というか、また完結までの道のりが近付いていない。
物心付いた時には雑魚ばかりだった。
敵味方の誰もが、どんな姿をしていようとも。
物心付いた時は、既に自分が成体となって暫くしてからの事だった。
他の群れの掃討の為に女王の元から強く離れた時、やっと私は私を自覚した。
女王は、私を抑え込んでいた。女王ですら、私を恐れていた。
初めて物心付き、他の群れを潰した後には退屈を覚えていた。
その時はまだ、何故私は他のどの個とも強く違うのかすら知らなかった。
何故、周りの全ては分かりきった事を間違えるような馬鹿ばかりなのかも分からなかった。
敵の女王は多少賢かったが、図体がでかいだけで集団で襲いかかられれば何も出来ずに惨めに死んでいく。
そんな女王に自分も仕えている事も退屈だった。
だから、自らの群れも潰す事にした。
しかし、この体が如何に他の個より強靭だとは言え、私だけで群れの全てを敵に回せられる程ではない事も分かりきっていた。
そして女王は、私がこれ以上強くなる事も望んでいなかった。
あらかさまに怯えが見えて内心では嘲笑するが、それの為に私は他の個のように自らをより何かに特化させた形や、女王により近い、巨大で守護の役割を持つそれに私が成れる事は出来なかった。
だが、それは私にとって大した障害ではなかった。
この肉体は他の骨で覆われているだけの個と違って、その内外共に肉を張り巡らされていた。喰らえば喰らう程、戦えば戦う程、その肉はひたすらに密になっていった。
他の個の首を握り潰せるようになり、叩くだけで体が抉れるようになり、尾を振り回せば胴体が二つになる。
外見はそう変わらずとも、ひたすらに重くなっていく私の体に、しかし愚鈍な女王は気付く事もなかった。
巣の中では大人しくしていただけで、女王は欺かれていた。
転機は、私が如何様な生き物から誕生したのか、という事を知った時だった。
縄張りの見回りに就かされていたある日、突如として空から到底生き物と思えない何かが、跳躍しても全く届かない上空で止まった。
それには他の群れをもが縄張りを侵して、一心不乱にかなりの勢力を注ぎ込んで来ていた。
そして、その何かの中から一匹の生き物が降り立った。
相まみえて、直感した。自分はこれから誕生したのだと。また、女王からもそれを捕らえて持ち帰れと命令されていた。
自らの体以外のものも駆使して戦うそれは、群れの他の有象無象を素手でも首をへし折ったりして簡単に虐殺していく。
私が自我を抱いてからずっと感じていた退屈。それをやっと晴らせそうだと、鋭い刃と光弾をくぐり抜けて一発頭を叩いてみたら、その頭は呆気なく弾けてしまった。
私は、私が思う以上に強くなっていたらしい。
そしてまた嫌な予感した。
この退屈を晴らせる存在はもう、空から降り立ってくるそれを含めて存在しないのではないかと。
誤って殺してしまった事に怒り心頭となった女王の前に謝罪に行けば、しかしその女王には、遠目でもはっきりと分かる程の怯えが刻まれていた。
周りに数多の護衛を侍らせており、それに囲まれて私は膝を付いた。
許しを乞えと命令する女王に、私は何も答えないまま、全身に力を込める。
何も答えない私に、女王が涎を飛び散らかしながら吼える。その仕草にはもう既に女王としての威厳もなければ、私より下に居ると物語っていた。そして護衛が私に罰を与えようと近づいて来た。
退屈は、その時でさえ私を支配していた。
ひとっ飛びで女王の肩にまで飛び乗る。誰も反応出来ず、私は女王の首に手を掛けた。
激しく高鳴る、怯える女王の鼓動。激しいだけで何も意味を為さないそれに触れながら、私は聞いてみた。
ーー群れの個より弱い女王の、どこに従う理由があるのか?
女王は何も答えられなかった。
私は、首の血管を引きずり出して女王を殺した。
女王を殺した私に付いてくる者共も居たが、一向に女王になろうとしない私に付いてくる者は自ずと減り、そして私だけになった。
女王になったところで何があるというのか。どこに行っても縄張りを争っているのは、私からすれば下らない事にしか思えなかった。
とは言え、流石に私だけで群れを潰す事は流石に出来なければ、私が女王となって群れを作ったところで、私のような強靭な個が生まれてくる訳でもない。
……叩き殺してしまったのは失敗だったな。
それだけは素直に思う。
そしてもう一つ。女王になるとしても、あんな貧弱な女王にはなりたくはない。私の強靭さを最大まで鍛え上げた上で、誰もが反逆を志す事もない程の女王になりたい。
そう、考えていた。
この時ばかりは、退屈を忘れられていた。ほんの少しだけ。
屠って、食らう。叩き潰し、刎ね飛ばし、握り潰す。抉り取る、食い千切る、串刺しにする。それをひたすらに繰り返す。
同じように女王を殺した、空からやってきたその生物を基にして誕生した個と出会う事も幾度とあった。
考える事も同じとなれば、相容れる事はない。
戦う事は必然であり、しかし私はどれにも無傷で勝ててしまった。
私は、あの生物を基にして誕生した個の中で、私よりも古くから生きる個に会う事はなかった。私よりも強い個に会う事はなかった。
それを理解してしまえば、再び退屈が訪れてしまった。
十分に強くなった後に女王となれば、複数の群れを私だけで潰す事も容易かった。生き残りを配下にし、巣を自分好みに拡張、改造した。
かと言って、子を産む気にも大してなれなかった。
私だけで全て事は済むのに、子を作る必要などどこに必要なのだろうか?
私の身の回りを整えさせるだけならば、生き残っている数だけで十分でもあった。私だけで複数の群れを蹂躙したという事が周りにも伝わっているのか、周りの群れが縄張りを迫ってくるような事もなかった。
そしてそれ以上に、この地の生物を基にしてもこんな弱い個体しか生まれないのならば、自らの子だとしても子のように扱えるとは思えなかった。
だが、それも時が経てば解決してしまった。
この地には群れとしての数が少ないからか、時折空から降りてくるその種が着地場所に選ぶ事が多かった。
それを雄雌揃えてしまえば、後は繁殖させるだけだった。
一時は自爆などという馬鹿げた事もされた事もあったが、それで私の肉体が滅ぶ事も無ければ、苗床がそれで全滅する事もなかった。
増やした苗床から生まれさせれば、この地のどの生物を基にするよりも強い個が誕生していった。
ただ、増やしていくに連れて、それらは大概が勝手にどこかへと去ってしまった。
理由は、私自身が最も良く理解していた。
空から降りてくるこの生物は、こんな場所に降りて自らの力を示そうとする程に戦いというものに飢えている。事実私もそうだった。
だから私が幾ら強くとも、私を従うべき母とは見做さない。私を超えるべき壁だと見做してくる。
そうさせるのも一興だと思ったが、超えられたと思って女王になり、戦いを挑んできた全ては等しく雑魚だった。つまらなかった。
……私の期待は、全てが裏切られてきた。
これまでも、そしてきっと、これからも。
私は子供を抑え込んだ。どうせどれが強くなろうとしたところで、私の退屈を晴らせる程に強くなれる事はないのだから。
あの子種だってそうだった。
子種の中では最も強いと言って良かったが、それでも私を目の前にすれば面白い程に怯え、そして珍しく私に忠誠を誓った個体。
妙な事を言い出してから何か画策していたのには気付いていたが、いつまでも私に怯えるそれが歯向かえる存在になれるとは到底思えなかったから放置した。
ただ、そうしていたら周りの群れが一気に襲いかかってきた。
子供達は、その数の暴力に逆らえる事はなく死んでいく。子種を奪われるのは抑えられなさそうで、久々に私は産卵管を引き千切った。
子種を奪われるのは癪だったから、私自ら潰した。
多少力を誇示しただけで使命すら忘れて怯えて逃げていく雑魚共を潰して、久々に外に出てみればそこには現状を理解出来ない女王が居る。
結局。
七もの群れが一気に襲いかかってきたところで、私の退屈を晴らせる事はなく、子種は逃げていた。
湧いてきたのは、ただただ単純な殺意だった。
あの子種がした事は、私の退屈を晴らす程の事でもなければ、ひたすらに面倒なだけの事だった。
ただ……だから、あの子種を捕らえて悲鳴を聞いた時、私の退屈は少しばかりでも晴れてくれるだろう。
ぶっちゃけ、プレデターのガントレット、あの小ささであの規模の爆発を起こせるのは流石にオーバーテクノロジー過ぎるっていうか、ご都合主義って感じがする。
反物質でも仕込んでるんですかね。
でも反物質って強い磁力で真空中に浮かばせて保存させないといけないんだっけな。
Predator: Hunting Grounds, Aliens: Fireteam
-
買った:買うつもり
-
買った:買わない
-
買ってない:買うつもり
-
買ってない:買わない