モンスターハンター あなた   作:生姜

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【 高原の村 ― 今も長閑 ― 】

 

 ディノバルドを狩猟致しまして、行商らの皆様方のご帰還についてはセンパイに丸投げして ―― キャンプで一晩を明かして翌朝。あなたとセンパイ方々は無事にベルナ村へと帰投しました。

 しかしあなた達が帰投してすぐさま、村は大騒ぎ。何分ベルナ村の人たちは、帰ってきた行商の一帯やアイルー達から、貴方がたが斬竜との交戦に至った様子を知らされておりまして。村長と龍歴院の人々が方方へ救援の依頼を要請しかけていた様なのです。

 一応、センパイが龍歴院の観測気球を通して交戦になった旨の連絡はしていたのですけれどね……と考えながら村人達にもみくちゃにされつつあるあなた。一番ケガが酷かったですからね。これも仕方がありません。歩けると言うのに無駄に担架に乗せられて、救護所へのご搬送。とてつもなく手際がよろしい。

 

「おー、後の始末とかは俺がやっとくかんな、後輩。お疲れさまーぁぁぁ……(フェードアウト)」

 

「ご苦労様、にぇ」

 

「あるじさまも、たまには養生してくださいニャア」

 

 遠ざかってゆくセンパイ方とオトモの声をBGMに、あなたは動かない訳でもない手を振り返しつつ、成されるがままに運ばれてゆきます。

 夜ではありますがそこら中で篝火を焚いて明るく警戒中の龍歴院、その道中を下から見上げ。実に美しい夜空と星々を眺めながら数分で救護所にはたどり着かされて(強制)いました。

 学者を兼ねているというお医者さんに幾つか外傷を見せて、外傷よりも火傷に対する処置を入念にやり直してもらって。さては処置終了です。

 あなたは近くのベッドに腰かけて、水分補給を終えて。次はどうしようかと頭を悩ませます。体力が減っていないと言うと嘘にはなりますが、安静にする程ではありません。狭いが灯りは十分な幕舎の中、周囲には先ほど斬竜から痛打を喰らってしまい気を失った一隊の護衛ハンターさんが2名寝かされていますが、あなたは彼ら彼女ら程の傷を負った訳でもありません。

 ……となれば、ここに寝ているのも何となく気が引けてしまいます。そう思ったあなたは医師にお礼を告げると、インナーのまま外に出ることにしました。

 

 高所故に夜風は少し冷たいですが、ディノバルドとの戦いの余熱を冷ますには十分でしょう。インナーだけでははしたないので適当な外套を羽織って、あなたは龍歴院の出入り口付近を目指します。

 まだまだ人の出入りは激しく、狩猟の後を臭わせる広間。依頼窓口の横では、センパイがオトモセンパイと共に書類仕事を的確に振り分け、イモートが空欄埋めやサインをしてくれているのが見えました。これは自分が顔を出すのも野暮かなぁと、あなたはまたも踵を返すことに。

 

「―― オウ! ハンターさん、お体の様子はよろしいのですかニャ?」

 

 向き直った真正面へぬ(る)っと沸いて出た雄々しき毛並み。この事態であってもコック帽を忘れぬ、ニャンコックさんがあなたの背後に立っておりました。

 心配をしてくださった彼に、あなたは怪我はあんまりなかったこと、出血量も大したことはないこと、火傷の治療だけは継続することを端的に告げます。

 

「それはほっとしましたニャ。Meもクエストの片棒を担いだ故、お怪我が無かったのは喜ばしいですニャ!」

 

 ふんと息を吐いて大きな体を歓喜に揺らすアイルー族(巨大)。

 彼と狩場での出来事や、あなたの療養に際して滋養の付く食事を提供して頂く旨のやり取りを幾つか重ねて。

 

「ところで、Meの義娘にはお会いしましたかニャ?」

 

 おや、とあなたは首を捻ります。

 探しているのですかね。義娘……ネコ嬢を。彼女の無事は、猟場で確かに確認したと思いましたが、ニャンコックはまだ会っていないのでしょうか。ならばギルド職員にかけあって。

 と、あなたが話そうとすると。

 

「いいえ。あなたとネコお嬢とが、ここに帰ってきてからお顔を合わせていないですかニャ? ……という意図の質問ですニャ」

 

 ああ、そういう質問でしたか。でしたら、はい。会っていませんね。何分、救護所ではあまりお手数をおかけしないよう立ち回ったものですから。

 そう告げると、ニャンコックは軽く頭に手を当てて。

 

「ニャンと。これはもしや、入れ違いになりましたかニャ……?」

 

 アイルー成分多めで可愛らしく(当社比)首を傾げてみせます。

 ふむん。何かネコ嬢からあなたへの用事でもあったのでしょうか?

 

「ああいえ、機会はこれからもあるでしょう。ましてや明日からは歓迎会を催す予定ですからね。ふんっぎぎ。……ハンターさんには本日は養生して頂ければと思うニャ! 義娘にはMeから連絡を入れますので、お任せください!」

 

 歓迎会何それ面白そうと満身創痍ながら元気いっぱいに身を乗り出すあなたを、ハンターに負けず劣らずの驚異の膂力で抑えこみ、ニャンコックはそう言い切ります。実に力強い。

 仕方がありません。楽しそうな催しについては明日にでも説明を貰おうと考えつつ、あなたは取り合えず自らのハンターハウスに戻ることにしました。

 

 傷は深くないとはいえ、疲れてはいたのでしょう。

 ハンターハウスに入るなり気が緩んでか、あなたはベッドに身を投げ出し眠ってしまっていました。

 目が覚めると見事に翌朝。しかしながら目覚めるなり、村の中にいつもよりも多くの人気を感じます。

 

「お目覚めになりましたかニャ、あるじさん!」

 

 嬉しそうに駆け寄り、ルームサービスさながらに甲斐甲斐しく朝食を並べてくれるイモート。

 彼女にお礼を告げ、ベッドの上で胡坐をかき。白パンにバターをたっぷり塗って、ガーグァの胸肉ローストのジャンボネギ合えとシモフリトマトの漬物を挟んでかぶりつきつつ。

 ところで歓迎会って何でしょう。昨日、ニャンコックさんから聞いた単語ですが。家の外から感じる、この人気(ひとけ)の多さと関係があるのでしょうか?

 

「ああ、あたしも昨日ショウセンパイとミィセンパイから聞きましたニャ。どうやら本日からニャンターの実運用と一期採用募集、龍歴院と飛行船による各地との交流ライン稼働なんかが本格的に開始されるみたいで、村に人が集まってるみたいですニャン?」

 

 成程。あなたが古代林のクエスト各種を消化するために走り回っている間、人々はベルナ村に着々と集まっていたのでしょう。あんまり滞在してないので気づきませんでした。

 しかしまぁ、その集合を祝しての歓迎会と。そういう事なのですかね。

 

「一応、それだけじゃあニャいみたいですけど……はい、新しいパンも焼けましたニャ」

 

 食べ終えるのを見て、次を用意してくれるイモート。あなたのいつもの健啖家ぶりに笑顔を見せてくれるのでありがたい。お世話になっておりますすいません。

 ……で、それだけじゃあにゃいとは如何に?

 

「あるじさんはわたし達とディノバルドを狩猟しましたニャ? それとほぼ同時に、ベルナ村と交流予定の村にやっかいな大型モンスター達が同時出現したみたいなのですニャン。それら『四天王』さんもまぁ、各地のハンターさん達によって無事に狩猟されたみたいで……そのお祝いも兼ねているみたいですニャア」

 

 しみじみとした口調で語ってくれるイモート。

 ふむん。他の村も巻き込めるのなら、お祭りとしては確かに相応しいのではないでしょうかね。

 

「ココット村近辺のアルコリスの森丘に出現したライゼクスというのを、近場に居た現場派一等書士官のハンターが。フラヒヤ雪山のポッケ村近辺に出現した巨獣ガムートを、その場に居合わせた『天狼』さんが。別の大陸の玄関口となるユクモ村に出たタマミツネというのを、これまた居合わせた……そうですね。古参の龍歴院ハンターが、それぞれ狩猟してくださったとのご報告でしたニャン」

 

 あなたが2つめのリュウノテールサンドと3つめの(ウカムベーコン)(ジャンボレタス)(シモフリトマト)サンドを食べ終えるまでに、イモートが世間話を語ってくれます。

 聞く限り、それら3か所に居た全員が龍歴院所属という訳ではないようですが……ココット村なんかであれば、ここよりも経験豊富なハンターが居てもおかしくはありません。雪山という環境におけるハンターの窓口となっているポッケ村もそうですし、近年に嵐龍の出現という大災害を乗り越えたユクモ村だってそうでしょう。

 その流れにベルナ村も乗る事が叶うとすれば、あなたも武器防具を揃える猶予は十分にできるのでしょうね。これから。

 

「ですニャ。センパイも、あるじさんと同等かそれ以上の実績を持ってる方をこっちに引き戻してる最中だって言ってましたニャ。その方が向こうでタマミツネを狩猟なさったみたいですが……ともあれ、わたし達も今回のように、武具防具が貧相なままで大型モンスター挑むなんて無茶をする必要はなくなるでしょうニャア」

 

 ですねぇ。大変助かります。

 ごっくん、と食事を飲み込み。アルコリスブドウの果実水で流し込んでから、両手を合わせてご馳走様でした。

 

「それでは、あるじさんもお気になさっている様子ですし、お祭りの様子でも見に行きますかニャ?」

 

 大賛成です! と飛び起きるあなた。

 最低限の旅装を整えると、早速イモートと共に村へと繰り出します。

 

 

 

 

 

【 高原の村 ― 今も長閑 ― 】

 

 

 

 

 

 今は喧噪に包まれたベルナの村中を、あなたとイモートは歩いていきます。

 

 飛行船が飛んでは色鮮やかなチラシや紙吹雪を舞わせ、何処からか ―― 何処からでも陽気(ポップ)なメロディの歌が響き。

 美味しそうな食の香気でそこら中が満たされ、盛んに花火が上がり。お祭りとはこうでなくては、という感じです。

 あなたが頑張ってディノバルドを急ぎ遭遇討伐したのもこれらお祭りの喜ばしい要素の一因になってくれているのであれば、嬉しい限り。

 

「まー、こういう風に実感できると嬉しいわな。俺らもハンターとして頑張った甲斐があるってもんだ。うんうん」

 

「そう、かしらにぇ。……まぁ貴方はこれから仕事漬けになるわけなのだけれど」

 

「それを言ってくれるなミィよ……」

 

 遊んで遊んで遊び倒して、午前中で出し物の6割を制覇した後。昼食場で一緒になったセンパイコンビの苦笑交じりな会話がこれです。

 無事に斬竜を討伐できたことは喜ばしく、ハンターとしての仕事には一区切り付いたのですが……どうやらセンパイは代わりに龍歴院の学者としてのお仕事が忙しくなってしまったご様子なのです。

 

「集会所側の仕事がな。ちょっと調査しに行かなきゃならん場所があって関係各所への許可取りが山積みなんだよ。まー、とはいえ管轄ギルドを気にしなくて良くなったから、確実に許可は貰えるだろーけどな。こないだ招集したハンターがくれば、ハンター管理の方は落ち着く見通しがたってるし」

 

「加えて、貴方は。ニャンターの管理業務も始めなきゃいけないし……にぇ」

 

「おうよ。いっちゃん忙しい時期になるからなー……ま、隙あらばの自分語りは置いといて本題に入っておくかね」

 

 ふむん。此方としてはセンパイ自身、引いてはその自分語りにも興味はあるのですが、それはそれ。興味は脇に置いておいて、ここは話題の進行を妨げないでおきましょうともぐもぐ。

 

「こちらがまぁわざわざ呼び止めた理由なんだが。……ハレの日に仕事の話すんのもあれなんだけどさ、我が後輩。後で『天造物』の方に足運んどいてくんないか? ちょっと頼まれ事……みたいな感じの案件が1つあってな」

 

「ええ。貴方に、貴方であればこそにぇ」

 

 (食べてる描写ばかりで恐縮ですが)食事を終えると、あなたはセンパイからそんな事を頼まれました(だって美味しいのですもの)。

 ふむん。あなたは考えます。出し物はおおよそ、回ることが出来ました。お祭りの開催期間はそれなりにあり、まだまだ続きます。だとすれば今日のところはその案件とやらを先に片づけてしまってよいでしょう。

 と、思考をまとめ終えると。

 

「なら、私は少しだけお暇をいただきますニャン?」

 

 イモートがそう切り出しますが……あらま。どういう風の吹き回しでしょう。

 

「ハンターとしてのお仕事ならば私は同道しますし、そうでなくても凡そは同道しますニャン。けれどこれは、あるじさんひとりで解決するべき案件ですニャン?」

 

 イモートはそう言いながら、とても様になるジト目ウィンクをひとつ。あら可愛らしい。

 ……ううん。成程。心当たりは、あります。具体的に言えば、イモートの後ろに見える昼食場のメインコック……悠々たる毛並みの巨大アイルーがぐっと親指を立てているあたりからして。

 しかしまぁ、そこはベルナ村にきてから未だすっきりさせていない案件。あなたひとりが向かう事で解決されるのであれば、喜ばしいに違いありません。ええ。

 あなたは気遣わせてしまった分のお礼をイモートに告げ、マタタビをテロにならない程度に机の上に置き。センパイに教えられた待ち合わせ先……天造物へと足を向けることにしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

「知ってるか? あの大陸への調査団も、遂に5期が招聘されるって話だ……」

 

「ああ、聞いた聞いた。主力はもうあっちに揃ってるみたいだし、新人にも手広く声はかけてる感じするな」

 

「―― かくして天狼は星を撃ち、落星が袂にて英雄として名乗りを挙げる。天狼英雄譚の幕が一、『砂礫の輝海』。今話はこれにて……」

 

「Uh ~♪ ……La ~~♪♪」

 

「お目が高い。そいつぁ旧大陸が王国御用達の一品でさあ。さあ、よってらっしゃい見てらっしゃいっ!」

 

 

 重装備のままご飯をかっくらうハンターらの間を抜けて。此方に手を振る(村に来てからは連続クエスト受注で書類仕事において大変お世話になりました)受付嬢に手を振り返し。人目を惹く色彩あざやかな衣装に身を包む劇団員やら大道芸人やらの横を抜け……いつも人の多い場所だとはいえ、平時に比べてもひと際の歓喜に賑わう本日。そんな集会所の中を、あなたはゆっくりと歩き進みます。

 丘を越えると直ぐに入り口です。件の天造物の目下にまでたどり着くと、見張りの方への簡単な身分証明を終えて中へ。

 出し物を広げに広げた広場からは離れ、喧噪と熱狂も今は遠く。少しひんやりとした岩間を歩くこと暫し。らせん状にくり貫かれた階段を登りきると、天造物……その拓けた見晴台にまで辿り着きます。

 さて。なぜこの味気のない岩の俊峰が天造物と呼ばれているのか……あなたはその理由を詳しくは知りません。村の人たちに聞いても恐らくは判らないでしょう。来歴含めて詳しく説明できそうな人といえばやはり龍歴院のエース学者であるらしいセンパイでしょうけれど、彼はこれから職務が忙しくなるご様子。だとすればその内に、時間でもあればという事で構わないでしょうね。あなたとしても特に知りたい理由がある訳でもなく、単なる興味なのですし。

 そうやって適当な事を考えながら見晴台の最奥へ。

 お日柄もよく、気球が浮かび、よくもまぁこれだけ集まりましたねと言いたくなるくらいの人々を眼下に見下ろし。

 

「―― あ、こんにちは」

 

 それら展望の端に、件の待ち人……ネコ嬢が所在なさげに立ち竦んでおりました。

 あなたは軽い調子に手を挙げて挨拶を返し、その横に座って景色を眺める事に。ちょっとだけ迷う素振りを見せましたが、ネコ嬢も隣に座ってくれます。

 さて。呼び出されたのはあなたの側でありますが、何か話題はないものでしょうか。そう、あなたが僅か思索に耽っていると。

 

「あの、その……ありがとうございました!」

 

 元気も威勢も大変よろしくそう告げ、ネコ嬢が思い切り頭を下げてきます。

 唐突な行動にちょっと困惑。何故お礼を? ……強いて挙げれば、この間の斬竜(ディノバルド)との遭遇戦で確かにあなたはネコ嬢を救いました。まぁ、目の前で戦いましたからね。ネコ嬢はそういう仁義的な部分には律義そうですし、たぶんそのお礼で間違いないでしょう。あなたはそう結論付けることにしておきます。

 とはいえ、これまでの生涯をハンターとして過ごしてきたあなたにとって、ディノバルドという狩猟経験のない相手は刺激的ではあったものの、よくある狩猟劇の一幕と思えば、そんなに難しく考えるものでもありません。

 お礼は受け取ります。でもって、ネコ嬢にはそんなに重たく構えて欲しくもありません。そう考え、あなたは一息に返します。

 前を見たまま。未だネコ嬢の表情、その深くを見ない内に。笑顔を浮かべて。

 お安い御用です、と。

 

「いいえ、いいえ。……これは救ってもらった事よりも、教わったことに対してのお礼なんです」

 

 はて。首を振りなさいますネコ嬢。

 あなたは疑問符を浮かべ、今度こそネコ嬢の側へと向き直りました。

 そして、割と真っ当に驚きます。彼女はあなたが考えていたよりもずっと……ずっと。至極真面目に顔を引き絞り、努めて真摯に此方を見上げているのです。

 

「あなたはハンターでした。私はその裏方で、だから、あなたの居る場所と距離があるのは当たり前だと思うんです。ですが、けれども、この数日考えて、わたしは思ったんです。―― 『離されたくない』 ―― と」

 

 一世一代の告白です。

 指数の違う両手をぎゅっと握り、頬を見た目相応それ以上に赤く染め、桜色の唇を一所懸命に開き。

 

「わたしは、置いて行かれたくない。不安で、心配で。あなたを守ることは出来なくても、まだ支えることは出来なくても、せめてわたしは、その輝きを見失う事だけはないようにしたい……です」

 

 カチューシャが風に揺れて。

 彼女の想いを形にするかの様に、震え。

 

「私に、一歩、踏み出させてください。貴方の傍へ。アイルーの専属トレーナーと、ルームサービスのお仕事を、お手伝いさせてくださいませんか。他の誰でもなく、貴方の……!」

 

 ずいと乗り出したその身には、少女の全霊の勇気が込められております。

 ……こんなにも懸命なお願いを、何故断ることが出来ましょう。

 そもそも悪い話でもありません。本格稼働するというニャンターとやらをイモートにも経験させてあげたいと思っていた所です。とすれば、ネコ嬢が専属をやってくれるというのはありがたいこと。ルームサービスは……まぁ、これまでやってくれていたアイルーに事情を話して2人でやってもらっても良いでしょうし。あなたの連続依頼お片付け(リアルタイムアタック)のせいで、引っ越しの片付けすらまだ終わっていませんからね。

 ……何より、この小さな体躯の彼女が懸命に紡いだその言葉に、少しだけ、気圧されてしまいました。先に挙げた2つの仕事は、本来ならお願いする必要はないですが、彼女の側に問題が無いのであればこそ、お願いしない理由も見当たりません。だとすれば、ここまで押されたあなたの負け ―― と、いう事にしておきましょう。まとめです。

 

 あなたは今度こそ正面に笑いかけ、その手を取りました。握手です。

 視界の内で花の様に咲いた少女の笑みを見つめながら、あなたは先の仕事も頑張ろうと気分も新たに気合を入れ直すのでした。

 

 

 

 

 

 ―― さて。

 ベルナ村に到着してからの一幕は、これにて完結。

 

 高所に位置するベルナ村。その高台からもっと高く。天に向かってそびえた彼の岩山から見える景色は、青く澄み渡って大きく開け……これまでのあなたの心持をきれいさっぱり、新しさに埋没させてくれているかの様。

 

 誰も彼もが笑顔を浮かべる人の波。嬉しき喧噪の群れ。

 

 集会所のアイルーキッチンも、さては本日一層の人だかり。

 厨房を一手に切り盛りする巨大なアイルーは、特異な(誤字ではなく)チーズ料理をふんだんに披露しながら空を見上げ。感じ取った暖かな兆しに、嬉しくぴぃんと髭を揺らしました。

 

「……うむん。春、なのですかニャ!」

 

 





・四天王
 ディノバルド、ライゼクス、ガムート、タマミツネ。
 MHXにて看板となったモンスター方々の総称。本書き物では複数のハンターにより、駆け足に討伐された。
 主にあなたの時短(スキップ)狩猟のせい。事柄は圧縮される。


・お祭り
 MHX、村クエ編エンディングより。
 ネコ嬢によるトラベルナが披露される。


・春
 ベルナ村を見た目通りの所在地に置くとすると、MHXの気候から見て、少なくとも暖かい季節なのだろうと判断できなくもないので、巨大アイルーさんの言葉に他意は無い。

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