線を向ける。
「このグランベルでも、一二を争うぐらいの剣の使い手です」
「パイロンさんが、それとも……」
「御二方が、ですよ……」
「ふーん……」
その言葉に頷きながら、ラディもリンゴを食べているエリアに触発されたのか、懐から干し肉を取り出してそれを口にと含んだ。
「ん……?」
その時、リデールがその騎馬の脚を止め。
「どうした、騎士リデール?」
「……」
シーザの怪訝そうな声にも答えず、前方にと見えた人影、それにと視線を注ぐ。
「あれは……」
その影がリデール達の元へと近づくにつれ、その人影の詳細が明らかになる。黒く長い長髪が太陽の光を吸収し、その「影」が腰にと差している剣、その鞘もまた黒い。
「なあ、シーザ」
「ああ……」
「影」は恐らくは男であるのだろう、美しい顔立ちをしたその男は、無言のままゆっくりとリデール達へと迫り、そして。
「下がっていてくれ、騎士リデール」
そう言い放ったシーザの目の前でその剣を抜く。紅く光る長剣をその目にしたシーザは、自身も背に帯びている大剣、鋼製の大剣をその手に握り。
ギィン!!
電光石火、まさにその言葉が似合う程の勢いで男から繰り出された紅き剣の一撃を防ぐ。
「くっ……!!」
「……」
二撃、三撃、鋭いながらも重いその長剣による残撃を、シーザはその歯を食いしばりながら、どうにか防ぐ。
「ふむ……」
微かな嘆息の息と共に漏れだした男の声、それがシーザに加勢しようとしたラディの耳にも入る。
「……悪くない、あの男には及ばんがな」
「あの人、オグマもこの世界に来ているのか?」
「さあ、俺は知らんな」
「……紅の剣士ナバール」
――――――
「……俺達がここに来たのは」
そのナバールの言葉、シーザ達が暮らし、救った世界「アカネイア大陸」において紅の剣士と敵味方に恐れられた剣士ナバールの言葉を継ぎ。
「ちょうど、あの暗黒竜を倒してから一年後ぐらいなんだよ、シーザ」
そのナバールによく似た、しかし穴が空くほど見れば全く違うとも言える剣士が、エリアやシーザ達にそう解説する。
「俺達とは、少し時間に差があるな……」
「お宅はどうだったんだい、ラディさんよ?」
「ちょうど三年目位かな……」
「フゥン……」
彼ラディのその言葉に対して、横にいたシーザが相槌を軽く打った。
「何か、あたし達の夢の中に金色の鱗を持つ竜が出てきてね」
「俺やラディも見た夢だ」
「力が足りない、と言っていたわ」
彼ら二人の剣士と共にこのシアルフィにと降りてきた、踊り子風の女性の言葉に、シーザ達はもちろんエリアやリデールもその身を乗り出して聞いている。
「なんなんだろうか……?」
街道の休憩所で暫しの休息をとる七人、ナバール達も含めたその面子は、その顔を険しくしながらしばらくの間無言であったが。
「……シアルフィに行くぞ」
「え、ええ……」
いきなり無言で立ち上がったナバールに、やや意表をつかれた形でエリアもまた、立ち上がる。
「とりあえず、シアルフィに行かないと……」
「確かに」
エリアのその言葉にリデールも頷きながら、粗末な休憩所から外の様子を見渡した。
「夜にならない内に、休む場所へと着いておきたい」
「そうだな……」
シーザもリデール達の言葉に同意し、自分の荷物をまとめ始める。
「ねえ、ラディ」
「は、はいエリア様?」
「あなた達の話に出てきた、暗黒竜っていったい何?」
「それは……」
何、と聞かれてもラディには咄嗟に答えられない、助けを求めるようにナバールへとその視線を向けたが。
「……」
その視線をナバールは無視し、代わりに。
「悪い竜、ですよ」
「はあ……!?」
ナバールの付き添いの剣士、彼が見も蓋もない答えをエリアにと告げる。
――――――
嘆きの声が上がる、炎に包まれた都市。
「フフフ……」
その街の中で蛮行を行うイザークの者達の上、天にと浮かぶ四つの影。
「さすがはエクスカリバーの魔法、瞬く間に駐屯軍を蹴散らしおったわ」
その影の内、老人と思われる者からの声に。
「神器にも負けぬ、これならば……」
「……」
「ロプトゥス復活の、力になる……」
フォン……
赤い光に包まれた影達は、ただその身体から吹き出るオーラを、天へと昇らせるのみ。
――――――
[キャラクター・データ]
ラディ/ソードファイター
Lv/17
HP/38
力/11
魔力/3
技/14
素早さ/17
運/8
守備/9
魔法防御/3
[武器レベル]
剣/A
[神族の血]
なし
[スキル]
追撃
連続
見切り
[装備]
細身の剣