シャルロット・コルデーちゃんの回想的な奴。

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誰かのために生きて、この瞬間が全てでいいでしょう

 水平線に沈みつつある夕焼けを見て、シャルロット・コルデーはふと思う。

 どうして、わたしはここにいるのだろう?

 別に、誰かを傷つけたいわけじゃない。

 ただ自分には、それ以外に優れているところなんて、何もなくて。それも、他人からすれば凡庸の域を出なくて。本物のそれとは比べるもなく、英雄どころか魔獣にすら劣る。出来ることと言えば、能天気に場を盛り上げて、他人の世話をすることくらいで、どうしてここに呼ばれたのか、皆目見当もつかなかった。

 いっそ鉄砲玉にでもなれたら良かったのだけれど、結局は人。それ以外になれるわけもない。

 シャルロット・コルデーはシャルロット・コルデーのまま、この不甲斐なさを背負い、戦うしかない。

 神々と、それを守る英雄達に。

 耳鳴りがする。

 お前などいなくなればいいと、囁くような。

 何度自分でそう思ったか。

 だから、それはどうしようもないほどに、奇跡だったのだ。

 たまたま迷い出た先で、行き倒れていた、傷だらけのあなたが。

 息を吹き返した時は、こんなわたしでも……他人の命を、救えるのだと。そう思ってしまった。

 思えば。

 その時からもう、シャルロット・コルデーにとって、少年は特別だったのだ。

 

 

 カルデア、という組織の一員である彼は、人類最後のマスターとして、幾度も戦ってきたらしい。

 しかし人類最後のマスターだからと言って、何か優れた力を持っているわけではない。自分のような小さい功績すら残せそうにない彼は、このアトランティスでは余りにちっぽけで、高波に呑まれただけで死んでしまいそうだった。

 なら、守らないと。魔獣にすら勝てないのは、百も承知だけれど。自分よりも弱い人が、わたしよりも強い瞳で、目の前を睨んでいる。なら戦わずして、何が英霊か。そう勇んで、戦ったけれど、すぐに追い詰められてしまった。オリオンがいなければ、あの時点でマスターも自分も魔獣の餌になっていたことだろう。

 情けない。

 考えなしに殺して名を残したくせに、少年たった一人守れないとは。

 意気消沈していると、少年は不思議そうな顔で、

 

「そんなことないよ」

 

 気を使っているのなら、どうぞお構いなく、と返す。実際地図も読めない、方向音痴、そして弱いとお世辞でも褒められるところなんて、

 

「そうじゃないよ。コルデーはさっき、俺を助けてくれたじゃないか。あのおかげで、オリオンまで繋げられたんだ。君がいなかったら、あの時点で俺は溺死してた。だから、改めてありがとう」

 

 気を使っているわけじゃないことは、顔を見ればすぐに分かった。

 助けたと言っても、ただ通りがかっただけだ。確かに嬉しかったけれど、それはシャルロット個人の感傷であり、別にそこら辺のアトランティス人であっても、彼を助けられただろう。

 

「ううん。あの時、確かに俺を助けてくれたのは、君だったんだ。他の誰でもない、君が、あのとき俺を助けてくれたんだ。誰でも出来たことと、実際行われたことは違う。君が、俺を助けてくれた。だから俺は感謝してる。それだけなんだ」

 

 まぁ俺が、その偶然の産物みたいなものだから、と苦笑いする少年。

 そういえば、この少年がマスターに選ばれたのは偶然であって、それで一度は世界を救ってしまったのだから、何だか説得力もある。

 誰にでも出来たことと、実際に行われたことは違う。

 もし本当にそうなら。

 わたしは、あなたの命を救えたことを、誇らしく思ってもいいのだろうか。

 わたしだけの功績だと、図々しく、主張してもいいのだろうか。

 耳鳴りがする。

 役立たずめ、と何処かで囁く人に、胸を張る。

 何となくだけど。気が楽になれたのは、その小さな誇りのおかげだった。

 

 

 旅を続けていくと、神に立ち向かう仲間はどんどん増えていく。

 昨日まであんなに絶望的だった状況は、変わりはしないけど、臆せず立ち向かえるくらいには良くなった。

 同時にそれは、自分よりも強いサーヴァントが増えることを意味していて。

 定位置だった隣は護衛のため、と他のサーヴァントとチェンジして、自分は少年の後ろで待機していた。

 だからと言って、何か劇的に変わるわけでもない。喋るときには支障ないし、いざというときは割って入ってでも、守るつもりだ。

 けれど、どうしても背中を見つめる時間は発生する。

 他人が彼と話している時間が発生する。

 勿論、それに対してはとやかく言うつもりはない。

 それでも、彼の背中を見ていると、その存在を遠くに感じてしまうのだ。

 自分はドジで、間抜けで、他人より進むのが遅い。

 転んでしまったらもう、後の祭りだ。

 彼は転ぶことなく、何処までも突き進んでしまうだろう。

 だから怖い。

 あなたの隣にいないと、置いていかれてしまいそうで。

 その背中を向けられることが、わたしは怖い。

 きっとこの人は、他人を置いていくことに慣れているから。

 そうやって進んできたから、きっと。

 

「うーん、まぁ確かにそうしてきたけど。慣れてはないよ、全然。というか……逆なんだ、多分」

 

 彼は言う。 

 

「正直なことを言うとね。置いていかれてる、って思うんだ。置いていくんじゃなくて。俺は、みんなに置いていかれてるんだよ」

 

……どういうことだろう? 進んでいるのだから、置いていくのは彼のはずなのに。

 

「そうだよね。本当は俺が置いていってる。でも、多分違うんだ。だって、残った人よりも、置いていった人の方が、遥かに多いから」

 

 手入れされた照明が、彼の顔を照らす。

 疲れだけではない。それは過去を懐かしむようにも、悼むようにも見えない。ただ、酷く寂しそうで、悔しそうで、ないまぜになった感情を何とか押さえつけているようだった。

 

「この旅はさ、みんなが楽しんでて。やり遂げた最後には誇らしさがあって、それを抱えて前に進んできたけど。でも心の何処かで、いつも考えてた。どうしてみんな、俺の前からいなくなるんだろうって」

 

 血を吐くよりも苦しそうに、彼は言葉を紡ぐ。

 

「俺、何も出来ないから。だから代わりにみんなが死んでるんだ、俺を生かすために。でも、俺を生かしてどうすんだって話だよ。だって何も出来ないんだ、本当に。どうにかしようと思うけど、そんな暇すら無くて。屍の上を歩いてでも進むしかない。それが唯一俺が、胸を張って出来ることだから」

 

 でも、

 

「楽しかったから、辛いんだ。楽しかったから、俺も何かしてあげたかったんだ。もう誰にも、死んで欲しくなんてなかったから。だから」

 

 そうやって、楽しかったまま終わって。置いていかれることこそが、何よりも辛いのだ、と。

 彼は、そう言った。

……ああそうか。

 だから置いていかれている、と思うのか。

 こちらは悲しみが残っているのに、あちらは無念はあれど、後悔はない。

 楽しかったなぁ、と思って、それでおしまい。

 けれどこの少年はそうではない。楽しかったからこそ、悲しみがあり。悲しみがあるからこそ、止まることは他人も、自分自身ですら許さない。その屍を踏み越えてでも、無駄にはしないと進み続ける。

 思考停止したっていいはずだ。どうせ死ぬのだからと、そう思って、駒のように使い捨てることだって出来た。

 でも、そうしないからこそ、ここまで来た。

 使い捨てないからこそ、多くの英雄が剣を預けた。

 それを許さないからこそ……自分は、こんなにも、この少年に焦がれている。 

 

「酷いよね。置いていったのは、俺なのに。誰にも言えないよ、こんなの」

 

 そう。本来少年ならば、こんなことは誰にも言えない。

 ならどうして? どうして自分に、こんなことを話してくれたのだろう?

 

「……酷いこと言うけど、いい?」

 

 言われ慣れてるから平気だと頷く。主にイで始まり最後にンで終わる人に。

 

「……別に、シャルロットじゃなくても良かったんだと思う。たまたま君がいて、そういう話題になったから話した。う、我ながら酷いなこの理由」

 

 つまり……都合のいい女ということだろうか。

 

「人聞きが悪すぎる……いや違うからね? マシュや他のみんなには言えないからであって、その」

 

 それはそれで嬉しいのだけれど、とは言わない。必要とされるのなら、それだけで嬉しいのだから。

 しかし、そうか。平気なんかじゃなかったのか。

 慣れているのだと思っていた。そうして進んできたのだから、仕方のないことだ、と受け入れていると。

……けれど、そうじゃないのなら。

 こんなわたしでも、置いていったら……あなたは悲しむのだろうか?

 そんなこと、今のあなたに聞けるわけもなくて。そっと、胸の奥に隠した。

 二度とそんな考えが浮かばないように、深く深くに閉じ込めて。

 

 

 自分がドジで間抜けだとは思っていたけれど、ここまでとは思っていなかった。

 海水を含んでびしょびしょになった服を絞りながら、シャルロットは己の愚鈍さに息を吐く。

 旅は終盤になり、オデュッセウスとの最終局面。各々準備を進める中、単独行動でこそ自分には意味があると悟ったシャルロットは、彼らと別れて行動することにした。

 これから先、二度と彼らに会うことはない。それは覚悟したシャルロットは別れの挨拶を済まして、いざ!とアルゴーから飛び出したわけだが。

 結果は海面にダイブキック、からの全身塩水で揉まれた海草状態。べたべたとした感触は、霊体化すれば消えるのだろうか?、とどうでもいいことで気を紛らわしていたが……。

 どうしても、思い出す。

 あの少年の事を。

 オデュッセウスに召喚された自分を、何の躊躇いなく助けてくれたあの人を。 

 いや、躊躇い自体はあったのか。それでも、敵の尖兵だった自分を助けてくれたことには、感謝しかない。それこそ旅を止めてしまうことになったのだから、迷ったことだろう。

 でも、だからこそ何かを為さなければならない。

 ここまでしてもらったからこそ、ただ雑用をこなしたり、斥候だけではとても割りに合わない。

 だからこその単独行動。だからこその離別。

 ああ、でも。

 暇を告げたときに見せてくれた、あの顔。

 これが最期だと経験で悟り、それでも諦めきれない顔。

 不謹慎だけど、それが嬉しかった。

 少なくとも、自分はそんな顔をされるくらいの、存在になれたのだから。

 そう。分かっていて、暇を告げた。

 傷つくことを、承知の上で。

 酷い裏切りだった。誰にも話したくないものを打ち明けてくれたのに、結局は置いていくのだから。

 それでも告げたのは、役に立ちたいからだが、それと同じくらい、こう思ったのだ。

 忘れないで欲しかった。

……それだけで他人を傷つけてしまう自分は、やはり何処か可笑しいのだろう。

 卑劣で、ナイフを突き刺すようなエゴ。傷つけると分かっていて、それでも忘れてほしくないと思う浅ましさはなんて救いようがないのか。

 けれど、だからこそ戦える。

 この海に立ち向かっていける。

 きっとあの少年は、自分の想像もつかないような体験を、幾つもしてきた。そしてこれからも、きっとそうだろう。世界を救う旅はまだ続く。その旅は過酷を極め、このアトランティスよりも更に絶望的な状況に、見舞われるかもしれない。

 そうなったら、自分のことなんて思い出さない。たかが一人を殺して、歴史に名を残した自分のことなんて、一体誰が覚えているだろう。

 対して何の役割もなく、空元気だけをいつも振り撒いて。そんなことしか出来なかった人間を、どうしてこの人が覚えているというのか。もっと鮮烈な思い出を、もっと温かな思い出を脳裏に浮かべて、きっと手の届かないところへ行ってしまうのだろう。

 もう二度と、振り返らずに。知らない誰かの隣で。

 だから、残したかった。

 爪先でいい。

 痂くらいでいい。

 それでも、あなたに何かを残せれば。

 きっと、どんなときでもーーその痛みで、わたしを思い出してくれるから。

 その傷痕が、あなたの一部になってくれるから。

 なんて自分勝手で、自己陶酔も甚だしいのか。そんな卑しい考えをしてしまう自分に、心底呆れるけれど。

 それでも、そうなれたらなあ、なんて。わたしはそう思ってしまうのです。

 こんなこと言ったら、絶対に怒られてしまうだろうけど。

 わたしは、あなたに覚えていてほしかった。

 どんな場所に行っても、どんな人と出会っても。

 そして、どんなに離れていても。

 わたしという女を、あなたにだけは覚えていてほしかった。

 そう、例え。

 わたし自身が、あなたのことを、忘れてしまっても。

 それでもわたしは、あなたのことを、心の底から。

 

 

 目の前で消えていく男を、ぼうっとした表情で見送る。瞬きしたらその誰かは消えていて、ふと、目だけで背後を見やった。

 夕焼け。海面を撫でるようなそれは、本当に美しかった。遠くに見える島々は黒い影を作り、斜陽と同化している。やや夜の青も混じった景色に、ほう、と息を呑んだ。

 

「、--、----、!」

 

 思わず手に持ったナイフを落としそうになって、慌てて、握り直す。そうだ。自分はオデュッセウスを殺しに来た。その役割を果たしたけれど、まだ他のことで役に立てるかもしれない。

 そして、船の上を見回してみて。

 全てを悟った。

 

「、ーー?」

 

 恐らく血塗れの自分に対して、声をかけてくる人達。

 ボロボロな彼らは、みんな瞳を輝かせて、何か言っている。

 だけど、分からない。

 誰一人自分には、見覚えがない。

 それどころか何も思い出せなかった。

 顔も、名前も、匂いも。大事に仕舞い込んでいたものが全部、思い出せない。独り占めしようと鍵をしていた宝箱が開かない。頭の中を掻き回してみても、その宝箱は開かなくて、だから何も、思い出せない。

 アテナ・クリロノミアから得た戦闘続行能力。それは多分、自分の奇襲では殺せないからこそ、獲得した能力だった。

 だけど戦闘続行は、戦闘を可能にするだけの力。そこに記憶や、認識の能力まではいらない。だから、多分自分には何もないのだろう。

 後悔はない。何もないのだから、後悔するようなことだってないのは当たり前。ただ、やるべきことをやって、そういえば何でこんなにも殺したかったんだろう、という疑問すらある。

 そう伝えると、彼らは耐えるように、口を閉じた。

 それが何だか可笑しくて、くすりと笑ってしまう。

 

「、……ーー、」

 

 ああ、ごめんなさい。

 わたしにはもう、その言葉すら届かないけれど。

 でも、何でだろう。

 たった一つだけ、こんなわたしでも、残っているものがある。

 どうしてこうしたかったかなんて、覚えていなくても。そうありたかったことは、分かる。

 それは前の自分が、常日頃から抱いている感情だった。わざわざ仕舞い込むんじゃなくて、それをいつまでも、誰かに伝えていたかった。

 生きることに、意味が無いとしたら。

 この感情を伝えることには、きっと意味があるから。

 たった一つを残して、全てを亡くしたことに、後悔はない。そうしなければきっと誰かの役に立てなくて、その誰かを助けられなかった。

 だからそう、悲しいとするのなら。

 せめてこの感情が、誰かに伝わっていればな、と。

 胸の奥じゃ収まりなんてつかなくて、きっと伝えても伝えても伝えきれない、この渦巻く感情を。

 名前も、言葉も、出会いも、性別も、何もかも思い出せないけれど。

 わたしがあなたの役に立ったのなら、きっと生きているはずだから。

 だから伝えてしまおう。

 知っている人は誰もいないけれど、彼らはきっと、伝えてくれる。

 

「ごめんなさい。ごめんなさい、見知らぬあなた!」

 

 けれど、もし。

 

「何て我が侭、理不尽、暴虐なんでしょう! それでも、それでも、それでも……!」

 

 泣きながらも。名前を叫んでいるあなたが、そうであるのなら。

 

「ああ、どうかお見逃しください。これはわたしの、溺れるような初恋だったのです」

 

 これほど嬉しいことは無いと、そう思ってしまうんです。

 だってわたしは、そうなってほしくて、こんなことをしたのだから。

 その頬を伝う涙にこそ、わたしはなりたかったから。

 

「それでは皆様、さようなら」

 

 だからこれで終わり。

 最後に出来るだけ微笑んで、そして別れの言葉を。

 

「それではあなた、永遠にさようならーーどうか、良い人生を!」

 

「……シャル、ロット……!!」

 

 消えていく視界の中、確かに聞こえたその声。

 もう声すら出せないけれど、それでも唇は動いた。

 ああ、やっぱり。

 わたしは、あなたのことが大好きです。

 

 

 

 

 

 

 

「な、なるほどぉ……」

 

 カルデアのシャルロット・コルデーは、過去の記録を一通り閲覧した。ついでに自分なりの解釈を混ぜてみて、異聞帯の自分がどう思っていたのかもプラスして考えて。

 結果、思ったのはこれだった。

 

「……アトランティスのわたし、凄い重いなあ」

 

 発端は何だかんだのいざこざが終わり、マスターがカルデアに帰ってきたときのことだ。

 彼は長旅から帰還したなり、何故か話もせずにズダダダッと何処かへ走っていったかと思えば、引っ掴んできた聖杯を十個もシャルロットにプレゼントしてきたのだ。

 そも、聖杯とは魔力リソースの塊であり、それをサーヴァントに使えば当然使用先のサーヴァントは飛躍的にステータスがアップする。しかし、よりにもよって、万年☆が一つのダメダメサーヴァントに十個も投資するなど、気が狂ったとしか思えない。それこそアキレウスやヘラクレスなどの大英雄、もしくは神霊サーヴァントなどに使えば、サーヴァントの霊基そのものが補強され、更なる活躍が期待出来るのに。

 よりによって、何故自分? その理由を確かめるため、アーカイブからその原因と見られる記録を調べたのだが……。

 

「う、ううう、ううううううー……!!」

 

 シャルロットは赤くなった頬を両手で隠す。しかし熱は体全体が帯びていて、とてもじゃないが隠し切れない。

 まず襲ったのは、羞恥。それも共感性。あー確かにやるかもなーというか多分やってしまうなーという共感なのだけど、実際に告白まで行ってしまったら、もう共感がどーのこーのではない。例えるなら屋上から勝手に気持ちを暴露されるようなもので、いやまてまてというしかない。

 そして次に、歓喜。マスターは確かに、聖杯を託して、こう言ったのだ。

 

ーー……これはその。今までのお礼、というか。俺なりの返事というか。まあ、そういうわけだから。

 

 最初は何も分かってなくて、首を傾げるしかなく、受け取れません!、と断ろうとしたのだが、今となっては返してと言われても返す気はない。

 確かに、異聞帯の自分と、カルデアの自分は違う。それを同一視しているようなら、シャルロットはそれこそ怒って、三下り半を叩きつけるみたいに聖杯を返すだろう。

 だけど、そうじゃない。

 そんなことも分からない人を、シャルロット・コルデーは好きになんてならない。

 そんなことも分からない人が、シャルロット・コルデーを好きになんてならない。

 

「……ありがとう、シャルロット」

 

 金の杯を抱き締めて、そう囁く。

 痂のような傷を残すのも、良いけれど。

 やっぱり、同じ記憶に残るなら、あなたの隣がいい。

 恋い焦がれた、あなたの隣が。

 シャルロットはありふれた少女のように、笑う。

 恋が実った、少女のように。

 いつまでもいつまでも、その感情を噛み締める。

 

「シャルロット」

 

 はい、と返事をして、その隣に走る。

 手を組んで、歩調を合わせて。一緒に進んでいけるように。

 少女は未来に向かって、歩き始めていった。

 

 






コルデーの愛が、マスターを救うと信じて……!
というわけで。コルデーには実装初期から聖杯MAXまでぶっ込んでたので最終的に刺されてそのまま死にました。バレンタインで更に殺される未来しかないですが、まあ強く生きましょう。どうせ死ぬのなら刺されて死のうぜの精神です。はい。

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