杉並の私立白皇学院にハヤテは登校する。
「おはよう、ハヤテくん」
と、ヒナギク。
「おはようございます、ヒナギクさん」
「一つ、聞いてもいいかしら?」
「なんです?」
「あなた、中に誰かいるでしょ?」
「え? あ、いや……」
「何者かは知らないけど、悪いことはしないでね」
「だ、大丈夫ですよ。彼は悪人ではありませんよ」
「そう。ならいいのだけど」
ところで——と、続けるヒナギク。「ナギは?」
「お嬢様なら、熱を出して休んでますよ」
「そうなんだ」
ハヤテとヒナギクは高等部の校舎へ行くため、路面電車に乗車した。
「看病はマリアさんに任せました」
「そう……」
ヒナギクは一旦言葉をつぐむと、再度口を開いた。
「あの話、生きてる?」
「え?」
「え? じゃないわよ。棺に向かって私が言った一言、忘れたわけじゃないわよね?」
「ヒナギクさんが僕を好きだっていうやつですか?」
「そうよ」
「……いいですよ。付き合っても」
「いいの?」
「はい」
「ありがとう!」
嬉しそうにするヒナギク。
ガタン、と電車が急停車した。
「きゃあ!」
バランスを崩して倒れそうになるヒナギクをハヤテが受け止めた。
「あ、ありがとう」
頬を赤らめるヒナギク。
電車の進行方向に、怪我をした女の子が立っている。
ハヤテとヒナギクは外へ出た。
「君、危ないですよ」
「た……助……け……」
女の子は気を失って倒れた。
「君!」
ハヤテは女の子をお姫様抱っこした。
「保健室へ行きましょう」
「ええ」
二人は女の子を保健室に運んだ。
「先生、いないね」
ハヤテは女の子をベッドに寝かせた。
「ヒナギクさん、彼女をお願いします。僕は先生を捜してきますので」
「うん」
ハヤテが保健室を出て行った。
「う……」
女の子が目を開けた。
「気がついたのね?」
女の子はヒナギクを見ると、狼のような姿をしたウルフ星人に変態した。
「……!?」
咄嗟に逃げ出そうとするヒナギクだが、俊敏なウルフ星人に先回りされてしまう。
「うー!」
星人がヒナギクの体内に侵入する。
「う!?」
ヒナギクは意識を奪われてしまった。
そこへ、保健医を連れてハヤテが戻ってきた。
「あれ? ヒナギクさん、さっきの子は?」
「目を覚ましたら出て行ったわ」
「怪我してるのに」
「割と元気にしてたから」
「ならいいんですけどね」
「ハヤテくん」
「はい?」
「ちょっと来て」
ヒナギクがハヤテを屋上に連れ出した。
「こんなところで何を?」
ヒナギクはハヤテを
「えい!」
「うわ!」
ヒナギクに突き飛ばされ、ハヤテは屋上から転落した。
「うわああああ!」
ハヤテは地面へと叩きつけられた。
「あなたは計画の邪魔になるからね。死んでもらうわ」
薄れゆく意識の中、ハヤテはその言葉を聞いた。
(け、計画?)
ハヤテは保健室で目を覚ました。
「ヒナギクさん!?」
ベッドから起き上がるハヤテ。
「綾崎くん、大丈夫? あなた、屋上から転落したのよ。桂さんから聞いたわ」
「大丈夫ですけど……って、ヒナギクさんどこ?」
「もう放課後よ。とっくに帰ってるわ」
ハヤテはベッドを降り、保健室を出た。
(ヒナギクさん、助けに行きます!)
ハヤテは学校を出てヒナギクの家に向かう。
「ヒナギクさんのお母様、ヒナギクさんはお戻りですか?」
「銀杏通りのどんぐりへバイトに行ったわ」
「どんぐりですね!」
どんぐりまで駆け出すハヤテ。
ハヤテはどんぐりに飛び込んだ。
「いら……!? 貴様は殺したはず!」
「ヒナギクさんを返してくれませんか?」
「いやなこった」
ヒナギクはハヤテを避けて外へ飛び出した。
「待て!」
後を追うハヤテ。
「しつこいな!」
ヒナギクは立ち止まり様に振り返ると、星人の姿になった。
「それがお前の正体か」
星人は巨大化した。
ハヤテは腕を交差させると、下から上へと展開して左手の拳を前に突き出した。
「レオー!」
左手薬指の指輪が輝き、ハヤテはウルトラマンレオに変身して巨大化。
星人の先制攻撃。
レオは攻撃をいなし、星人を投げ飛ばす。
星人は受け身を取り、立ち上がった。
「貴様にこの星にいられては困るのだよ」
「ここは地球人たちの住む惑星だ! 早々に立ち去れ!」
「貴様は地球人でもないのに、なぜ地球を守る?」
「どうだっていいだろ」
レオは星人の懐に潜り込んで乱打する。
怯む星人。
星人は後退し、踵を返して走り出す。
レオはジャンプすると、星人の正面に回り込んだ。
戸惑う星人。
レオはレオキックを放つ。
が、不発に終わった。
(なぜだ、ハヤテ?)
(こいつを殺したらヒナギクさんが!)
(しかし、今ここで倒しておかねば犠牲者が増えるだけだ)
レオは拳を強く握る。
「どうした?」
と、星人が問う。
(わかったよ)
レオは再度レオキックを放った。
「……!?」
油断していた星人に、必殺技が炸裂した。
星人は倒れ、ピクリとも動かなくなる。
(ヒナギクさん……)
レオは星人の亡骸を抱き抱える。
その時、奇跡が起きた。
レオマスクパワーで、ヒナギクの命が戻った。
「う……」
星人が目を開けた。
起き上がる星人。
「え? なにこの体?」
自分の体の変わりように戸惑う星人。
「ヒナギクさんなんですか?」
レオの問いに星人が振り向く。
「あなたは?」
「僕です。ハヤテです」
「ハヤテくん?」
二人の体が小さくなり、人の姿に戻った。
「助けてくれてありがとうね」
「一時はどうなるかと思いましたけどね」