暗闇の寒空の下、カソックに身を包んだ女がこの地でも見られることが珍しい
「7騎のサーヴァントの召喚が確認されたようだ」
「そう、ありがとう。あなたは教会の中に戻っていなさい。外は冷えるわ」
「それを言うならばリン。キミもだ」
「心配ありがと。私はいいわ。すぐに戻るから」
軽くやりとりを交わすと長身——こちらは男なのか女なのか不明——の人物は教会へと入っていき、カソックを着たリンと呼ばれた女は極光に祈りを捧げた。
「直に始まります。もうしばしお待ちください……」
そう呟き暫く祈りを続けたのち、人物が暖かいスープを用意して待っている教会の中へと入って行った。これから始まる聖杯戦争に向け準備を進めるために。
外ではそう、
聖杯戦争の開催地、その極寒の地へスキーウェアよりも分厚く重量があり、首元まで締め付けんとするコートを着込んだ二人組の男女のペアが航空に降り立つ。
「のう、マスター」
「どうした?アサシン」
「何故、妾がこのような無様な格好をせねばならぬのだ?」
「別に脱いでも構わないが、寒いどころの話じゃないぞ」
「マスター!ここはどこなのだ!」
聖杯戦争の開催地、デンマーク領世界最大の島・グリーンランド。そこに踏み入れたのが確認されたのはアサシンとそのマスターだった。
「しばらく我慢してくれ」
アサシンは呆れた顔でマスターを見た。それを気にせず、男は前もって金で雇っていた車に乗り込むと、日本語でアサシンに早く乗るよう急かした。
「マスター、お主は妾を誰だと思うておる」
そういう態度をとるマスターにアサシンは不満を口にしつつ車へ乗り込むのを確認すると彼は練習した下手くそなデンマーク語で目的地を頼むと運転手は進めた。
「して、マスターよ。妾はまだ開催地の詳細を聞いておらぬが?」
「ああ、すまない。ここ西グリーンランド、カンゲルルススアーク市よりも東。雪原のみが広がる内陸何もない中央グリーンランド。開催者はそこをインランドエリアと名付けた」
「内陸部……そのままではないか」
彼は呆れを口にするアサシンを横目に飛行機での長旅、時差等で疲れ切った体を休めるために瞼を閉じた。
「兄ちゃん、これ以上先は無理だ。自分の足で行っておくんな」
しばらく——数時間も乗り心地の悪い車に揺られ、尾てい骨に痛みが出始めた頃——すると運転手はブレーキをかけ、目の前に広がる雪原を指差して言った。
「ああ、わかったよ。ありがとう、代金だ」
空港で外貨両替をしたクローネ通貨を支払うと二人は下車した。
「魔術師なのだから暗示でもなんでもかければよかろうに」
「俺は嘘偽りは嫌いなの」
「未熟者め……」
マスターへの不満を漏らしながらUターンして戻っていく車に目掛けて、宝具でも撃ってやろうか、と呟いたアサシンの言葉を聞こえないふりをして彼は雪原へと足を踏み入れた。
と、同時に結界内に入ったんだと認識する。ああ、そうか、ここがインランドエリア。ここいら一体に空間遮断、及び一般人——魔術に通じていない者を指す——に対し認識不可の魔術でもかけているのだろう。
それと同時にグリーンランドではあり得ない光景を目にする。
「アサシン、霊体化だ。ここはすでに結界内。戦場も同然だ」
「知っておると思うがお主が奇妙な召喚をしたせいでアサシンの固有スキルである妾の気配遮断はD。あまり期待するでないぞ」
そう、
しかし、彼はアサシンの死後、流れ着いた片方の靴を入手し、それだけでなく、彼女が食したライチの実の皮、そして愛用したとされる琵琶を用意した。
そして溶解した宝石に自らの血液を混ぜ、それを使い魔法陣を描き呼び出されたアサシンクラスのサーヴァント、それが彼女なのだ。
「元々、俺はあなたの召喚を狙っていたんだ。問題はない。エーデルフェルト家には負けるが俺も宝石魔術を扱う。多少なりともサポートはできるはず……だと思う」
マスターのその言葉にアサシンは驚き、その顔を見せまいと艶やかに顔を隠した。
——此奴は今、なんと言った……?いいや、聞こえた。妾を召喚したかった、と。そう言いおった。——
アサシンが持つ美貌……ただそれだけで王に気に入られ、戦争を起こし、そして自らの破滅を導いた。そのような女を召喚したかった、と彼は言ったのだ。
「期待しておるぞ、マスター?」
アサシンは
「全く……!あの女は……」
彼は後頭部を掻きながら頬を赤らめた。
クラス:アサシン
真名:???
筋力:???
耐久:???
敏捷:???
魔力:???
幸運:???
宝具:???
クラススキル:気配遮断D
保有スキル:???