晴哉は休息も取らず、気がつけばクエスト選択画面に立っていた。
──いよいよ終わる。
そう思うと、途端にクエストのギミックすら見る気が無くなってきた。
しかし、終わらさなければいけない。
晴哉は恐る恐る、クエストのギミックを見る。
クエストのギミックは地雷とブロックとダメージウォールとワープ。
特殊ギミックとしてパワーアップウォール、一部の敵に触れると攻撃力アップと、『使用モンスター制限』
ギミックだけでも無茶苦茶なのに、さらに使用モンスター制限という訳の分からない特殊ギミックでもっと困惑した晴哉だった。
「使用可能モンスター…四体…ソロモン神化、モーセ進化、ミロク獣神化、ビナー神化 」
晴哉はタップしながら声を漏らしていた。
「この四体でなきゃ出撃しちゃ駄目なのか…?」
晴哉は奇遇にも、四体全員持っていたが持っていない人の気持ちにもなってみよう。
やっとの思いでここまで来たのにキャラを持っておらずに挑戦すらできない。
考えてみれば可哀想に思える。
『ハルさん?聞こえますか?』
いないはずのガブリエルの声が聞こえてきた。
「ガブリエル?どうした?」
『今、その強者の界のクエストの一部のデータが、何者かによって強制的に書き換えられているんです!』
「はぁ?!だからこんな無茶苦茶なギミックなのかよ!」
『原因は恐らく…その十界のボスモンスターだと思います。』
十界 『
──ーガルドだ
しかしおかしい、五界のガルドは光のはずなのに十界の属性は闇属性だ。
『お願いします、ハルさん。ボスモンスターがこれから何をするかは分かりません。お願いします。モンストが無茶苦茶にされる前に…どうか。』
ガブリエルの声はそう言ったきり途絶えた。
ゲームその物のデータを書き換える能力を手に入れたゲームのコンピューター。
そんな奴が好き勝手してしまえば、モンストだけでなく、全てのゲーム…いや世界すら危ないかもしれない。
たかが“ゲーム”という訳では無くなってきた。
一刻を争う 晴哉はモンスター達を呼び出した。
「ハルさん、どうやら世界が危ないらしいです。」
「行こうハルくん。」
「世界を救済する手は、お前しかいない。」
「行きましょう。愛する世界は私達が守るんです。」
「宜しく頼むぞ、みんな。」
モンスター達はみんな頷いた。
クエスト開始 いよいよ最後の戦いだ、晴哉は唾を飲む。
異様な場所に連れてこられた。今までの界のステージが混じり合ったような場所だ。
床も壁も炎の神殿やら闇の洞窟やら森林やら…一界から四界までの場所が混ざり合っている。
第一ステージ 中ボスにオリジナルが登場 その周りには闇属性のハンシャインが四体。
クロスドクロ付きのハンシャインをソロモンで二体倒す。
まだ発動しない、恐らくもう二体倒せば発動するだろう。
敵の攻撃、オリジナルの斬撃。
(あれ…?痛みを感じない…?)
「ぐあっ…!」
ソロモンは明らかに攻撃を喰らっているはずなのに、晴哉は痛みを感じなかった。
かと言って、ストライクアイを外してるわけでもない…
でもソロモン達には悪いが、痛みを感じないのはいいことだ。
「ハルくん!危ない!」
モーセが叫んだ、その時、晴哉の頬を何かが掠った。
ホーミングだった。
じわじわと血がにじんでくる。
(まさか…痛みが共有されない代わりに…“俺自身も攻撃を受けるよう”になったのか…?)
晴哉はゾッとした、どうやらガルドはストライクアイの機能すらいじったらしい。
今まで以上の痛みが自分を襲ってくるのを考えるとこれまでよりもっと集中しなければならない。
モーセのターン、落ち着いて、残りのハンシャインとホーミング吸収のコンビを倒す。
ドクロマークが発動し、オリジナルの防御力が下がる。
敵の攻撃をかろじて避けながらミロクでこのステージを突破する。
第二ステージ 中ボスにフェンリルXが登場。
周りには闇属性の進化前バハムートが四体四隅に。
中心にはブロックの上にドクロマーク付きビットンが配置されている。
ビナーでバハムートらの体力を削ろうとしたが、全くダメージを与えられない。
そしてソロモンのターン、ビットンを破壊。
ドクロマークが発動し、剣を持った雑魚が二体降ってきた。恐らく剣の雑魚に触れてから攻撃すればダメージが入るだろう。
敵の攻撃、晴哉の元にショットガンが飛んできた、晴哉は必死になって避けた。そして、ダメージウォールも奥の壁と後ろの壁に展開された。
(クソッ…これじゃ前より大変じゃねぇか…)
晴哉は腹を立てながら、モーセを剣の雑魚に触れさせながらバハムートを二体倒し、フェンリルXの体力を減らす。
フェンリルXの攻撃、レーザーが放たれる。
ソロモン達には直撃した。その流れ弾が晴哉に向かってきた、肩に掠った。
晴哉の学ランの肩の辺りが真っ赤に染まる。
晴哉は肩を抑えながらも、ビナーを放つ。
属性的には不利だが、なんとかフェンリルXを倒すことができた。
「ハルさん…大丈夫ですか?」
「大丈夫…だ…」
晴哉は何度か骨折などをしたことがあるが、あれとは桁違いの痛さだ。
第三ステージ 中ボスに水ムラサメ 周りには闇属性のリヴァイアサンが挟まれそうな配置で四体。
両端にブロック、その上にドクロマーク付きビットン。
奥と後ろの壁にはパワーアップウォールが。
ソロモンでパワーアップウォール触れ、リヴァイアサンの体力を削りながらビットンを両方破壊。
剣を持った雑魚が降ってきた。
敵の攻撃、ムラサメの斬撃、リヴァイアサンのホーミング。
晴哉はまたホーミングが頬に掠った。
痛さよりも恐怖のほうが上回ってきた。
モーセでリヴァイアサンを二体倒す。
そして、ミロクでもう一組のリヴァイアサン二体を挟まって倒す。
ムラサメの攻撃、またもや斬撃。
ワープも展開される。
晴哉は斬撃が当たりそうになって息を飲んだ。
そして剣の雑魚、パワーアップウォールに触れ、火力を莫大に上げてからビナーでムラサメを倒す。
第四ステージ 中ボスにヨトゥンが出現。
ヨトゥンにはマーク付きの5の数字がある。
見事に一界から四界までのギミックが出てきてる。
周りにはドクロ付き闇属性山姥が二体、そして中心にはブロック、その上にドクロ付きビットンが。
ソロモンで山姥を一体倒し、ビットンも破壊する。
ドクロマーク発動、ヨトゥンの5の数字が7へ変化する。
敵の攻撃 ヨトゥンがレーザーを放った。地雷も大量に撒かれる。
晴哉はまたもや掠りそうになったが、なんとか避けれた。
モーセのターン、ドクロマーク発動により現れた剣の雑魚に触れながらヨトゥンの体力を削る。
タイプ不利のため削りはあまり良くない。
そしてまた敵の攻撃、山姥が蘇生され、ヨトゥンがレーザーを放つ。
晴哉狙いではなかったが、それでもレーザーの熱風は凄い。
ビナーでヨトゥンの体力をなんとか削り切る。
次のステージに進もうとした。
「ハルさん。」
それをビナーが呼び止めた。
「これを。」
ビナーは手から光の粉をパラパラとまき、晴哉の肩を粉で包んだ。
するとみるみる傷は癒え、痛みもなくなった。
「おお…!…ありがとう。」
「最後ですから。当然ですよ。」
ビナーは微笑んで言った。
次のステージらしき場所に足を踏み入れると、警報音が鳴り響いた。
「久しいなぁ、強者よ。」
黒色の蛇の怪物に偉そうに座り、ガルドが上から現れた。
「ガルド……」
「どうだぁ?我のこの力。素晴らしいと思わないか?」
そのガルドの姿は前とは全く違う。
紫色の髪、雄々しい顔立ちとは真逆なニヤけた顔。
二本の剣は歪な形に変形していた。
「この強ささえあれば…我は完璧な存在となるのだぁ!!」
ボスステージ開始
ガルドを中心にし、その両端にブロックの上にドクロマーク付きビットン。
周りには闇属性のムラマサが二体。
闇属性の斎藤一が二体となっている。
雑魚には9という数字がある。
雑魚処理をしなければお陀仏、“実際に”。
ソロモンでビットンを二体破壊する。
ドクロマークが発動。
ブロックのすぐ隣に剣を持った雑魚が降ってくる。
敵の攻撃は次のターンはない、しかしワープと地雷がばら撒かれた。
モーセでムラマサ二体を処理する。
敵の攻撃、晴哉の頬にレーザーが掠る。
「あっつ…?!」
頬がジュッと焼け、時期に血がにじみ始める。
晴哉は頬から出る血を拭い、ミロクを放つ。
ワープを経由し、ガルドに多少のダメージを与えることはできた。
ビナーで地雷を踏みながらも、ガルドの体力を辛うじて削り切る。
「脆い脆い脆い脆い!!貴様の強さはそんな物か!我を超えてみせよ!」
ガルドは蛇の怪物を操り、壁を壊し、次のステージへ移動した。
「ハルくん。大丈夫かい?」
モーセが心配して背中をさすってくれた。
「あぁ、大丈夫。お前らもこんな痛みを経験してきたんだからな、俺もこうなって当然のはずだ。」
ボス第2ステージ ガルドは奥の方に、中心には進化した闇属性のバハムート。進化バハムートの隣にはブロック、その上にドクロ付きビットンが二つ。
四隅には進化前のバハムートと闇属性リヴァイアサンが二体ずつ。
奥と後ろの壁にはパワーアップウォールが配置されてある。
ソロモンでビットンを両方とも破壊する。
敵の攻撃、進化前バハムートがショットガンを放つ。バハムートは透明化した。
ドクロマークが発動し、降ってきた剣を持った雑魚に触れながら、パワーアップウォールにも触れリヴァイアサンを倒し、バハムートとガルドにもダメージを与える。
「我が強さを見よ!これこそが最強の力だぁ!!」
ガルドが剣を地面に叩きつけ、振動で攻撃、モーセが吹き飛ばされた。
ミロクでリヴァイアサンを処理する。
バハムートが気弾を放つ、その気弾の一つが晴哉の方に放たれた。
“カキン!!”
「あ、ありがとう…ミロク」
ミロクが剣で防いでくれた。
「主人様。あなたは死ぬべきではないのだ。」
そのミロクの姿はとても雄々しかった。
──強い。それが姿だけで伝わってきた。
強さとはなんなのか、その圧倒的な力だけなのだろうかと、晴哉は頭の四隅にそんなことが宿ったが、透明化したように消えていった。
「我が力の糧となれ!!」
ガルドがバハムートに一本の剣を突き刺し、殺した。
血が雨の如く飛び散り、晴哉は吐きかけた。
そのバハムートの死体は粉になり、ガルドの剣に吸収された。
「フハハハハ…これで我は、また一段と強くなったぞ…」
剣を地面から引き抜くと、ガルドは大声で笑った。
腹が立った晴哉はビナーを放ち、ガルドの体力を削り切る。
「どうした?!圧倒的強さを前にして嫉妬したか?!フハハハハ!!!」
ガルドは蛇の怪物を操り、壁を破壊し最終ステージへ向かった。
最後のステージは異様な場所だった。宇宙空間のような場所で、所々今までの界の建物などが混ざっていた。
「さぁ!!強者よ。最後の勝負といこう!!貴様を取り込めば、我は最強を超える!!」
ガルドが地面に剣を突き刺すと、地面から敵が湧き出てきた。
ボス最終ステージ ガルドを中心に、そのガルドをブロックが囲み、四隅にはゼロ、進化フェンリルX
、進化水ムラサメ、進化ヨトゥン。
ブロックの上には二つのドクロ付きビットンが配置されていた。
ソロモンでビットンを破壊する。
敵の攻撃、ガルドの斬撃。
晴哉の腹に掠った。
今までとは比べ物にならないほどの激痛が走る。
晴哉は歯を食いしばり、剣を持った雑魚に触れさせながらモーセを放つ。フェンリルX、ムラサメを倒すことに成功。
敵の攻撃をなんとか凌ぎ、ミロクを放ち、ヨトゥン、ゼロを倒す。
「ここまでとはな、いいぞ。強者よ。貴様を取り込むのがより楽しみになってきたぞ。」
ガルドは剣を掲げ、メテオを降らす。
晴哉に当たりそうになったが、ソロモンがカシエルの力を使いメテオを防いでくれた。
「大丈夫ですか?」
「ありがとう。ソロモン。」
ソロモンはこんな状況にも関わらず、優しい笑みを浮かべた。
晴哉はビナーを放ち、ガルドの体力を削る。
ソロモンのストライクショットが溜まった。
──これで仕留めきれるだろうが、終わってしまう。
皆とはお別れだ。
でも、モンストのみならず、世界の危機になるかもしれない。
晴哉は名残惜しそうに、ソロモンのSSを使った。
「行け!ソロモン!!終わらせるんだ!!」
晴哉はソロモンを放った。
ソロモンは通常ではあり得ない速さで駆け回り、ガルドの体力を削った。
「……バッ…馬鹿な!!我が…我が負けるはずが無いのだぁぁぁぁぁ!!」
ガルドは剣を振り回した。
ソロモンの腹に命中した。
「ソロモン!!」
ソロモンは激しく吐血し、速度を緩めた。
しかし、止まることは無かった。
「孤独と涙の道に進まぬよう、どうかどうか、安らかにここでお眠りください。」
ソロモンはそう呟くと、ガルドにトドメを刺した。
「ぐあっ……」
「ガルド。強さっていうのは力だけじゃないんだ。
勇猛さ、人を思う気持ち、優しさ。そんなものが集まってこそ、本当の強さってものが生まれるんだ。」
消えかけるガルドに、晴哉は優しく語りかけた。
ほぼ消えて顔が見えなかったが、最期のガルドは泣いているように見えた。
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