・クロスオーバーもどきな要素があります。
・第一部7話を投稿で、一旦完結とします。
・予約投稿23時済み。
心地よい揺れと暖かな日差しに肩を叩かれたような気がして、「あなた」は閉じていた瞼をゆっくりと開きます。
がたがたと小刻みに動く木製の車。緩衝材の藁山と、幾分かの保存食糧の中。
居心地はそれとして、長旅には慣れたもの。あなたが身体を起こすと、御者の男性はこちらを気遣いながら、目的地が近いことを伝えてくれました。
こうして
さて。あなたはこの世に生を受けた一介の人間であり、ハンターという職業に就いております。
ハンターと言う生業は、なにかと苦労の絶えない職業です。かくいうあなたも、ハンターとして生計を立てるまでには様々困難を切り抜けてきたもの。やれ大連続狩猟だ、モンスターハンターだ、異常震域だ、水中戦だ、わがままな第三王女だ……etc、etc。
これらはハンターとして有名になってからの仕事ではありましたけれども、おいそこ黙れ赤衣の男、こほん失礼。とかく、中型モンスターを片っ端から狩猟してそのまま防具の修繕費にあてては鍛冶師を苦笑いさせたり、お守りを堀りに火山にこもって本業の炭坑夫の方々をうならせたり。様々やんちゃをしたものです。
そうして様々な経験を積んだあなたには、今、ハンターの上役を務めるドンドルマは大長老からひとつの指令が下されていました。飲み友達でもある大長老の言葉をまとめてしまえば、以下の通り。
『しばらくの間、向こうに籍を置いて、龍歴院のハンターとして活動して欲しい』
いえ。実際には大長老のご意見番……あなたの飲み友達②であるギュスターヴ
とかく、とかく。
若くからハンターとして活動を重ね、時勢と時の運に恵まれまして……それなりの経験を積んだあなたを指定しての依頼です。あなたはここしばらく中央に腰を落ち着けていた事もあり、久しぶりに移動を要する依頼を快諾したのが数週前のお話。
……いやはや、快諾もしましょう。何故ならばあなたは、こういった仕事に派遣する人材を選ぶ側の苦労も、酒場で同席するギルド職員の方々の愚痴などから、よくよく存じ上げていましたので(筆頭書士の思惑はそれとして)。
かくして馴染みの仲間達に見送られ街を出立したあなたは、長大な移動距離を経て目的地へ到達した訳なのです。
そう。件の目的地 ―― ベルナ村へ。
村の入り口で丸鳥車を留めてくれた御者に礼を言って、護衛を兼ねていたあなたも御者からお礼を返され。積み荷が減ったなやったぜとばかりに、車を引く丸鳥は慌ただしい駆け足で村を離れて行きます。別に周囲に危険な生物が居るわけではなく、丸鳥はあれが愛嬌なのです。だのであなたも安心して手を振り、その姿を見送りました。
さて。村です。入口の周囲にさっそくと、もこもこで四脚の生物がお目見えしております。ちりん。むぇー。あら可愛らしい。牧畜だとすれば毛も乳も肉も重用できそうで大変よろしい。
生物をわしゃわしゃしながら柵の奥、村へも視線を伸ばします。なだらかに連なる緑の丘陵。その奥には何やら岩……造り……の、大きな建造……物……? まぁ、そんな物もひょっこりと見えていて、あなたの好奇心を刺激しますが。
まずはと入口を潜ると、早速。第一村人、発見です。
「おお。あなたがこの村に手を貸してくれるハンターさんか? どれ、早速だがハンターハウスに案内しよう」
あなたの到着を待ってくれていたのでしょう。あなたは移動用にと高地でよく使用される布製の……しかしはっきりとハンターの防具を身に着けていたので、初見でハンターと判断されるのもこれは当然。
出迎えてくれた村長と挨拶を交わしながら、あなたは頷きます。
ハンターハウスの横に据え付けられた
「早速で悪いのだが、施設の紹介などは彼に任せても良いかな?」
防具の調子を確認していたあなたは、村長の言葉に顔を上げます。
村長はそこそこのお年をめしていらっしゃるので、村の案内を他の人が担当するのは全然オーケーむしろ良き。
そんな風に考えながら、あなたはハンターハウスの入口へと振り向きます。すると。
「おいっす。あんたがついさっき到着したっていう、専属ハンターのご後輩だな?」
中肉中背の男性が、こちらに向けて片手を挙げていました。
あなたは首を傾げながらも、その男性ハンターとそのまま握手。とはいえ村に専属ハンターが複数居るのは普通にアリです。これから大規模な調査が行われる場でもあるのなら猶更でしょう。実に心強い。
後輩と呼ばれたからには彼を「センパイ」と呼ぶことにしたあなたは、早速と幾つかの……質問というか、要望を飛ばします。
レザーだと心許無いので防具を作りたいです。村と集会所があるのは聞いているので、交互に進行させながら最低限の素材を集めたい。武器は何でも使えるので、速度重視の鉄と骨を一式。消費アイテムの買い付けも、持ってこれた手持ちのゼニーが潤沢にあるのでルートを構築したい。この村での評価を上げるため、
矢継ぎ早に、ええ。この間実に20秒のマシンガントークでした。
「あー……流石、って感じか? 中央含め大陸全土で活躍している名高いハンターさんだからなぁ。後輩は。ま、実利的で大変よろしい!」
サムズアップしながら苦笑するセンパイは、その内容を余す事無く理解し。しかもどうやらあなたの事を知っていてくださったご様子です。
「俺は先輩っちゃ先輩だけど、たぶん狩猟の腕はそっちが上だしな。俺は一応専属ハンター達の取りまとめもやってるが、狩猟の腕ってよりは向こうの……龍歴院の方にも籍を置いてるってのが理由としちゃあ大きいし。どうだ後輩、早速村の筆頭ハンターとかやりたくないか?」
センパイのこのお誘いに、あなたはにっこりと、間髪入れずお断りを入れておきます。ええ、断じて。
「おぉう……即答かよ!?」
少ないながらに期待も込められていたのでしょう。センパイはやや諦めたような、疲れたような口調でため息をひとつ。
とはいえあなたもベルナ村へ来たばかり。先に述べたようにハンターとしてやらなければならない課題が山積しておりますので、そんな面倒な……おほんこふん。取りまとめとか矢面に立たされる立場はごめんなのです。
「ま、冗談半分だ。気にしないでくれよ。……んじゃあ間ももたせたし」
確かに、今のやりとりの間にあなたの手荷物はおおよそハウスの内に運び込みを終えていました。あとはルームサービスのアイルーに任せてしまって良いでしょう。
「お任せくださいニャ旦那様!」
「おー、任せた。そんじゃあ案内を始めますか。……っと」
あなたもきびきびと動き始めたルームサービスのアイルーに返礼をしておいて。
「形式ってのは大切だ。まずはこれだな。歓迎するぞ、ようこそ後輩 ―― ベルナ村へ!」
先を歩きながら、実に楽しそうな笑顔でセンパイは村を指さします。
そんなこんなで、あなたのベルナ村でのハンター生活は幕を開けたのです。
【 高原の村 ― 今は長閑 ― 】
センパイにベルナ村を案内してもらうこと半日。想像より遥かに充実した設備に唸りながらも、あなたはおおよその事態を把握する事が出来ていました。
施設巡りの道中、センパイに龍歴院のお仕事について仔細を尋ねた所。
「んー、俺らの仕事は簡単に言えば学者さん方の護衛だよ。ベルナ近隣の植生は『古代林』っていう特殊なものだっていうのは、知ってるか?」
あなたは頷きます。「古代林」は通常の山林とは違い、割と特殊な場所であるのだと。
「そうそ。高地にあるせいで周囲の環境を受けにくくて、植物や生物、果ては菌糸類なんかまでもがガラパゴス化してる地域なんだよ。そんで、そこの周辺に調査団を本格的に……あー、やっとの事本格的に。まぁ、入れ込む事になってな。どうやら将来的には管轄地……ハンターズギルドが面倒を見れるハンター用のフィールドを広げたいみたいなんだが」
センパイはつらつらと説明を続けてくれます。専門的な用語もありありで、お詳しい。
「ん? あー……俺は龍歴院にも籍を置いてるっては言ったけど、学者側の籍なんだ。村の方がハンター不足でな? 一応昔取った杵柄でハンターも兼任してんだが、後輩が一人立ちするくらいになったらそっちに戻る予定なんだよ」
成るほど。詳しいわけです。
よくよく見れば先輩の装備は迅竜……ナルガクルガと呼ばれるモンスターの素材によって作られた物。何故か色は白いですが、艶やかなその装備はセンパイの気配を薄くし、可動性を全く阻害しない軽さから回避力を重視したスキル構成をもたらしてくれる筈です。
ナルガクルガ自体もかなり強力な大型モンスターであるため、それを狩猟できるセンパイの実力も一角のものなのでありましょうと予測が出来ますね。
「なんか妙に値踏みされるみたいな視線を感じるんだが……まぁ、説明続けるか。そんで村に新規の専属ハンター……それもかなりの腕を持ったあんたを入れる事で、龍歴院の活動域を広げることが出来るって寸法なんだよ。俺とか他の学者は、この大陸を色々と回ることが出来るようになる」
ふむん。確かにここベルナは高地であることを活かして、気球や飛行艇を使った空輸が発達していると聞いています。先程案内された施設の中にも、建設中の飛行艇がありました。それら空路があれば、もっと広域の調査を行う事も出来るのでしょう。あなたは道中の確認も含め、陸路で来たわけなのですが、この時代は空路を通じて遠く離れた土地との交流も盛んになっております次第。
「まーな。つっても大陸各地に行かなきゃならんのは、ハンターズギルドの利権絡みもかなり大きいぞ? ここベルナを中継点にすることで、陸路で行くには僻地過ぎたポッケ村とか別大陸のユクモ村とかにも恒常的にハンターを回すことが出来るみたいだからな。それもあんたにしてみれば、この地域のギルド評価を上げるためには有用だろーけど」
だそうです。何とも世知辛いというか。とはいえ空路が発達すれば今まで足を向けられなかった場所にも気軽に行けるようになるので、あなたとしても大賛成と言うか。
「てことで、俺らハンターのお仕事としてやる事はあんま変わりないな。依頼が出たら消化する! 優先的に片付けなきゃならん緊急クエストが出たなら消化する! これだな!」
実に良い笑顔ですセンパイ。その輝きたるや、深淵までをも照らし出す社畜の太陽が如し!
「いーや。社畜にゃならんね! 絶対! そう心に誓う俺のささやかな反抗が、あんたの投入なんだって」
ああ。
その言い様から鑑みるに、ギュスターヴの野郎を通してあなたに依頼をしたのは、もしかしなくても。
「おー、その通り。俺はハンターとしちゃあそれなりに過ぎんが、こう見えて顔は広くてな。腕の立つ奴をって頼んだらあんたが紹介されたって訳だ」
そう言って、僅かな間。センパイは此方の反応を伺っているご様子。
……あ、だいじょぶですとも。ギュスターヴ某に思う所はありますが。ええ。昔に少しばかりどぎつい目に合されたというか、そういうのはあるので。個人的な悪感情は抑えきれないとは思いますが。それはさておき今回のベルナ村へ移籍する依頼については、むしろ丁度いい頃合いだったと考えていますあなた。
「そうなのか?」
はい。
何分あなたは中央でも頼りにされる立場であったもので、長い間街を離れるような……拠点を別とするレベルでの遠出が許されなかったのです。
様々な高難度の依頼をこなし、依頼がやっとの事落ち着いて、それから暫く休養を挟んで。さて次は何をしようかな、と思慮していた所にこの依頼は舞い込んできました。新たな地。新たな生物。新たな人。それらはあなたをわくわくさせてくれる、何よりの原動力なのでありますからして。
むしろ此方からはお礼を言いたい所ですね。ええ。早速ですがありがとうございます!
「此方こそ、って言わなきゃなんだけどなーそれ。流石は腕利きハンター。成るほど、独特な感性してんのな?」
それはセンパイも大概だと思いますけどね。こうして話していても判りますもの。
「凄腕のあんたと同類かー。……嬉しいような悲しいような?」
同じくですよ以下同上。
……うん。なんというか、このセンパイは如才なく人付き合いを行うタイプなのでしょう。あなたと違う部分ではありますが、感性が鋭くて。故に人付き合いを選ぶタイプでもあると見ました。職場では頼れる上司になる人柄ですね。
「そーいうの素直に言えるあんたは人たらしだと思うけどな、俺は。……さって、最後の案内場所だ」
話している間に、どうやら目的地には到着したようです。
鍛冶場や訓練所や道具屋などなど、村の内側は既に案内を済まされております。今訪れたのは村の外れ……川に面した、丘陵に近い部分でありました。
あなたは周りを見渡してみます。
所々に黒板や小舟などが据え付けられています。どうやら誰かが訓練を行う場所のようで、木製の的や重しや教書などもちらほら。ついでに村の入り口でも見かけたもこもこした生物がむふぉー。
一見して長閑な雰囲気は変わりませんが……ここは?
「ここはオトモ広場だ。普段はアイルー達が訓練したり、群がって遊んだりしてんだが……うん?」
センパイが首を傾げます。多分、予想を違い、目的地であるこの広場に誰もいなかったからでしょう。
きょろきょろと周囲を伺うセンパイに倣って、あなたも更に見回すことに。
奥。大きめの木が生えているだけで誰もおらず。川に浮かぶ小船。中には誰もいませんし積み荷もなし。黒板あたりには教書が投げ捨てられており、割と最近まで誰かが居たご様子ではありますが今は昔。
右なし、左なし。
前も、後ろもなし。
宜しい。世は全て事もなし。
だとすれば……上かっ!
そんなノリであなたが空を見上げると ―― なんと、どんぴしゃり。
「気球が……落ちてくるって、うわ、マジかこっち一直線とか!?」
あなたとセンパイが立っている辺りへと、小さな気球が落ちてきているのが見えました。見えてしまいました。
ええ。残念ながら気づくのが遅くて直撃コースです。あなたは諦念でもって、その小さな気球を受け止めることにしてみます。咄嗟に発揮される無駄な対応力は、あなたの長所なのです。
膨らんでる球皮部分なら、どんとこいやぁっっ!
「後輩はやたらポジティブだなぁ畜生ーーっ!?」
「―― 皆、いいかしら。あれに飛びつくわよ、にゃ」
「おま、こっちかい、そもそも飛びつく必要なうわっぷ!」
最後の最後、センパイには気球から飛び降りた小さな影が多量に覆い被さり。
もひとつ!
「―― きゃぁぁぁあああ!?」
もっふ。
あなたの身体にも、やわらかで小さくて、陽だまりに咲いた暖色の花の様な香り。それとそこそこの衝撃。はい。そこそこ。
そして訪れる静寂。幸いにして痛みはありませんでした。仰向けに倒れたあなたは、暫くして頭上に大きく被さった球皮を払いのけると、自身に乗っかっている小さな重みの正体を観察することに。
そして、あなたは絶句する。
間近に飛び込んで来たるは、天地鳴動す衝撃の映像 ―― 猫耳である。
ああ。正確には、猫耳を付けた少女である。
それが自前の物なのかどうかはちょっと気になるあなたでしたが、そこは一先ずスルーして。
大丈夫でしょうか、そこなお人。細心の注意を払って受け止めたつもりではありますが、お怪我などありませんでしょうか。
「……?」
少女然とした小さな体躯。輝くブロンド、ふっくらと赤みを帯びた頬、小さな唇、顔の横に尖った耳、上目使い。頭上の耳がぴくり……と動いたような気がしますが、いや気のせいかもしれないです。カチューシャらしき繋ぎ目が見えてしまったから。残念。見えなかった事にしてしまいたいくらい残念。
あなたの問いかけに疑問符を浮かべていた少女は、この間に状況を悟ったのでしょう。ばっとあなたの上を飛び退くと。
「すっ、すすすいませんっ!? いえ、ありがとうございますっ……!」
ぺこぺことこちらに頭を下げてきました。その狼狽ぶりたるや、見ていて不憫になる程です。
まずは落ち着きましょう。びーくーる、びーくーる(王国の古語で「冷静になりましょう」の意)。
「は、はい……?」
あなたが深呼吸をしてみせると、あら素直。目の前の猫耳少女も同様に深呼吸を繰り返してくれます。
すー、はー。すー、はー。
「……おーい、こっちもそろそろ退いてくれないか?」
「あら、そう。仕方ないわにぇ」
呼吸を整えている間に、隣で大量のアイルーが覆い被さっていたセンパイも息を吹き返します。
促しに従って、彼からアイルーがばらばらと離れて行って。……そろそろ此方の少女も落ち着いてくれたでしょうか。
「あの……はい。ありがとうございましたー」
うむん。よいお返事。
そのままセンパイから飛び降りた(3回転ひねり)アイルーに事の子細を聞いてみれば、どうやらアイルーの部隊を遠征させるための気球を試運転していたご様子。着地場を作るのを忘れていて、取りあえず広場目掛けて進路を取っていたら、あなた達が通りがかったのだとか。
ご無事でなにより。とはいえ、仕切り直しが必要でしょう。あなたは隣のセンパイを見やり、先を促します。
まずは目前の、あなたの膝丈程度の身長の、猫耳の、少女からでしょうと。
「あー、紹介が遅れたけどまぁこれは仕方ないだろ。改めて。我が後輩の目前にいるのは、ネコ嬢。つい先日村の組合に参入した、アイルー達の斡旋業者をしてくれてる竜人族の娘さんだ」
「はい。これからよろしくお願いしますね、ハンターさん」
礼儀正しく腰を折るネコ嬢さんに、あなたもぺこり。
ところで……ネコ嬢?
「あ、わたしの名前はカティと言います。ですが役職からして、ネコ嬢と呼んでもらえると皆さんへの通りがよいもので。そう呼んでもらっているんですよ」
そう言って、ふふっと可憐に笑いますネコ嬢。
言われてみれば、他の村などでアイルーを斡旋してくれるお婆さんの通称が「ネコばあ」でしたね。それに倣った名前をつけるとすると、年若い(ように見える)この少女の呼名は確かに「ネコ嬢」となるのでしょう。納得納得。
……いえ。あなたは「ネコ」なる生物には詳しくないのですけれどね。アーサーさん主導の樹形図でちょっとだけその名前を見たことがある程度。ネコとはアイルーによく似た生物との事でして、今でもアイルーを扱う職種によくよく使われる単語なのだそうです。
あなたはそれじゃあ自分もと、手短に名前とハンターで在る旨を告げて自己紹介を終えます。続けて隣のセンパイへ。もっと正確に言えば、その足元にたつアイルーへと視線を向けました。
隊列を組むアイルーらの最前に立つからには、筆頭なのでしょう。緩やかな毛並みが美しく、身に纏ったふわふわでふりふりな衣服が特徴のそのアイルーは、ややむっつりとした表情で。
「……私は、ミィ。この隣のハンター、ショウのオトモ兼ニャンターとして登録しているわ」
「つーわけで、俺の相棒ってことだな。どうぞよろしく頼むぜ、後輩!」
とても率直で簡潔なご紹介です。しかしてこれ以上ない紹介でもあるでしょう。何分あなた達はハンターなのであるからして、狩場で語るべき内容も多いはず。技量や性格などはそれら内容の筆頭で、(今更ながら)名を「ショウ」と言うらしい事が判明したセンパイともそのオトモのミィさんとも、狩猟を通してコミュニケーションを重ねるのが最善にして最短の道のりでしょうから。
……うん。これからの事を考えると、とてもわくわくしてきました!
さては早速明日から狩猟に向かおうかなと、村に戻ってから催された歓迎パーティーで酒精があるような気のする麦ジュースをがぶがぶしながら考えつつ。
あなたは楽し気に、ベルナの初日を過ごすのでした。
・あなた
この世界に生れ育ち、ハンターと言う職に就き、それなりの経験を積んだ只人。
ハンターとしての経歴には目を見張るものがあるが、それ以上でも以下でもない。
・ベルナ村
高地にあり、古代林に隣接した村。
龍歴院という組織と持ちつ持たれつ、研究・学者街としての側面を持つ。
もこもこした四脚の奇蹄目、ムーファを家畜として放牧しているようだ。
……気球、飛行船といった空路が発達したこの時代において、高所にあるベルナ村は新たな交通の要所として位置づけられた。
遠地や隣の大陸との交流も、以前に比べて大幅に活発化しており、これら発展は
・龍歴院
ベルナ村の奥地に存在する、「とある天造物」を調査することを命題とした組織……らしい。
実のところドンドルマのハンターズギルドに負けず劣らず歴史もあり、交流も深い。
ここに集まる学者連中は中央の書士隊や王国の学術院とはまた違い、人種や年齢の垣根を越えたフリーダムな人々が多い。
またハンターと学者を兼任する者共も、各々の研鑽と交流を求めて数多く集まる事で有名である。