妾を召喚したの者は男だった。
随分と貧弱そうなボサボサの髪に苦学生のような
そして倭人……日本人の男だった。妾は諦めた。此度の聖杯戦争は負けたな、と。
顔には出さなかったがそう思った。そう確信してしまった。
「あなたが……」
男は妾の姿を見てそう呟いた。
大方、妾の旦那が召喚されると思うたのだろう……。なんとも滑稽よな。
仕方なかろう、この触媒じゃ……。妾が召喚される可能性かとあろうて。
さてと、気が進まぬが妾も言うかの。
「サーヴァント、アサシン。召喚に応じて参上した。よろしく頼むぞ?男よ」
「俺があなたのマスターだ」
この男の表情からして、声からして諦めている。お互いに此度の聖杯戦争を諦めている。
それもまた、おもしろき戦いになりそうよ。
「あなたの真名は……いや、聞かなくてもいいか。
あなたには俺が諦めているように見えるかもしれないが、誰であろうと俺のサーヴァントだ。
必ずこの聖杯戦争を勝ち抜き、共に聖杯を手に入れよう」
驚いた。此奴、妾に自分がどう見られているか理解しているとみた。ならば良いだろう。
「マスターがそう言うのであれば、妾も全力で聖杯を獲りに行こう。
妾はマスターのサーヴァントなのだからな」
男は……いや、〝妾のマスター〟は満足そうに微笑んだ。
なるほどマスターはこのように笑うのか。
「アサシン、あなたの聖杯にかける願いはなんなのだ?」
「妾が願うは、夫に再び
「自分を死に追いやった夫でも?」
「あれは仕方なかったこと。マスターも歳をとり、愛する者を見つければ理解できような」
ふふふ、と笑う妾にマスターは小恥ずかしそうに頭をかく。
「初めての倭国で観光——と行きたいところじゃが、マスター。
妾らも向かうとしようかの決戦の舞台へ」
「ここは俺の工房だ。外の景色が見えないのにわかるものなのか?」
「匂いじゃよ。妾も国の匂いくらいはわかるというもの。お主もまだまだよな。ふふふ」
マスターは妾を見つめて……いや、これは睨んでおろうな。——どちらでも妾には関係のないことじゃが——妾に揶揄されてマスターは睨んでおる。
妾の気持ちを倭人の若者風に言うとマジウケルる。なんと……あれ?言わない?
そんなマスターを気にせず、妾は実体のまま外に出る。夜だというのに不夜城のような明るさ。いくら聖杯から知識を与えられようとも一見は百聞にしかずというもの。
まさに眠らぬ街、と言ったところかの。
妾は此度に聖杯戦争に心踊らせ、空港とやらに向かう。
「マスター!はようせい!」
クラス:アサシン
真名:???
筋力:???
耐久:???
敏捷:???
魔力:???
幸運:???
宝具:???
クラススキル:???
保有スキル:???